« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »

2010年6月

〔この一品〕 横浜「豚の味珍」の猪尾

横浜「豚の味珍」の猪尾


 横浜駅西口の狸小路(たぬきこうじ)にある「豚の味珍(まいちん)」。この店ならではの一押しメニューが、豚の尻尾を独特の醤油ダレで煮込んだ猪尾(700円)です。

 “猪尾”は、本当は“チューミー”と読むのだそうですが、ほとんどの常連さんは普通に「尻尾(しっぽ)ください」と注文しています。

 注文した品が届くまでの間に、タレを作って待っておくのが、この店のやり方。席に着くとすぐに出してくれる小皿に、まずは練りガラシを入れて、次にお酢をたっぷりと入れてかき混ぜます。基本のタレはこれで完成ですが、好みに応じてラー油を入れたり(上の写真はその状態)、おろしニンニクを加えたり、醤油をちょっと入れたりします。これらの調味料はすべてカウンター上に並んでいて、好きに使えます。

 もともとが醤油煮なので、醤油をあまりたくさん入れると、醤油辛くなってしまうので要注意です。

 尻尾は口に入れるととろけるほど煮込まれたものを一口大に切り分けて出してくれます。尻尾3本程度が1人前。

 豚の尻尾と言うとクルリと丸まったものをイメージする方も多いかと思いますが、関東地方の豚は、主として衛生上の理由から、小さいうちに尻尾の先っぽを切り落とされてしまうんだそうで、まっすぐの短い尻尾(元の尻尾の付け根の部分)しかありません。

 尻尾は、背骨の延長上にあるので、その内部には小さな骨が連続して並んでいます。この骨の継ぎ目に上手に包丁を入れて切り分けてくれるのです。

 この一口大になった尻尾に、先ほど作ったタレをつけて口中へ。舌と上あごで挟んだだけで、コラーゲンたっぷりの身の部分はチュルリととろけて、あとに残るのは真ん中の骨の部分だけ。これをお皿にコロリと出します。

 そこへグイッと流し込む焼酎が実によく合うのでした。

店情報前回

《平成21(2009)年12月17日(木)の記録》

| | | コメント (1) | トラックバック (1)

松山の夜はハイボール … バー「露口(つゆぐち)」(松山)

松山の夜はハイボール


 金曜日の仕事を終えて、呉港からフェリーに乗って松山に帰省です。呉から松山までは、フェリーで2時間弱。スーパージェットなら1時間弱で着く距離なのです。

 松山港に旧友Tが迎えにきてくれていて、まずはTの行きつけの店の1軒、三津の「てつや」で一献傾けます。

 「てつや」はフグなどの魚介類が食べられる割烹的な酒場ですが、この季節はオコゼがおすすめだそうで、オコゼの刺身からスタートです。コリコリと弾力感のあるオコゼの身が燗酒によく合うこと。媛っこ地鶏(ひめっこじどり)の焼き鳥もおいしいなあ。最後はオコゼの味噌汁で締めて、1軒目は終了です。

 2軒目は、松山の中心街に出て「露口」です。今夜の「露口」もほぼ満席状態。さっそく角瓶のハイボールをいただきます。

 バー「露口」は昭和33(1958)年に開店、今年で創業52年になります。

 マスターの露口貴雄さんは昭和11年、徳島生まれ。18歳のときに大坂のサントリーバーに修業に出て、21歳のときに四国ではじめてのトリスバーの店長として松山にやってきました。1年間の契約期間を終えた昭和33年、自分の店として「露口」を開いたのでした。その数年後、朝子さんと結婚されて、現在の二人三脚の体制ができあがりました。(詳細についてはサントリーの「バーテンダー物語り」をご覧ください。)

 開店したときから今に至るまで、「露口」には冷蔵庫はありません。したがってビールもない。最初から、マスターが心をこめて作ってくれる、8オンス・タンブラーの角ハイボールを飲む人がほとんどです。

 けっこう濃い目に作られたこのハイボールがうまいんだなあ。

 近くに住む同級生(女性)も駆けつけてくれて、日付の変わる閉店時刻まで旧交を温めたのでした。お勘定は3人で3,900円(ひとりあたり1,300円)ほど。どうもごちそうさま。

100604a 100604b 100604c
「てつや」のオコゼ刺身 / あわび炒め / くじら竜田揚げ

100604d 100604e 100604f
媛っこ地鶏の焼き鳥 / サバ寿司とオコゼ握り / オコゼ味噌汁

店情報前回

《平成22(2010)年6月4日(金)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (1)

締めはイクラ・ウニ丼 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

いくら・うに丼


 「竹よし」は、西武新宿線・都立家政(とりつかせい)駅のすぐ近くにある魚料理と天ぷらの店。カウンター6~7席に、カウンターの後ろの2テーブル6~7席の、合わせて12~14席分の店内を、店主と手伝いの女性の2名で切り盛りします。(手伝いの女性が入らない日もあります。)

 そんな「竹よし」メニューに、イクラ・ウニ丼(1,300円)が加わったという。

 いつものようにイカの塩辛(350円)などをつまみながら、菊正宗の燗酒(1合350円)を何本かいただいたあと、締めの1品としてそのイクラ・ウニ丼を注文します。

 すでにたくさんいただいた後だったので「少なめに」とお願いしたので、ごはんは小ぶりの丼の8分目ほど。その上に大葉(シソの葉)を引いた上で、半分に店主自らが醤油漬けにしたイクラがこんもりとのり、残り半分にはこれまたたっぷりの生ウニです。

 ウニの側にちらりと醤油をかけて食べるのもいいんだけど、せっかくイクラとウニの相乗りなので、その境界線のあたりに箸(はし)を入れ、熱々のごはんとともに、イクラとウニを一緒にほおばります。こうするとウニにはなにもかけないでも、イクラの醤油分でおいしくいただけます。

 ん~~っ。ウニのとろりと濃厚なコクと、プツンとはじけるイクラの食感。熱々ごはんで香りもたって、いいですねぇ!

 ちなみにメニューにはイクラだけをたっぷりと味わえるイクラ丼(900円)も並んでいます。

 今回ご紹介したイクラ・ウニ丼は、昨年末(12月)に出されていた料理。これを書いている2010年6月ごろのメニューにはありません。その代わりに、穴子の押し寿司や、鮎(あゆ)の姿寿司など、今の季節ならではの締めの料理が用意されています。魚料理屋なので、メニューに並ぶ料理は基本的にその日の仕入れ次第。その日ごとの旬の味をお楽しみください。

091206a 091206b 091206c
自家製しおから(350円) / たらあら煮(600円) / 子持ちはたはた焼き(650円)

店情報前回

《平成21(2009)年12月6日(日)の記録》

| | | コメント (1) | トラックバック (2)

年中おいしいネギマ鍋 … 魚河岸料理「初恋屋(はつこいや)」(田端)

大トロのネギマ鍋


 台東区根岸の老舗酒場「鍵屋」で、秋・冬だけにしか出されない湯どうふなどをもらって、しこたま燗酒を飲んだあと、二次会として向かったのは田端(たばた)の魚河岸料理「初恋屋」です。

 「初恋屋」というのは、店主と奥様が互いに初恋同士で結ばれたことを記念して、店主の弟さんが付けた店名なのだそうです。店内でもお互いに「パパ」「ママ」と呼び合う姿は、見ていてとても微笑ましいのです。

 そんな「初恋屋」の自慢料理の一つがネギマ鍋(900円)。

『一年中おいしいネギマ鍋。お二人で食べて900円!!』

 店内にそんな張り紙もあるほどです。

 「お二人で食べて」というのは決して誇張ではなくて、古典酒場編集長川上つよしさん、テラシイィさんと私の4人でこの鍋1人前(900円)をいただいても十分なほど。しかもマグロがものすごくうまいっ!

「明日は休み(定休日)だからさあ。残してもしょうがないから大トロを入れといたよ」

 と笑う店主。そうかぁ。道理でうまいはずだ。

 それにしても、これで900円。しかも年中食べられるというのが素晴らしいですねぇ。

 今日の黒板メニューは、ぶり刺身580、大あじタタキ500、アイナメ刺身450、カワハギ刺身600、イワシ刺身350、生イカ刺身500、大トロ刺身500、まぐろブツ350、カマ中トロ500、しめイワシ350、しめあじ380、しめサバ450、カマ焼350、タイラ貝350、ホタテ貝480、大とり貝500、げそ焼300、イカ焼380、ヒレカツもどき350、ホッケ焼430、ハラス焼300、ししゃも3本300、川えび唐揚350、カキフライ350、とり唐揚380、エイヒレ300、あさり酒むし400、キンメ煮600、ポテトサラダ300、焼とり3本350、つくね焼2本280、揚立さつま揚200、あら大根煮300という品々。

 ほとんどの品が500円以下というのがすごいよなあ。しかも一番高い(と言っても600円)カワハギ刺身やキンメ煮は、すでに売り切れていて、縦線が引かれているし。ここ「初恋屋」は、高級品でも高くないので、むしろ「値段が高いものからたのめ」って感じですね。

 閉店時刻までゆっくりと飲んで、お勘定は4人で1万円(ひとりあたり2,500円)でした。どうもごちそうさま。パパ、大トロのネギマ鍋、ありがとう!

091204g 091204h 091204i
お通しのイカ塩辛 / あら大根煮 / 刺身四点盛り

店情報前回

《平成21(2009)年12月4日(金)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

湯どうふは秋・冬のみ … 酒「鍵屋(かぎや)」(鶯谷)

「鍵屋」の湯どうふ


 台東区根岸の老舗酒場「鍵屋」。ここの湯どうふ(730円)は、秋・冬だけに出されるメニューです。「どうして?」と店主に尋ねてみたところ、

「昔から鱈(たら)が出始めたらお出しするようにしてるんですよ。だいたい10月頃から、翌年の4月頃まででしょうか」

 と教えてくれました。小鍋で出される湯どうふの中身は、豆腐と鱈(たら)、そして春菊(しゅんぎく)というシンプルなもの。これをポン酢醤油でいただきます。

 ここ「鍵屋」のメニューに並ぶのは、値段こそ昔と違うものの、料理はずっと変わらない。昔からずっと続いている、下町の居酒屋料理です。

 その内容は、とり皮やき520、とりもつやき540、合鴨塩やき580、うなぎくりからやき640、冷奴520、煮奴580、とりもつなべ690、とり皮なべ690、味噌おでん540、たたみいわし640、大根おろし440、ところてん420、お新香470、さらしくじら740、もずく540、かまぼこ540、玉子焼(土曜日)540、湯どうふ(秋・冬のみ)730、にこごり(秋・冬のみ)620という19品。飲み物は日本酒とビールのみです。

 小金井公園内にある「江戸東京たてもの園」に、昭和45(1970)年当時の「鍵屋」が復元されているのですが、その品書きにも、冷奴60、ゆどうふ80、味噌おでん60など、現在と同じ品々が並んでいます。

 今夜の飲み会の言いだしっぺは、「古典酒場」の倉嶋編集長。どんな酒場にも、おひとりでスイスイと出かけていく編集長なのですが、残念ながら「鍵屋」は、その品書きと同様に昔から女性だけのお客さんは入れません。

 そこで「一緒に行こう!」ということで集まったのが、東京スカパラダイスオーケストラの川上つよしさんにギタリストのテラシイィさん、そして私という男性陣3名。これだけいると、あれやこれやといろんな料理が楽しめます。

 たっぷりと燗酒をいただいて、今夜のお勘定は4人で12,400円(ひとりあたり3,100円)でした。どうもごちそうさま。

091204a 091204b 091204c
とりもつなべ / にこごり / うなぎくりからやき

091204d 091204e 091204f
味噌おでん / ところてん / お新香

店情報前回

《平成21(2009)年12月4日(金)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (1)

絶品だれで生キャベツ … もつ焼き「松竹(しょうちく)」(押上)

生キャベツ


「はい、生キャベツ。おいしいタレを出すからちょっと待ってね」

 そう言いながら、ママが小皿にマヨネーズを入れ、そこにもつ焼きのタレをちょいと入れてくれます。この店の生キャベツ(150円)は、もつ焼きのタレ+マヨネーズでいただくのです。これをお店の人も、客の側もみんなで“おいしいタレ”と呼んでいるのがおもしろい。でも、このタレにグイッとキャベツを押しつけて、シャクシャクとかじりつくと、これが本当に美味しいのです。

 押上(おしあげ)駅近くの小さな交差点の角にある「松竹」は、L字カウンター10席程度のみの小さなもつ焼き屋。昭和30年創業という老舗を、みんなから“おかあさん”と呼ばれている女将さんと、みんなから“ママ”と呼ばれている娘さんの、母娘ふたりで切り盛りされています。今年(2009年)の7月にママに初孫が生まれ、ママはおばあちゃんに、おかあさんはひいおばあちゃんになったのだそうです。

 店内のほとんどのお客さんは常連さんで、店に入って席に座り、飲み物を注文したら、いきなりもつ焼きから入るお客さんが多いのが特徴的。ここのもつ焼きは1皿4本が1人前で480円。1種類2本ずつを2種類組み合わせて1皿にします。味付けはタレと塩が選べ、一皿の中で2本タレ、2本塩と混ぜることも可能です。常連さんたちは、2皿(8本分)くらいを一気に注文します。

もつ焼きを担当するのは、おかあさん。焼き台の上で、串をあっちに向けたり、こっちに向けたり、また置き場所場所もあちこち変えながら、ていねいに焼き上げてくれます。

 煮込み(480円)も、この店ならではの独特の品。ガツ(豚の胃袋)とコンニャクを煮込んだものです。注文すると、小鍋で温めて、刻みネギをトッピングして出してくれます。みそ汁風のやさしい味付けは、汁まで飲み干せます。

 この店には刺身としてレバ刺し(480円)のほかに、ガツ刺し(480円)もあります。ガツのいいところはガツ刺しに使って、残りを煮込みにするとのこと。あまり煮過ぎるとガツが黒くなっておいしくなくなるので、大鍋で煮込んだあとは、注文ごとに小鍋に移して温めるという方法を採っているのだそうです。

 注文した皿は下げずに置いておいて、最後に飲み物+皿の数でお勘定する仕組み。「酎ハイ2杯に2皿。あと生キャベツ」とママからおかあさんに伝えられ、おかあさんが計算してくれたお勘定は1,910円。どうもごちそうさま。

091201a 091201b 091201c
酎ハイ / 煮込み / もつ焼き(ナンコツ塩、テッポウたれ)

店情報

《平成21(2009)年12月1日(火)の記録》

| | | コメント (2) | トラックバック (0)

店情報: もつ焼き「松竹(しょうちく)」(押上)

    もつ焼き「松竹」
  • 店名: 松竹
  • 電話: 03-3623-6913
  • 住所: 130-0002 東京都墨田区業平2-9-10
  • 営業: 17:00-22:00(肉がなくなり次第閉店)、日祝休
  • 場所: 押上駅B2出口から四つ目通りを南下し、3本目を右に折れ、2本目の角。駅から徒歩3分。
  • メモ: 昭和30(1955)年創業。カウンター10席の店内を母娘ふたりで切り盛りする。もつ焼き(タン、ハツ、ナンコツ、レバー、カシラ、シロ、テッポウ、つくねの8種類)は1皿4本で480円。基本的に1種2本ずつを2種類混ぜて1皿にする。味付けはタレ、塩が選べる。コブクロは1皿3本で480円。一品料理(350円)は、ごぼうサラダ、お新香、もろキュウ、冷やしトマト、枝豆、冷奴の6種類。他にレバ刺し(480円)、ガツ刺し(480円)、煮込み(480円)、厚揚げ(480円)、生キャベツ(150円)がある。飲み物は、ビール(500円)、日本酒(日本盛、500円)、抹茶ハイ(500円)、ホッピー(400円)、黒ホッピー(400円)、酎ハイ(400円)、レモンハイ(400円)、あんずハイ(400円)、ざくろハイ(400円)、しそサワー(400円)、グレープフルーツハイ(400円)、アセロラハイ(400円)、ウーロンハイ(400円)、緑茶ハイ(400円)、梅ぼしハイ(400円)。(2009年12月調べ)

| | | コメント (0) | トラックバック (1)

新幹線待ちのサク飲み … 大衆食堂「源蔵本店(げんぞうほんてん)」(広島)

小イワシの刺身


 呉駅で帰りの新幹線の座席指定。「N700系の窓際(100Vの電源がある席)がいい」と窓口で申し出ると、広島駅で1時間弱の待ち時間があってもいいのであれば取れるという。その瞬間、ピン! と頭をよぎったのが「1時間あれば源蔵で飲める」ということ。すぐに「その席でお願いします」と返事をして、心はもう小イワシの刺身に飛んでいる。

 今も単線の呉線で広島へ。駅に着くなり小走りで「源蔵本店」である。なにしろ時間がないので急がなきゃ。

 午後2時半の「源蔵本店」は、4組ほどの客が10個くらいあるテーブルのうち4つを使っている状態。そのうち2組はひとり客なので、本当にゆったりとした平日(木曜日)の昼下がりである。

 私も開いているテーブル(6人がけ)のひとつに一人で座り、まずは上酒(350円)を燗で注文すると、「お猪口で飲む?」とおねえさん。うんとうなずいてから、まわりを見てみると、コップで飲むか、徳利とお猪口で飲むかが選べるようである。

「一級酒、1本!」

 と注文が通される。昔、一級酒、二級酒と呼んでた名残が、今も注文に残っているんだろうな。今はメニュー上は上酒(350円)、並酒(320円)という表記である。

 となりの空いている席にカバンを置き、コートを脱いでその上に置いたら、立ち上がり、店の一番奥の刺身用冷蔵庫へと向かう。ここに今日の刺身がずらりと並んでいるのである。おぉ、小イワシの刺身(530円)もあるある。他にはシャコやサヨリ、ツブ貝などなど。小イワシの入った盛り合わせもあるが、小イワシ以外がマグロやサーモンなどと、あまり瀬戸内らしくない組み合わせなので、当初の予定どおり、ストレートに小イワシの刺身をもらうことにする。そうやって見ているところへ、ちょうど奥の厨房から燗酒が出てきたので、その場で小イワシの刺身を注文すると、徳利とお猪口が載ったお盆に、小イワシの刺身も一緒にのせて席まで運んでくれた。

 この店には、特にお通しはない。ほとんどの客は、まず奥の冷蔵庫に並んだ刺身を注文するので、お通しがなくても、すぐにつまみにありつけるのである。

 お猪口に最初の1杯を注いでおいて、まずはたっぷりと盛られた小イワシを3切れ(1切れが半身分)ほど取って生姜醤油につけて口中へ。うーむ。うまいっ。小さいのにしっかりとした濃厚な味わいなのが小イワシである。そこへお猪口の燗酒をツッと流し込む。

「このお酒、おいしいねえ!」

 テーブルのすぐ横にいた店のおねえさんに、思わず声をかける。

「一級酒は『雨後の月』なんよ。二級酒は西条の『福美人』。こっちもおいしいんよ」

 と教えてくれる。『雨後の月』は呉・仁方の名酒である。これが普通のお酒として飲めるのがすばらしい。すぐに1本目の『雨後の月』は飲み干して、2本目を注文。合わせてつまにには鳥の皮(370円)をもらう。燗酒と一緒に出された鳥の皮は、ゆでて細切りした鶏皮の酢の物である。ゆで加減が絶妙で、皮のコラーゲン感、プリッとした弾力感がたまらない。

 そうこうしているうちに、もうタイムアップ。飲んでるときの1時間はあっという間である。お勘定は1,600円。ちょうどいいホロ酔い加減で、心も軽く広島駅へと向かったのである。

100218a 100218b
「源蔵本店」 / 鳥の皮

店情報前回

《平成21(2010)年02月18日(木)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (1)

ツブ貝をつまみに華鳩 … 「鳥八茶屋(とりはちちゃや)」(呉)

ツブ貝(500円)


 呉あたりで言うツブ貝は、東京あたりのツブ貝とは違う貝。このあたりの磯にゴロゴロといる小さい貝で、これを集めてきて塩茹でにして食べるのがうまいのです。

 私の故郷(いなか)は、呉から見ると瀬戸内海のちょうど対岸にあたる愛媛県北条市(現在は松山市の一部)なのですが、そこでも同じ貝を食べていたので、瀬戸内海沿岸ではなじみの深い貝なのかもしれませんね。

 この貝、親指の先っぽくらいしかない小ささなので、安全ピンやマチ針などで、貝の入口あたりの身を突き刺したら、慎重に慎重に貝のほうを回しながら身を取り出していきます。

「あぁ~~っ。やられた。2勝4敗だ。」

「オレは今のところ3勝3敗。今日はなかなか調子がいいよ。」

 貝の身が、無事に先っぽまで取り出せたら『勝ち』。途中でプツンと切れちゃったら『負け』なのです。一度切れると、そこから先は貝殻の中のほうに残ってしまうので、もう取り出せません。

 なにしろ小さな貝だけに、身も切れやすい。ゆっくりと貝を回しながら、ちょっとでも抵抗を感じたら少し戻して、クイッ、クイッと貝殻をゆすって、身離れをよくしておいてからまた慎重に引っ張ります。それでもすぐに切れちゃうことが多いのがくやしいなあ。

 何度もチャレンジしながら、ツルリンと先っぽまで出てきたときのなんと嬉しいことよ!

「えへへ。見て見て。」

 と同行者たちに自慢しながら、おもむろに口中へと運びます。

 こうやって先っぽまできれいに出てくると、見た目が美しいこともさることながら、クルリンと巻いた先っぽの、一番濃厚なところを味わうことができるのがいいのです。うぅ~~っ。んまいっ!!

 ツブ貝の味わいが口いっぱいに広がったところで、「華鳩(はなはと)」の燗酒(一合半が630円)をゴクリ。この呉(音戸)の地酒が、ツブ貝にもよく合います。

 このツブ貝(500円)。いつもある定番のメニューではなくて、この季節だけの日替わりメニューのひとつです。この店のみならず、広島県内の地魚を出す酒場であれば、たいてい置いているのではないかと思いますので、機会があればぜひどうぞ。

 金曜日の今日は、同じ会社の同僚たち4人で2時間ちょっと楽しんで、お勘定は4人で12,020円(ひとりあたり3,005円)でした。ここ「鳥八茶屋」は、呉の「とり屋」の中でも比較的安いのが人気の理由です。

 1軒目を「とり屋」で過ごして、2軒目はスタンド(ちょっと高級なスナックといった感じ)に行くのが呉での飲み会の流儀。ボトル代のほかに、ひとり5千円ずつくらいはかかります。呉の呑ん兵衛たちは、みなさんそれぞれ自分の行きつけのスタンドがあるらしく、場合によっては、各人のスタンドをハシゴしたりするのでした。あぁ、今夜もよく飲んだ。

100528a 100528b 100528c
みそ煮(160円) / 白キス天ぷら(500円) / 小イワシ天ぷら(530円)

100528d 100528e 100528f
ツブ貝取り出し、大成功! / ごぼうカリカリ揚(320円) / 茶碗蒸し(350円)

店情報

《平成22(2010)年5月28日(金)の記録》

| | | コメント (1) | トラックバック (1)

店情報: 「鳥八茶屋(とりはちちゃや)」(呉)

    鳥八茶屋
  • 店名: とり八茶屋
  • 電話: 0823-21-6718
  • 住所: 737-0046 広島県呉市中通3-3-1
  • 営業: 16:00-22:30(22:00LO)(土日は12:00- )、月休
  • 場所: 地図参照。呉駅から徒歩だと20分ほど。
  • メモ: カウンター席、個室、座敷などがある大箱店。
    日替りの手書きメニューあり。豚足塩焼400、つぶ貝塩ゆで500、アサリクリーム煮600、チャンジャ400、白キス天ぷら500、豚タン(特製ポン酢で)700、茶碗蒸し350など(2010年5月末の例)。
    〔とりあえず〕みそ煮160、冷奴210、枝豆320、大根おろし210、冷やしトマト320、漬物盛り合わせ420、モロキュウ210、マヨキュウ210、ウメキュウ210。〔酢の物〕ささみの酢の物320、くらげの酢の物320、地たこの酢の物320。〔鍋物〕スープ豆腐420、かしわ鍋530、ぞうすい630。〔揚げ物〕若鳥の唐揚630、手羽唐揚530、ささみ1本揚350、鳥皮の唐揚370、メバルの唐揚840~、カレイの唐揚840~、ゴボウカリカリ揚320、にんにく丸揚320。〔天婦羅〕盛り合わせ天婦羅1,050、えび天婦羅840、小いわし天婦羅530、野菜天婦羅530、ささみ天婦羅320、地物たこ天婦羅630、いか天婦羅530、明太子天婦羅420。〔刺身〕盛り合わせ刺身1,050、本マグロ(赤身)1,050、鯛1,050、カンパチ840、サーモン840、イカ840、地物たこ700、鳥ささみ530、馬1,050、活ハゲの造り 時価(2,000前後)、活アジの造り1,050、活サザエ840~。〔サラダ〕音戸じゃこ豆腐サラダ530、シーザーサラダ530、海藻サラダわさびドレ530、日替わり魚のカルパッチョ530。〔焼物〕鯛カシラ塩焼840、活アジ塩焼1,050、メバル塩焼840~、かんぱちカマ塩焼740、ししゃも420。〔煮物〕鯛のアラ煮840、メバルの煮付840~、活ハゲの煮付 時価(2,000前後)。〔一品料理〕牛のタタキ 特製タレがけ840、地鶏のタタキ 特製ポン酢がけ840、トントロ焼630、豚もやし鉄板焼530、ポークウインナー530、カマンベールチーズフライ370。〔串物〕盛り串(5本)790、串2本320、カツ2本320、キモ2本320、ズリ2本320、モツ2本320、つくね2本320、ボンボチ2本320、皮1本210、鳥あし1本630、豚バラ2本420、たこ串530、イカ串370。〔飯物〕焼めし530、にぎり鮨1,240、お茶漬け530、おむすび2個320、ライス160。
    〔ビール〕生ビール大740・中530、瓶ビール大630、ノンアルコールビール370。〔チューハイ〕ライム370、ウメ370、レモン370、カルピス370、ウーロン370、巨峰420、ポンカン420、マンゴー420、柚子420。〔カクテル 各420〕カシス、カシスオレンジ、ジントニック、モスコミュール、スクリュードライバー。〔果実の和酒 各420〕白桃、あんず、津軽りんご。〔ワイン(赤・白)〕フルボトル1,580、ハーフボトル1,050。〔ソフトドリンク〕コーラ160、オレンジ160、カルピス160、ウーロン160、メロンソーダ160、カルピスソーダ160、ジンジャーエール160、ラムネ320。 〔地酒(冷・燗 各一合半630)〕「美和桜」辛口(三和)、「誠鏡」純米(竹原)、「華鳩」辛口(音戸)、「久保田」(新潟)、「千福」吟松(呉)。「千福」生貯蔵酒180mlボトル420、「華鳩」にごり酒180mlボトル420。 〔本格焼酎〕《麦》いいちこ320、二階堂320、《芋》それから320、白波320、松露心水(もとみ)420、もぐら420、《黒糖》れんと420。〔果実酒〕あらごし梅酒530、あらごし桃酒530。
    公式サイトあり。(2010年5月調べ)

| | | コメント (0) | トラックバック (10)

〔くれ便り〕 自炊暮らしもまた楽し

豚肉とキャベツのひとり鍋


 横浜に居たときも単身赴任だったのですが、単身赴任に朝夕の食事が付いているほか、社員食堂も朝・昼・夕方に開いていたので、食事に困るということはありませんでした。

 こちら呉では、一般のワンルームマンションとほぼ同じ感じの単身赴任社宅に入っているうえに、社員食堂も昼どきしか営業していないし、どういうわけかファストフードのお店も少ないとあって、ほとんどの単身赴任者は自炊生活を送っています。

 この状況でいい酒場にめぐり合ってしまうと、夕食も兼ねてその店に入りびたりになってしまう可能性が高いので、まずは自炊生活を習慣化すべく、会社関係の飲み会のとき以外は、できる限り自炊をする生活を展開。ここにきてやっとその生活も軌道に乗ってきました。

 4月にこちらに赴任してきた時点で、持っていた炊事用具は、一人用の小さな金属鍋と包丁のみ。それぞれ古いながらも未使用の箱入り状態でした。食器もごはん茶碗に、おわん、小さな小鉢にコーヒーカップがある程度。

 そんなわけで、自炊とは言っても、パックご飯をチンして、インスタントみそ汁にお湯を入れ、納豆をかき混ぜて、味付け海苔を添える。納豆の代わりに豆腐のときもあり。味に飽きたらカップめんやレトルトのカレーなどもメニューに入れると、そんな食生活から始まりました。

 4月のはじめごろのある1週間の食事は、次のようなものでした。(平日の昼食は、栄養士さんが献立を作った会社の弁当です。)


  • 月(朝): 納豆、味付け海苔、パックご飯、インスタントみそ汁

  • 月(夕): 若竹煮(市販)、マカロニサラダ(市販)、パックご飯、インスタントみそ汁

  • 火(朝): 納豆、ごぼうサラダ(市販)、パックご飯、インスタントみそ汁

  • 火(夕): レトルトカレー、パックご飯

  • 水(朝): 納豆、味付け海苔、パックご飯、インスタントみそ汁

  • 水(夕): 《仕事関係の飲み会》

  • 木(朝): カップめん、野菜ジュース

  • 木(夕): サンマ塩焼(缶詰)、フキ佃煮(市販)、パックご飯、インスタントみそ汁

  • 金(朝): 豆腐、フキ佃煮(市販)、パックご飯、インスタントみそ汁

  • 金(夕): 《仕事関係の飲み会》

  • 土(朝): 豆腐、ふりかけ、パックご飯、インスタントみそ汁

  • 土(昼): 巻寿司(市販)

  • 土(夕): 《ひとりで飲みに出る》

  • 日(朝): カップめん

  • 日(昼): カツカレー(外食)

  • 日(夕): 小女子とクルミの佃煮(市販)、パックご飯、インスタントみそ汁


 う~む。かなりわびしい食生活ですねぇ。

 単身赴任仲間から「鍋があるならシャブシャブっぽい料理を作ってみれば」と教えられて、最初に自分で作った料理は豚肉とキャベツの鍋物。単純に豚肉とキャベツを鍋でゆでて、ポン酢醤油で食べるという単純なものだったのですが、これが今一歩の味わい。

 電話で東京のカミサンに相談すると、「昆布だしをとって、しょうがをひとかけ入れるとおいしくなるよ」というアドバイス。翌日、さっそくそのとおりに作ってみたところ(冒頭の写真)、見違えるようなおいしさ。ほんのちょっとしたことで大きく変わるものなんですねぇ、料理というものは。

 その後はフライパンや片手鍋などの炊事用具も増え、サラダ油に砂糖、塩、酢、醤油、みりん、ソースなどの調味料も順次そろってきて、ジャガイモや玉ネギなどの常備野菜も常備される状態になってきました。

 このところの食生活です。


  • 月(朝): たらの芽天・玉子うどん、バナナ、牛乳

  • 月(夕): 鶏肉と野菜のしょうが煮、ほうれん草ゴマ和え、パックご飯、野菜ジュース

  • 火(朝): 玉子ごはん(ご飯はパック)、梅干あえ納豆、インスタントみそ汁、バナナ

  • 火(夕): もやし炒め(魚肉ソーセージ、ピーマン)、豆腐・ワカメ・油揚げのみそ汁、パックご飯、牛乳

  • 水(朝): スープ豆腐(野菜と鶏肉)、パックご飯、野菜ジュース

  • 水(夕): 《仕事関係の飲み会》

  • 木(朝): スープ豆腐(昨日の残り)、パックご飯、野菜ジュース

  • 木(夕): 豚肉しょうが焼き(玉ネギ入り)、目玉焼き(レンジ)、カボチャのみそ汁、パックご飯

  • 金(朝): みそラーメン(豚肉、玉ネギ)、バナナ

  • 金(夕): 《職場の飲み仲間と飲みに出る》

  • 土(朝): 肉うどん(豚肉、油揚げ)、バナナ

  • 土(昼): 肉じゃがオムレツ弁当(市販)

  • 土(夕): 《ひとりで飲みに出る》

  • 日(朝): ちくわ納豆、長ネギのみそ汁、パックご飯、バナナ

  • 日(昼): レトルトカレー、目玉焼き(レンジ)、パックご飯

  • 日(夕): 「オオムラ」で生ビールを飲んで、帰り道にハンバーグ弁当を購入


 一度ある食材を買うと、しばらくその食材が続いてしまうのが一人暮らしのネックですが、料理を作ることそのものは、ごくごく日常的な出来事になってきました。

 水上勉氏が「土を喰う日々」(新潮文庫)にも書かれているとおり、『1日に3回あるいは2回はどうしても喰わねばならぬ厄介なぼくらのこの行事、つまり喰うことについての調理の時間は、じつはその人の全生活がかかっている一大事だ』ということが、少しだけわかってきたような気がします。

 自分で作らなくても食事をすることができるということは、じつはとてもありがたいことなんですね。

| | | コメント (3) | トラックバック (1)

居なくなっても笑ってね … 居酒屋「ペルル(ぺるる)」(鷺ノ宮)

居なくなっても笑ってね


 「竹よし」を出て、小走りで向かったのは鷺ノ宮(さぎのみや)の「ペルル」。ここは11時30分までの営業なので急がなきゃね。

 昭和35(1960)年の創業以来、半世紀(ちょうど50年間)にわたって「ペルル」の顔であり続けたマスターが亡くなったのは5月5日(水)5時のこと。2週間ちょっと前の出来事です。

  明日からあの世の一年生
  居なくなっても笑ってね。
  楽しい人生に
  お手伝いいただき
  ありがとう

 マスターが亡くなった日に、愛用のベストのポケットから見つかった本人直筆のメモだそうです。最期までマスターらしい。。。(なお、冒頭の写真のイラスト部分は、漫画家であり、アニメ「笑ゥせぇるすまん」の総監督を務められたクニ トシロウさんが35年ほど前に描かれたものだそうです。)

100522j 店は、マスターとともに「ペルル」を手伝っていたみなさんで、これからも続けていくそうですので、引き続きよろしくお願いします。

 今日はキープしているウイスキーの水割りをいただいただけなので、お勘定は水・氷代の500円のみ。どうもごちそうさま。

「大慶」のタンメン 「ペルル」を出て、となり駅、下井草(しもいぐさ)へ。最後は「御天」のラーメンで締めようという狙いです。ところが! その「御天」は改装工事のため5月10日(月)から5月31日(月)までお休み中。う~む、残念。

 下井草駅まで引き返し、早稲田通り沿いで遅くまで営業しているラーメン屋「大慶(たいけい)」でタンメンをいただいて、本日の〆としたのでした。

・「ペルル」の店情報前回

《平成22(2010)年5月22日(土)の記録》

| | | コメント (1) | トラックバック (3)

土曜日はキティちゃん … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

土曜日はキティちゃん


 「すっぴん酒場」を出て、歩いて都立家政(とりつかせい)へ。おや、「魚がし寿司」が閉まってると思ったら、なんとすぐ近くに新しい店舗を出したんですね! なんと今日が新装開店の初日。前よりも広くなった店内は大勢のお客さんたちで大にぎわいの様子です。

 その新「魚がし寿司」を横目で見ながら通り過ぎ、今日の3軒目は魚料理と天ぷらの「竹よし」です。

「こんばんは。今日はもうお腹いっぱいだから、あまり食べられない!」

 とても失礼な入店にもかかわらず、店主も、手伝っているキティちゃんも笑顔で迎えてくれます。カウンター席には常連の女性客が1名のみ。その横に座らせてもらいます。後ろのテーブル席にもお客さんがいるものの、今日はゆったりとした「竹よし」です。

 その「竹よし」ですが、先日、店主がちょっと体調を崩したりしたこともあって、現在は、毎週、月曜・火曜の二日間を定休日にして営業中です。

 人気の刺身盛り合せ(1,000円)のほかに、少し量を減らした刺身盛り合せ(650円)というのもメニューに加わりました。

「いろいろ食べたいのに、刺身の盛り合わせをもらったらそれだけでお腹がいっぱいになっちゃったよ、とおっしゃるお客様も多くてね。小盛り合せもお出しするようにしたんですよ」

 と店主。今日の刺身メニューには、活〆ハモ(800円)、関サバ(900円)、スズキ(600円)、生くじら(700円)、シメサバ(550円)、殻付き大ホタテ貝(600円)、ホッキ貝(500円)、赤ナマコ(400円)などが並んでいます。

 おぉ~っ。吉次(きちじ=キンキ)もメニューに載っています。1尾丸ごとを焼くか、煮るかで1,600円。どれどれと見せていただいたキンキの立派なこと! 煮て食べたら美味しいだろうなあ。

「これを食べてみるかい?」

 と店主がすすめてくれたのは、スズキの頭(カブト)と尻尾。「焼いたらうまい」ということで、さっそく焼いてもらいます。こういうアラの部分の身を、ホジホジとしながらいただく燗酒(350円)がうまいんですよねえ。

 今日は手伝いがキティちゃんの日なので、燗酒もハローキティの徳利でいただきます。

 ゆっくりとくつろいでいると、もう午後10時半。お腹がいっぱいなので、か~るくというつもりで入ったのに、2時間も飲んじゃいましたか。燗酒をたっぷりといただいて、お勘定は2,500円。どうもごちそうさま。

100522g 100522h 100522i
本日の食材 / キンキ / スズキあら塩焼き

店情報前回

《平成22(2010)年5月22日(土)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (2)

おしんこも始めました … やきとん「すっぴん酒場(すっぴんさかば)」(野方)

おしんこ


 深川方面から、地元、西武新宿線沿線に戻ってきて、野方(のがた)にある立ち飲みのやきとん屋、「すっぴん酒場」に入ります。神田の、ちょっと高級なもつ焼き屋で修業した店主が、ここに自分の店をオープンしたのは平成18(2006)年11月のこと。丁寧な仕事ぶりは、たちまち地元の人たちの心をつかみ、今やすっかり人気店。立ち飲みカウンターのみの店内は、今日もほぼ満員です。

 黒ホッピー(400円)を飲みつつ、コブクロ刺(400円)やら、レバ(100円)やら、オヤジつくね(100円)やら、ショウガミョウガ(200円)やらの気になる品々を次々といただきます。

「お新香(350円)もはじめたんですよ。」

 という店主の言葉に、さっそくそのお新香もいただきます。ここの店主が作るものは、間違いがないですもんねえ。お新香もきっとおいしいに違いない。

 注文を受けてから、ものすごくよく切れる包丁で、スィッ、スィッ、スィッとスライスしてくれたお新香は、カブとキュウリの盛り合せ。とてもいい漬かり具合で、野菜のおいしさがしっかりと感じられる一品です。さすがですねぇ。

 最後はハラミナンコツ(100円)でビシッと〆て終了。1時間20分ほど立ち飲んで、キャッシュ・オン・デリバリー(品物と交換払い)の総支払額は2,250円でした。どうもごちそうさま。

100522a 100522b 100522c
黒ホッピーとお通し / こぶくろ刺 / れば

100522d 100522e 100522f
おやじつくね / しょうがみょうが / ハラミナンコツ

店情報前回

《平成22(2010)年5月22日(土)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (1)

牛煮込みはホッピーで … 「河本(かわもと)」(木場)

牛煮込みはホッピーで


 帰京から一夜あけて土曜日はの~んびりと自宅で過ごし、午後4時前に深川方面に向けて出発です。最初に向かったのは木場(きば)の「河本」。昭和7(1932)年に創業し、ホッピーが誕生した昭和23(1948)年からずっとホッピーを出しているという、まさにホッピーの元祖的な老舗酒場です。

 真寿美さん(女将さん)もアンチャン(弟さん)もお元気なご様子で一安心。いつものようにホッピー(400円)と煮込み(300円)を注文します。

 ここの煮込みは、牛の小腸(ホルモン)とコンニャクだけのシンプルなもの。裏側にたっぷりと脂のついたホルモンが、ホッピーととてもよく合います。

 今日の「河本」はいつもの「河本」とは客層が違います。奥の常連席には常連さんが二人ほど飲んでいるものの、手前の一般席(なのか?)には、なんと若いカップルが4組。その他に私も含めて、おじさんのそれぞれひとり客が3人で満席です。

 軽く30分ほどおじゃまして、今日のお勘定は700円。ごちそうさま。また来ますね~。

 「河本」をあとに、永代通りをトコトコと門前仲町へ。今日もにぎわう「魚三酒場」ながら、土曜日、午後5時のこの時間、外の行列は3~4人といったところ。開店1時間後なので、ちょうどお客さんが回転し始めたころなのでしょうか。ここから裏通りに入って「だるま」のにぎわう時間はもう少し遅い時間帯ですね。この時間帯は比較的すいているようです。

 そして今日の2軒目は、仲町名物、牛煮込みの「大坂屋」。

 …… という予定だったのですが、残念ながら「大坂屋」はお休みの様子。土曜日はときどき休んでることがあるようなんですよねぇ。それとも、もう少し遅い時間に開くのかなぁ。

 仕方なく、清澄通りを月島方面へと歩きます。月島駅のすぐ近くにある立ち飲みの「大島や」も今日はお休みのようです。魚料理の「魚仁」は店の外にお客さんがあふれかえらんばかりの大人気。そして「岸田屋」は、店の表から角を曲がって店の側面にまで、15人ほどの行列が伸びています。外で待つ人のためにも椅子を並べてくれているのが、女性ばかりで切り盛りする「岸田屋」ならではの優しさが感じられて、実にいいですねえ。

 勝どきに抜けて、立ち飲み割烹の「かねます」は、ビルの建て替えにともなって、他の飲食店と一緒に、プレハブの仮店舗で営業中ながら、今日、土曜日は定休日。勝どき駅から都営大江戸線に乗り込んで、西武新宿線方面へと向かいます。

・「河本」の店情報前回

《平成22(2010)年5月22日(土)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (1)

金曜日の仕事を終えて … 居酒屋「満月(まんげつ)」(鷺ノ宮)

「満月」のグラタンとトマト割り


 金曜日の仕事を終えて、新幹線で東京へ。呉に転勤後、2度目の帰京です。

 横浜から出張で呉に移動するときには、よく崎陽軒のシウマイ弁当とビールを買い込んで新幹線に乗ったものですが、その逆コースとなる今回の旅の友は、むすびのむさしの安芸むすび弁当(1,000円)とカップ酒(賀茂鶴、250円)です。

安芸むすび弁当 この弁当、おむすび4つ(それぞれ味が違う!)の他は、たっぷりとおかずなので、呑ん兵衛にはぴったりです。ちょっとつついてはチビチビ飲んで。ちょっと飲んではチビチビ食べて、と繰り返しながら、1時間ほど時間をかけて、ゆっくりとお弁当を食べ終えると、まもなく新神戸。

 心地よいほろ酔い加減で目をつぶると、あっという間に眠りの世界に引きずり込まれて、気がつくともう新横浜のすぐ近くまで来ています。広島~東京間は4時間ほどの行程なので、少しウトウトしたりしているともう着いてしまうのです。

 う~む。ノートPCも持ってたのに、今回はまったく使わずじまいでした。

 品川から、山手線、西武新宿線と、いずれも満員の電車を乗り継いで鷺ノ宮(さぎのみや)駅に到着したのは日付けが変わる5分ほど前。自宅に帰る前に、ちょっと「満月」に寄り道すると、「ペルル」から山田さんやダイマさん、ムーちゃんたちも流れてきて、しばし談笑。

 行きつけの酒場にやってくると、それがしばらくぶりであったとしても、すぐにいつもと変わらない空気に浸れるのがいいですねえ。心底くつろげます。

・「満月」の店情報前回

《平成22(2010)年5月21日(金)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (1)

〔くれ便り〕 がんすでがんす

がんすでがんす


 どこの土地にも、その土地ならではの食品というのがありますが、呉と、広島市の一部で作られている“がんす”も、そういう食品のひとつ。

 魚のすり身を、刻んだ玉ネギなどの野菜や一味唐辛子と一緒に練りこんで、長方形に整形し、表面にパン粉をつけて揚げたもの。見た目はカツなんですが、食べると中身はピリ辛のジャコ天というか、さつま揚げというか。表面のパン粉のカリッと感も心地よく、とてもいいつまみになります。

 “がんす”というのは、この地方の言葉で、“~です”というような意味で、“そうでがんす”といったように使われます。なんで“がんす”という名称になったんでしょうね。

 今宵、これまた仕事関係の飲み会でやって来たのは、広島県内を中心に何軒かの店舗を展開している居酒屋「和さび」の中通店。ちょっと広めの個室があって、15名前後の宴会で利用することが多いお店です。

 ガンス(520円)の他にも、音戸のじゃこ天(570円)や小イワシの天ぷら(700円)などの地元の味が楽しめるほか、呉の地ビールのひとつ、鯨ビールもメニューに載っています。

 この店に来ると、牛蒡(ごぼう)の唐揚げ(470円)もよくいただきます。斜めにスライスした牛蒡に、薄~く衣をつけて揚げたものに、塩をふって食べるだけの簡単なつまみなのですが、これがうまいのです。とり屋でもよく見かける品なので、こちら(呉)では比較的ポピュラーな料理なのでしょうか。

 この「和さび」、東京にも池袋東口店があるようですので、ご興味のある方は、ぜひ食べてみてください。“がんす”も置いているようでがんすよ~。

| | | コメント (1) | トラックバック (0)

〔くれ便り〕 呉のとり屋の全メニュー(「一とり」編)

「一とり」


 呉には「とり屋」という独自の酒場文化があることは先日の〔くれ便り〕でご紹介しました。おもしろいのは、人によっても、また職場によっても、それぞれ行きつけのとり屋が決まっていること。

 今日、仕事仲間たちと15人ほどで出かけたとり屋は、H先輩が行きつけにしている「一とり(いちとり)」です。

 現在は横浜の事務所に勤務しているH先輩は、数年前まで呉に単身赴任していました。そのころに夜な夜な晩ご飯を食べに来ていたのが、この店だったんだそうです。

「ビールを飲んで、焼き鳥を食べて、最後にお吸物とおにぎりをもらって。それで2,500円くらいだったかなぁ。」

 う~む。毎晩2,500円は、かなりきびしいなぁ。せめて1,500円未満くらいが望ましいところです。

 今日は、ここ「一とり」の全メニューを通して、呉のとり屋のだいたいの相場をご紹介したいと思います。

 まず飲み物ですが、中瓶ビールが500円。生ビールは、今やなつかしさの漂う大ジョッキが750円で、普通の中ジョッキなら500円。日本酒はコップ酒が350円で、大徳利なら750円。銘柄は地元・音戸(おんど)の地酒「華鳩(はなはと)」です。この日本酒が、瀬戸内海の魚によく合うんですよねえ! にごり酒は350円です。

 焼酎湯割りは300円。水割り400円というのはウイスキーのことなのかな。ソフトドリンクはオレンジ、コーラ、サイダー、ウーロン茶などが250円です。

 その他に樽ハイ(ウォッカサワー)があって、レモン、ライム、ライチ、巨峰、梅、ザクロ、カシス、青りんご、カルピス、桃、アンズ、ウーロンの各サワーがそれぞれ400円です。普通の酎ハイやホッピーなどはありません。

 食べ物のほうは、とり屋というだけあって、串物ははずせません。(以下、赤字は、とり屋でオススメの品。)

 もつ(体内卵と輸卵管)、きも焼き、砂ずり(砂肝のこと)、串カツ(鶏肉の串カツ!)、手羽先、串焼き(普通の焼き鳥)、皮焼きがそれぞれ1本120円で、注文は1種2本から。なんこつ、ささみ塩焼き、ささみ天ぷら、ささみフライ、つくね、せせりが1本150円の2本から。牛串、みの串(焼き or 天ぷら)、牛タン串、ブタバラが1本200円の2本から。これもこの店のオススメらしい手羽餃子は1本250円で2本からとなっています。

 串物メニューの中に、ささみ天ぷらや、ささみフライなども並んでいるのがおもしろいですね。

 とり屋といえば生簀(いけす)は付きもの。生簀にはハゲ(カワハギ)やアジ、サザエなどが入っていて、それぞれ時価です。ハゲが1尾2,000円前後でしょうか。

 そして一品料理。とり屋なら必ずある味噌だきは200円。これは鶏の皮をみそ味で煮込んだもので、店によっては味噌煮と呼ぶところもあります。

 スープ豆腐(玉子入り)は450円で、スープ鍋は500円。これらも、とり屋ではよく見かけるメニューです。

 あとはずらりと、あさり(バター焼き or 酒蒸し)500円、冷や奴250円、湯豆腐400円、揚げだし豆腐450円、若鳥から揚げ600円、若鳥塩焼き600円、若鳥たれ焼き600円、野菜サラダ400円、すずめ450円、チーズカリカリ300円、海老カリカリ400円、なんこつ唐揚げ400円、くらげ酢物300円、皮酢物300円、ししゃも300円、ミートコロッケ300円、もろきゅう300円、たこわさ300円、ハス餃子500円、なす餃子500円、ジャガステーキ300円、えのきバター300円、いわし天ぷら500円、げそ天ぷら500円、げそ焼き500円、げそ唐揚げ500円、地たこ天ぷら600円、地たこ造り600円、地たこ酢物600円、野菜天ぷら600円、エビ天ぷら700円、エビフライ700円、赤鶏たたき1,000円、オムレツ500円、砂ずり唐揚げ500円、ポテトフライ400円、枝豆(夏季)300円、なまこ(冬季)400円、酢ガキ(冬季)700円、カキフライ(冬季)700円、エビ塩茹で500円、イカ一夜干し600円、あじの開き300円、カキ鍋(冬季)1,300円、カモ鍋(冬季)1,200円、キムチ鍋(冬季)750円、もつ鍋(冬季)750円、焼き飯500円、お茶漬け(ウメ・シャケ)450円、とり雑炊600円、とり丼550、ムスビ(2個)300円。

 以上です。見ていただいてわかるとおり、高くもなく、安くもなくという酒場なのですが、一人でもよし、グループでもよし、今日のように団体でもよし。料理も、鶏と海の幸を軸として幅広く、たいていの人が好んで食べられるものばかりと、とにかくどんな場合にも行きやすいのが特徴です。

 たっぷりと飲み食いして、今日はひとり3,500円ずつというお勘定でした。どうもごちそうさま。

《平成22(2010)年5月18日(火)の記録》

| | | コメント (1) | トラックバック (0)

〔お知らせ〕 「古典酒場 第六回ほろ酔いと~く」開催(7月10日(土))

photo by Ebisu


 昨年10月に「古典酒場 Vol.8」が、11月に総集編の「つまみで選ぶ、今夜のうまい店」が出版されたあと、しばらく間があいていた「古典酒場」ですが、いよいよ第9号が8月末ごろに発売されるご予定だそうで、その発売前イベントとして「古典酒場」恒例のトークショーが開催されることになりました。

  • 日時: 7月10日(土) 13:00~15:00

  • 場所: ハーミテイジきくや(市ケ谷)

  • 出演者: 日経BP社局長・渋谷和宏さん / ホッピービバレッジ社長・石渡美奈さん / 古典酒場編集長・倉嶋紀和子さん / 居酒屋礼賛・浜田信郎

  • 参加費: 5千円(料理+ ホッピー飲み放題料金含む)

  • 定員: 先着50名様(先着順・定員になり次第締め切り)

 詳細はこちら編集長のブログ)ですが、募集の翌日(6月2日)に定員に達しまして、お申し込みは締め切りました。

 みなさんのご応募、ありがとうございました。当日を楽しみにしていますので、よろしくお願いします。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

〔この一品〕 祐天寺「ばん」のトンビ豆腐

祐天寺「ばん」のトンビ豆腐


 〔この一品〕というタイトルながら、上の写真に写っている3品が、もつやき「ばん」の名物メニュー。手前左がトンビ豆腐(トンビ1本入り、350円+税。以下、価格はすべて税抜き表記)、手前右がレバカツ(1串130円)、そして奥がレモンサワー(サワー300円+レモン1個100円)です。

 トンビ豆腐は、唐辛子が入った激辛のスープで、豚の尻尾、豆腐、ネギ、ニンジン、セロリなどを煮込んだ一品。豚の尻尾と豆腐が入っているから、豚尾(とんび)豆腐というネーミングです。つつけば崩れるほどやわらかく煮込まれた尻尾を、これまたやわらかい豆腐と一緒にレンゲですくい、ツルリ、ハフハフといただくと、ビリリと辛い刺激の中に、野菜の甘みや、豚尾のこってりとしたコクが感じられます。

 このトンビ豆腐ですが、系列メニューも多くて、同じトンビ豆腐ながら、トンビ2本入りは500円。豆腐なしのトンビだけだと1本が180円、2本なら300円。逆に豆腐だけのトンビ汁豆腐は200です。普通のモツ煮込み(300円)や冷奴(150円)、温っため豆腐(200円)などもあります。

 毎週火曜日は玉子サービスデイで、みんなに1個ずつ、ゆで卵がサービスされます。これをトンビ豆腐の中に入れる常連さんも多いようです。

 レバカツは薄く延ばしたレバーに串を打ち、衣をつけて揚げたもの。ウスターソースがよく効いていて、レバーが苦手な人でも絶対に食べられそうな一品に仕上がっています。揚げたて熱々のうちにいただくのがいいですね。

 トンビ豆腐やレバカツを食べて、口の中が熱いときにグイッと飲むと美味しいのがレモンサワー。炭酸で割った焼酎を、はじめてサワーと呼んだのがこのお店です。生のレモンをギュッと搾り入れると、酸味も加わっていくらでも飲めます。

 ちなみにサワーについてくるビン入り炭酸は、サワー2杯分の分量があり、レモンも1杯に半個ずつという分量なので、一度サワーとレモンを注文すると、2杯目はナカ(焼酎のみのおかわり、250円)をもらうだけで大丈夫です。つまりサワー(300円)+レモン(100円)+ナカ(250円)の合計650円が、レモンサワー2杯分の料金。1杯あたりに換算すると325円ということになりますね。

 常連さんの中には、炭酸もレモンも節約して、サワーとレモンにナカ3杯の合計1,150円で4杯のレモンサワーを飲むツワモノも。1杯あたりに換算すると、実に288円という低価格です。やるなぁ。

おっぱい、わっぱ、なんやわ ここ「ばん」は、もつ焼きはもちろん、他にずらりと並ぶ一品料理も、いずれもはずれがないので、何を注文しても楽しめる人気店です。

 今宵はサワーとレモンにナカ1杯。お通し(サービス)のお新香からはじまって、トンビ豆腐、レバカツ、そしてもつ焼き(1本100円)を3本いただいて、お勘定は1,500円(1,430円+税)でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成21(2009)年11月27日(金)の記録》

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »