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2009年12月

ガツ刺しはかき混ぜて … やきとり「たつや」(恵比寿)

ガツ刺


 恵比寿にある、やきとりの「たつや」にやってきました。

 入口引き戸のところにでんと構える店主に迎えられて、1階の店内へ。午後5時ジャストの店内は、1階でもまだ3割程度の入りで、余裕で入ることができます。

 ホッピー(450円)をもらって、つまみにはここに来たらいつも注文するガツ刺(360円)です。前回は夜遅くにやってきたこともあってガツ刺が売り切れていて食べられなかったのですが、さすがに今日はありました。

 ガツ刺は、ガツ(豚の胃)をゆで冷まして細切りにしたものに酢醤油をかけ、刻みネギをたっぷりとトッピングし、皿のふちに練りガラシを添えたもの。

 このガツを1本ずつとって食べてもおいしいのですが、私のおすすめは、ネギや練りガラシも含めて、すべてをグリグリとよ~くかき混ぜて食べる方法。練りガラシの辛みがピリッと効いて、とてもいい味わいになります。

 ガツ刺で1杯目のホッピーを飲み干して、2杯目のホッピーとともに注文するのは〔やきとり〕です。

 たつやの〔やきとり〕は、実際には〔もつ焼き〕。「たつや」のメニューには、

『やきとり…とりとは「肚裏」と書き、「はらのうち」つまりは内臓をあらわしています。「たつや」では皆様に滋味あふれる新鮮な「やきとり」を提供しております。』

という説明文が書かれています。〔とり〕を〔肚裏〕と書くというのは、おそらくこじつけでしょうが、〔もつ焼き〕や〔焼き鳥〕全般のことを、ひらがなで〔やきとり〕と書いているお店は少なくありません。

 私自身が聞いて確認したわけではありませんが、最初に〔もつ焼き〕という呼び方を使ったのは、浅草の「千代乃家」だそうです。この店が創業したのは昭和26(1951)年なので、〔もつ焼き〕という名称は、長くても60年ほどの歴史しかないんですね。

 他には、「秋元屋」、「西口やきとん」、「元気」、「埼玉屋」などのように〔やきとん〕を看板に掲げている店もあります。

 さて「たつや」。このみせの〔やきとり〕は1種2本からの注文で、ナンコツ、ネギマ、ハラミ、テッポー、シロ、コブクロ、ガツがそれぞれ1本180円。カシラ、タン、ハツ、レバ、タンシタ、ツクネ、そしてミックスが170円です。

 そんな中から、今日はナンコツ(2本で360円)を塩で注文します。

ナンコツ塩 カウンター内の焼き台で、焦げたところをハサミで切り落としながら、ていねいに焼き上げてくれるナンコツは、けっこうボリュームたっぷり。このボリュームで1種2本しばりだから、なかなかいろんな種類は食べられないのが残念なんですよねえ。

 「お徳用」と書かれた、やきとりの盛合せ(1人前5本で800円)もあるので、いろいろ食べたいときは、それもいいかもしれません。この場合、種類を指定することはおそらくできないと思いますが…。

 ナンコツの塩焼きにも、お皿のふちには練りガラシ。ここの練りガラシは、パンチのある辛さでいいですねえ。

 グイッとホッピーを飲み干して1時間弱の滞在は1,620円でした。どうもごちそうさま。

 そういえば、メニューには〔お通し 200円〕と書かれているのですが、私のところにも、まわりのお客さんのところにも、特にお通しは出されませんでした。前に来たときもお通しは出なかったので、もしかすると1階のカウンター席の場合は、お通しはなしなのかもしれませんね。

店情報前回

《平成21(2009)年10月13日(火)の記録》

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くさやをつまみに菊正宗 … 通人の酒席「ふくべ」(日本橋)

「ふくべ」の店主


 都内での仕事を終えて、やってきたのは東京駅八重洲口にある老舗酒場、「ふくべ」です。

 昭和14(1939)年に、酒屋から居酒屋に転身した「ふくべ」は、昔から全国各地の日本酒が飲めることで有名。「取扱銘酒一覧表」と書かれた飲み物メニューには、白雪(灘、甘)、白鶴(灘、普通)、大関(灘、普通)、剣菱(灘、中辛)、菊正宗(灘、辛)、桜正宗(灘、中辛)、白鷹(灘、辛)、榮川(福島、中辛)、一ノ倉(宮城、辛)、桃川(青森、中辛)、新政(秋田、辛)、久保田(新潟、辛)、朝日山(新潟、辛)、太平山(秋田、中辛)、菊姫(石川、辛)、越の誉(新潟、中辛)、男山(北海道、辛)、沢の井(東京、辛)、西の関(大分、普通)、窓の梅(佐賀、中辛)、美少年(熊本、中辛)、五橋(山口、中辛)、浦が霞(宮城、辛)、高清水(秋田、中辛)、住吉(山形、辛)、樽平(山形、辛)、初孫(山形、中辛)、鬼ころし(岐阜、辛)、吉乃川(新潟、辛)、酔心(広島、中辛)、千福(広島、甘)、賀茂泉(広島、中辛)、賀茂鶴(広島、中辛)、豊の秋(島根、辛)、梅錦(愛媛、中辛)、土佐鶴(高知、辛)、司牡丹(高知、中辛)、眞澄(長野、中辛)、月の桂(京都、中辛)、銀盤(富山、辛)の40銘柄(名称はすべて表記のまま)が並びます。値段は明示されていませんが、それぞれ1合が500~600円(外税)のようです。

 私の好みは、カウンターの最奥部にデンと据えられた「菊正宗」の樽酒(おそらく550円+税)。燗でお願いすると、「ふくべ」と店名の入った白磁の徳利の上に、漏斗(じょうご)と一合升がセットされ、樽の栓が抜かれます。

 トック、トック、トック、と樽酒が出てきて、一合升いっぱいになったところで、キュッと栓を締め、一合升をくるりとひっくり返して徳利の中へ。この徳利のまま、カウンター内の燗付け器で燗をつけてくれます。

 「ふくべ」の店内は、1階の入口を入ったところから奥に伸びるカウンター12席と、そのカウンターの手前から、右手の別の間に入ったところにある4人×4卓、2人×1卓のテーブル席の合わせて30席。それとは別に2階に10席ほどの座敷もある様子です。

 席に座るとすぐに、木の盆にのせられた割り箸、お猪口、そしてお通し(サービス)の昆布の佃煮のセットが出され、燗をつけ終わった徳利も、この上に出してくれます。

 その燗酒を、手酌でお猪口に注いで、まず1杯。

 ッカァ~~ッ。うまいっ。

 ここの「菊正宗」の樽酒は、2週間で空いてしまうほど回転がいいので、樽の香りが強く付きすぎないのが特徴。そのやわらかい樽の香りが、燗をつけることでふわりと立ちのぼって、実にいい味わいです。

 空いた樽が欲しい人は、送料1,850円を出せば送ってくれるそうですよ!

 料理の「お品書き」にも値段は表記されておらず、並んでいるのは、おでん、あじ干物、かます干物、いか焼き、玉子焼き、たらこ、はんぺん焼き、くさや、さつま揚げ、たたみ鰯、うるめ鰯、エイヒレ、板わさ、生揚げ、しらすおろし、ぬた、わかめの酢のもの、きんぴら、しめ鯖、塩辛、塩らっきょう、やまかけ、月見、とろろいも、冷奴、納豆スペシャル、マグロ納豆、いか納豆、玉子入納豆、納豆、刺身3点盛り(鮪、イカ、タコ)、鮪ぶつ、たこ刺し、いか刺し、トマト玉子付サラダ、もろきゅう、わかめ、おしんこ、鮭ほぐしご飯、おにぎり2個、お茶漬3種類(たらこ、梅、海苔)、わかめのお吸い物の42品目。この他に季節のメニューが1~2種類、張り紙で出されます。今日は「秋刀魚あります」という張り紙。

 秋刀魚(さんま)にも引かれますが、この店に来ると、いつも注文するのが“くさや”(おそらく550円+税)です。

 くさやは、伊豆諸島で作られる魚の干物。独特の臭みを持つくさや汁に浸けてから干すので、できた干物もくさやならではの臭みを伴っています。これを厨房で炙り始めると、プ~ンと漂ってくるくさや臭。嫌いな人にはイヤな臭いでしょうが、くさや好きにとっては、この匂いをかぐだけで思わずジュワっと唾液が出てくるほど、旨味を連想させる香りなのです。

 このくさや汁。もともとはただの塩水だったらしいのですが、当時は貴重品だった塩を使いまわしするため、同じ塩水をずっと使っているうちに魚の成分が溶け出したものが発酵し、独特のくさや汁になっていったようです。最初に食べた人は勇気がいったでしょうね。

くさや 炙ったあと、食べやすいようにほぐして出してくれるくさや。一切れ口に含み、よ~く噛むと、どんどん、どんどん旨味があふれてきます。そして鼻腔の奥からは、くさやの香りが流れ込んできます。身体の中で、この旨みと臭みが一度リンクされてしまうと、次からは香りを嗅ぐだけで、旨みが連想できるようになるんですね。

 くさや一切れで、燗酒がぐいぐいといけるので、すぐに「菊正宗」樽酒(燗)もおかわりです。

 店内は昭和39(1964)年の東京オリンピックの年に改装したあとは、そのまま今に至っているんだそうで、ヒノキの一枚板のカウンターもそのときのもの。お客のひじで毎日磨かれて美しく保たれています。「カンナをかければ真白になるんだけど、今の風合いを大事にしたいんですよ」と店主が話してくれます。

 今日はくさやだけで燗酒を2本いただいて、1時間ほどの滞在。お勘定は1,730円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成21(2009)年9月28日(月)の記録》

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〔コラム〕 看板メニューの傍らの名脇役

せん菜炒め@御天

 その店の看板メニューではないんだけど、なぜかいつも注文してしまう料理があります。

 下井草「御天」の看板メニューは、言わずと知れた博多長浜ラーメン。店の近くまで行くと、強烈なとんこつスープの香りが漂ってきて、ファンにはたまりません。

 私自身、博多で学生時代を過ごしたので、この店にやって来る目的は、締めのラーメンにあります。

 しかしながら、その締めのラーメンにいきつく前に必ずいただくのが、せん菜(さい)炒め(550円)なのです。

 せん菜というのは、新種のモヤシらしいのですが、普通のモヤシよりも細くて、シャキシャキ感が強いのが特徴です。私自身は、この店以外ではお目にかかったことがありません。

 これをチャーシューと一緒に炒めて、仕上げに刻みネギをトッピングして出してくれます。

玉子入りスープ@大坂屋

 門前仲町「大坂屋」は、看板にも暖簾(のれん)にも「仲町名物・牛にこみ」と書かれているとおり、牛の串煮込みが名物。フワ、ナンコツ、シロという3種の串煮込み以外の食べ物メニューは、玉子入りスープとオニオンスライスしかありません。

 この店で私がはまっているのが玉子入りスープ(330円)です。

 注文を受けてから、殻のままの生玉子が煮込み鍋の中に投入され、ちょうど半熟になった頃合いで引き上げられます。熱々の状態の玉子の殻を、女将がくるりと剥(む)いて小鉢の中へ。半熟玉子に十文字に切り目を入れて、煮込み鍋の汁(つゆ)を入れたら、玉子入りスープのできあがりです。

 添えられたスプーンで、煮込みの汁とともにいただく半熟玉子も、それはそれでおいしいのですが、もっと美味しい食べ方は、玉子を崩してスープと混ぜ、そこに串から抜いた牛煮込みを入れて、一緒に食べるという方法。特に、ちょっと硬め(=煮込み時間が短め)のシロとの相性が抜群です。

豆腐煮@第二力酒蔵

 中野の「第二力酒蔵」は魚料理が自慢のお店。店の表からガラス張りで見えるネタケースには、季節ごとの魚介類がずらりと並んでいます。

 この店の魚介類の値段は、日本料理屋に比べたら安いのかもしれませんが、居酒屋として考えるとけっこう高め。調子にのってどんどん食べてたら、びっくりするような金額になってしまいます。

 そんな「第二力酒蔵」で、あればいつもたのむのが豆腐煮(500円程)です。

 豆腐煮は、あら煮と一緒に煮込んだ豆腐4切れに、刻んだ浅葱(あさつき)をトッピングして出してくれるもの。ちょっと甘い醤油味の中に、魚のダシがよく出ていて、魚そのものを食べるより、もっと魚らしい風味が広がって、日本酒(キンシ正宗)がガンガン進みます。

 ボリュームもたっぷりなのがうれしいではありませんか。豆腐煮や、あら煮などをつまみながら飲んでる分には、「第二力酒蔵」もリーズナブルに楽しめる酒場です。太田和彦さんも書かれているとおり、「高いものは高く、安いものは安く」と、メリハリのきいた大衆割烹なのです。

 看板メニューの傍らの名脇役的メニューの存在。こういう料理があるから、酒場巡りはやめられません。

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ていねいな仕事が人気(後編) … やきとん「すっぴん酒場(すっぴんさかば)」(野方)

ていねいで真剣な仕事


 もつ焼きは、レバ、シロ、ハラミナンコツ、アブラニンニクを1本ずつ(各100円)、味つけは店主におまかせで焼いてもらうと、レバ、シロはタレで、ハラミナンコツ、アブラニンニクは塩で出されます。ここの塩焼きは、焼き上がった後、仕上げにパラパラッとかけられるので、塩味が鮮烈に感じます。

 やや小さめにカットしたもつが、1串にたくさん刺さっているのが、ここのもつ焼きの特長。シロは、テッポウ(直腸)部分をまん中に挟んで、上下が普通のシロ(腸)。

 ハラミナンコツは、串の先のほうにハツの弁の部分や動脈の部分が、まん中に喉頭(のどがしら)をたたいた軟骨部分が、そして根元にハラミが刺されていて、食べるにつれて味わいや食感が変わります。

 アブラニンニクは、頭(かしら)の中の、Pトロの表面にある脂の部分とニンニクを交互に刺して焼き上げたもの。Pトロの仕込みをするときに、副産物的にできる部分なので、量もごくわずか。すぐに売り切れてしまう一品です。

 もつ焼きは親子鍋で出されます。親子鍋に敷かれているキャベツはおかわりできないので、一番最後に食べましょう。食べ終わった串は、親子鍋の柄(え)の部分に立てておくと、いかにも通っぽいです。

 つくねの種類が多いのも、この店の特徴。普通のつくね(100円)は、鶏、豚、牛のひき肉を混ぜたもの。そのつくねにチーズを入れたものがチーズつくね(100円)で、喉頭をたたいたものを混ぜたのが、たたきつくね(100円)です。もう1品がオヤジつくね(100円)で、これは豚肉だけのひき肉に、細かく切ったキムチ、ニラ、ニンニクを混ぜたものです。

 今日は、たたきつくねがないということで、代わりにレンコン(150円)を勧めてくれました。レンコンは、輪切りにしたレンコンの穴に、つくねを詰めたものが2個で1串です。このレンコンも、売り切れていることが多い大人気商品です。

 ピーマン肉詰め(200円)も、ピーマンにつくねを詰めた一品です。

 ここ「すっぴん酒場」は、キャッシュ・オン・デリバリー(品物と引き換え払い)の立ち飲み屋ならが、いつ来ても、必ず何人かの女性客がいます。

 その女性たちに人気があるというのが巻き物です。

 オクラ巻(200円)は、大きなオクラに豚バラを巻いたものが1串に4個。トマトン(200円)は、トマトの豚バラ巻きで、こちらは1串に3個。ショウガミョウガ(150円)は、新ショウガとミョウガを芯にして豚バラを巻いたもので、私も来るたびに注文する一品です。他にアスパラ巻(200円)もあります。

 これらの仕込みには、店主ひとりで5時間ほどかかるんだそうで、店主は朝から深夜まで働きづめです。

 最後の締めにもらったのは、ガラスープ(300円)です。

 小鍋で仕上げて、熱々の状態で出されるガラスープには、細切りのキャベツと、少量のラーメンが入っています。

「ちょっと麺が入ってると、みなさん、喜んでくれるんですよ」

 と店主。その麺には、福岡地方の人にはおなじみの味のマルタイ「棒ラーメン」が使われています。

「ない日も多いんですが、煮込み(400円)も評判がいいんですよ」

 と話してくれる煮込みは、豚のモツと野菜、豆腐が入り、みそベースの味つけです。いいモツがそろわないと作らないという、こだわりの一品です。

 おいしいモツ料理が、安価に楽しめるこのお店。店主がカウンターの中で一所懸命働いている姿そのものも、いい酒の肴になりますよ!

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焼き台に並ぶもつ焼き / ればタレ / アブラニンニク塩

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しろタレ / ハラミナンコツ塩 / つくねシリーズ

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おやじつくね(手前)、チーズつくね / れんこん、つくね / おくら巻

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さがり(エリンギが挟まれている) / しょうがみょうが / ガラスープ

店情報前編

《平成21(2009)年10月10日(土)の記録》

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ていねいな仕事が人気(前編) … やきとん「すっぴん酒場(すっぴんさかば)」(野方)

れば刺


 平成18(2006)年11月15日に創業した「すっぴん酒場」は、今年で創業3周年。地元の常連さんたちに愛される、商店街の人気店です。

 この店の特徴は、品質が高く、鮮度のいいモツの仕入れと、店主のていねいで一所懸命な調理です。

 店主・徳宿克治(とくしゅく・かつじ)さんは、洋食屋で働いた後、神田にあるやきとりの「三政(さんまさ)」(03-3251-2518、千代田区神田多町2-7)で修業をして、この店をオープンしました。その「三政」と同じ仕入先からモツを仕入れ、「三政」仕込みの調理法でていねいに仕上げてくれます。高級もつ焼き店「三政」の味と技が、ここ「すっぴん酒場」ではよりリーズナブルに楽しめるのです。

 うなぎの寝床のように、奥に向かって細長い店内には、奥に向かって長く立ち飲みカウンターが伸びます。一番手前と、一番奥は直角に曲がって短いカウンターになっているので、全体としては、上下に引き伸ばした「コ」の字型です。15~6人立てる店内を、店主夫妻がふたりで切り盛りします。

 人気の飲み物は黒ホッピー(セットで400円)で、チューハイ(セットで350円)がそれに続きます。特筆すべきは焼酎の量の多さで、1杯あたり120~130mlと、横須賀ホッピー並みの濃さを誇ります。この濃さで、ジョッキには氷も入っているので、ソト(瓶入りホッピー)1に対して、ナカ(焼酎、200円)が3~4は行けてしまいます。

「立ち飲みですので、泥酔してしまったり、寝ちゃったりする人はいませんね」

 と店主。これも立ち飲みならではのいいところです。なにしろ自分で立っていられる限度までしか飲めませんものね。

 今日のお通し(100円)はキュウリ、トマト、ネギのマリネ。洋食屋さんでも修業されてたことがあるだけに、こういう料理もお手のものです。もつ焼き用の串2本が箸(はし)代わりです。

 つまみのほうはピンコロ大根(150円)からスタート。ピンコロ大根は、生の大根を一口大に切って、醤油とサラダ油をかけたもの。ピンっと新鮮で、コロっとしているからピンコロ大根と名付けたんだそうです。一口大の大根が15個ほど入っているので、もつ焼きの合いの手にもぴったりです。

 もつ料理の1品目はレバ刺(400円)。注文を受けてから、冷蔵庫に保存している金属ケースのレバーのかたまりが取り出され、筋っぽい部分や、端っこの部分などを切り落としながら、ていねいに、ていねいに調理が始まります。ひと切れ、ひと切れが小さく、食べやすく、ほぼ同じ大きさにカットされるのが「すっぴん酒場」のレバ刺の特長。薬味にはニンニクかショウガが選べますが、店主におまかせすると、粗く砕いたニンニクとがトッピングされ、横に刻みネギと練りガラシが添えられて、醤油がかけられています。全部をグリグリとかき混ぜて食べるのが私のおすすめです。

 もつの刺身は、レバ刺以外に、ガツ刺(400円)とコブクロ刺(400円)があります。

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黒ホッピーとお通し / ぴんころ大根 / がつ刺

店情報前回

《平成21(2009)年10月10日(土)の記録》

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7年間、変わらぬ安価 … 立ち飲み「うなぎや」(横浜市・屏風浦)

うなぎの肝焼き(左)と頭焼き


 会社の帰りに、ふらりと立ち寄ったのは、2年半ぶりとなる屏風浦(びょうぶがうら)の立ち飲み屋、「うなぎや」です。

 入口を入ると、店の三方の壁に沿ってコの字型の立ち飲みカウンターがあり、お客はそのコの字の内側に立ちます。

 さっとメニューを確認すると、品書きも値段も以前のまま。焼き鳥は1本60円、うなぎも肝焼きが1本120円、頭焼きは1本80円という低価格です。しかも前回からのみならず、この店に初めてやって来た7年前から変わっていないのですからすごいですよねえ。

 さっそくホッピー(400円)に、肝焼き(120円)と頭焼き(80円)を1本ずつ注文します。

 すぐに出されるジョッキには大きな氷が1個入り、計量用コップ1杯分の焼酎が注がれています。それとは別に瓶入りのホッピーが出され、それを半分ほど入れると、ちょうどジョッキ1杯のホッピー割りができあがります。

 うなぎの串焼きは、店の表に面した焼き台で焼き上げられます。うなぎの場合は、あらかじめ焼いて、大皿に並べている串を温めなおしてくれるだけなので、待ち時間はごくわずか。すぐにタレ焼きのうなぎの芳ばしい香りとともに、串焼きが出てきます。

 肝焼きが120円というのは、私が知ってる中では最安値かも。

 頭焼きは、開いたうなぎの頭3個が1串。よ~く噛むと、骨まで全部食べられますが、しゃぶるように肉の部分だけ食べて、骨は残す人もいるようです。この頭の骨ぎわに付いている身がおいしいんですよねえ。

 さっき入ってきたおじさんは、黙って立っただけで焼酎(300円)と頭焼きが3本出されます。いつもこのパターンで飲んでるんでしょうね。

 「うなぎや」という店名のとおり、メニューには串焼きのみならず、蒲焼や白焼もあって、それぞれ800円。うなぎ弁当は1,000円です。

「焼酎のおかわりをお願いします」

 とジョッキを差し出すと、氷を1個と、計量用コップ1杯の焼酎(300円)を入れてくれます。このお店、日本酒(280円)よりも焼酎(300円)のほうが高いというのもおもしろいですねえ。ちなみに大瓶ビールは550円、サワー各種は400円です。

090925a つまみには、ねぎ間(60円)を2本、タレで焼いてもらいます。

 焼き鳥は、ねぎ間の他に、肉焼き、レバー、皮がそれぞれ1本60円。味つけは塩・タレが選べ、こちらは冷蔵庫の中にスタンバイされている生肉を、注文を受けてから焼き上げてくれます。1皿5本で300円という盛り合わせメニューもあります。皿に添えられるニンニク味噌が、これまたいい味です。

 うなぎ、焼き鳥以外のメニューは、マグロ刺(400円)、お新香(250円)、冷奴(250円)などなど6~7種類ほど。どぜう汁(600円)には、“金曜のみ”という注記が書かれています。

 さらっと40分ほど立ち飲んで、お勘定は1,020円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成21(2009)年9月25日(金)の記録》

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zalさんの行きつけ(後編) … ホルモン焼「けむり」(川崎市・久地)

ひとり客に肉を焼く店主


 zalさんに「けむり」をご紹介いただいているところへ、自転車に乗ってふらりと現れたのは、この近所に住んでいる路麺大帝・そばさんです。

 実は我われの仲間うちで、この店を最初に見つけたのは、そばさんその人。ある日曜日の昼下がり(午後3時過ぎ)、この地域名産の梨(ナシ)を求めて、自転車でこの前を通りかかったときに、この店の暖簾が出てて、明かりもついてたんだそうです。「えっ、こんな時間からやってるんだ。この時間に、この場所でやってるんだったら、これはヤバイと思ったんですよ。オーラが出てました」とそばさん。それでさっそくzalさん、iiさん、GAさんに声をかけて、初訪問とあいなったんだそうです。

「日曜日は、多摩川で野球をやってる人たちが、それが終わってから早めに来てくれることがあるんですよ。ちょうどその時だったんですね。土日にはファミリー客も多いんですよ。このあたりは町工場が多いので、平日はそこの職人さんたちがよく来てくれますね」

 と店主。ここから多摩川の土手まで200mほど。夏の花火も、二子玉川側と川崎側の両方で上がるし、調布の花火まで見える穴場なんだそうです。

 続いて出されたナンコツも塩ダレで、食道まわりのいろんな部位が入っています。ピンクの色合いが美しいなあ。

 ナンコツは焼き上がりのタイミングがむずかしい。焼き過ぎると、せっかく新鮮なモツが硬くなってしまうので、焼き過ぎないことが大切です。今日はベテランのzalさんが焼いてくれてるのでその心配もなく、ちょうどよく焼けたところでトンと取り皿に置いてくれます。

 zalさんは、そばさんにこの店の存在を教えてもらって以来、この近くでの仕事があったときに、仕事仲間と何人かでやって来ることが多いんだそうです。

「焼き物を4品くらいたのんで、ホッピーを2杯ずつくらい飲んで、二人で5千円ほどで腹いっぱいになるんですよ。なにしろ肉が本当にうまいのがこの店の魅力です」とzalさん。

「ひとりでいらっしゃるお客さんもいますか?」と店主に伺ったところ、

「えぇ。ひとりのお客さんもたくさんいらっしゃいますよ」と店主が返事したところへ、いかにも近所の常連さんらしい男性ひとり客が、下駄をカラコロならしながら、裏口から入って来て、厨房横のテーブル席へ。よっこいしょ、と腰を下ろしつつ、「生もらえる?」と生ビールの注文です。

 我われのほうも、いよいよ最後の仕上げに入ります。ここに来てなんといっても食べてみたかったのが「至高のはらわた」にも登場したバラトマトです。

 バラトマトは、zalさんや、そばさんたちが最初にこの店に来たときに、自分たちで作った食べ方で、豚バラ(580円)とトマト(300円)を一緒に焼くものです。

 ちなみに、トマトは焼くために置かれているわけではなくて、ホワイトボードメニューには「冷しトマト」として載っているものです。

 「至高のはらわた」では、トマトを下に敷いて焼き始めますが、zalさんの焼き方は逆です。まず網の上に豚バラをきれいに並べ、その上にかぶせるようにトマトを置いていきます。

 しばらくして、豚バラの片面が焼けてきたら、その豚バラをひっくり返しながら、上に載せたトマトも上下をひっくり返します。この段階でも、豚バラの上にトマトを置いて、豚バラを蒸し焼きにするようにします。

 豚バラに火が通ったら、トマトと豚バラを逆にして、今度はトマトを下にして、トマトがクチュッと崩れる寸前まで焼き上げたら、バラトマトのできあがり。

「上手に焼くねえ」と笑いながら見ている店主。

 そのトマトと豚バラを重ねたまま取り皿にとって、そのままガブリと齧りついて、くずれる熱々のトマトをすすりこみます。ん~ん。トマトの酸味と、豚バラの脂肪分がよく合いますねえ。これもすごいっ!

 ゆっくりと2時間ほど楽しんで、お勘定はみんなで3,920円でした。安っ。

 ちなみに、キムチ同様、冬だけ出されるスジ煮込み(500円)も、他の店とはひと味もふた味も違う、まるでビーフシチューのような人気の煮込みなんだそうです。今度は冬場に行ってキムチとスジ煮込みを食べなくっちゃ。

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ナンコツ / 豚バラとトマト / 上にトマトをのせて

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返しながら焼く / 仕上げは豚バラをのせて / バラトマト完成

店情報前編

《平成21(2009)年9月20日(日)の記録》

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zalさんの行きつけ(前編) … ホルモン焼「けむり」(川崎市・久地)

ホルモンとカシラ


 常連のzalさんに案内してもらって、久地(くじ)のホルモン焼き屋、「けむり」にやってきました。

 南武線・久地駅から歩いて20分ほどかかる、隠れ家的な立地条件のこの店は、店主・加藤剛淳(かとう・こうじゅん)さんのご実家。

「自分がホルモン焼きが好きだったので、実家の1階にあったガレージをホルモン焼き屋にしたんですよ。タレも自分で合わせて作っています」

 と話してくれます。この店では、そうやって作った自家製ダレで味付けしたホルモンを七輪で焼いて、そのまま食べるのが大きな特徴。つけダレはなく、テーブル上には他の調味料も、塩くらいしかありません。

「煙を吸いだすダクトも、あえてやめて、昔ながらのホルモン焼き屋にしてみたんです」

 と店主。だから焼いているうちに店内は煙でもうもう。「けむり」という店名も、そこから付けたのだそうです。

 その焼肉は、ホルモン、センマイ、ギャラ、ガツ、コブクロ、タン、ナンコツ、テッチャン、カシラ、豚バラ、トントロという、モツを中心とした11種類で、1人前が530円か580円。味付けは、それぞれの具材に対して、お店のおすすめが書かれていますが、好みでみそダレ、塩ダレ、醤油ダレの3種から選ぶこともできます。

 店内は厨房の横にテーブル席が2卓(そのうち1卓は1辺が伸びてカウンター代わりにもなっています。)と、小上がりに4人掛けの座卓が4卓あって、全体では26人くらい入れるキャパシティ。我われは座卓のひとつに上がります。

「キャベツキムチ(400円)。それとカシラ(530円)とホルモン(580円)。あとはナンコツ(530円)をください」

 と料理を注文してくれたzalさん、すっと立ち上がって、店主に「ビールもらいますよ」と声をかけながら床に置かれた冷蔵庫から瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、500円)を取り出し、コップも持ってきてくれます。

 店は店主ひとりで切り盛りしているので、お客さんもこうやって飲み物は自分で用意したりするんだそうです。

 待つことしばし、金属製の器に盛られたキャベツキムチが、同じ金属製の小さな取り皿とともに出てきました。赤いタレをまとったザク切りキャベツが、見るからにおいしそう。さっそく一切れいただくと、甘~い感じのあとに、ピリリと辛さが広がって、ビールが進みます。

 このキャベツキムチ。注文を受けてから、キャベツをザク切りして、唐辛子、醤油、味の素、ゴマ油などで作ったタレと和えて作ります。

「作り置きすると、キャベツのシャキシャキ感がなくなってしまうんですよ」と店主。

 冬季限定のキムチ(400円)は、お土産で持って帰りたいほどの絶品なんだそうで、zalさんも、冬場は必ずキムチを、キムチのない夏場は、その代わりにこのキャベツキムチを注文するんだそうです。

 そして出てきたホルモンは、金属製の楕円皿に大きな8切れ。これを七輪にのせ、もうもうと煙を上げながらzalさんが焼き上げてくれます。

「ほら、できたよ」

 と、ホルモンを取り皿に置いてくれるzalさん。厚みがあって、かなり強い弾力感があるホルモンを、ギシギシとかみ込むと、裏についた脂肪がトロリと甘くて、店主おすすめのみそダレとの相性も抜群です。いやあ、この表の弾力感と、裏のトロリ感のバランスも絶妙ですねえ。

 このホルモンは牛の大腸で、テッチャン(530円)のほうが豚の腸なのだそうです。

 続いて焼き網にのせられたのは、iiさんが大絶賛したというカシラです。

 赤身が主体ながら、脂をたっぷりと含んだカシラは見た目にも美しく、おすすめの塩ダレでの味わいも絶品。ものすごくジューシーで、これもうまいなあ。

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キャベツキムチ / ホルモン / カシラ

店情報

《平成21(2009)年9月20日(日)の記録》

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店情報: ホルモン焼「けむり」(川崎市・久地)

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  • 店名: ホルモン焼「けむり」
  • 電話: 044-822-2914
  • 住所: 213-0031 神奈川県川崎市高津区宇奈根642
  • 営業: 17:00-22:00(21:30LO)(土日は少し早めに開店、早めに閉店)、月休(月に1度、火曜も休み)
  • 場所: 南武線・久地駅を出てバス通りを右へ。すぐ先の信号付き横断歩道を渡り、セブンイレブンの横の道を、川の左岸に沿って進むこと約9分(470m)。Y字を道成りに左に入り、久地小学校の前を通って、大通り(川崎街道)へ出る。「久地小学校入口」の信号交差点を渡って、さらに進むこと約3分(160m)、左手。久地駅からの全行程は約19分(1km)。
  • メモ: 平成17(2005)年10月17日創業。4人掛けテーブル席2卓+カウンター2席、座敷に4人×4卓の全26席。店主は加藤剛淳(かとう・こうじゅん)さん。〔肉類(みそダレ、塩ダレ、醤油ダレから選ぶ)〕ホルモン(おすすめはみそダレ。以下、カッコ内はおすすめの味つけ)580、センマイ(み)580、ギャラ(み)580、ガツ(塩)580、コブクロ(み)530、タン(塩)530、ナンコツ(塩)530、テッチャン(み)530、カシラ(塩)530、豚バラ(塩)580、トントロ(塩)580。〔スープ・その他〕キムチ400、チョリソ400、枝豆300、韓国のり300、スジ煮込み500、ライス150、キャベツキムチ400、にんにく焼き400、イカ焼き500、皿盛キャベツ50、オリジナルスープ450、たまごスープ400。〔飲み物〕生ビール500・(小)380、瓶ビール500、日本酒(1合)380、ホッピー350、金宮焼酎ボトル1,800、マッコリー(黒豆)1,800、チャミスル1,000、緑茶(500ml)300、ウーロン茶(500ml)300、ミネラルウォーター(500ml)200、レモン炭酸200、氷200、サワー(レモン、グレープフルーツ、シークワーサー、アプリコット、巨峰、緑茶、ウーロン)各380、ソフトドリンク(コーラ、ジュース、緑茶、ウーロン茶)各200。〔ホワイトボードメニュー〕冷しトマト300、鶏ハラミ550、馬刺し(赤身)600。(2009年9月調べ)

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iiさんはこう楽しむ(後編) … 豚料理「味珍(まいちん)」(横浜)

味珍のメニュー


 尻尾と豚足をいただいたところで、サイドメニューの辣白菜(ラーパーサイ、300円)です。辣白菜は白菜の漬物。中華料理の辣白菜は、白菜の甘酢+唐辛子漬けで、白い色合いですが、ここ「味珍」の辣白菜は、それに醤油が加わっているので、淡~く褐色がかっています。

「昔は夏場は白菜がなくて、キュウリやキャベツを漬けたりしてたんですよ。今は夏でも、信州の高原や北海道で作った白菜が入るので、年中ありますけどね」と店長。

 この辣白菜にも、iiさんおすすめの食べ方があります。それは、テーブル上のおろしニンニクを入れて、豚料理用に作ったタレをちょいと付けて食べるというやり方。ピリッと辛みが加わって、口中がよりリフレッシュされます。

 続いては、みんなから猪肚(チュートウ)と呼ばれる豚の胃(700円)をもらいます。

「あと、腐乳(フニュウ)を1個だけもらえますか」と追加注文するiiさん。

 腐乳というのは、香港から輸入された発酵豆腐で、本当は小さな2個に刻みネギがトッピングされたものが1人前で150円。豆腐の塩辛とでも言うべきしょっぱさとコクで、お酒がどんどん進む一品です。

 iiさんは、この腐乳を1個だけもらって、その小皿にお酢を入れて、腐乳を溶かします。これを猪肚を食べるときのタレにするのです。

 コラーゲンたっぷりの尻尾や豚足と比べると、弾力が決め手の猪肚は、あっさりとした味わい。これを腐乳+お酢ダレでいただくことで、濃厚なコクが加わって、いい味わいになるのです。タン(豚の舌、700円)にもこの腐乳ダレがよく合います。

 2個1セットの一人前の腐乳をもらって、1個はそのままつまみにし、残る1個をお酢で溶いてタレにするのがいいのではないかと思います。

 カシラ(700円)には、くらげサラダ(400円)とピータン(300円)です。

 カシラは、豚の頭肉をチャーシュー状に巻いて、プレスハムのようにかためたもの。「味珍」の豚料理の中では、普通の豚肉にもっとも近く、初心者にも安心してすすめることができます。

 くらげサラダは、レタスの上に、くらげ、玉ネギ、コーン、紅生姜などを置き、ドレッシングをかけたサラダ。

 薄くスライスされたカシラで、このくらげサラダを巻くようにして食べるのも、iiさんのおすすめの食べ方です。ワシワシと食べることができます。

 そしてピータン。「味珍」のピータンは、黄身のところが(特に今日のは)トロトロの上物。中華街などでは8つに切って出すお店が多いのですが、ここ「味珍」のものは、トロトロなので、4つにしか切り分けられません。

 塩をパラリとふって食べるのもいいのですが、お酢とラー油をかけて食べるのがiiさんのおすすめ。

「いつもは、くらげサラダの上に、ピータンものせて出してもらうんですよ」とiiさん。常連さんたちはいろんた食べ方を楽しんでるんですね。

 iiさんがこの店に来はじめた15年ほど前は、ほとんどが男性ひとり客で、お皿2枚に焼酎を2杯くらい飲んで、40分くらいでスッと帰っていく人が多かったんだそうです。今や若い女性客も大勢いて、隔世の感があります。(トイレは狸小路の共同トイレで、女性用は鍵を借りて行きます。)

 iiさんがこの店に通い続ける魅力は、お客と一体で作り出した店の雰囲気にあるんだそうです。4店舗ある各店で、それぞれ雰囲気が違うのもおもしろいところ。各店の店長さん、店員さんに、それぞれお客さんがついて、各店の雰囲気を作り出しているのです。

 料理が残った場合は、持ち帰り可能なのも「味珍」のいいところです。どうもごちそうさま。

 2階の店に入った場合は、帰りに急な階段を転げ落ちないように気をつけましょうね!

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辣白菜 / 猪肚 / カシラ

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腐乳(1個分) / 腐乳を酢で溶いて / 猪肚につける

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くらげサラダ / ピータン / カシラ+くらげサラダ

店情報前編

《平成21(2009)年9月19日(土)の記録》

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iiさんはこう楽しむ(前編) … 豚料理「味珍(まいちん)」(横浜)

焼酎はヤカンで


「まずはヤカンをセットで。あと尻尾をお願いします」

 そう注文してくれるのは、濱の酒場通・iiさん。ここ「味珍」には15~6年ほど通っているというiiさんながら、30年、40年と通っている人が多いこの店では、まだまだ新参者なんだそうです。

 iiさんがたのんだヤカンというのは焼酎(宝25度、380円)のこと。アラジンの魔法のランプ風のヤカンで注いでくれることから、ヤカンと呼ばれるようになったのです。

 普通にヤカンと注文すると、コップに1杯の焼酎を注いでくれます。これにカウンター上、テーブル上に置かれている梅シロップを入れて、梅割り焼酎としていただくのです。

 「セットで」と注文した場合には、その焼酎とは別に氷の入ったグラスと、缶入りのウーロン茶(150円)が出されます。この3つを使って、自分でウーロン割りを作ると、グラスに2~3杯分のウーロン割りができるのです。

 そのウーロン割りで乾杯して、最初のひと口をいただいたところで、タレ作りです。

 この店の常連さんは、店に入って飲み物と豚料理の注文をすると、みなさん、タレ作りに取り組みます。したがって、タレを作らずにボォ~ッと待ってる人を見ると、「あ、彼は初めてきたんだな」とすぐにわかるのです。

 タレの基本は、練りガラシとお酢。席に着くなり出される小皿に、まずはテーブル上に置かれた練りガラシを入れ、お酢をかけます。これをよ~くかき混ぜて、練りガラシをお酢に溶かしてしまいます。

 基本のタレはこれで完成ですが、好みで醤油やラー油、おろしニンニクなどを加えてもかまいません。これらの調味料は、すべてカウンター上、テーブル上に置かれています。

 ちょうどタレを作り終わったところで、豚の尻尾(700円)の登場です。

 この店の豚料理は、頭、耳、舌、胃、足、尾の6種類で、それぞれ1人前1皿が700円。ひとりで来ると、1皿は食べられるけど、2皿は健啖家じゃないときびしいかな、というボリュームです。

「豚料理を作るのに2日かかるんですよ。毎朝9時にやってきて、昨日仕込んだ分を今日仕上げて、明日の分を今日から仕込み始めます。定休日(日曜日)にも、社長が出てきて、翌日の分の仕込みをしてるんですよ。午後1時ごろに仕込みを終えて、昼食をとって、ちょっと休憩したら、もう開店時刻です」

 そう教えてくれるのは、新店2階の店長・簗瀬敏(やなせ・さとし)さん。ここ「味珍」は、横浜駅西口狸小路の両側で、本店と新店が向かい合って営業しており、さらにそれぞれ1階と2階に店舗があるので、都合4軒の「味珍」があるのです。

 昭和31年にオープンした本店は、1階・2階を合わせて25~6人のキャパシティ。昭和53年オープンの新店は、1階が6~7人ほど、2階が35人ほどと、全部あわせると70人ほど入れるお店ながら、いつもお客さんでいっぱいです。

 店の公式サイトによると、店の創業はそれより前の昭和20年代後半で、横浜駅西の川淵で、屋台として営業していたのだそうです。昭和30年に狸小路ができ、「味珍」もその中の1軒として、新たなスタートを切ったのでした。

 「味珍」ならではの豚料理ができたのは、今から48年前の昭和36年のこと。創業者の弟さんが、中華料理の豚料理を教えてもらってきたものをベースに、あれこれと工夫を加えて、現在の、中華料理でもなく、かといって和風でもなく、沖縄風でもないという、「味珍」ならではの独特の味を作り出したのでした。

 中華料理との違いの大きなところは、香辛料をいっさい使わないこと。そのかわりに醤油の味が効いた仕上がりになっています。

 さて、豚の尻尾。

 豚の尻尾といえば、長くてクルクル巻いているというイメージがありますが、それは昔の話。今は生まれてすぐに尻尾を切り落としてしまうんだそうで、尻尾の根元あたりの太い部分だけしかありません。

 そのまま丸々煮込んで仕上げたものを、関節にそってブツブツと一口大に切り分けて出してくれます。なにしろ1本1本が短いので、1人前1皿に、尻尾2~3本分が使われます。

 これに、あらかじめ作っておいたタレをちょっと付けていただくのです。

 iiさんおすすめのタレは、多めの練りガラシをお酢に溶き、仕上げにちょっとラー油を入れたもの。これを豚の尻尾をちょっとだけつけていただきます。江戸前の蕎麦に、からいツユをちょっとだけからめて食べるのと同じで、「味珍」ならではの豚料理がよく味わえるんだそうです。

 この尻尾、とろりとやわらかいコラーゲンのかたまりなのですが、軟らかすぎず、硬すぎず。ちょうといい頃合いなのがいいですねえ。豚足も同じように、コラーゲンたっぷりの人気の一品です。

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調味料セット / 練りガラシに酢を入れ / よく混ぜてラー油をたらす

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焼酎のウーロンセット / 尻尾 / 豚足

店情報前回

《平成21(2009)年9月19日(土)の記録》

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二十三区内南端の名店(4/4) … もつやき「三平(さんぺい)」(雑色)

もつやき「三平」


「親父さん、ウズラ2本、タレ。あと、ナンコツを2本、ニンニク醤油」

 ウズラの玉子はタレ焼きにしてもらって、これにも練りガラシをつけて食べるのがiiさん流。甘めのタレに、ピリッと辛い練りガラシがよく合います。

 ここのもつ焼きは、普通のタレ・塩のほかに、ニンニク醤油、ショウガ醤油、素焼きという焼き方が選べます。

 ニンニク醤油でもらったナンコツは、丸皿におろしニンニクを入れて、醤油をたっぷりとかけ、その上に素焼きにしたナンコツを置いて出してくれます。このナンコツに、下のニンニク醤油をからめるようにしながらいただくのです。

 ニンニク醤油はたっぷり過ぎるくらいあるので、一度このニンニク醤油を注文すると、次からは素焼きで焼いてもらって、このニンニク醤油の皿に入れて食べるのがいいんだそうです。

 そんなわけで、さっそくシロを素焼きで追加します。シロにも、ニンニク醤油がよく合いますねえ。

 遅い時間帯にやって来ると、メニューが3分の1くらいになっているということを書きましたが、もつ焼きの味わいが、味付けによっていろいろと楽しめるので、残っている種類が少なくても、あまり問題ないんだそうです。

 大きな生ビールに続いては、この店の名物で、ほとんどの客が注文するというレガッタ(480円)をもらいます。

 レガッタというのは、ウイスキーのウーロン茶割り。ウイスキーはニッカとオールドが選べ、冬場はホットでも楽しめます。ニッカのほうが味わいがいいようで、iiさんも、多くのお客さんも、ニッカ・レガッタを注文しています。

 レガッタの名前の由来は次のとおりだそうです。

 親父さんの三男坊は、学生時代に慶応のボート部に入っていて、ある日、お土産として、エイト(8人乗りボート)の絵が描かれたオリジナルグラスを買ってきたそうです。最初にウイスキーのウーロン割りを作ったときに、たまたまそのグラスに入れて飲んでいたところ、お客さんが「なに飲んでるの?」と興味を示し、みんなで飲んだんだそうです。

 そのお客さんが、ウイスキーのウーロン割りをすっかり気に入ってくれて、次に来たときに、「この前のほら、あれをもう一度作ってよ」ということになりました。これは名前を付けなきゃということで、最初に作ったグラスにちなんで、レガッタという名前にしたのだそうです。「ウーロン茶も、この店で煮出して作ってるからおいしいんですよ」とiiさん。今では、すっかり定番の飲み物として、この店のみならず、この地域に広まっています。

 出されたニッカ・レガッタには、マドラー代わりにポッキーが1本ついています。2杯目の飲み物には、2品目のお通し(?)として、小皿の塩豆が出されます。

 もつ焼きもひとりしきりいただいて、お腹も満足したあとに、塩豆をポリポリと齧りながら、ニッカ・レガッタで談笑する午後のひと時。今日から五連休(シルバー・ウイーク)が始まるという解放感も手伝って、至福の時間です。

「4人なんですけど~」

 と新らしいお客さんがやってきたところで、

「ここ空きますよ。どうぞどうぞ」

 と席を譲ってお勘定。ゆっくりと2時間弱の滞在は、3人で5,190円(一人あたり1,730円)でした。どうもごちそうさま。

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ウズラ・タレ / ナンコツ・ニンニク醤油 / シロ素焼きをニンニク醤油で

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塩豆 / テーブル上の調味料 / ニッカ・レガッタ

店情報  ( 1 2 3 4 )

《平成21(2009)年9月19日(土)の記録》

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二十三区内南端の名店(3/4) … もつやき「三平(さんぺい)」(雑色)

店主・戸嶋福三郎さん


 最初にたのんだ品物が全部出たところで、「親父さん、レバちょい焼き2本、タレで」と、iiさんが予定どおりの品を追加注文してくれます。

 iiさんが「親父さん」と呼ぶ、焼き台担当の初老の男性が、この店の二代目店主・戸嶋福三郎さん。

 親父さんの父親である創業者(初代)がこの店を始めたのは、昭和27(1952)年のこと。当時、初代は60歳、親父さん(現店主)は小学校5年生だったそうです。その初代が15年間やったあと、親父さんがバトンを受け、これまでの43年間、店を守ってきました。あと数年で、創業60年を迎えます。

 親父さんは、ひたすらもつを焼きながら、焼きあがったもつは、自分で注文者のところまで運んできてくれます。店の中(+外のテーブル)だけの移動とはいえ、毎日、そうとうな運動量になるんじゃないでしょうか。

 親父さん以外に、奥様をはじめとする3名が、それぞれ厨房やホールを担当していて、全体としては4人での切り盛りです。

「親父さんは、いっけん怖そうに見えるんですが、実はすごくやさしいんですよ。他のお店の人たちも、みんなやさしい。それがこの店の居心地の良さを生んでるんですね」

 iiさんが、この店の魅力をそう語ってくれます。人気もつ焼き店というと、がんがん忙しい雰囲気の中で、怒号のように注文が飛び交う、という姿を思い浮かべてしまいますが、ここ「三平」はそんなことは一切なく、大勢のお客さんで忙しそうではあるものの、ゆるやかにくつろげる雰囲気がかもし出されています。

「どうもありがとう。また来てねー」

 という親父さんの声が、焼き台から聞こえてきます。

「はーい。また来ます。どうもごちそうさま」

 と、開店と同時この店に入ったらしい家族連れのお母さんが、ニコニコ笑顔で返事しながら席を立ちます。

「どうもありがとうございました」

 と他の店員さんたちもニコニコと家族連れを見送ります。

 みんながニコニコとしているこの空気が、もつやき「三平」の真骨頂なんですね。

「私は土曜日の午後3時か4時ごろ。ゆっくりとした時間帯に来ることが多いんですよ。もつ焼きのメニューは3分の1くらいになってしまってるんですが、何かしら食べるものはあります。その時間になると、こんなに満席状態ではなくなるので、今よりもっとくつろげるんです」とiiさん。

 そこへ親父さんが、焼きあがったレバちょい焼きタレを持ってきてくれます。おぉーっ。これはまたツヤツヤと美しくて、見るからにおいしそう。

「これは、ぜひ練りガラシを付けて食べてみてください」とiiさん。

 この店の練りガラシは、金属製のプリン型のような容器にたっぷり入れられた和ガラシで、木ベラが添えられています。これがピリッとよく効いて、レバはもちろん、他のいろんな料理の味も引き立てる、人気の調味料なのです。

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店内のメニュー / レバちょい焼きタレ / 店内の様子

店情報  ( 1 2 3 4

《平成21(2009)年9月19日(土)の記録》

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二十三区内南端の名店(2/4) … もつやき「三平(さんぺい)」(雑色)

ワッパ(タレ)


 この店の料理のメニューは、基本的には、1本90円のもつ焼きと、1人前250円のガツ生しかありません。

 もつ焼きは、カシラ、タン、ハツ、ナンコツ、ワッパ、ナンナン、シロ、ガツ、レバー、アブラ、トントロ、コブクロ、アワピーの13種類で、それ以外にウズラ玉子、ネギ、ピーマンの3種類(これらも1本90円)があるのが、かろうじてサイドメニュー的な存在です。

 ただし、開店1時間後の現時点で、メニューに並んでいるもつ焼きは、ナンナン、ナンコツ、タン、レバ、カシラ、シロ、ガツ、ワッパ、ハツの9種類しかありません。

 8年前から、平均すると月に1回のペースでこの店に通っているというiiさんも、全メニューが並んでいる状態は、まだ見たことがないとのこと。なかなか口にすることができない、幻のもつ焼きも多いんですね。アワピーって、どこの部位なんだろうなあ?

 最初に「ゴマ油はかかってますから」と言いながら持ってきてくれたのはガツ生(250円)です。これはあらかじめ作ってあるものが冷蔵庫に保存されているので、すぐに出てくる一品。iiさんも、毎回、最初はこのガツ生からスタートするんだそうです。

 ガツ生といっても、本当の生ではなくて、ゆでて細く切ったガツ(豚の胃)を皿に盛り、刻みネギ、黒胡椒、そしてゴマ油をかけたもの。これに酢、醤油、青海苔で味付けしていただきます。好みで練りガラシ、七味唐辛子などを加えてもOKです。ちょいと練りガラシを付けて食べるのがiiさんのおすすめです。

 カウンター上、テーブル上には、これらの調味料(上で挙げたもの+ゴマ油、塩)がずらりと置かれていて、自由に使うことができます。

 レバ生、ハツ生が出てきました。

 これら2品は、ガツ生とは違って、もつ焼き用の串に刺したレバーとハツを、焼かずに生のまま出してくれるもので、刻みネギと、好みでおろしたショウガまたはニンニクをのせて出してくれる一品。

 値段ももつ焼きと同じく1本90円で「レバ生を2本、ニンニクで」と本数と味付けを指定して注文します。iiさんが注文したように、特に味の指定をしなければ、おろしショウガで出されるようです。

 このレバ生やハツ生。サッと醤油を回しかけて食べるというのが基本的な食べ方です。

 しかし、これもまた個々人のお好み次第。ここでもテーブル上にずらりと置かれた調味料が威力を発揮します。iiさんは、レバ生はいつもゴマ油+塩で食べるのだそうで、レバを串からはずし、チャチャッと味付けをしてくれます。ハツ生は、基本どおりに醤油をかけて、ショウガ醤油で、さっぱりといただきます。

「生は早めに無くなってしまうので、あればまず生を注文するのがいいですね。もつ焼き用と、生で出す用のものを分けている店もあるようですが、この店ではどちらも同じものです。もつ焼きも、この生で食べられる串がそのまま焼かれるんです。後でレバのチョイ焼きも注文しようと思いますが、これがムチャクチャうまいんですよ」とiiさん。

 ワッパは気管(ナンコツ)と、頭肉の脂の部分(アブラ)を交互に刺した串。一番人気のアブラに次ぐ、二番人気のもつ焼きです。

 しつこくない甘さのタレは、1週間に1度作って、継ぎ足し継ぎ足しで使っているんだそうです。

 頭肉がカシラとアブラに分かれていて、食道あたりの部位も普通のナンコツと、軟らかいナンナン、そしてアブラと混ぜたワッパに分かれているという、もつ焼き専門店ならではの分類も、人気の理由のひとつなんでしょうね。

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ガツ生 / レバ生2本 / ハツ生2本

店情報  ( 1 2 3 4

《平成21(2009)年9月19日(土)の記録》

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二十三区内南端の名店(1/4) … もつやき「三平(さんぺい)」(雑色)

生ビール(大)とお通し、練りガラシ


 濱(はま)の酒場通、iiさんと一緒に、雑色(ぞうしき)にある「もつやき三平」にやって来ました。

 ここは、東京二十三区の南端、蒲田の南側、羽田空港の西側に位置する場所で、住所で言うと大田区南六郷(みなみろくごう)。最寄駅は京急本線の雑色駅ですが、そこから歩いて13分ほどの住宅街の中にあります。

「土曜日は午後1時に開店だと思うので、その少し前に行きましょう」

 事前にそう打ち合わせをして、雑色駅前でiiさん、O野さんと合流したのは12時15分。店に到着したのは12時半なのに、店内はほぼ満席状態ではありませんか!

 かろうじて、店の外側のテーブルが1卓空いていて、3人でそこに陣取ります。

 改めて確認したところ、現在は土曜、祝日は正午開店とのこと。お客さんが早くやって来るので、ちょっとずつ、ちょっとずつ開店時刻が早くなってきているようです。

 GAさんのサイト内の「至高のはらわた」で、ここ「三平」の情報を見て以来、ずっと来てみたかったのですが、やっとそれがかないました。

 店内は、焼き台を囲むコの字カウンター13席と、4人掛けのテーブル席が二つ。今のような夏場は、店の外にも4人掛けのテーブル席が

 まずは、iiさんが、ここに来たらいつもこれからスタートするという生ビール大(880円)を注文すると、ドンと大きなジョッキが置かれます。

私:「うわっ。でかっ!」

ii:「これ今ないでしょ。昔はビアガーデンというとこのジョッキだったんですけど、今はあまり見ないですよねえ。これで1リットル。大瓶以上入ってるんですよね」

 持ち上げるのがやっとというような大きなジョッキで乾杯です。

 この店の生ビールは大ジョッキ(1リットルで880円)と小ジョッキ(400mlで440円)の2種類があります。100mlあたりに換算すると、大ジョッキが88円、小ジョッキは110円とコストパフォーマンス的には圧倒的に大ジョッキです。

 ちなみに瓶ビール(大瓶633ml)は550円で、100mlあたり87円なので、大ジョッキと瓶ビールとが、ほぼ同じコストパフォーマンスなんですね。

 お通し(サービス)は、ぶつ切りにしたキュウリの漬物の小皿。いつもこれが出されるんだそうです。

 つまみは、ガツ生(250円)に、レバ生(90円)2本、ハツ生(90円)2本という、生ものシリーズを注文してから、もつ焼きの注文に入るiiさん。

ii:「アブラは売り切れ?」

店:「もう終わっちゃったんですよ」

ii:「じゃ、ワッパ(90円)を2本、タレで」

 うーん。開店から1時間後のこの時刻で、もう売り切れてしまっているというのがすごいなあ。

店情報  ( 1 2 3 4

《平成21(2009)年9月19日(土)の記録》

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店情報: もつやき「三平(さんぺい)」(雑色)

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  • 店名: もつやき三平
  • 電話: 03-3732-1468
  • 住所: 144-0045 東京都大田区南六郷1-8-5
  • 営業: 14:00-21:00(土祝は12:00-19:00)、日月休(月曜が祝日のときは火曜も休み)
  • 場所: 京急本線・雑色(ぞうしき)駅中央口を出て右へ。アーケードを抜けて、国道15号線を渡っても、ひたすら道成りに進み、「水門通り」信号交差点(駅から約400m、徒歩7分強)を左折。そこからさらに直進すること300m(徒歩6分弱)、右手角。駅からの全行程は約700m(徒歩13分)。
  • メモ: 昭和27(1952)年創業。焼き台をぐるりと囲むカウンターとテーブル席の21席。夏場は店の外にもテーブルが出て、全45席となる。二代目店主・戸嶋福三郎さんを中心に4人で切り盛りする。生ビール大(1リットル)880、生ビール小(400CC)440、ビンビール(アサヒ、キリン)550、ウイスキー(ニッカ、オールド)440、ウイスキー(レモン入り)480、レガッタ(ニッカ、オールド)480、ワイン(赤、白)480、日本酒(剣菱1合)330、日本酒(黄桜1合)250、ジュース類(オレンジ、コーラ、キリンレモン)150、ウーロン茶100、ガツ生1皿250、もつやき(カシラ、タン、ハツ、ナンコツ、ワッパ、ナンナン、シロ、ガツ、レバー、アブラ、トントロ、コブクロ、アワピー、ハツ生、レバ生、ウズラ玉子、ネギ、ピーマン)1本90。(2009年9月調べ)

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〔お知らせ〕 『ホッピーにまつわるちょっといい話』募集中

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 ホッピービバレッジは、来年3月6日に創業100周年を迎えます。それを記念して「ホッピー100周年記念BOOK」を制作されるそうですが、その記念すべき本で、みなさんが体験・体感された『ホッピーにまつわるちょっといい話』を募集しているそうです。

 応募締切は2009年12月末。こちらのメールアドレス(→ info@kotensakaba.jp)宛てに、件名に「ホッピーストーリー」と明記し、本文に氏名、年齢、性別、ご住所、電話番号と、ホッピーにまつわるちょっといい話を書いて送ってください。

「酒場は人生の縮図とも言われます。出会いがあり、別れがあり、笑いがあって涙がある。そんなあなたの、ホッピーにまつわるいい思い出を教えていただけませんか。採用されたお話は、100周年記念ブック等でご紹介させていただきます。たくさんのご応募をお待ちしております」とのことです。

 私自身、ホッピーは東京に転勤してくるまで知らなかった飲み物で、最初は「なんじゃこりゃ??」みたいな印象でした。

 うまみも何もなく、ホップの軽い苦みと、炭酸のシュワシュワ感で、強烈な焼酎がゴクゴク飲めてしまう、危ない割りものというイメージだったのです。

 ところが、そのホッピーを飲みなれるにつれ、その「うまみがない」(=プリン体ゼロ)ところが利点となって、どんな料理と一緒にでも飲むことができるし、飲み物で満腹感が出ることがなくていくらでも飲める(ただし、すごく酔いますが…。)ということが分かってきて、今ではすっかりお気に入りの飲み物に仲間入りしているのでした。

 ホッピーにまつわるいい思い出があれば、ぜひよろしくお願いします。

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こんな横丁あったんだ … 立ち呑み「麻音酒場(あさねさかば)」(日暮里)

初音小路


 金曜日の今日は、「酔わせて下町」のFさんと、日暮里・初音小路にある「麻音酒場」です。

 ここ「麻音酒場」は、Fさんたちと共著で「東京 居酒屋名店三昧」(東京書籍)を書いたときに、Fさんが担当されたお店。私自身は、日暮里駅のすぐ近くにこんな古びた横丁があるということ自体、その本を見て初めて知ったような次第です。

 昭和25年ごろからあるという初音小路の両側に小さな店がずらりと並びます。

 「麻音酒場」もそんなお店の1軒。金曜、午後7時前の店内は、L字の立ち呑みカウンターいっぱい(=8人ほど)にお客が入っています。開けっ放しの入口から、

「すみません。Fさんの予約なんですけど」

 とカウンターの中のおにいさん(=店主)に声をかけると、

「あ、はいはい。店の左側を回って、奥から2階に上がってください」

 とのこと。言われたとおりに、人ひとり通れるかどうかという細い通路を、店の裏側に進むと、そこには狭くて急な木製階段が2階に続いています。

 店の2階は一間の和室で、まん中に丸いちゃぶ台が2卓。まわりには行灯(あんどん)や、古いテレビ、扇風機、フォークギターなどが置かれていて、ほんのりと薄暗い感じは、いかにもレトロ。

 こりゃまた、すごいなあ、と感じ入っているところへ、駅前の大衆酒場 兼 大衆食堂「いづみや」でゼロ次会をしていたというFさんたちも到着し、総勢4人で2つのちゃぶ台を囲みます。

 Fさんたちの手には買い物袋。この店は(有料で)料理や酒の持ち込みもできるんだそうです。

 まずは1階からビールや店の料理を出してもらって乾杯し、Fさんたちの持ってきてくれた酒や料理で盛りあがります。

 ひとしきり2階で飲んだあとは、4人で1階の立ち呑みカウンターの一番奥に入れてもらって、1階の雰囲気も楽しみます。

 店の料理メニューは日替りの数品(200~500円)。飲み物は瓶ビールのほかに、日本酒4~5種(純米1合700円ほど)に、焼酎ハイボール(500円)などとシンプルです。

 店時代は古いのですが、店主も若く、またこの店に集うお客さんたちも若い人が多いというのがおもしろいですねえ。

 聞けば、このまわりのお店もそういうお店が多いんだそうで、この日の二次会も、ここ「麻音酒場」の少し奥にある「C'est qui?(セッキー?)」というワインカフェで、パスタなどをつまみながら、ワインとあいなったのでした。

店情報

《平成21(2009)年9月18日(金)の記録》

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店情報: 立ち呑み「麻音酒場(あさねさかば)」(日暮里)

  • 店名: 麻音酒場
  • 電話: 03-3828-1237
  • 住所: 110-0001 東京都台東区谷中7-18-13
  • 営業: 19:00-23:00、日休
  • 場所: JR日暮里駅から8分。初音小路の中。
  • メモ: 立ち呑みカウンター8席のみ。(2009年9月調べ)

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