ツブ貝をつまみに華鳩 … 「鳥八茶屋(とりはちちゃや)」(呉)
呉あたりで言うツブ貝は、東京あたりのツブ貝とは違う貝。このあたりの磯にゴロゴロといる小さい貝で、これを集めてきて塩茹でにして食べるのがうまいのです。
私の故郷(いなか)は、呉から見ると瀬戸内海のちょうど対岸にあたる愛媛県北条市(現在は松山市の一部)なのですが、そこでも同じ貝を食べていたので、瀬戸内海沿岸ではなじみの深い貝なのかもしれませんね。
この貝、親指の先っぽくらいしかない小ささなので、安全ピンやマチ針などで、貝の入口あたりの身を突き刺したら、慎重に慎重に貝のほうを回しながら身を取り出していきます。
「あぁ~~っ。やられた。2勝4敗だ。」
「オレは今のところ3勝3敗。今日はなかなか調子がいいよ。」
貝の身が、無事に先っぽまで取り出せたら『勝ち』。途中でプツンと切れちゃったら『負け』なのです。一度切れると、そこから先は貝殻の中のほうに残ってしまうので、もう取り出せません。
なにしろ小さな貝だけに、身も切れやすい。ゆっくりと貝を回しながら、ちょっとでも抵抗を感じたら少し戻して、クイッ、クイッと貝殻をゆすって、身離れをよくしておいてからまた慎重に引っ張ります。それでもすぐに切れちゃうことが多いのがくやしいなあ。
何度もチャレンジしながら、ツルリンと先っぽまで出てきたときのなんと嬉しいことよ!
「えへへ。見て見て。」
と同行者たちに自慢しながら、おもむろに口中へと運びます。
こうやって先っぽまできれいに出てくると、見た目が美しいこともさることながら、クルリンと巻いた先っぽの、一番濃厚なところを味わうことができるのがいいのです。うぅ~~っ。んまいっ!!
ツブ貝の味わいが口いっぱいに広がったところで、「華鳩(はなはと)」の燗酒(一合半が630円)をゴクリ。この呉(音戸)の地酒が、ツブ貝にもよく合います。
このツブ貝(500円)。いつもある定番のメニューではなくて、この季節だけの日替わりメニューのひとつです。この店のみならず、広島県内の地魚を出す酒場であれば、たいてい置いているのではないかと思いますので、機会があればぜひどうぞ。
金曜日の今日は、同じ会社の同僚たち4人で2時間ちょっと楽しんで、お勘定は4人で12,020円(ひとりあたり3,005円)でした。ここ「鳥八茶屋」は、呉の「とり屋」の中でも比較的安いのが人気の理由です。
1軒目を「とり屋」で過ごして、2軒目はスタンド(ちょっと高級なスナックといった感じ)に行くのが呉での飲み会の流儀。ボトル代のほかに、ひとり5千円ずつくらいはかかります。呉の呑ん兵衛たちは、みなさんそれぞれ自分の行きつけのスタンドがあるらしく、場合によっては、各人のスタンドをハシゴしたりするのでした。あぁ、今夜もよく飲んだ。
みそ煮(160円) / 白キス天ぷら(500円) / 小イワシ天ぷら(530円)
ツブ貝取り出し、大成功! / ごぼうカリカリ揚(320円) / 茶碗蒸し(350円)
・店情報
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コメント
神奈川でも食べてました(食べてます?)
「たま」取りに行くため毘沙門通いは、小学生時代の我が家の夏の日曜日のイベントでした
お店では「しったか」という名前で売ってたりします。
磯にくっついているのを取っていたのですが、実は海草についているのが美味と、野毛「あさひや」さんの常連さんに教えて頂きましたとっても懐かしいかったです
今夏は久しぶりに取りに行きたいとおもいました。
投稿: mitusko | 2010.06.27 23:09