どぜう丸煮に柳川なべ … 居酒屋「みますや」(淡路町)
都内での仕事を終えて、神田「みますや」の前に到着したのは午後4時55分。金曜日ながら、店の前には行列などもいっさいなくて、開店前の静かなたたずまいです。
開店時刻の午後5時まで、まだ5分ほどありますが、こういう老舗は、往々にして常連さんたちがフライングして飲んでいたりするもの。店内にもすでに灯りがともっているようですので、ちょいとのぞいてみましょうかね。
ガラガラガラ…
入口引き戸を、自分の顔が入るくらい、ちょっとだけ開けて店内をのぞき込みます。
ガラ~ンと人の居ない店内は、とても広く感じます。へぇ~、「みますや」って、こんなに広かったんだ。
店内には、残念ながら、予想していた常連客はいなくて、まさしく開店準備中。
入口引き戸が開く音を聞きつけたおねえさんが、店の奥から出てきてくれて、パーの形の片手を突き出しながら「5時からです」と教えてくれます。
「はい。じゃ、5分ほどして、また来ます」
と挨拶だけしておいて、いったん店の外へ。せっかくの機会なので、周辺をブラブラとぶらついて、他に良さそうな酒場がないかどうか探索したあと、午後5時をちょっと回ったところで、ふたたび「みますや」へ。
一番乗りかと思いきや、開店からほんの数分しか経(た)っていないのに、すでに店内には男性二人連れの先客が座っています。
「みますや」の店内は、入口を入った左手が、奥に向かって長いテーブル(8人掛け)が二つ並んでいて、ひとりで入った場合には、このテーブルをカウンター代わりに使わせてくれることが多いようです。
今日も、「こちらにどうぞ」とおねえさんに案内されたのは、そのテーブル席。さっそく一番入口側に座って、注文する瓶ビール(大瓶600円)はアサヒスーパードライです。
ここ「みますや」では、エビスも、キリンラガーも、そしてスーパードライも、大瓶ビールはすべて600円。貧乏性な私は、つい定価の高いエビスビールを注文することが多いのですが、今日は神田駅からトコトコと歩いてきて喉が渇いていることもあって、グッとスーパードライに引かれてしまいました。
まずはそのスーパードライをググゥ~~ッと1杯。ッハァ~ッ。生き返った。
今日の肴(さかな)は決まっています。今日は、どぜう丸煮(600円)を食べに来たのです。
ここ「みますや」は、店頭の赤ちょうちんにも「どぜう」と大きく書かれているほど、ドジョウが名物料理らしいのですが、8年前に最初に来たとき以来、ずっとそのドジョウ料理を食べていないのです。どんな味だったかも、もう忘れちゃったなあ。
夏になると食べたくなるのがドジョウ鍋。「駒形どぜう」のトロリとやわらかいドジョウ鍋もよし、「どぜう飯田屋」の骨っぽいドジョウ鍋もまたよし。しかしながら、どちらの店も、ドジョウ鍋1杯が1,500円も1,700円もするようになって、気軽には食べにくい料理になってしまいました。
そこで、この夏は、改めて「みますや」のドジョウ料理を食べてみようと、やってきたのでした。
注文してから、あまり待つこともなく、小鉢に盛られたどぜう丸煮が登場します。
瓶ビールもまだ残っているものの、どぜう丸煮にはやっぱり燗酒。すぐに「白鷹」の燗酒(400円)を注文すると、これまたすぐに出されます。
甘辛い割り下で煮込まれたドジョウは、熱いというほどではなくて、温かい程度の温度。ドジョウのほかに、笹がきのゴボウが一緒に煮込まれていて、ちょっと玉子もからんで、刻みネギがトッピングされています。
これを小皿にとって、テーブル上の山椒粉を振りかけていただきます。そもそも割り下と日本酒が合うところにもってきて、ドジョウのちょっとほろ苦い感じと、ちょっと骨っぽい食感が加わって、燗酒に最強のつまみです。
どぜう丸煮はペロリと食べ終えて、もう1品、どぜう柳川なべ(800円)もいただきます。
どぜう柳川なべは、蓋(ふた)に「みますや」と書かれた、オリジナルのちょっと小ぶりな柳川鍋でやってきて、テーブル上に置いたところでパッと蓋を取ってくれます。おぉーっ。トロリと半熟の玉子が美味しそうだこと。この量だと、ひとりでもちょうどいいですね。こちらは、さいたドジョウが煮込まれています。
ドジョウ2品で、1時間ほどの滞在は、2,400円。
奥のレジのところで店主に支払いを済ませ、「ありがとうございました」の声に見送られながら、ちょっと前に満員御礼となった店を後にしたのでした。
店頭の赤ちょうちん / ビールとお通し / どぜう柳川なべと燗酒
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