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2010年3月

〔コラム〕 続・セントルイス紀行(5) … たっぷりとプライムリブ

たっぷりとプライムリブ


 セントルイスでの仕事は月~水の3日間。すべての仕事を終えて、今日のディナーは関係者全員で、この地で有名なステーキ・レストラン「クライス(Kreis')」です。この店も前回に引き続いて2回目。1回でも来たことがあるお店というのは、なんとなく気分的にくつろげます。

 この店の看板メニューはプライムリブです。プライムリブというのは、牛のあばら肉のいい部分を、塊のままローストビーフにして切り分けたもので、この店では普通のプライムリブ(35ドル弱)に加えて、クイーンカット(28ドル弱)とエクストラカット(65ドル弱)の2種類を選ぶことができます。

 その他は、サーロイン・ストリップ16オンス(36ドル弱)、ニューヨーク・ストリップ10オンス(26ドル弱)、同16オンス(30ドル弱)、フィレミニヨン12オンス(35ドル弱)、同20オンス(56ドル弱)、ポーターハウス(Tボーンステーキのうち、テンダーロイン比率の高い高級品)22オンス(36ドル弱)、リブアイステーキ18オンス(33ドル弱)、コロラド・ラムチョップ(35ドル弱)、センターカットポークチョップ18オンス(19ドル弱)などなど。

 ちなみに1オンスは28グラム。16オンス(454グラム)が1ポンドです。

前回は12オンス(336グラム)のクイーンカットをいただいたのですが、クイーンカットという名称からもわかるとおり、これは実は女性用のサイズなのです。今回は普通のプライムリブに挑戦してみようかと、その量をたずねてみると「骨も含んで27~32オンス(756~896グラム)ほどですよ」とのこと。さっそくそれを、焼き具合はミディアムで注文します。

 メインディッシュにはもれなく付け合せがついていて、その付け合せはポテト、ピラフ、インゲン、ブロッコリーのレモンバター、ほうれん草のクリーム煮の中から選べます。私はほうれん草を選択。店の人からは「サラダもいるか?」と聞かれますが、これは遠慮しておきます。こちらでサラダ(5ドル前後)をもらうと、それだけでお腹いっぱいになってしまうほどの量が出てくるのです。

 ワインを飲み、みんなで数品をもらってシェアした前菜をつつきながら待つことしばし。みんなの注文したステーキがずらりと出てきました。

 おぉ~っ。改めて普通のプライムリブは大きいですねえ! 自分の顔と同じくらいの大きさで、厚みは5センチ以上あります。ちょうどあばら骨1本分なんですね。

 まず一口。う~ん。たっぷりとかけられているグレイビーソース(肉汁のソース)がいいですねえ。肉もとてもやわらかです。

 外国に来ると、噛んでも噛んでも咀嚼しきれないほど硬い肉が出てくることも多いのですが、ここの肉は軟らかくて食べやすい。これだとこの量でもいけるかもね。

 写真を撮ったりしながらワシワシと食べていると、店の人が写真撮影用にエクストラカットのプライムリブも持ってきてくれました。うわぁ~っ。これはもう、単純に普通サイズの倍(1,800グラム弱)。あばら骨2本分、厚さ10センチ以上のローストビーフです。これを一人でペロリと平らげちゃう人も少なからずいるというのが驚きです。

 脂の部分は残して、あとはほぼ完食です。

 しかし、このお肉。実に腹持ちがよくて、翌日の朝食のときにも、まったくお腹がすいていないほどでした。

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前菜のホタテ / 前菜のエビ / ずらりとステーキの登場

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プライムリブ / テーブルの様子 / エクストラカット


 木曜日(3月18日)の朝9時過ぎ(日本時間の同日午後11時過ぎ)にセントルイス空港を飛び立って、4時間後にはロサンゼルス空港です。ここで3時間ほどの乗り換え時間の予定だったのですが、乗る予定だった飛行機の成田からの到着が遅れたため、出発も2時間遅れ。ラウンジでゆっくりと過ごして、午後4時過ぎ(日本時間の3月19日午前8時過ぎ)にロサンゼルス空港を出発。

 帰り道は洋食を食べながら帰ろうかなと思っていたのですが、シンガポール航空のきれいなおねえさん(キャビン・アテンダント)に「和食の容器が新しいのに変わったんですよ。試してみませんか?」とニッコリとすすめられて、すぐに和食にチェンジマインドです。

 来るときの機内では3×3の9つの部屋に分かれた弁当箱1個で料理が出されたのですが、新しい器は5つの部屋に分かれた弁当箱2個で1食分。弁当箱の大きさは前のものと同じなので、ボリューム的にはちょうど倍ほどの量。これを燗酒とともにいただいて、すっかり満腹です。

 日本まではできるだけ眠らないように、オンデマンドの映画を3本ほど(「HACHI 約束の犬」、「寝ずの番」、「半落ち」)見ながら涙していると、途中でおやつのサンドイッチやベーグルなどを出してくれて、成田到着前にはまたまたしっかりと夕ごはん。お腹がすく暇がありません。

 3月19日(金)、午後8時過ぎに、成田空港に到着し、1週間ほどの米国出張が無事に終了しました。

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帰りの飛行機 / シンガポールスリング / ランチ(一の重)

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ランチ(二の重) / ランチ(デザート) / 夕食(和食)

《平成22(2010)年3月17日(水)~19日(金)の記録》

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〔コラム〕 続・セントルイス紀行(4) … セントルイス・ブルース

アイスホッケー場にて


 セントルイスでの仕事が始まって、月曜日(15日)の夜は日本人だけで近くのショッピングモール内にある「カリフォルニア・ピザ・キッチン」に繰り出して夕食です。私は旧・仏領ルイジアナに端を発すると言われるジャンバラヤを注文。本来のジャンバラヤはエビやチキンの入ったピリ辛ピラフなのですが、この店のジャンバラヤはパスタ料理の一環として、エビやチキンの入ったピリ辛スパゲティとして提供されました。

 二日目の火曜日(16日)は、仕事終了後に関係者一同でセントルイス中心部に移動して、アイスホッケーの見学です。

 地元の人の話によると、米国内で一番人気があるのは野球で、その次にフットボール、そして3番目にアイスホッケーなんだそうです。ただし、ここセントルイスはフットボールの歴史は浅いので、1が野球で、2がアイスホッケー。まだ野球シーズン(4月開幕)に入っていないこの時期は、もっぱらアイスホッケーなんだそうです。

 ちなみにセントルイスの野球チームは1882年創設、かつて田口壮選手も在籍していたセントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals)。アイスホッケーチームはセントルイス・ブルース(Saint Louis Blues)です。「ん? どっかで聞いた名前だなあ」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、このチーム名はブルースの名曲「セント・ルイス・ブルース」から採ったものだそうです。

 今日は贅沢にも一番てっぺんのスイートルーム(パーティルーム)を借り切って、食事もしつつ、ビールも飲みつつの観戦です。

 観客数はなんと19,150人。屋内の競技場には、選手たちがパックを打ち合っているとき以外は応援のための音楽が響きわたり、いやが上にも気分を盛り上げてくれます。審判によってパックが投げられると競技が動き出し、会場はいっせいに静まります。

 選手たちが氷の上を滑走するシャーッという音と、パックを打つ音、そして選手たちがぶつかり合うズーンという音が、ものすごいテンポで駆け抜けて、シュート! 速い速い。思わずグイグイと引き込まれて、ビールを飲むもの忘れるほどです。

 地元のセントルイス・ブルースは、残念ながらコロラド・アバランチ(Colorado Avalanche)に5対3で敗れましたが、アイスホッケーの楽しさを存分に堪能した夜となったのでした。

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ジャンバラヤ / スケート場内の通路 / 競技中の様子

《平成22(2010)年3月16日(火)の記録》

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〔コラム〕 続・セントルイス紀行(3) … 「ルイス&クラークス」

蒸し野菜プラッタ


 ロサンゼルスでの一夜が明けて3月14日の日曜日。米国では今日からサマータイムのスタートで、すべての時間は昨日までより1時間早まります。

 ロサンゼルス空港からセントルイスに向かうアメリカン航空の出発時刻は午前7時半。朝6時にホテルのロビーで待ち合わせて空港に向かうのですが、今日の朝6時は、昨日までの朝5時。なんだか1時間損した気分だなあ。。。

 ロサンゼルスから飛ぶこと3時間半。到着したセントルイスは、ロサンゼルスからさらに2時間の時差があり、到着したのは時計上では午後1時。見かけ上は5時間半かかったことになり、ここでさらに2時間損した気分です。

 日本との時差は-14時間。ここは日曜日の午後1時ですが、日本は15日の月曜日、午前3時です。うーん。眠い。

 空港で、先週から先乗りしているメンバーたちと合流し、彼らが借りていたレンタカーで滞在先のホテルへと向かいます。ホテルに到着後は、はじめてこの地にやってきたメンバーを中心にバドワイザーの工場見学。私は前回行ったので、ホテルの部屋でくつろぐほうを選びました。ただし、ここで寝ちゃうと時差ボケが直らないので、熱いお風呂にゆっくりと入って、そのあとは部屋でPCに向かっていると、3時間ほどの見学行程を終えたバドワイザー見学組も戻ってきました。

 またまたレンタカーに分乗して、夕食に向かったのは前回にも行った、ミズーリ川の沿岸、セントチャールズ(St. Charles)のレンガ通りにあるアメリカン・レストラン&パブの「ルイス&クラークス」です。

 ここセントルイスは、西部開拓の玄関口として発展してきました。アメリカの内陸部にありながらも、ミシシッピ川(ミズーリ川もその支流のひとつ)の沿岸という交通の便が、この町の発展を支えてきたんですね。

 1803年、アメリカ合衆国第3代大統領トーマス・ジェファーソンは、大陸横断のための最短陸路の発見を目的として、陸軍大尉メリウェザー・ルイスに西部探検の命を下しました。ルイスは相棒として陸軍少尉ウィリアム・クラークを選び、ルイス・クラーク探検隊(Lewis and Clark Expedition)を結成。1805年には太平洋岸に達し、1806年、出発地のセントルイスへ無事に帰還したのでした。

 この探検の出発の地が、ここセントチャールズ。この店の名前は、その探検隊の名前なんですね。

 ビール(自家製のエール)を飲みながら、みんなで何品かの前菜をシェアしたあと、メインには蒸し野菜プラッタの鶏肉添え(Steamed Vegetable Platter with Grilled Chiken, 10.48ドル)を選択。プラッタというのは一皿盛りの料理のこと。日本風に言えば“蒸し野菜定食”みたいな感じでしょうか。蒸し野菜といいながらも、たっぷりのごはん(クレオール風ライス)の上に、これまたたっぷりと蒸し野菜がのって、しかもその上にグラタンのように溶けたチーズまでのっているのが、実にアメリカ的ですよねえ。あっさりと軽めの蒸し野菜を選択したつもりが、こってりと重量感たっぷりの夕食となったのでした。

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「Lewis and Clark's」 / オニオンフライ / エビフライ

《平成22(2010)年3月14日(日)の記録》

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〔コラム〕 続・セントルイス紀行(2) … ロサンゼルス観光

ハリウッド


 シンガポール航空ロサンゼルス便の機内でウトウトとしたと思ったら、民族衣装サロンケバヤ姿のきれいなおねえさん(キャビンアテンダント)の「おはようございます」の声で起こされます。

 成田からロサンゼルスは約9時間の行程。離陸後1時間半ほどして夕食が始まって、ゆっくりと2時間ほどかけて夕食を楽しみ、着陸の2時間ほど前から朝食準備が始まるので、残りの時間を全部寝てたとしても3時間半ほどしか睡眠時間はないのです。

「ん……。おはようございます……」

 かろうじて起きたところへ、さっと熱いおしぼりを渡してくれて、

「朝食は和食と洋食、どちらにいたしますか?」

 とおねえさん。日本人ではないらしいのですが日本語が流暢です。

「和食をお願いします」

 日本発の便なので、安心して和食を注文することができるし、なにしろ睡眠不足の寝たぼけた中で、洋食のいろんなオプション(ジュースはどれにするか、シリアルかヨーグルトはどうするか、メインはどれにするか、などなど)を選ぶのはめんどくさいのです。

 その点、和食はあらかじめ決められているセット(朝定食)がトンと出されるだけなので、気が楽です。

 和朝食はサバと竹の子を焼いたものに、大根おろしと玉子焼きが添えられ、野菜の炊き合わせと、デザート代わりの果物も付いています。これに味噌汁とごはん。何かが足りないなあと思ったら、定食につきもののお新香がないんですね。

 朝食を終えると、そろそろ着陸態勢。

 成田を土曜日の午後6時半に出て、飛ぶこと9時間。ロサンゼルスに着いたのは土曜日の午前10時半で、これからもう1度、土曜日のやり直しです。

 空港近くのホテルにチェックインしたあと、時差ボケ解消のために、同行のメンバーたちとともに市内観光に出かけます。私自身、アメリカの西海岸側に来たのは今回が初めて。ハリウッドやビバリーヒルズ、そしてサンタモニカ海岸のサンセットを見て、夕食は空港近くの海岸沿いにあるイタリアンレストランで、たっぷりのカリフォルニア・ワイン(いわゆる地酒!?)とともに。

 さあ、1週間弱のアメリカを楽しみますか!

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機内で和朝食 / カリフォルニア・ワイン / ビーフ・カルパッチョ

《平成22(2010)年3月13日(土)の記録》

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〔コラム〕 続・セントルイス紀行(1) … 機内食で一献

機内食で一献


 出張でセントルイスです。前に来たのが、平成20年春のことなので、2年ぶりですねえ。

 今回の行きの飛行機は、成田発18:30(午後6時半)のシンガポール航空ロサンゼルス便。シンガポールの民族衣装・サロンケバヤが制服のキャビンアテンダントはみなさん美人で、質のいいサービスを提供してくれます。

 成田空港を離陸してすぐ、午後8時に夕食が始まります。

 最初の出されるアミューズ(つき出し)はサテー(Satay)という、シンガポールも含む東南アジア方面の串焼き(焼き鳥)です。甘くてちょっとスパイシーな肉味噌風のタレをつけながらいただきます。飲み物にはビール(アサヒスーパードライ)をいただきました。焼き鳥にはやっぱりビールですよね。

 サテーをつまみつつビールを飲んでいると、きれいなおねえさん(キャビンアテンダント)が夕食の注文を取りにきてくれます。

 選べるのは洋風か和風。洋風は前菜のサラダから始まって、メイン、デザートへと続くコース。和風は“花ごよみ”という九飾盛の弁当です。

 日本からの出発便は、海外の航空会社であっても和食がおいしいので、ここは迷わず“花ごよみ”を注文し、飲み物も日本酒をもらいます。

 日本酒は京都・伏見の「玉乃光 純米大吟醸 雄町」のみ。1合(180ml)瓶で出されます。

 弁当は正方形の弁当箱の中が九つの部屋に分かれていて、左中央に八寸の牛蒡(ごぼう)の太刀魚巻きやタコのやわらか煮などが置かれ、下中央には口取りとして穴子蒲鉾や里芋、海老が置かれています。まずはこれらの酒肴をいただきながら、「玉乃光」をちびりちびり。

 上中央にあるのはアイナメの焼き魚。右中央の和え物はシラスと錦糸卵を和えてイクラをのせたもの。三つ葉も添えられています。

 ここで日本酒をおかわり。私の近くは外国の方ばかりで、だれもお酒を飲まず、水やお茶で食事をしています。自分だけが飲んでるみたいで、ちょっと気が引けますが、この料理にはやっぱり日本酒を合わせないとねえ。

 左下の酢の物はサヨリの昆布巻きで、横にはセリが添えられています。右上が炊き合わせ。若竹煮(若布と筍)です。う~ん。この季節感がいいですねえ。

 ごはん物は3種類。右下が鯛のおし寿司(木の芽添え)、真ん中がジャコ握りとお新香、そして左上がアサリの炊き込みご飯(おこわ)で、別に出される留椀(とめわん)は赤だしです。

 締めの茶蕎麦で日本酒を飲み終えると、水菓子(デザート)として餅のアイスクリームが出されます。これは抹茶アイスの上にあんこをのせて、さらにその上に薄く伸ばした餅をのせたもの。最後に緑茶が出されて終了です。

 ビールと日本酒2合で、ちょうどいいホロ酔い加減になって眠りについたのでした。

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サテー / 和食の機内食 / 水菓子

《平成22(2010)年3月13日(土)の記録》

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〔お知らせ〕 東京飲み歩き手帳

東京飲み歩き手帳


 大衆酒場の名店をエリア別に紹介した、手帳サイズのハンディな飲み歩きガイド、「東京飲み歩き手帳」(浜田信郎著、ぴあ、1,000円+税)ができあがりました。早いところで3月21日(日)から、一般には23日(火)から書店に並ぶ予定です。

 名店と呼ばれる大衆酒場は、ほとんどの場合は予約ができず、行ってみないと入れるかどうかわかりません。そんな時に、その近くにある他の名店が簡単に調べられると、とてもありがたい。

 この手帳は、そんなことが実現できる本を目指して作りました。

 出版のきっかけになったのは「ブロぐるめ!」で行われたブロガー出版企画コンテストでした。

 コンテストに先立って行われた「食ブロガー勉強会」で、東京書籍(「東京 居酒屋名店三昧」の出版社)の小島編集長から「編集者はこんな企画書を待っている!」と題した講演がありました。その中で「まず自分が買いたいと思う本でなければ、いい企画とは言えない」というお話があったのです。

「自分が欲しいと思う本って、どんな本だろう?」

 と自問自答して、出てきた答えが「東京飲み歩き手帳」の企画だったのです。

 コンテストの結果、ぴあさんから出版していただけることになり、一昨日(3月11日)、見本ができあがりました。

  • いつでも持ち歩ける手帳サイズ

  • 大衆酒場が多くてハシゴ酒ができるエリア(新橋、神田、池袋、浅草、立石、北千住、横浜・野毛など)別の構成

  • 著者が選んだそのエリア内のおすすめ酒場リスト(全310軒)

  • 各店の住所、営業時間、おすすめのメニューとその値段等の概略データ付き

  • 各エリアごとのおすすめ酒場の地図(エリアマップ)

  • 読者なりの飲み歩き手帳が作れるメモ欄も用意

 という特徴が売りのこの手帳、首都圏在住・在勤の大衆酒場好きのみなさんのみならず、首都圏への出張の機会がある、地方に在住・在勤する大衆酒場好きのみなさんにも役立てていただけるのではないかと思っています。

 「もつマニア」に続き、こちら「東京飲み歩き手帳」もぜひよろしくお願いいたします。

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昔ながらのもつ焼き屋 … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)

ナンコツ、カシラ、タン、ハツモト、タンシタの塩焼き


 都内での仕事を終えて、西武新宿線・沼袋駅に到着したのは午後6時。ちょっと途中下車して、駅から歩いて2分ほどのところにあるもつ焼き「ホルモン」に向かいます。

 まだ開店(午後5時半)から30分しか経っていないので、もうちょっと空いているかと思いきや、2列平行に並んだカウンター席はすでに8割ほどの入り。さすがにここも人気がありますねえ。

 カウンター席の1席に座り、ラガーの大瓶(サッポロラガービール大瓶、500円)と、お新香をダブル(220円)でもらい、レバとコブクロのちょい焼き(各1本120円)を2本ずつ注文します。

 ちょい焼きは、その言葉どおり、串に刺したもつをちょっとだけ炙ったものに、おろし生姜と刻みネギを添え、醤油(好みによってはポン酢醤油も可)をかけて出してくれる一品。もつの刺身がメニューにないこの店では、このちょい焼きが、もつの刺身に代わる一品として、生もつファンに好まれています。

 ここ「ホルモン」の特徴は、昔ながらの「もつ焼き屋さんらしいもつ焼き屋さん」であること。もつ焼き(1本110円)、もつ煮込み(310円)以外のメニューは、自家製のお新香(110円)と、冷奴(260円)、トマト(260円)くらい。もつ煮込みも、具はもつだけという徹底ぶりです。

 飲み物も、今でこそ焼酎のウーロン割りやお湯割り、水割り、くわ茶割り(各370円)がありますが、先代の頃までは梅割り焼酎(230円)と日本酒(280円)、ビール(大瓶500円)しかなかったほどです。

 続いて、ナンコツ、カシラ、タンを1本ずつ塩焼きで注文すると、メニューにはない珍しい部位、ハツモトとタンシタもあるということで、それらも1本ずつ焼いてくれました。今日のように早い時間帯に来ると、いろんな部位が残っていていいですね。

 写真で見ると、どれも茶色で同じように見えますが、食べると、その弾力感や、味わい、鼻の奥から感じる香りなどがそれぞれ異なるのがもつ焼きのいいところ。これが、たいていのもつ焼き屋で1本100円前後で味わえるというのが嬉しいではありませんか。

 瓶ビールがあとグラス1杯となったところで、焼酎(サッポロ焼酎、230円)を注文。カウンター上に置かれている梅シロップを入れて、梅割り焼酎としていただきます。

 もつ焼きは、アブラ、テッポウ、ガツをそれぞれ1本ずつ、今度はタレ焼きでいただきます。

 アブラと言うと、頭肉の脂の部分を出してくれる店も多いのですが、ここ「ホルモン」のアブラは、腸のまわりの脂分。焼酎に良く合って、プリッとした独特の弾力感も楽しめます。

 1時間ほど楽しんで、今日のお勘定は2,090円でした。どうもごちそうさま。

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「ホルモン」 / おしんこダブル / コブクロとレバのちょい焼き

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 梅割り焼酎 / アブラ、テッポウ、ガツのタレ焼き

店情報前回

《平成21(2009)年11月20日(金)の記録》

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今年も冬がやってきた … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)

いか大根


 昨年(2009年)末から、公私の特に“私”の面でなにかとバタバタしていて、ブログの更新も遅れ気味。今日、これからご紹介する「やき屋」の様子は、今から4ヶ月前の去年の11月。晩秋となり、これから本格的な冬へと向かうころのお話です。

 その日、店に到着したのは午後10時。いつも満員の「やき屋」ながら、この時間帯であれば比較的ゆっくりと入れます。

げそ揚げ メイン立ち飲みカウンターの中央あたりに陣取って、まずはウイスキー水割(400円)を注文し、つまみにはゲソ揚げ(170円)をもらいます。ゲソ揚げは、カウンター上の大皿に盛られていて、注文に応じて店長のゲンさんが一人前分を取り分けてくれます。すぐに食べられるのがいいところなんですね。

 ウイスキー水割は300mlのミニボトルに入ったニッカ・ブラック。氷入りのサワーグラスと一緒に出されます。普通に注いで2~3杯分になるので、これで400円は安いのです。

 となりに入ってきたお客さんは、ホッピー(320円)とイカ大根(170円)を注文です。

 そうかあ。今年も冬場の名物、イカ大根が始まったんですね! 追いかけるように私もイカ大根を注文します。

 黒く透き通るほど煮込まれた大根は、箸を入れるとサクッと割れるほどのやわらかさで、イカ以上にイカらしい、実にいい味に仕上がっているのです。

 おでん屋だと1切れ200円も300円もすることもある大根が、ここ「やき屋」では大きな2切れの大根が、イカとともに出されて170円。この値段がうれしいではありませんか。

 「やき屋」のイカ大根を食べると、冬だなあ、という感じがするんですよねえ。

 ゆっくりと1時間弱の立ち飲みは740円。この値段だからこそ、毎日やって来るお客さんが多いんですね。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成21(2009)年11月10日(火)の記録》

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激辛・熱々、豚尾豆腐 … もつ焼き「ばん」(祐天寺)

トンビ(豚尾)豆腐


前編からの続き)

 食べ物でぜひ食べてみたかったのは、この店の名物のひとつでもあるトンビ(豚尾)豆腐です。メニューを確認すると、そのトンビ豆腐には“1本”(350円。以下、価格は税別表記)というのと、“2本(W)”(500円)と書かれたものの2種類があり、“1本”のほうを注文。

 トンビ豆腐は、豚の尻尾を、ネギ、ニンジン、セロリなどの野菜類と一緒にじっくりと煮込んでいるものに、注文を受けてから、ひと口大よりはちょっと大きめにカットした豆腐が加えられ、しばらく煮込んでから出してくれます。

 出された小鉢の中央部には、豚の尻尾がコロリと1本。こちら(関東地方)では、豚の尻尾は衛生的な観点などから、生まれてすぐに切り落とされるんだそうです。だから、トンビ豆腐の尻尾も“1本”とはいいながら、切り落とした残りの、尻尾の付け根のあたりの10センチくらいの部分のみ。それほど長くないし、子供のころに絵本で見たような、クルリと丸まった尻尾ではなくて、ずんぐりむっくりで真っすぐなものなのです。

 この尻尾、とてもよく煮込まれていて、箸でつつけばホロリと身が崩れるほどのやわらかさです。野菜が多いスープは、口に入れた瞬間は野菜の甘みを感じるのですが、唐辛子もたっぷりと入っているらしく、ジワァ~ッと辛さが広がっていきます。

 トンビ豆腐の熱さと辛さが口の中に広がったところに、グビッとレモンサワーを流し込むと、これがまたよく合うこと。とてもいいバランスの両名物ですねえ!

 火曜日サービスのゆで卵を、このトンビ豆腐の中に入れて一緒に食べる常連さんも多いんだそうです。

 もつ焼きは1本が100円で、1本ずつから注文することができます。中でもカシラは、さらに赤身、フランス、アブラという3種類に分類されています。マグロで言うと、赤身、中トロ、大トロに相当する分類なんでしょうね。残念ながらフランスは売り切れているとのことで、残り2種類をそれぞれ1本ずつ塩で焼いてもらうと、1本1本のボリュームもしっかりしていて、いい焼き加減のもつ焼きが出されます。

 サワーをおかわりして、これまた多くの人が注文しているポテトサラダ(280円)をもらうと、長方形のお皿にたっぷりと盛られたポテトサラダはキュウリやニンジン、玉ネギなどもたくさん入っています。なるほど、これも人気があるのがわかりますねえ。

 最後にオッパイとナンコツを1本ずつ塩で焼いてもらうと、出てきたオッパイは、ひと切れ、ひと切れのブロックが大きくて、弾力感も絶妙。これまで沼袋の「ホルモン」のオッパイが絶品だと思っていたのですが、ここ「ばん」のオッパイも、それに優るとも劣らないすばらしい一品です。

 店内は年配の男性一人客や、若いカップル、サラリーマンのグループなどなど、老若男女、バラエティに富んでいて、人気のほどをうかがわせます。

 1時間半ほどの滞在は1,920円(1,830円+税)でした。どうもごちそうさま。

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赤身(奥)、アブラ / ポテトサラダ / ナンコツ(奥)、オッパイ

店情報前編

《平成21(2009)年11月10日(火)の記録》

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レモンサワー発祥の店 … もつ焼き「ばん」(祐天寺)

レモンサワー


 祐天寺にあるもつ焼きの名店、「ばん」にやってきました。

 「ばん」の創業は昭和33(1958)年。以来、47年間、中目黒の名店として愛されてきましたが、中目黒駅前の再開発に伴って平成16(2004)年末に閉店し、翌平成17年に、祐天寺に新生「ばん」として再オープンしたのでした。

 私自身、中目黒にあった当時から「いつかは行かなきゃ」と思いながら、なかなか機会を作ることができず、やっと今日、来ることができたのでした。

 再オープン後、さらに平成19(2007)年に、となりの店と合体して大きくなったという「ばん」は、入口も2箇所あります。そのうち、祐天寺駅に近い、駒沢通り沿いの入口から店に入ると、火曜日、午後7時半過ぎの店内はほぼ満席状態です。

「ひとりですか?」

 と確認してくれるのは、ホールを担当しているアジア系外国人(中国の方かな?)のおにいさん。店内をざっと見渡して、

「こちらでいいですか」

 と、入口右手の立ち飲み用サブカウンターのところに、空いている椅子を置いてくれます。やあ、なんとか入れて、まずは良かった。立ち飲みでもいいんだけど、せっかく椅子を出してくれたので、座らせていただきますか。

 店内は、両側の入口の間が厨房になっていて、もつ焼きもそこで焼かれています。どちらの入口から入っても、奥のトイレのところで双方に通過できるようになっていますが、入口の近くあたりは、それぞれ別々のお店という感じです。

 私が入った手前側は、入口の左手が厨房を囲むL字カウンターで、右手に3~4人は立てそうな壁に作り付けの立ち飲み用サブカウンター。奥にはテーブルがずらりと並んでいます。

 まずは、ほとんどの客が注文しているレモンサワーを注文します。

 焼酎を炭酸で割った飲み物を初めて“サワー”と呼んだのが、ここ「ばん」(中目黒時代)で、そのときに名称を一緒に考えた常連さんが、のちに“ハイサワー”が主力商品となる博水社の社長(当時)だったのだそうです。

 この店ではレモンサワーと注文すると、氷入りのジョッキに焼酎を入れたものと、それとは別に瓶入りの炭酸水が出され、それとは別に半分に割れる寸前まで包丁が入ったレモン1個が、絞り器とともに出されます。焼酎と炭酸までがメニュー上の“サワー”で300円(税別。以下、価格はすべて税別表記)、1個分のレモンが100円です。

 炭酸水は、瓶の半分くらい入れて、ちょうどジョッキいっぱいになりますので、ほとんどの人は2杯目はナカ(焼酎のおかわり、250円)だけをもらって、レモンも半分ずつを2杯分に分けて使います。つまり300円(サワー)+250円(ナカ)+100円(レモン)の合計650円で、2杯のレモンサワー(1杯あたり325円)が飲めるということなんですね。

 そのレモンサワーと一緒に出されるのは、小さなタオル製のお手拭(コースター代わりに使っている客も多い)と、「ばん」の定番のお通し(サービス)である小皿のお新香(大根、キュウリ、ニンジンの盛り合せ)、そして毎週火曜日にサービスで提供されるゆで卵です。いい日に来ましたねえ。

(つづく)

店情報

《平成21(2009)年11月10日(火)の記録》

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店情報: もつ焼き「ばん」(祐天寺)

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  • 店名: もつ焼き「ばん」
  • 電話: 090-4706-0650
  • 住所: 153-0052 東京都目黒区祐天寺2-8-17
  • 営業: 16:00-23:00、日祝休(火・金の祝日は営業することが多い)
  • 場所: 東急東横線・祐天寺駅東口(改札を出て右)を出て、ロータリーの向こう側にある商店街(バス道路)を直進すること約300m(6分)。「目黒税務署前」の信号交差点で駒沢通りにぶつかるので、そこを右折すると、100mほど先の右手に見える赤提灯が「ばん」。手前と奥の角を曲がったところの2箇所に入口があるが、店内ではつながっているので、どちらから入っても大丈夫。駅からの総距離は約400m、徒歩7分ほど。
  • メモ: 昭和33(1958)年に中目黒で創業し、47年間愛され続けた「ばん」が駅前再開発のために惜しまれながら閉店したのが平成16(2004)年の年末のこと。その翌年、平成17(2005)年に、祐天寺の地に新生「ばん」が誕生した。現在の店主は、中目黒時代の店主の弟さん。店のスタッフも中目黒時代の人が多く、昔の「ばん」の流れを引き継いでいる。焼酎を炭酸で割った飲み物を初めて「サワー」と呼んだのもこの店。名物は豚尾(とんび)豆腐(350円)とレバカツ(130円)。お通し代わりにサービスで出されるお新香も美味で、毎週火曜日にはゆで卵もサービスされる。カウンター17席、テーブル6卓。予約不可。外税。
    ※価格はすべて税別表記
    〔もつ焼き 注記以外1串100円で味は塩かタレ〕タン、ハツ、レバー、カシラ(赤身、フランス、あぶら)、ナンコツ、ナンヤワ(軟骨の軟らかい所)、しろ(味噌ダレも選べる)、てっぽう、ガツ、コブクロ、わっぱ(膣)、おっぱい、つくね(チキンボール)、しし唐、ネギ、ピーマン、しいたけ(1串150円)、ギンナン(1串150円)、豚ナンコツつくね焼(1串180)。
    〔飲み物〕サワー(焼酎+炭酸)300、レモン1個分(半割り×2)100、焼酎(なか)250、梅サワー350、ウーロンハイ350、ホイス380、ホッピー450、ウーロン茶200、レモンスカッシュ250、ビール(大)480、地酒(大)480・(小)250。
    〔料理〕煮込(もつ)300、トンビ(豚尾)1本180・2本300、トンビ豆腐1本350・2本500、トンビ汁豆腐200、温っため豆腐200、レバ刺280、ガツ刺280、コブ刺280、トン足350、あぶり豚足350、ミミンガー280、レバカツ1串130、さば一夜干300、パリパリキャベツ200、もずく200、かぼちゃ天280、ゴボウ天280、まいたけ天280、なす天280、ゲソ天280、ちくわ磯辺揚280、ハムカツ280、ポテトフライ280、カキフライ350、ウインナー280、ししゃも280、イカの丸焼380、ゲソ焼200、生あげ280、さつまあげ280、はんぺん280、あげ納豆250、茄子焼200、にんにく丸焼300、まぐろブツ380、しめさば380、たこぶつ380、新さんま280、ししゃも280、さんま開き280、鯵ひらき300、メザシ250、おしんこ各種150、冷奴150、オニオンスライス150、納豆150、おしたし(オクラ)200、エシャレット250、枝豆250、冷トマト250、マカロニ280、しゅうまい280、かぼちゃ280、塩辛280、天豆280、山芋の千切り200、エイヒレ280、インゲン280、キンピラ280、ナスみそ炒め280、里芋煮ころがし280、肉じゃが280、ほうれん草とキノコのおひたし280、セロリー(マヨネーズ・味噌)200、ブロッコリー280。(2009年11月調べ)

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〔お知らせ〕 3/5(金)に「もつマニア」の販促イベント開催

 一都三県のもつ焼きの名店80軒をフルカラーでご紹介するガイドブック「もつマニア」(2010年2月22日発行、メディアパル、税込み1,365円)の販促イベントが、以下のとおり行われるそうです。

  • 日時: 平成22年3月5日(金) 11:00~18:00

  • 場所: 三省堂本店(神田神保町)の正面入口を入った右手

  • 特典: 秋葉原「やきとん元気」のレモンハイボール1杯無料券

 おかげさまで売れ行き好調とのこと。「買ってみようかな」と思ってくださっている方は、特典のあるこの機会がいいかもしれません。

 ちなみに、三省堂本店の裏の路地にあるのが、東京を代表する老舗焼酎酒場、「兵六(ひょうろく)」です。金曜日とはいえ、午後6時頃であれば、まだ入れるのではないかと思いますので、三省堂に寄って「兵六」で芋焼酎「無双」の湯割りを一献。そして秋葉原に出て「やきとん元気」でボール(レモンハイボール)なんてのもいいかもしれませんね。

 ぜひよろしくお願いします。

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