刺身三点盛りも大人気 … もつ焼き「ミツワ(みつわ)」(立石)
下町酒場のすばらしさを世に伝えた「酔わせて下町」のFさんが、〔立石のもつ焼き四天王〕と呼ぶのが「宇ち多゛」、「江戸っ子」に、「ミツワ」と「ホルモン屋」。Fさんが「酔わせて下町」を作ろうと決意したときに、立石の名店として真っ先に浮かんだのが、これら4店だったのだそうです。
同じ都内でも、西部エリアに住む私にとって、立石のある東部エリア(下町エリア)は意外と遠くて、出かけていくにはひと気合いが必要となります。
そんなわけで、〔立石のもつ焼き四天王〕の中でも行ったことがあるのは「宇ち多゛」と「江戸っ子」の2店のみ。他の2軒は、行きたくて行けていない課題店なのです。
そこで今日は、立石在住で、「ミツワ」にもよく訪れるという「丁稚飲酒帳」のdetchさんご夫妻にお願いして、「ミツワ」にご案内いただきました。
平日(火曜日)ながら、午後6時40分の「ミツワ」の前には10人を超える行列ができていて、我われ3人もその後ろに並んで順番を待ちます。
ところがこの行列がまったくと言っていいほど進まない。やっと店に入れたのは午後7時半。50分ほどの待ち時間でした。
「〔宇ち多゛〕を表す言葉がストイックだとすると、〔ミツワ〕はリラックス。ゆっくりとくつろげるのでついついみなさん長居するんですよねえ」
そんな「ミツワ」の店内は、外から見て思っていたのよりはうんと広く、入口から右手に向かって広がるフロアには4人掛けのテーブル席が5卓。その奥の小上がりに4人掛けの座卓が2卓あるという造り。我われ3人は入口を入ってすぐの、厨房横の3人程度用のカウンター席に案内されました。これ以外に、店の外の焼き台前のカウンターにも8人ほどが座れるので、全体では40人ほどのキャパシティです。
少し前までは、店の外にもテーブル席があって、そこでも飲み食いすることができたんだそうです。たしかに、私のイメージに残っている「ミツワ」の光景も、いつも大勢の人が外で飲んでいるといったものでした。
私の想像に過ぎませんが、老舗に外で飲むことを許せば、新しく進出してくる酒場にも同じように許さないといけないので、みんなで自粛してるのかもしれないですね。
まずはボール(焼酎ハイボール、320円)を注文して、料理のほうは、常連のdetchさんご夫妻におまかせします。
「え~と。刺身はブツとシメサバと、あとミル貝」
「ごめんなさい。ミル貝は売り切れ」
「あ、そう。じゃ、ホタテにしてください」
え? え? え? ここって、立石を代表するもつ焼き屋の1軒なのでは?
「ここには魚介類の刺身もあって、人気が高いんですよ。3点盛りが500円という立石価格です。1点盛りでも、2点盛りでも500円で、1点ごとの量が変わります。遅い時間になると、だんだんネタがなくなってきて、種類が指定できなくなってくるんですよ」
ホワイトボードにはマダコ、カンパチ、ホウボウ、ブツ、シメサバ、ホタテの6品が書き出されています。ちょっと前までミル貝もあったので7品。それより前に売り切れちゃった品もあるのかもね。
出てきた3点盛りは、3点それぞれが3切れ程度ずつ盛り合わされているのですが、その1切れ1切れがでかいこと! これで500円は安すぎる。
「ひとりでやって来て、この3点盛りを注文すると、もうお腹がいっぱいになって、あと1品くらいしか注文できなくなってしまうんですよ」とdetchさん。
「遅く(10時頃)までやっているので、仕事帰りにでも立ち寄ることができる店なんです。もっとも最近は8時過ぎに売り切れじまいになってしまうことも多くなってきて、その売り切れる時間が、どんどん早くなってきてるのが困りものなんです。どうしても〔これが食べたい〕というものがあるときには、早い時間にやってきて並びます」
長引く不況のせいか、このところ安くて美味しい料理が楽しめる大衆酒場は、いずこも大人気で、以前にも増して入りにくい状況になっているのです。
(続く)
・店情報
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