ナマズ天ぷらを燗酒で … 大衆食堂「つるかめ」(新宿)
松山への帰省を終えて、東京・新宿に戻ってきたのは、金曜日の午後2時半。昼食をとらずにここまで来たので、ちょいと思い出横丁の「つるかめ食堂」にでも寄って帰りますか。
例年、松山への帰省時には夜行高速バスを利用していたのですが、今回は日程等の関係で、飛行機で移動。したがって、いつも新宿バスターミナルから、松山に向かう前に立ち寄っていた「つるかめ食堂」にも、今回は立ち寄れていなかったのでした。
うーん。この時間帯でもお客が多いというのが、さすが「つるかめ食堂」ですねぇ。
しかも、奥の二人連れのお客さんの前には、すでにビール瓶が何本か並んでるし!
この店は、出された皿や瓶は、基本的に下げずに置いておいて、最後にそれでお勘定してくれる仕組みなので、たくさん飲み食いしている人は、ひと目で分かるのです。
私もまずは瓶ビール(大瓶600円)を「赤いほうで!」と注文して、つまみには“ソイの頭(あたま)”(400円)をもらいます。
瓶ビールはサッポロで、普通に注文するとサッポロ黒ラベルが出されるところ、「赤いの」と注文するとサッポロラガービール(通称:赤星)を出してくれるのです。
“ソイの頭”は、この店の名物のひとつ“ソイ丼”の、ご飯にかける具を、お皿に別盛りにしたもの。厨房には「ソイ・ヘッド、ひとつぅ~っ!」と通されます。内容的には、大豆をひき肉と一緒に煮込んで、カレー味に仕上げたもので、半月状に切ったハムが添えられます。
この大豆を、添えられたスプーンで食べては、ビールをグビリ。んー。カレーの風味とビールがよく合いますねぇ!
続いては、これまた「つるかめ食堂」に来たら、という一品、ナマズの天ぷら(350円)を注文します。
ここ「つるかめ食堂」には、ナマズのみならず、笹身、アジ、ナス、イカ、ワカサギ、春菊などの天ぷらが15~6種類ほど並んでいて、それぞれ200~350円という安さなのです。キンピラの天ぷら(300円)や豆腐の天ぷら(250円)などもあるのがおもしろいですよねぇ。
そして出されたナマズの天ぷらは、今日は細い棒状の身が3本です。
1ヶ月ほど前に来たとき(ブログ記事なし)は、横浜の「栄屋酒場」で出される穴子の天ぷらのように、四角い、ふっくらとした身が出されました。ナマズの部位によって、形が変わるんですね。
そのナマズ天ぷらが出てきたところで、飲み物も燗酒(400円)に切り替えると、自動お燗器から徳利(とくり)に入れられる燗酒は「奥の松」の本醸造です。
日本酒は大きく分けると、普通酒、本醸造酒、純米酒になるのですが、飲んで「おいしいなあ」と感じるのは本醸造酒か純米酒だと思います。しかしながら販売されている数量で見ると、普通酒が過半数を大きく超えているのが残念なところ。そんなこともあって、安い酒場で日本酒を注文すると、普通酒が出されることが多いのです。
日本酒離れが進んでいる大きな原因は、この普通酒の存在にあるのではないかと私は思っています。酒場で日本酒をたのむ。普通酒が出される。飲むとまずい。もう日本酒を飲まなくなる。こうやって、負のスパイラルができあがっているんじゃないでしょうか。
この店のように、普通に「日本酒」と注文して、普通に本醸造酒が出されるお店が増えてくると、こういうスパイラルも解消されていくんじゃないかと思います。
しかしながら、日本酒不振の一番の原因は、普通酒を作り続けている日本酒メーカーですよねえ。自分で自分の首を絞めているようなものだと思います。
それはさておき、このナマズはうまいなあ。プリッとした白身の天ぷらに、仕上げにサッとかけられている、ちょっと甘めの酢醤油がよく合っています。
奥の二人連れは、よく飲み、よく食べるお客さんで、氷入りのサワーグラスにサッポロラガービールを注いで、グイグイとやりながら、料理も3品ずつくらい追加していきます。すでにビールは7本。空いたお皿も、回転寿司のお皿のように積み重なっている状態。
「厚揚げ煮(200円)を待ってるんだよ。もうできた?」とその二人。
「あぁ。今できたところだよ」と年配の店員さん。
ここ「つるかめ食堂」は、正午に開店。厚揚げ煮などの煮物は、それから煮込み始めるらしく、できあがるのに時間を要するようなのです。
私のほうは、今度はお新香(200円)を注文すると、これがキュウリのぬか漬け丸まる1本分。両端だけ切り落として、斜めにスライスして出してくれます。
このお新香で、燗酒を飲みきって、1時間ちょっとの滞在は1,950円でした。どうもごちそうさま。
バスに乗る前と違って、時間の制約がなくて、ゆっくりした気持ちで過ごせるのがいいですね。
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