地元に帰ってもう一杯 … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)
武蔵小山(むさしこやま)を後に、東急目黒線、山手線、中央線と乗り継いで、午後8時前に荻窪(おぎくぼ)に到着。久しぶりの「やき屋」です。
いつも満員の「やき屋」も、土曜日のこの時間帯は比較的静かで(後ですぐにいっぱいになったので、ジャストこの時刻だけが静かだったようで)、右手のメイン立ち飲みカウンターの中央部にゆったりと立ってホッピー(320円)を注文します。
ここのホッピーは、サワーグラスに氷入りで焼酎(ナカ)が出され、それとは別に瓶入りのホッピー(ソト)が出されるタイプ。普通に注ぐと、ソト1に対して、ナカ(160円)が3杯いける濃さ。つまり、最初のセット+追加のナカ2杯で、ちょうどホッピー(ソト)一瓶がなくなる量なのです。
ただし、2~3人でやって来て、ひとりだけセットを頼んで、他の人はナカだけという注文はご法度。ナカはセットを注文した人しかできません。飲み干したグラスを差し出して、それにナカを入れてもらうという方式で、グラスだけ別に出してもらうことはできません。
これは徳利(とくり)で出してくれる燗酒も同じで、徳利1つに、猪口(ちょこ)も1つが、この店のルール。「お猪口だけ人数分出して」というのはNGです。瓶ビールとグラスも同じだったと思います。
なにしろ薄利多売だからやれる安い値付けだし、基本的に「呑むための場所」なので、少ない注文でダラダラ過ごさず、それなりの量をきちんと注文した上で、サクッと呑んで、スッと帰るのが粋(いき)ですね。
メインカウンターに立つことができると、ゲンさん(店長)が調理している様子も見えるし、カウンター上の大皿料理の残り具合もわかるのがいいところ。今日は人気の珍味わた和え(170円)もまだ残っていて、さっそく1人前、取り分けてもらいます。
珍味わた和えは、イカゲソを、その名のとおりイカワタで和(あ)えた一品なのですが、ジワッと甘い独特な味付け。塩辛とはまた別の方向でお酒が、その中でもとりわけホッピーが進むのです。
この珍味わた和えだとか、冬場のイカ大根などの、だれもが食べたい人気の品は、特に明記されているわけではありませんが、ひとり1品限り。おかわりはできません。
こうやって改めて書くと、堅苦しい酒場のように思われるかもしれませんが、明文化はされていないものの、一般的な大衆酒場の常連さんたちが知らず知らずのうちに守っていることばかりですよね。
その店の名物品は、それを目当てにやって来るお客さんも多いので、値段も低く抑えている(というか昔から値上げしていない)ことも多く、ある意味、サービス品的な存在になっていたりします。それをひとりのお客さんにドンドンおかわりされると、お店としても困ってしまうのでしょう。そのあたりの状況も把握した上で、常連さんたちは「まだあるかな?」なんて言いながら、遠慮がちにひとり1品ずつをいただいてる。まさに店と客との阿吽(あうん)の呼吸、というやつですね。
ナカ(160円)をもらって、続いてのつまみはイカにぎり棒(200円)です。注文すると焼き台の上で軽く炙ってくれます。
その昔、イカしょうが棒という練り物があって、これも好物だったのですが、なくなっちゃったのです。今回のイカにぎり棒もいいですねぇ。
「前のイカ棒(←店内での符丁)よりも甘いよね」とゲンさん。
たしかに、鹿児島のつけ揚げ(薩摩揚げ)のような感じで、ふんわりと甘い練り物に仕上がっています。このイカにぎり棒もまた八戸(はちのへ)の産なんだそうです。
ナカ(160円)をもう1杯いただいて、1時間ほどの立ち飲みは1,010円でした。どうもごちそうさま。
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コメント
ご法度、教えて下さり有難う御座います。店と客との阿吽の呼吸を大切に、また行ってきます。
投稿: ミスタースリム | 2009.07.03 08:48