創業97年になる超老舗 … 「森田食堂(もりたしょくどう)」(呉)
会社の帰りにやってきたのは呉駅のすぐ横にある「森田食堂」です。のれんの表示が右から左になっている(つまり「堂食田森」と書かれている)ことにも、この店の歴史を感じますねえ。
この食堂、なんと大正2(1913)年の創業で、今年で創業97年という、ものすごい老舗なのです。
昨年の9月に、rum mentholさんから、
『ここは戦前から工廠に働きに行く人に弁当を詰めてあげていたほど、歴史のある一膳飯屋です。よく冷えた華鳩(音戸の地酒)の冷酒で湯豆腐をつつくのが最高です。』
というコメントをいただいていて、ぜひ行ってみなければと思っていたのでした。今日やっと、それがかないました。
店内は、入ってすぐ左手の壁際に、お惣菜が並んだガラスケースがL字型に置かれていて、その上にはテレビものっています。それほど広くない店内には、ゆったりと6人が掛けられる横長テーブルが2卓、店の奥に向かって並んでいて、右手には7人ほど座れるカウンター席があり、全席数は19席ほどです。
先客は中年男性の、それぞれひとり客が二人。奥側のテーブルの向こう側、両脇に座っています。入口側にテレビがあるので、テレビが見えるポジションに座ろうとすると、テーブルの向こう側に行かないといけないんですね。
「いらっしゃいませ」
と迎えてくれる女将さんは、カウンター席の一番奥側に座っていて、お客が来たり、注文が入ったりすると「はいはい」と注文をこなします。
今日のお惣菜は、ほぼすべて入口横のガラスケースの中に並んでいるようなので、席に着く前に、まずガラスケースを探訪します。お惣菜は、それぞれ一品が150~300円ほど。たとえばダシ巻き玉子が150円で、冷奴やサバの煮付け、ヒジキなどが200円、煮しめやポテトサラダなどが250円などなど。刺身類だけが500円です。
このお惣菜から好きなものを選んで、それにごはん(大220円、中180円、小170円)や味噌汁(100円)を組み合わせて定食にしたり、ビールやお酒をもらって飲んだりするわけですね。
小イワシの刺身があったら、それをもらおうと思っていたのですが、今日の刺身(各500円)はタイとカツオ、そしてキビナゴの3種。タイの刺身をもらうことにしました。
ガラスケースからタイ刺身を取り出して、空いているテーブルに座ると、女将さんが醤油皿に醤油を入れてくれます。
「お酒の一級のほうを、あったかいのでください」
飲み物メニューの中に、日本酒は一級(340円)、二級(300円)とあったので、その一級のほうを注文したのでした。おすすめいただいていた音戸の地酒「華鳩(はなはと)」もチラリと探したのですが、それらしい商品名は見当たらず、初訪問の今日は、無難にメニューにあるお酒にしてみたのです。
ちなみにメニューに一級、二級という表記がある場合、一級が本醸造酒、二級が普通酒となっている場合が多いように思います。本醸造酒と普通酒では、おいしさがグンと違うように感じるので、こういう表記がある場合は、なるべく一級のほうを選ぶようにしています。日本酒の銘柄は、広島の酒都・西条の「白牡丹(はくぼたん)」です。白牡丹酒造は1675年(延宝3年)の創業。今年で創業335年という、広島酒の中でも最も古い歴史をもつお酒なのだそうです。
その日本酒は、チロリ(金属製の燗づけ器)で燗がつけられ、目の前でコップに注いでくれます。
味わいの深いタイの刺身をいただいては、燗酒をちびり。っかぁ~っ。これはうまいっ。地元の魚に、地元の酒ですもんねえ。こんなに相性のいい組み合わせはありません。
タイを数切れ残しておいて、次はこの店の名物、湯豆腐(300円)をもらいます。
湯豆腐は、イリコとカツオの出汁(だし)に、醤油で薄味をつけた汁(つゆ)でゆっくりと煮込んだ、いい味が染み込んだもの。とろろ昆布と削り節、そして刻みネギがトッピングされ、ふっと柚子(ゆず)の香りが漂います。豆腐は半丁分ほどがドンと1個、入っています。
う~ん。この湯豆腐は、豆腐もさることながら汁が絶品ですねえ。汁だけでお酒が飲めてしまいます。
もう1杯、お酒をいただきたいところですが、今日は夕食も兼ねてきているので、ごはんの中(180円)を注文すると、小皿の漬物とともに、ごはんが出されます。
熱々のごはんの上に、残しておいたタイの刺身をちょいとのせて、ごはんごとワシッといただきます。冷たいタイの刺身に、熱々のごはん。わさび醤油もよく効いて、実にうまいもんじゃのぉ~。これをやりたくて刺身を数切れ残しておいたのでした。
湯豆腐の汁が、極上のお吸い物代わり。あっという間に全品完食です。
40分ほどの晩酌付き夕食のお勘定は1,320円でした。どうもごちそうさま。
私以外のお客さんも、みなさんビールや焼酎をいただいていたようなので、ひとしきり飲んでから、最後にごはんやうどんで締めるというのが、この店のスタイルのようです。朝から開いてるのもうれしいですね。
・店情報
| 固定リンク | 0
コメント
急に我がブログのアクセスが増えたので何事かと思っていたら、こちらでリンク貼っていただいていたんですね。さらに驚いたことに、呉に転勤されたというこで、残念であり嬉しくもあり、ちょっと複雑な思いです。
で、さっそくの森田食堂、いかがでしたでしょうか。
これからの呉居酒屋探訪が楽しみです。
そうそう、呉の居酒屋(焼き鳥屋)に行かれた場合は、まず「みそ」を頼んでみてください。「みそ」とは、鳥皮と鳥モツを味噌で煮込んだ「味噌煮込み」のことで、呉の焼き鳥屋の名物です。呉の焼き鳥屋では豚モツを扱っていませんのでご注意下さい。また、呉の焼き鳥屋は倉橋島の漁師が始めたのがはじまりで、今でも殆どの焼き鳥屋は倉橋出身者が経営しております。なので、どのお店にも生簀または水槽があり新鮮な地魚が楽しめます。
く~、夜泣き貝が食べたくなっちゃった~。今度の連休、帰省すっかなぁ・・・・。
では、お体に気をつけて、居酒屋探訪を楽しんでくださいませ。
投稿: RUM MENTHOL | 2010.04.14 02:03