おすすめオンパレード(上) … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)

この店にやって来るのは初めてというO野さんと、沼袋の「ホルモン」にやってきました。
昭和39(1964)年創業のこの店は、今年で創業45年。現在は、創業者の息子さんで二代目店主の菊池正彦(きくち・まさひこ)さんが、奥さんと二人で、カウンター12席(6席×2列)+テーブル8席(4席×2卓)の店を切り盛りされています。
その昔、中央線沿線には今の「四文屋」グループと同じように、「ホルモン」グループのチェーン店が数多く店を出していたんだそうです。
その「ホルモン」グループの創始者は、三瓶町(愛媛県)の出身。グループ展開も多くなってきたので、故郷の知り合いに「手伝ってくれないか」と声をかけました。店主のお父さんも、そのときに上京されて、お父さんは「阿佐ヶ谷ホルモン」で修業した後、「高円寺ホルモン」へ。お母さんもその「高円寺ホルモン」から一緒に働き始めました。同じ頃に三瓶町から上京して、「ホルモン」グループの店で働いていたのが、練馬の「金ちゃん」の店主や、今はなき鷺ノ宮の「鳥芳」の女将だったのです。
東京オリンピックの昭和39年、ここ沼袋に、新たに「ホルモン」グループのチェーン店が作られ、店主のご両親に新店の運営が任されました。それ以来、順調に営業を続け、昭和53(1978)年に「有限会社 もつ焼き ホルモン」として、チェーン店から独立。今から14年前の平成7(1995)年に、それまでサラリーマンをされていた現店主も店を手伝い始め、現在に至ります。
最近は、もつ焼き屋と言いながらも、もつ焼き以外のメニューが多い店が増えているなか、この店はもつ焼き中心のシンプルなメニュー構成。昔ながらのもつ焼き屋というところが魅力のひとつなのです。
常連さんたちは「先代も、今の店主も、人柄がいいから、店の雰囲気がいいんだよ。値段が安いのもいいところだね」と店の魅力を語ってくれます。
前置きが長くなりましたが、さっそくO野さんにも、この店のおすすめの品の数々を味わっていただきましょうね。
サッポロラガービール(赤星)とサッポロ黒ラベル生の2種類が選べる大瓶ビール(500円)は、ラガーを指定して乾杯し、お新香(110円)、煮込み(310円)に、レバとコブクロのチョイ焼き(1本120円)を2本ずつ注文します。
お新香(110円)は、キュウリ、白菜、カブなどの季節の野菜を自家製で漬けたもの。季節の野菜だけに日によって内容は異なり、今日はキュウリと白菜の2種類が混ざっています。これを添えられた爪楊枝でつついていただきます。値段が安いこともあって、ほとんどの人が真っ先に注文する一品です。
煮込み(310円)は、モツだけを煮込んで、刻みネギをトッピングして出してくれます。毎朝10時頃に、レバ以外の残モツ(もつ焼き用に下ごしらえした残りの部分)を煮込み始めて、開店直前の午後5時ごろ、味噌で味付けをします。このモツだけのシンプルな煮込みがうまいんですねえ。年中食べられるのもいいところです。
「煮込みの中に入ってるオッパイが、歯応えがよくていいのよ」と、向かいのカウンターに座っている女性常連客が教えてくれます。この店は女性の常連客も多く、特に最近は女性の2人連れ、3人連れも増えているんだそうです。
「先代の頃は、飲み物も焼酎、ビール、日本酒だけだったんですが、女性のお客さんも増えてるので、今は焼酎のウーロン割り(370円)や、くわ茶割り(370円)なども出すようになりました。飲み物はどれかに集中ということはなくて、どの飲み物も満遍なく出ますね」と店主。
そして出てきたレバとコブクロのチョイ焼き(1本120円)は、もつ焼き用のレバとコブクロを、文字どおりちょっとだけ炙(あぶ)る程度に焼いたもので、刻みネギをトッピングして醤油をかけ、おろし生姜を添えて出してくれます。この店にはモツの刺身はないので、このチョイ焼きが最も生に近い状態です。好みで、醤油のかわりにポン酢醤油をかけてもらうこともできます。
チョイ焼きを注文すると、割り箸も出してくれるので、全体を串からはずして、レバ刺しやコブクロ刺しを食べるように箸でいただくのがいいですね。
(つづく)

開店直前の「ホルモン」 / サッポロラガービール大 / 煮込み

お新香(キュウリと白菜) / チョイ焼き(レバ、コブクロ) / もつを焼く店主
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