玉ネギ焼きも大人気! … 「西口やきとん(にしぐちやきとん)」(浅草橋)
(前編からのつづき)
「串ものでは、私は豚バラ塩がいち押しですね。たれもうまいので、レバたれなんかもいいですねえ。あと、人気があるのが野菜串なんですよ。玉ネギとかエリンギとか」
と、そばさん。さっそくその4種を1本ずつ(各100円)注文すると、長い焼き台の一角に、その4本が並べられます。やきとんは味付けを指定したものの、野菜串については指定せず、おまかせです。
同時に焼き始めても、ものによって焼きあがる時間は違っていて、最初に出てきたのはエリンギ。醤油味でホクホクです。その1分後にプリッとした弾力感がうれしいレバたれ、さらにその3分後に、そばさんが毎回必ずたのむという豚バラ塩が出され、そのまた3分後に玉ネギです。
じっくりと時間をかけて焼き上げられた玉ネギは、たれ焼き。ほっこらと上手に火が通った玉ネギは、玉ネギ自体の自然な甘さと、たれの甘さとがあいまって、とてもいい味わいです。
う~ん。プロがきっちりと焼き上げると、こんなにも美味いんですねぇ。キャンプのバーベキューなどで、肉の添え物のように焼く玉ネギとは大違いの食感。「玉ネギは人気があるんですよ」というのもわかるなあ。
今は他の店でも出しているところが多いガツ醤油も、この店で始めた焼き方のひとつです。昔はガツもたれ焼き、塩焼きしかなくて、それとは別に醤油をつけて食べるガツ刺しがあったんだそうです。
あるとき、お客さんから「ガツ刺しのガツを焼いて」という注文が入り、素焼きしたガツ刺しに醤油をつけて食べるという食べ方が始まりました。そのうち、「最初から醤油をつけて焼いて」というお客さんが出てきて、今のガツ醤油スタイルが生まれたんだそうです。
店員さんたちが元気がよくて明るいのも、この店の大きな特長です。店によっては、わざとのように大声を掛け合ったりしているところがありますが、ここ「西口やきとん」には、そんなわざとらしさはありません。
「バラ塩、2っ! レバたれ、3っ!」「そんな大きな声で言わなくても、聞こえてるよ」とか、
「ウインナーとカレー、あとフランスパンです!」「はいよ。うーん。いったい、うちは何屋だ!?」
なんて、店員さんたち同士のやり取りを聞いてて「プッ」と吹き出しそうになることも多いのです。
「いい意味で、ほっといてくれるのが、この店のいいところかなあ」とそばさん。
「こっちから話しかけたりしない限り、かかわってこないので、静かに飲めるんですよ。変にオススメの品を言われたりしないし、飲み物が空いても、こちらから注文しない限り向こうから“おかわりですか?”なんてことも言わない。そのかわり、頼めばいろんな注文も聞いてくれたりする。この絶妙な距離感がいいんですね」
そんな「西口やきとん」の仕込が始まるのは毎朝10時から。それから午後2時までの間の4時間で、串ものや皿ものの準備を終えると、午後4時まで2時間の休憩。それから片づけが終わる夜中まで、ずっと働き続けるという長時間労働。もつ焼き屋は大変なのです。
「毎日、同じ時間に来て、同じものを食べて、同じものを飲んで帰っていくお客さんもいます。それがもつ焼き屋なんです。うちには特に決まりごとのようなものはないので、楽しんでいってもらえればいいと思います」と山田店長。
そばさんと二人分のお勘定は2,030円(ひとりあたり1,015円)でした。どうもごちそうさま。
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