一番安くても本醸造酒 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)
日本酒は、その名のとおり、日本の伝統的なアルコール飲料なのですが、残念なことに、「うまいなぁ」と思うようなお酒を置いている酒場は、全体としては少ないのです。知らない酒場で(銘柄が明確に書かれていない)日本酒を注文すると、ほとんどの場合、はずれると思って間違いないくらいの悲しい状況です。
呑ん兵衛は、まずいお酒にはとっても敏感な人が多いように思います。ずば抜けて美味しいお酒である必要はないのですが、まずいのは困る。そこそこに美味しいのがいいのです。
現在の私の職場には、呑ん兵衛がとても多いのですが、先日、職場で飲み会をしたときのことです。大勢の呑ん兵衛たちに気を使って、幹事が飲み放題つきの宴会コースを予約してくれました。ところが! この飲み放題で選べるお酒が、どれを選んでも不味いのです。
「これはダメだ。追加料金を払っても、ちゃんと飲めるお酒をたのもう」
ということで、日本酒派も、焼酎派も、それぞれ自分たちの飲みたいお酒を別注文しての宴会となったのでした。最後まで飲み放題を続けたのは、ビール派(瓶ビール)の人たちと、ウイスキー派(水割り)の人たち。ビールやウイスキーは、飲み放題であっても、あまり当たり外れはないようですね。
日本酒の場合の美味い、不味いは、どこが違うのか。単純に分けると特定名称酒か普通酒かの違いと言っていいと思います。
特定名称酒というのは、『三等米以上の白米を用い、白米の重量に対する米麹の使用割合が15%以上の清酒』ということで、原料や精米歩合によって、本醸造酒、純米酒、吟醸酒(大吟醸酒や純米吟醸酒も含む)の3つに分類されます。普通酒は『それ以外』です。
この特定名称酒という分類のお酒であれば、だいたい「不味くないお酒」と思って間違いないと思います。
しかし、残念ながら日本酒全体の生産量(平成19年度)で見ると、本来の日本酒であるはずの特定名称酒は全体の35%にしか過ぎません。残り65%は普通酒。だから酒場で日本酒を注文すると、美味しくないお酒に当たる割合が高いんですね。
不味いお酒を流通させると、それだけ日本酒離れが進んでしまうのではないかと思うのですが、それでも普通酒の割合が65%もあるのはどういうことなんでしょう。このあたりの事情に詳しい方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。
私の場合は、普通に酒場で飲む場合には本醸造酒を中心に、ときどき純米酒といったところ。燗酒でいただくことが多いのです。魚介類はもちろんのこと、天ぷらなどの揚げ物や、もつ焼きにも、本醸造酒であれば合うように思うのです。
吟醸酒(大吟醸酒や純米吟醸酒も含む)などももちろん好きですが、こういうお酒の場合には、料理と合わせるよりはお酒だけで楽しむほうがいいかなぁ。「善知鳥」のように珍味があったりすると、もう最高です。
日曜日の今日、家族との夕食の後に、ちらりとナイトキャップにやってきたのは、わが家から歩いて10分、都立家政の「竹よし」です。
店に着いたのは午後8時ごろ。店主も「土日は混むことが多いんですよ」と言うとおり、今日も店内はほぼ満席。カウンターの一番入口側の席が1席空いていたので、そこに座り、今日は最初から燗酒(菊正宗、350円)をもらいます。
「竹よし」の一番安い日本酒が、この菊正宗の上撰(本醸造酒)なのです。しかも1合350円と、低価格なのも嬉しいではありませんか。本醸造酒だと、安くても1合500円くらいのお店が多いですからねぇ。
お燗をお願いすると、店主がつけてくれたり、手伝っている女の子がつけてくれたりするのですが、ヤカンの中に徳利を入れて感覚的につけてくれるので、人によって温度が違っていたり、そのときによって温度が違っていたりするのもまたご愛嬌。電子レンジでチンよりは、はるかに人間味があっていいと思うのですが、こういう店も減ってます。
お通し(200円)のミニ・ソーメン(豆腐、カニかま、海苔などをトッピング)をつまみに1本いただき、「五日目」と書かれたイカ塩辛(350円)であと2本。
菊正3合ですっかりいい気持ちになって、2時間ほどの滞在は1,600円。さぁ、明日からまた1週間、がんばりますか!
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コメント
日本酒の知識は「夏子の酒」等、尾瀬作品(コミックス)でしか知りませんので、偉そうなことは申せませんが、確かに普通酒の流通量は業界が自分で自分の首を絞めているような気がしますね。
とはいえ、日本酒は滅多に飲まない私でも、本醸造なのに地酒と言うのを味わった時に「うまか~!」ということがありました。 あれは岐阜のお酒だったか・・・
日本酒でお替りをしたのは後にも先にもあれっきりですね。 アルコールの耐性が無い私ですがw
日本酒に対する消費者と居酒屋の要望が、より本物へと向かうことを祈っています。
投稿: さぎのみや散歩人 | 2009.05.16 23:16
買うお酒は、純米から純米吟醸あたりですね。外で飲むとなると、本醸造もたまにあります。
同じ酒でも燗したり、冷酒で飲んだりしているのと、料理と合うかを考えることが多いので、どうしても香りが強い大吟醸は避ける傾向にありますね。
香りが強いお酒でも、合う料理もあるとは思いますが、家庭ではなかなか何種類も開けてはおけません。
私がよく伺うお店では、燗は酒温計で測って出してくるところが多いです。
投稿: どぎー | 2009.05.26 00:05
確かにそうですね、名前も出さずにただ「清酒、日本酒」ではねえ。(笑)普通酒でも美味しいものもあるんですけどねえ。志太泉や鉾杉というような定評のある蔵元も「うちは普通酒が自慢です。普通酒を飲んでみて下さい」と言ってますし、開運の普通酒である高天神などは地元用主体ということもあって入手困難ですね。伏見の英勲や鶴正、酔鯨、土佐鶴もなかなかだと思いますが。少し甘すぎますが賀茂鶴も嫌いじゃないですが、むむ、レベル低いですかね(笑)特定名称酒でも最下位とされる本醸造酒でも本醸造こそその蔵元の本当の実力が出るとか本当の酒好きは本醸造酒や上等の普通酒を好む人が多いと言う蔵元が多いですけど。確かに普通酒の生産が多い大手は不味いのが多いですね、灘のOとか伏見のGとか、それを大量生産するのだから普通酒の割合は場面当然高くなるということじゃないでしょうか。しかし貴方はよくわかってらっしゃいますね。私も特に食中酒は絶対とは言いませんが本醸造か上等の普通酒が合うと思いますよ。吟醸は香りが強いし刺身とかはちょっと---純米はコクと酸味が強すぎて口や喉に残るものが多くて---そう言う蔵元も多いですし、本醸造酒こそその蔵の実力が出ると言う蔵元も居ますよ、結構。貴方はネットでよく見る純米信者とはえらい違いですね。何が何でも純米酒でないとという純米信者はウザいですねえ。特に純米酒信者はアル添を見下して自分から主張するのが多くうざいですね。米だけというのと価格が高いのがその根拠でしょうが思い込みですね、それと美味しんぼとかいうデタラメな漫画の受け売り。だから信者と言われるでしょうがね。純米酒だって乳酸を添加してるんですけどね。人それぞれの好みもあるし経済状態もあることですから自分の考えや趣味嗜好を自ら主張し他人のそれにケチをつけるというのは控えて欲しいですね。一番人から嫌われることだと思いますがね。あ、でも私は本醸造信者じゃないですよ(笑)まあ自分の好きな肴を好きな酒で呑めばそれが一番美味いですよね。私も基本、冷やか上燗までの燗酒ですが夏は冷たい吟醸酒を千枚漬や玉子豆腐とかでやりますし冬は熱燗も欲しいですね。。長くなるのでこのくらいにしておきますが、純米オンリー看板の蔵元の面白いインチキ話が何件かありますのでまたの機会に。
投稿: 烏丸少将文麿 | 2015.04.06 00:25