〔コラム〕 変わる大井町、変わらぬ大井町 … うなぎ「むら上(むらかみ)」(大井町)
青物横丁の「丸富」から徒歩約15分。大井町にやってきました。
創業60年の歴史を誇った、立ち飲みのうなぎ屋、「むら上」が昨年(2008年)末に営業をやめ、「三代目 むら上」としてリニューアルオープンしたのは、今年(2009年)5月14日のこと。
〔品川経済新聞〕の記事によると、先代(二代目)の店主である村上さんから、三代目としてこの店を引き継いだのは、新橋のうなぎ屋の息子さんである山口晴基さん。同記事には、改装のきっかけと効果について、次のような店主コメントが載っています。
「落ち着いてウナギを食べられるよう着席スタイルのお店に変えた。以前の立ち飲みスタイルでは女性客が少なかったが、改装後は女性客が増えて客層が広がった」
さっそく店内に入ってみると、そろいの姿の店員さんたちは元気がよく、お客さんにも女性客や若いカップルが目立ちます。ちらりほらりとオヤジひとり客が混ざっているのが、昔の「むら上」の名残でしょうか。
店内は、入口左手のL字のカウンター10席ほどと、右手の6人掛けテーブル席1卓の、合わせて16席ほど。
空いていたカウンターの一番右端(L字短辺の一番奥)に座り、うなぎ串焼きのひと通り(5本で1,000円)と燗酒(駒泉、350円)を注文すると、すぐに出されるお通し(サービス)は、うなぎのキモを生姜煮にしたもの。
赤いカウンターの上に、灰色のお盆が置かれ、お酒や料理はその上に置かれます。店員さんの接客も大衆居酒屋チェーンなどと同じような今風のもの。私自身は、古くから続く大衆酒場の雰囲気が好きなので、こういった、オシャレな雰囲気や、サービス精神あふれる接客には、ちょっと戸惑ってしまいます。
うなぎのひと通りは、八幡巻(300円)、きも焼(200円)、短尺焼(200円)、ひれ焼(150円)、滋鰻つくね(200円)の5本。カッコ内が1本ずつ注文したときの単価なので、単品で注文すると合計1,050円になるところが、ひと通りで注文すると50円引きになる仕組みなんですね。
燗酒をもう1本おかわりして、1時間ほどの滞在は1,700円でした。
「三代目 むら上」を出て、大井町駅に向かう途中にあるのが平和小路に東小路。このあたりは全然変わっていないなあ。
草鞋(わらじ)のような大きさのメンチカツや、ケチャップで文字を書いてくれるオムライスなどで知られる洋食の「ブルドック」に、今日もまた店の外まで人があふれる立ち飲みの「肉のまえかわ」、中華の「永楽」に、握りが1個30円からという「いさ美寿司」。変わらぬ大井町がこの小路にあります。
しかし、かえすがえすも残念なのが、その小路を抜けた先、右手にある「大山酒場」の閉店です。
店主のご病気のため、今年(2009年)2月末から休業していたのですが、3月27日をもって閉店。こちらも昭和27年の開店以来、創業57年の歴史を誇る老舗大衆酒場でした。ハムエッグスが大好きだったのになあ。
「三代目 むら上」 / カウンター上のお膳 / お通しと燗酒
八幡巻、きも焼、短尺焼 / ひれ焼、滋鰻つくね / 「ブルドック」
「肉のまえかわ」 / 「永楽」 / 「いさ美寿司」 / 「大山酒場」
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コメント
代替わりして、ちょっとお店の運営方針が変わってがっかりすることもありますね。
私もオヤジ然としてきたので、若者向けに改装された店は要注意かもしれません。
投稿: ebisu | 2009.08.01 18:29