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2010年7月

かまぼこがなくなった … おでん「あわもり」(呉・新広)

「あわもり」


 「春駒」を出て、その足でさっそく「あわもり」へ。午後8時過ぎの「あわもり」は9割ほどの入り。この時間帯でもお客は多いんですねぇ。

「今日は遅いですねぇ」と熱いおしぼりを出しながら迎えてくれるおかみさんに、「前に教えてもらった『春駒』にさっそく行ってきたんですよ」と報告しつつ、泡盛(160円)に「かわ」と「きも」(おでんはすべて1本90円)をいただきます。

 「春駒」で鳥足骨付を2本いただいて、お腹はけっこういっぱいなんだけど、ここに来るとやっぱり人気の「あつあげ」も忘れるわけにはいきません。よく煮込まれた「あつあげ」は熱々のふわふわ。熱~い煮奴(にやっこ)と同じような仕上がりです。そのままだと熱くて食べにくいのですが、先日常連さんのひとりが「あつあげ」を小さく切り分けてから練りガラシをつけて食べてるのをみて、さっそく真似してみたところ、これがとても食べやすい。今日も小さく切り分けていただきます。

 2杯目の泡盛(160円)をもらって、あわせてラムネ(90円)もいただきます。この店ではチェイサーがわりにラムネを飲んだり、泡盛をラムネで割って飲んでいる人も多いのです。うーむ。しかしながら、「宇ち多゛」のサイダーもそうだけど、ここのラムネも(やっぱり)甘いなぁ。

 おでんは「たまねぎ」を注文。「たまねぎ」と「ねぎま」は注文を受けてからおでん鍋に入れられ、いい頃合いをみはからって出してくれます。料理はおでんしかないこのお店。他にはお新香すらないので、「たまねぎ」「ねぎま」という野菜ものは、おでんの合いの手にいただくのにちょうどいい存在で、それぞれ人気が高いのです。

 そして最後は「ひらてん」。ここは練り物メニューとして、「ひらてん」「ぼうてん」「かまぼこ」に「ウインナー」という4つの品書きがあったのですが、最近になって「かまぼこ」がメニューから消えたのです。「なんで?」と聞いてみたところ、

「ひらてん、ぼうてん、かまぼこは、この近くの天ぷら屋さんから仕入れてるんだけど、そこはおばあちゃんがひとりでやってるのよ。その方が『年も年なので、あれこれ作るのはたいへん。かまぼこはもう作るのを止める』ということで、かまぼこメニューがなくなったんです。かまぼこだけ他の店から入れるというのもちょっとねぇ。。。」とおかみさん。

 そうかぁ。終戦後に開店した酒場が後継者難などで閉店していくのをよく見かけますが、その材料を作っているお店もまた似たような状況なんですね。残った「ひらてん」や「ぼうてん」も、今のうちにしっかり食べとかないと、いつ製造中止になるかわからないなぁ。

 そんなことを考えながら「ひらてん」を食べ終えると、もう閉店時刻の午後9時。まわりのお客さんたちも次々とお勘定をする中、私もお勘定をお願いします。

 1時間弱の滞在。おでん5本に泡盛2杯、ラムネが1本のお勘定は860円でした。どうもごちそうさま。

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かわ(手前)ときも / あつあげ / 一口大に分けると食べやすい

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泡盛とラムネ / たまねぎ / ひらてん

店情報前回

《平成22(2010)年7月2日(金)の記録》

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芋づる式に名店を発見 … 宣伝酒場「春駒(はるこま)」(呉・新広)

「春駒」の鳥足骨付(親)


 先日、広(ひろ)の「あわもり」で飲んでいるときに、近くに座っていた常連さんたちが、

「鶏を食うんなら、やっぱり『春駒(はるこま)』じゃのぅ。あそこの“親”は硬いけどうまい。他にはないのぅ」

「“親”と“ひな”とがあるんだけど、やっぱり“親”よねぇ」と、「あわもり」のおかみさんもその話に参加。

「へぇ。『春駒』ってどこにあるんですか?」

 と聞いてみると、このすぐ近くの古い商店街の中にあるとのこと。「ぜひ行ってみてください」とおかみさん。

『呑ん兵衛の嗅覚というのは素晴らしいもので、いい店には知らず知らずのうちにいい呑ん兵衛たちが集まって来ます。それでいて、その店が古くから続いているとあれば、昔からずっと呑ん兵衛に信頼してもらえる酒場だったに違いありません。まず、はずれはないと思って大丈夫でしょう。そういう店が一軒でも見つかれば、あとはその店のお客さんたちの話を聞いていれば、そのあたりの名店は芋づる式にわかってくるはずです。』

 平成20(2008)年7月に出版した「ひとり呑み-大衆酒場の楽しみ」の、《いいお店の見つけ方とその条件》という項では、そう書かせていただきました。

 ブログでの情報交換も含めて、同じような酒場を愛する呑ん兵衛同士の口コミ情報ほど信頼できる情報はありません。

 これはぜひ行ってみなければと、今日はその「春駒」にやってきたのでした。

 「あわもり」からもほど近い、昭和の町並みが残る一角の中にある、「宣伝酒場」と書かれた店が、目指す「春駒」でした。のれんをくぐって引き戸を開け、店内へと入ると、右手に6人ほど座れる直線カウンター席、左手は小上がり席で自然木の4人卓が2つ置かれています。女将さんがひとりで切り盛りする小料理屋といった風情です。

 金曜、午後6時過ぎのこの時間、先客は男女それぞれ1名ずつ。カウンターの奥に女性ひとり客、中央部に男性ひとり客です。バランスを取って、カウンターの一番手前あたり(入口付近)に座り、まずは瓶ビール(大瓶550円)を注文すると、「キリンとアサヒ、どちらがいいですか?」と女将さん。「キリンをお願いします」。

 すぐに出されたビールを1杯飲みながら、ゆっくりとメニューを確認します。カウンター上、何箇所かに置かれた両面メニューのほか、一番奥の壁には日替りの黒板メニューもあり、焼き鳥(串焼き)から、魚介類、一品もののつまみまで、ざっと50品ほどが並んでいます。焼き鳥が1本100円、各種魚の刺身が500円、一品は280~400円ほどと、値段もリーズナブルです。

 目的の“鶏”の正式名称は「鳥足骨付」で1本500円。事前情報のとおり“親”と“ひな”が選べ、味付けはタレ、塩、味噌が選べるようです。お通しは特に出されない店のようですので、いきなり直球勝負でいってみますか。

「鳥足骨付の親をください。味付けはどれがおすすめなんですか?」

「タレも塩も、それぞれじゃねぇ。どっちもよう出るよ」と女将さん。

「じゃ、塩でお願いします」

 まずはシンプルに塩焼きをいただいてみます。

 意外に早く焼きあがってきた親鶏は、長方形のお皿にざく切りのキャベツを敷いた上に置かれます。肉にはところどころに切込みが入れてあって、足骨の先っぽにはくるりとティッシュが巻かれています。

 そのティッシュのところを手でしっかりと持って、グイッとまず一口。おぉ~っ。これは硬い。その一片を噛みちぎって、グイグイと時間をかけて噛んでいると、口の中にジワァ~ッと広がる鶏の旨み。

「これはうまいっ」

 思わず笑顔が出ると、となりのおじさんも、

「そうだろう。ここの鶏はうまいんだよ。香川県の有名な鶏料理屋の“親”にも負けてないよ」と自分のことのように自慢してくれます。

「香川の鶏料理屋って、『一鶴』ですね?」

「そうそう。あそこのはもうちょっとスパイスが効いた味だけど、こっちのほうがシンプルだし、なにしろ値段が安いからねぇ」

 「一鶴」は“おやどり”が980円、“ひなどり”が870円なのに対して、こちらは両方とも500円ですからねぇ。たしかに安い。

 そんな話題から、「にいちゃんはどっから来たんだ」という話になり、あとはどんどん話が弾んでいきます。このおじさんは、女将さんとは同級生。昔から通っているんだそうです。しばらくして、

「さてと、ワシはぼちぼちと帰るかな。このにいちゃんにビールを1本出しておいてくれ。にいちゃん、今度来たときはタレのほうも食べてみたらええよ」

 とお勘定をすませて席を立ちます。チラッと女将を見ると「いいよいいよ。もらっときなさい」という表情。どうもすみません。お言葉に甘えていただきます。

 ちょうど塩焼きの鳥足骨付も食べ終わったところなので、今日のうちにタレ焼きもいただいちゃいますか。

「“親”を、今度はタレでお願いします」

「そんなに食べられる? 大丈夫?」と女将。

「大丈夫です。その代わり、もう他のものは食べられません」

 せっかく50品ほどもの料理があるのですが、今日は“親”の塩、タレ2本で終了となりそうです。

「飛び散らないように気をつけて食べてね」

 と言いながら、焼きあがった“親”のタレ焼きを出してくれる女将。たしかに。気をつけないと、食いちぎるときに、タレの飛まつが服に飛び散りそうです。

 な~るほど。タレもそんなに甘くなくてうまいですねぇ。塩もタレもどちらも人気があると言うのもわかります。

 塩・タレの他に、味噌という味付けもあるのですが、こちらは味噌皮(450円)なんかと同じ味噌で味をつけたものなんだそうです。

 また、お願いすれば焼きあがったものを一口大にカットして、食べやすい状態で出してもらうことも可能です。

 ゆっくりと2時間ほど楽しんで、今日のお勘定は1,550円でした。どうもごちそうさま。

 今度は他の料理も食べに来ますね~。

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「春駒」 / 親の塩焼き / 親のタレ焼き

店情報

《平成22(2010)年7月2日(金)の記録》

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店情報: 宣伝酒場「春駒(はるこま)」(呉・新広)

    春駒
  • 店名: 春駒
  • 電話: 0823-74-0255
  • 住所: 737-0125 広島県呉市広本町1-9-23
  • 営業: 17:00-22:00、火休
  • 場所: JR呉線新広(しんひろ)駅からも広(ひろ)駅からも徒歩10分ちょっと。ちょうど両駅の中間あたりにある広(ひろ)交差点の1本呉寄りの交差点(広本町一丁目)を山側に入り、次の交差点の左手前角。
  • メモ: 〔飲物〕生ビール450、大瓶ビール(キリン、アサヒ)550、自家製梅酒380、熱燗(2合)500、冷酒(さわやか)500、冷酒(賀茂鶴)700、焼酎(湯割、ロック、水割)麦・芋350、各種焼酎500、チューハイ(レモン、ライム、カルピス、青リンゴ、巨峰)380、ソフトドリンク(ウーロン茶、オレンジジュース、トマトジュース)200。 〔串焼き〕もも、せせり、かわ、つくね、きも、ずり 各100。 〔鳥足骨付(タレ、塩、味噌)〕親、ひな 各500。 〔鉄板〕みそうどん400、たまたまうどん400、焼きうどん480、冷うどん480、焼きめし480、ホルモン炒め480、とりカラアゲ400、とりミソ450、とん平450、とうふステーキ480、こんにゃくステーキ480、山芋スライス焼480。 〔つまみ〕もつ煮280、冷奴280、生酢280、白菜キムチ280、串カツ(2本)280、スライストマト280、枝豆280、ポテトフライ350、玉子焼350、豚耳ポン350、いかげそ唐揚350、手作りコロッケ350、ししゃも350、まぐろやまかけ350、えび串350、するめ380、ささみてんぷら380、なんこつ唐揚380、しめさば400、味噌皮450、刺身500~。 〔黒板メニュー〕馬刺600、マグロ刺500、ハモ500、カマ塩焼500、タコ刺500、イカ焼500、イカ刺500、小イワシ天400、サンマ400、塩サバ400、手羽先400、このしろ400、アジ干物380、ポテトサラダ280など。(2010年7月調べ)

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〔この一品〕 渋谷「とりすみ」の魚肉ソーセージエッグ

魚肉ソーセージエッグ


 呑ん兵衛の手軽なお供、魚肉ソーセージ。野外で飲んだりするときにも、これが1本あればいいつまみになります。上級者(?)になると、片手に飲み物を持ったまま、残る片手と歯で、あっという間に皮を剥いてスタンバイすることだってできるんですよねぇ。(参考:エンテツさんのサイト

 そのまま食べてもおいしいのですが、ここ「とりすみ」では、それを食材として調理して、魚肉ソーセージエッグ(400円)やナポリタンとして食べられます。この魚肉ソーセージエッグが大好きで、この店の来るたびにいただいてるんですよねえ。

 ずいぶん前に、魚肉ソーセージは、昭和28(1953)年のアメリカの水爆実験で、マグロが売れなくなったことがきっかけで作られたということを書きましたが、その後、ウィキペディアを調べてみると、ちょっと事情が違う様子です。

 それによると魚肉ソーセージができたのは昭和24(1949)年のこと。愛媛県八幡浜市の西南開発工業協同組合で試作品が作られて、昭和27(1952)年に全国発売が開始されたんだそうです。その後、水爆実験でマグロが売れなくなったことで、苦境に陥った水産各社が魚肉ソーセージの生産に力を入れるようになり、昭和30年代には学校給食のナポリタンのレシピにも登場するなどし(「ナポリタン」(上野玲著、小学館文庫)より)、大衆食へと成長していったのでした。

 「とりすみ」の魚肉ソーセージエッグは半熟に仕上げられるので、魚肉ソーセージを取って、トロトロの黄身をからめながらいただくのがおすすめです。

店情報前回

《平成21(2010)年1月22日(金)の記録》

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店主の趣味はウクレレ … 割烹「山作(やまさく)」(呉)

サザエ刺身


 ワイタベさんが呉にいらっしゃって、一緒に飲んでいます。

 広(ひろ)の「あわもり」を後に、呉の市街地へと戻ってきて今日の2軒目は割烹「山作」です。店内は右手に立派なカウンター席12席、左手にテーブル席8席、他にも座敷23席があって全部で43席。店内に先客はなく、我われ二人でカウンター中央部にデンと陣取ります。

 瀬戸内の魚介類を中心とした料理が楽しめるお店らしく、昔(新入社員で呉に居たころ)から気になっていた「山作」。いつか来てみようと思っていたので、ワイタベさんが来呉されたこの機会に入ってみたのでした。ワイタベさんは大衆酒場はもちろんのこと、高級割烹やふぐ料理屋などにもよくいらっしゃっているのです。

 基本的には予約してコース料理を楽しむような高級割烹ですが、カウンター中央部に掲げられた手書きのホワイトボードメニューに、今日のおすすめ料理が何品か並んでいます。値段は書かれていません。

 その中からサザエ刺身とナスの焼き物、ハモの土瓶蒸しを、それぞれ2人前ずつ(ひとりに1つずつ)注文しておいて、まずは瓶ビールで乾杯。その後、地酒の冷酒に切り換えます。

 飲んでいるうちに、地域の会合に出られていた店主も帰ってきました。店主はウクレレの趣味もあるらしく、音楽好きでウクレレも弾くことができるワイタベさんとも話が弾みます。カウンター割烹的なお店でもあるので、店主はさすがに会話をうまく盛り上げてくれますねぇ。

 地酒をた~っぷりといただいて、お勘定はふたりで1万5千円弱でした。

 三次会として、昭和28年創業の老舗バー、「どん底」に向かったものの、なぜか今日はお休み。(本来の定休日は日曜・祝日です。)

 あらら残念。しかしながら、すぐ近くに新進気鋭ながらしっかりとしたお酒を飲ませてくれるオーセンティックなバー、「アンカー(ANCHOR)」があるのでそちらへ。

 呉の飲み屋といえば、カウンターの向こう側で女性が飲む相手をしてくれる「スタンドバー」という形態のものが多いのです。これらはバーと言いながらも、飲み物よりは、店の女性と話をしながらカラオケを歌うのが一般的な過ごし方。他の地方で言うスナックの変形版と考えるとわかりやすいかもしれません。

 「どん底」も、スタンドバーを自称しているものの、その実態はかなり本格的なバー。ここ「アンカー」や、前にしんちゃんさんと一緒に行ったバー「じょうもん」や「パールバー」も、それぞれしっかりとお酒そのものが味わえるバーです。

 軽く2杯程度ずつ飲んで、ワイタベさんとの呉酒場探訪を終えたのでした。遠くまでいらしていただき、本当にありがとうございました。>ワイタベさん

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お通しの魚の子 / なす味噌焼き / 鱧と松茸の土瓶蒸し

・「山作」の店情報/「アンカー」の店情報前回

《平成22(2010)年6月29日(火)の記録》

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店情報: 割烹「山作(やまさく)」(呉)

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  • 店名: 山作
  • 電話: 0823-25-8039
  • 住所: 737-0046 広島県呉市中通2-4-4
  • 営業: 11:30-14:00 & 16:30-22:00(21:30LO)、日休(GW、お盆、年末年始も休)
  • 場所: 堺川の中通側川沿い。呉図書館から、中通方面に向かって五月橋を渡った右手。
  • メモ: 昭和48(1973)年創業。店主・山本英俊さんは、18歳の時から17年間、和食の「大作」(閉店)で修業をし、この店を構えた。総席数43席(カウンター12席、テーブル8席、座敷23席)。定食各種1,050円~、会席料理5,250円~。夏限定の鯛の冷や汁(さつま汁)も人気。(2010年6月調べ)

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ワイタベさんと呉酒場 … おでん「あわもり」(呉・新広)

かわときも


 先週土曜日に立石でお会いしたばかりワイタベさんが、名古屋での仕事のついで(?)に呉まで足を延ばしてくれました。

 仕事が終わった後、呉駅の改札口で落ち合って、向かうは2駅先の新広(しんひろ)です。新広駅からはタクシーに乗って、ビューンと「あわもり」の正面に横付け。

 まえにしんちゃんさんが呉に来られたときには、宿から近いほうがいいだろうと思って呉の中心街にあるとり屋の1軒に入ったのですが、しんちゃんさんご自身が何度も呉にいらっしゃったことがあって、とり屋のことも私よりもむしろよくご存知で、あまり新鮮味がなかったのです。

 次に誰かが来られたときには、多少遠くてもオススメと言える酒場に行かなきゃなぁ、と思っていたような次第。そんなわけで、今日は私が今現在呉で一番オススメの酒場「あわもり」に電車とタクシーを乗り継いでやってきたのでした。

 こんな早い時間(午後6時前)に着いたのに、カウンター20席ほどの店内はすでに満席に近い状態。1席だけ空いている席は数箇所あって、その空席の横に座っているお客さんが、別の空席に移ってくれて、ちょうどおでん鍋の前に2席並んだ空席を作ってくれました。ありがとうございます。

 新広駅から店までは歩いても10分ほどで来れる距離ですが、我われのすぐ後にやってきた二人組みはもう(席が空いてなくて)入れなかったので、「近くてごめんなさい」と言いながら、タクシーを飛ばしてやってきたのは正解だったようでした。

 今日も暑い1日だったので、まずは大瓶のビール(キリンとサッポロが選べ500円)をもらって乾杯し、おでん(どれでも1本90円)は「あわもり」ならではの「かわ」と「きも」からスタートです。

 ここ「あわもり」のつまみは、泡盛の取次店から酒場に転向した昭和28年以来、ずっとおでん一本槍(いっぽんやり)。それ以外にはお新香すらありません。なのにいつもほぼ満席。夏の暑い日だって満席なのです。

「なるほどねぇ。浜田さんがここを好きなのがわかりますよ。昔の下町大衆酒場そのものの雰囲気がありますね。東京の大衆酒場は、今はネクタイ族が増えたけど、昔はこんな感じでした」

 とワイタベさん。遅い時間帯になると、ここも(ネクタイこそしていないものの)サラリーマン族が増えてちょっと雰囲気が変わるのですが、今のように早い時間帯は、昔の大衆酒場の色合いが濃いのです。

 なんでサラリーマンが増えると雰囲気が変わっちゃうのかなぁ。ひとりで来る分にはおそらく問題ないのでしょうが、二人以上になると、その人たちだけにしかわからないような仕事上の話になることが多くて、そのだけがポッカリと他者を排除するような空気になっちゃうからでしょうか。そういうグループが複数いると、酒場の中にブラックホールがたくさんできたような状態になってしまい、店全体としての一体感がなくなっちゃうんですよねぇ。自分も気をつけなきゃなぁ。

 あれやこれやとひとりしきり飲んで食べて、ここは二人で3千円ほど。どうもごちそうさまでした。

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あつあげ / 泡盛梅割り / ロールキャベツ

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たまねぎ / いわしだんご / たまご

店情報前回

《平成22(2010)年6月29日(火)の記録》

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〔くれ便り〕 ほいじゃがのぅ

音戸の瀬戸


 全国各地にその地方ならではのお国言葉あり。

「ほいじゃがのぅ」

 というのは、呉の言葉で「そうだけれどもね」という意味。

「ほいじゃがのぅ、浜田よい。そらぁ、ちょっと違う(ちごう)とらんか」

 という感じで使われます。「浜田」のあとの「よい」は呼びかけです。「浜田よ」と言ってるのと同じなのです。

 この「そうだけれどもね」という言い回しは、方言が出やすいフレーズのようです。

 東京なら「だけどさぁ」。私のいたころ(30年ほど前)の福岡だと「そいばってんくさ」という、一瞬「えっ!?」と耳を疑うような言葉遣い。でもなんとなく反論したがっているんだなぁ、ということは雰囲気で伝わってきます。

 そういえば福岡で「しぇしぇくる」という言葉があるんですが、博多出身の友人に「しぇしぇくるって何?」と聞いたら、「しぇしぇくるは……」としばらく考えていた友人。「しぇしぇくるは、しぇしぇくるたい!」と返事されて、ふたりで大笑いしたことがありました。

 「しぇしぇくる」は「せせくる」というのが本当のようです。昔の博多の人たちは「せ」のことを「しぇ」と発音する(そうしかできない?)人も多いので、先生のことも「しぇんしぇい」なんて呼んだりするんです。で、「せせくる」も「しぇしぇくる」になったんですね。

 その「せせくる」というのは、くすぐるみたいに微妙に触ったり、いじったりすることらしいのですが、「くすぐる」とも「触る」とも「いじる」とも微妙にニュアンスが違っていて、どうしても「せせくる」としかいいようがないそうなのです。

 呉の言葉で「みてる」というのがあります。これは「無くなる」ことなんです。

 我われが会社に入ったとき(入社して最初の配属先が呉でした)に、文房具セット一式を配布されたのですが、数日後に、同期のひとりがその中の消しゴムをなくしてしまいました。そこで新しい消しゴムをもらうべく、担当者(呉の人)のところに交渉にいったのです。

「すみません。消しゴムをなくしちゃったんですけど」

「あら。もうみてたん?」

「いや、見てないときに無くなったんです」

 まったく話がかみ合っていません。

 ちなみに「みてる」というのは、彼のように過失で無くす(紛失する)のではなくて、きっちりと使い切って無くなっちゃうことを指す言葉です。

 もうひとりの友人は、新入社員実習のさなかに、その職場の先輩社員から、

「映画に行っとるかいの?」(彼にはそう聞こえた。)

 と聞かれ、『えっ? なんでそんなこと聞かれるんだろう?』と悩みながらも、

「いえ。入社してからは行ってません」

 と真剣に、そして正直に答えたそうです。

 実はこのとき先輩が聞いたのは、

「ええがぃにいっとるかいの?」

 標準語に直すと「いい具合にいってますか?」、つまり「うまいこと進んでいますか?」と、彼の仕事の進捗状況を確認してくれたのです。それなのに彼は、入社してからずっとうまくいっていないと……(爆)

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〔この一品〕 野毛「焼肉大衆」のジンギスカン焼き

「焼肉大衆」


 野毛「焼肉大衆」の人気メニューは、店頭の赤いファサードテントにも大書されているとおりホルモン焼(280円)とジンギスカン焼(380円)の2品です。店内では写真撮影禁止なので、ブログでご紹介する機会は減っているものの、店そのものは相変わらずの大人気。ひとり、ふたりで行っても入れないことも多い状態です。

 今日はひとりで出かけていって、たまたま空いていたカウンター席(つめて10人、普通は9人分)の一番奥へ。ここのカウンター席は二人に1台の割合で、カウンターに焼肉コンロが埋め込まれていて、そこでひとり焼肉、ふたり焼肉を楽しむことができるのです。カウンター背後には普通は6人、ギュッと詰めれば8人くらい座れるテーブル席が3卓あって、グループでテーブルを囲むことも可能です。

 この店は、昔から生ホッピーが飲めることでも知られていて、現在も白、黒の生ホッピーがそれぞれ350円という低価格です。逆に瓶のホッピーは置いていません。

 さっそく白生ホッピーをもらって、食べ物はもちろんホルモンとジンギスカンを、それぞれ1人前ずつ。肉を待つ合いの手にキムチ(250円)ももらいます。

 この店でまず特筆すべきは、その店内の美しさ。いたるところがピッカピカに磨き上げられ、焼肉屋なのにちっともベタついたところがないのです。お父さん、お母さん、そして息子さんという家族3人で切り盛りされているのですが、みなさんかなり几帳面な方なんでしょうね。几帳面であるということは、飲食店という商売にはものすごくプラス方向に効くと思います。

 キムチをつまみながら、ホッピーをチビチビやっているところへ、カウンターの中のお父さんから、ホルモンとジンギスカンが一緒盛りになった皿が出されます。これらはともに、ちょっとピリ辛の“もみだれ”で下味が付けられていて、それを目の前のコンロで焼いた後、小皿の“つけだれ”をつけていただきます。

 ひとり焼肉の醍醐味(だいごみ)は、なんといっても自分ひとりのペースで肉を育てられること。だれにも遠慮はいりません。

 飲むほうが主体の私は、どちらかというとつまみはちょっとずつ、ゆっくりと食べるのが好み。これは焼肉になっても変わりません。

 焼くのにちょっと時間がかかるホルモン(腸)を2切れほどコンロの左側に並べておき、次にジンギスカン(羊肉)を1枚、右側の手前側に置きます。ジュ~ンという肉の焼ける音をつまみに生ホッピーをぐびり。

 ここのジンギスカンは若焼きにしたほうが圧倒的に美味しいので、焼き目がついたなぁ、と思ったところでジンギスカンをひっくり返し、それと同時に、新しいジンギスカンをもう1枚、先ほどのジンギスカンの上(右側の奥)に並べておきます。

 すぐに手前にある、先に焼いていたジンギスカンができあがるので、これをとってつけだれにつけてパクリ。あぁ、このやわらかさ、この肉の味わいがたまらん。ここでグイッと生ホッピーです。

 で、奥のジンギスカンをひっくり返しながら手前に置き、空いた奥側のスペースに新たなジンギスカンを1枚置いてという流れ作業を繰り返します。ときどき、左側のホルモンをケアするのも忘れずに!

 ジンギスカンを数枚食べることに、ホルモンも焼けてくるので、それをジンギスカンの合いの手につまみます。

 お腹がすいている間は、どうしても早く焼けてくるジンギスカン主体の飲み方になってしまうんですよねぇ。1人前のジンギスカンを食べ終えるころ、やっとお腹も落ち着いて、ホルモンの弾力感で飲むホッピーが、とてつもなくおいしくなってくるのです。

 ホッピーのおかわりは、今度は黒生(同じく350円)にしましょうね。

 ゆっくりとホルモンを楽しんで、最後に、ここ(「焼肉大衆」系列の店)でしか食べられないジンギスカン(380円)をもう1人前いただいて、1時間ほどの「ひとり焼肉タイム」。お勘定は1,990円でした。やぁ美味しかった。どうもごちそうさま!

 上着を入れる大きなビニール袋を貸してくれるので、においがつかないのもいいんだよなあ。

《「焼肉大衆」は写真撮影禁止。以下の写真は昔のものです。》
100120a 100120b 100120c
ホルモンとジンギスカン / 埋め込みコンロで焼く / 生ホッピー

店情報前回

《平成21(2010)年1月20日(水)の記録》

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くじら珍味晩酌セット … 居酒屋「とっちゃんぼうや」(立石)ほか

鯨珍味晩酌セット


 立石も3軒目ともなると、酔いで満腹中枢もマヒしてくるのか、またまたがっつりと食べるべく「とっちゃんぼうや」へ。ここは、数え切れないほど並ぶ和洋中の食べ物メニューが大人気の居酒屋。

 さらにその上に、今日は「特別メニュー」なんてのもぶら下がっていて、そこには鯨珍味晩酌セット(ベーコン、切ウネ、さえずり(舌)の3点盛り、1,200円)や、明太山芋鉄板焼き(700円)、美人ちゃん(とん足炭火焼き、600円)、あじの大葉揚げ(4串450円)などが並んでいます。特別と言われると、ついついたのんでしまいますねぇ。

 「とっちゃんぼうや」でたっぷりと食べた後、京成立石駅で各方面に帰るみなさんたちと解散。私は、冷蔵庫前のYちゃんと二人、西武新宿線方面へ。

 当然のように、そのまままっすぐ帰るわけはなく、沼袋(ぬまぶくろ)駅で途中下車して、まずはもつ焼き「ホルモン」へ。この店は午後10時閉店なので、残りは30分ほど。レバちょいやき(1本120円)を2本ずつとお新香(110円)をもらって、焼酎の梅割り(230円)で乾杯です。

 さらにもう1軒と、今年3月にオープンした、やきとん「たつや」です。土日祝は午後11時閉店(10時半ラストオーダー)なので、ここも営業時間はあと少し。

 日替りの「本日のもつやすめ」メニューから、はらみたたきポン酢(250円)や、みょうが味噌焼き(1本150円)。通常メニューからはエリンギ巻き(1本150円)をもらってグビッと一献。

 最後は鷺ノ宮(さぎのみや)の「満月」で締めて、立石の「宇ち多゛」から始まった6軒のハシゴ酒を終えたのでした。あぁ~よく飲んだ。

100626g 100626h 100626i
「とっちゃんぼうや」 / 生キャベツ / あじの大葉揚げ

100626j 100626k 100626l
若鶏の唐揚 / お好み焼き / グラタン

100626m 100626n 100626o
「ホルモン」レバちょい焼き / 焼酎梅割り / 「たつや」

100626p 100626q 100626r
はらみたたきポン酢 / エリンギ巻き / みょうが味噌焼き

・「とっちゃんぼうや」の店情報前回)/「ホルモン」の店情報前回)/「たつや」の店情報前回)/「満月」の店情報前回

《平成22(2010)年6月26日(土)の記録》

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ふぐひれ酒が290円 … 「ゑびすや食堂(えびすやしょくどう)」(立石)

あさり汁にひれ酒


 「宇ち多゛」を出たところで、cafegentさんとも合流し、ワイタベさんが飲んでいるという「ゑびすや食堂」へ。

 別に打ち合せをしたわけじゃないのに、大勢の呑ん兵衛が集結してくるというのが立石という町のすごさですねぇ。「宇ち多゛」のアンチャン(三代目・内田朋一郎さん)がよく『立石は大人の遊園地』と言ってるけれど、まさにそんな感じ。1~2日程度では、行きたいところのすべてを回りきれないところも遊園地に似ています。

 さて「ゑびすや食堂」。食堂という名のとおり、ここは基本的には朝早く(08:30)から夕飯どき(20:30)まで、中休みなしで営業している大衆食堂。しかしながら、朝からビールやチューハイ、ホッピーに日本酒なども飲めるとあって、酒場ファンの間ではもっぱら大衆酒場として利用されているのでした。

 店内はL字のカウンター席と、テーブル席が何卓か。L字カウンターの短辺のところで飲んでいるワイタベさんのとなりに座らせていただいて、飲み物も、これまたワイタベさんが飲んでいるのと同じ、ふぐのひれ酒(290円)をもらいます。

 これは切り落としたふぐの鰭(ひれ)を焦げ目がつくまで炙ったものに、熱めに作った燗酒を徳利(とっくり)から注いで、ふたをし、ひれの味と香りが移った燗酒をいただくというもの。できあがりにポッと火をつけて、アルコール分を飛ばすという飲み方もあるようですが、アルコール分にむせない呑ん兵衛さんなら、そのままでも大丈夫。ちょっと琥珀色に色づいた日本酒のおいしいこと。

 つまみにはアサリ汁(230円)をもらうと、ご飯用の大きな茶碗にたっぷりにアサリ汁が出されます。アサリの出汁(だし)がよく出たアサリ汁をすすりながら、フグの出汁がよく出たひれ酒をちびりちびり。ときどきアサリの身をつつく以外は、お箸いらずの酒と肴です。

 1本目の燗酒は飲み干したものの、このふぐひれは、まだまだ味が出そう。

「お酒の部分だけをおかわりするには、どう注文すればいいんですか?」

 となりにいるワイタベさんに確認すると、

「つぎ酒(つぎしゅ)をください、とお願いするといいんですよ」

 と教えてくれます。ワイタベさんはふぐが大好きで、若くて給料が少なかったときにも、給料が出るとド~ンとふぐを食べに行って、次の給料日までは慎ましい生活を送っていたほどなんだそうです。

 徳利で出されるつぎ酒は、普通の日本酒(250円)をもらうのと同じ値段。予想どおり、2本めのお酒でも十分にコクのあるひれ酒が楽しめました。

 お勘定は個別。私はアサリ汁にひれ酒+つぎ酒で合計770円でした。ごちそうさま。

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「ゑびすや食堂」 / ふたをしてしばらく待つと / ひれ酒ができあがる

店情報前回

《平成22(2010)年6月26日(土)の記録》

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行列なしですんなりと … もつ焼き「宇ち多゛(うちだ)」(立石)

「宇ち多゛」


 土曜日の今日は、宇ち中(うちちゅう)さんと示し合わせて午後1時半に立石です。

 土曜日の「宇ち多゛」は昼前に開店。開店直後の1時間ほどは客の回転も悪いので、開店と同時に入らないのであれば、少し遅らせて行くほうがいいのです。そんな読みが功を奏したのか、午後1時半の「宇ち多゛」は、なんと行列なし。すんなりと店内へ案内されます。こんなことは初めてだなぁ。

 さっそく大瓶ビール(キリンラガー、540円)をもらって乾杯し、おかず(←「宇ち多゛」では料理のことをこう呼びます)は煮込み(180円)と、お新香・生姜のっけて・お酢(180円)からスタートです。

 お新香は、通常は大根とキュウリのぬか漬けに醤油をかけて、紅生姜をトッピングしてくれます。「生姜のっけて」というオプションを付けると、トッピングの紅生姜の量を増やしてくれます。「お酢」は醤油をかけた後、さらにお酢もかけてくれます。「かけないで」と注文すると、醤油もお酢もかけないお新香を出してくれます。

 続いてはアブラ・多いとこ・素焼き・お酢(2本180円)。「多いとこ」は、アブラの中でも、さらにアブラの部分が多いものを出してくれます。「素焼き」は、塩・タレの味付けをしないで焼き上げて、仕上げに醤油をかけてくれる食べ方。さらに「お酢」オプションを付けると、お酢もかけてくれます。

 飲み物を焼酎梅割り(180円)に切り換えて、シロ・タレ・よく焼き(2本180円)を注文します。

 モツの部位+味付け+焼き方という注文が、「宇ち多゛」のたのみ方の基本。慣れないうちは、「レバを塩で」「シロをタレで」といった具合に、部位+味付けでも十分です。焼き方は若焼き(わかやき)か、よく焼きが選べます。

 途中からなおとんさんや、冷蔵庫前のYちゃんも合流して、2時間近くの滞在は、宇ち中さんと2人で3,600円(ひとりあたり1,800円)でした。ごちそうさま。

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お新香と煮込み / アブラ多いとこ / シロタレよく焼き

店情報前回

《平成22(2010)年6月26日(土)の記録》

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秘伝・しじみ醤油漬け … 中華料理「第一亭(だいいちてい)」(横浜・日ノ出町)

しじみ醤油漬け


「シジミの作り方はお父さんしか知らないのよ」

 横浜での仕事を終えて、横須賀在住のMさんと二人、ここ「第一亭」にやってきて、シジミの醤油漬け(600円)をつつきながら、紹興酒をいただいています。

「生のようなんだけど、生じゃない。かといって火が通っているようでもない。どうやって作るんだろうねぇ、この醤油漬け」

 と不思議そうにMさんと話していたら、カウンターの中のお姉さん(店主の娘さん姉妹のお姉さん)が、冒頭のように話してくれたのです。

 この店の中華料理は、中華の中では台湾料理の系統。店主であるお父さんが台北の出身で、亡くなったお母さんが台南の出身。お二人ではじめた店なので、台北の料理や、台南の料理があるのです。

「若いころのお父さんは、それはもう飲む打つ買うで、お母さんを困らせたのよ。今は一所懸命お店で働いてくれてねぇ。これまでの人生で、一番働いているかも! お母さんが見たらきっと驚くわ」

 と笑うお姉さん。お父さん(店主)は大正10年生まれ。今年で89歳になります。

「今日はチマキもあるけど、食べてみますか。台南風のこのチマキは、お母さんの自慢料理だったのよ」

 できたてのチマキは、あら熱を取るために天井からずらりとぶら下がっていて、その中から1個を取ってくれます。

「ニンニク醤油を出してあげなきゃ」と店主。この台南風チマキにはニンニク醤油がよく合うんだそうです。

 生の豚腸を強力な火力で一気に炒めたホルモン炒め(600円)や、豚胃(チート)生姜炒め(600円)などのホルモン料理が人気の「第一亭」ですが、青梗菜(チンゲンサイ)を炒めた青菜炒め(500円)などの野菜メニューや、豚と鶏と野菜を何時間も煮込んで作る昔ながらのスープを使った麺類なども自慢の品。

 このスープを使って作る“おじや”(600円)は、量もたっぷりで、飲んだ後の締めにも最適です。

 「第一亭」でたっぷりと食べた後は「ホッピー仙人」へ。今日も満席の店内で、久しぶりの生ホッピー(500円)とハーフ&ハーフ(500円)を飲んで、都内の自宅へと帰ったのでした。

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「第一亭」 / 台南風ちまき / ずらりとぶら下がったちまき

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ホルモン炒め / レバニラ炒め / おじや

店情報前回

《平成22(2010)年6月25日(金)の記録》

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〔コラム〕 東京~広島、行ったり来たり

 週明け、月曜日の午前中は本社(都内)で会議。情報伝達的な会議であればテレビ会議でも十分だけれど、みっちりと議論しなければならないときは、やっぱり同じ場で頭をつき合わせていないと、うまくまとまらない気がしますねぇ。

 午前中に会議が終われば「宇ち多゛」の口開けに立ち寄ってから広島に帰ろうと思っていたのですが、残念ながら会議は午後までの延長戦。行くことはできませんでした。久しぶりにホネやシンキが食べられると思ったのになあ。。。

 しかしながら品川を午後3時半頃に出る新幹線には乗れたので、呉に着いたのは午後8時半過ぎ。駅前の「森田食堂」で夕食とします。

森田食堂 まずは奥の席に陣取って、女将さんに中ごはん(180円)と味噌汁(100円)を注文しておいて、入り口横の陳列冷蔵庫のところにおかずを選びに行きます。今日は小イワシ煮(300円)とポテトサラダ(250円)にしましょうか。

 本当はビールの1本も飲みたいところですが、金・土・日と三日間続けて、浴びるようにお酒を飲んだ後なので、今日は止めておいたのでした。お勘定は830円。

芝浦食堂 あけて火曜日は、いつもどおり呉で仕事をして、翌水曜日は、午後からの都内での打ち合せに向けて早朝から新幹線で移動。ちょうど昼ごろ、品川に到着し、昼食は「芝浦食堂」へ。久しぶりのサーロインステーキ定食(なんと600円!)です。決してやわらかい肉ではないけれど、グイグイとナイフで切りながら口にほうりこむと、グングン元気がわいてくる感じがしますねぇ。

広島駅弁うどん せっかく東京まで来たけれど今日は日帰り。夕方には新幹線の人になり、広島駅で呉線に乗り換えるついでに、在来線1番ホームの立ち食いうどん屋で天ぷらうどん(340円)。カリッとかたくて具の少ないかき揚げ天ぷらと、ホニャッとやわらかく腰のないうどんがここの天ぷらうどんの特徴。ほめてるようには聞こえないかもしれないけれど、このうどんがいかにも広島らしくて大好きなのです。夜行寝台列車(あさかぜ)で出張していた頃から、よく食べたもんなぁ、ここのうどん。

 単身赴任社宅に戻り、買い置きしてあるミックスナッツをつまみながら缶ビール。長い水曜日が終わります。

 木曜日は丸1日、呉で過ごし、会社帰りにちらりと「オオムラ」。塩っけの強いピーナッツ(200円)をつまみながら生ビール(500円)を2杯飲んで、お勘定は1,200円。明日に備えて早めに帰宅です。

濱そば 金曜日はまたまた早朝から、今度は横浜に向けて移動です。横浜はゴールデンウィーク前に行ったっきりで、本当に久しぶり。ちょうど昼ごろに新横浜に到着し、昼食は在来線ホームにある「濱そば」で、かき揚げ天玉そば(420円)です。横浜にいる頃は、これを食べてから新幹線に乗り込んだのですが、今は新幹線を降りて「濱そば」ですもんねぇ。つぶした黄身をからめ、からめしながらいただきます。

 さあて。午後の仕事が終わったら、どこに行こうかな。。。

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〔この一品〕 阿佐ヶ谷「川名」の焼き鳥

チキンセット


 昭和46(1971)年6月に創業した「川名」。来年で創業40年となります。

 もともと精肉屋だったので、創業当時からの看板メニューが焼き鳥。店の看板にも“焼鳥割烹”と書かれています。

 その焼き鳥は、大きく分けると、鶏の串焼きと、豚の串焼きとに二分されます。

 鶏の串焼きは、自家製つくね(115円)、ねぎま(105円)、若鳥(105円)、すなぎも(105円)、鳥皮(84円)、鳥レバ(105円)、ハツ(105円)、鳥にんにく串(105円)、鳥中おち串(126円)、鳥なん骨串(105円)、手羽中串(168円)、皮にんにく串(168円)などの十数種類。

 豚は、豚レバ(105円)、カシラ(105円)、ナンコツ(105円)、タン(105円)、白もつ(84円)、豚バラ串(126円)、豚トロ串(126円)、豚にんにく串(105円)などの十種類弱。

 その他に、ハラスサーモン串(168円)や合鴨団子串(168円)などもあって、全体では20種類強のラインナップです。

 焼き鳥は店頭に設置されている焼き台で、炭火焼されます。味付けは塩かタレ。

 ここの焼き鳥や煮込みは、お持ち帰り用として店頭でも販売されています。お持ち帰り用は、待ち時間を少なくするため、あらかじめ焼き上げたものを大皿にずらりと並べていて、注文を受けてピッチリと密封できる紙袋に入れてくれます。紙袋のまま電子レンジで温めれば、熱々の焼き鳥が食べられる仕組みです。

 店内で焼き鳥を注文した場合は、カウンター上の保冷庫に置かれているネタが、店頭の焼き台担当者に手渡され、生の状態から焼き上げてくれます。

 鶏系の串焼きを盛り合わせたチキンセット(冒頭の写真、504円)や、豚系の串焼きを盛り合わせたニュートンセット(609円)というメニューもあるので、焼き鳥をひととおり食べてみたい場合には、これらを注文するのがおすすめです。

 チキンセットは、ねぎま、鳥レバ、鳥皮、若鳥、砂肝の5本。ニュートンセットは、たん、はつ、かしら、白もつ、なんこつ、豚レバの6本で、それぞれ個別に注文した場合の合計と同じ値段です。

 ここ「川名」では、その日の仕入れに応じて日替わりでホワイトボードに書き出される魚介や野菜のメニューも大人気。

 たとえば今日のボードに並ぶ刺身(各420円)メニューはボラ、ビンチョウマグロ、甘エビの3種。ボラの刺身は珍しいので、さっそく注文します。

 ボラの刺身は4年ほど前に船橋の「三番瀬」で食べて以来。そのとき、ボラのおいしさに驚いている私に、「三番瀬」の店主が「ボラはキ水域に住んでいて川底・海底の泥といっしょに苔などを食べるので、その餌の味がそのまま身の味になってしまう。現在は東京湾もよみがえったので、活ジメのボラはうまいんだ」ということを教えてくれました。

 今日の「川名」のボラ刺身もすばらしいですねぇ。見た目にも美しく、食べてもうまい。

「残念ながらまだまだ『ボラはまずい』という定説は蔓延していて、市場でも安い魚です。市場で安いから漁師もボラがとれても大事にしない。ボラがとれてもすぐその場で活ジメにしたりして市場でいい評価を受けるようにしないんです。そんな悪循環が、ますますボラの品質を悪くしてしまってるんですね」

 と語ってくれた「三番瀬」店主の言葉を思い出しました。こんな立派なボラを入手できるようになってきたということは、悪循環も少しは改まってきたのかなぁ。。。

 生グレープフルーツサワーを2杯いただいて、1時間ほどの滞在は1,596円でした。どうもごちそうさま。

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「川名」 / ボラ刺身 / 自家製つくね

店情報前回

《平成21(2010)年1月17日(日)の記録》

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〔コラム〕 日経MJ「若者はしご、町酔わす」

日経MJ「若者はしご、町酔わす」


 先週、7月7日(水)付けの日経MJ(流通新聞)に「若者はしご、町酔わす」という記事が掲載されました。

 日経MJの記者さんから、

「飲み歩きが東京をはじめ全国的に広がっているといった記事をまとめたいので、コメントをいただけないでしょうか」

 というご依頼があったのが1ヶ月ほど前のこと。ちょうどその週末に帰京する予定があったので、日曜日に近くの喫茶店でお会いすることになりました。

- 「東京飲み歩き手帳」(2010年3月23日、ぴあ、1,000円+税)出版の経緯を教えてください。

 これまでの4冊(酒場百選、東京居酒屋名店三昧、ひとり呑み、もつマニア)は、それぞれ出版社から企画をもらって書かせていただいたものですが、今回の「東京飲み歩き手帳」は、はじめて自分で企画を出して出版していただいた本です。自分自身が一番欲しい(金を出してでも買いたい)と思う本を提案しました。

 わざわざ出かけて行っても飲みたいのが、その地域に昔から根付いている大衆酒場ですが、名店と呼ばれる大衆酒場のほとんどは予約ができなくて、行ってみると満席で入れないなんてことも多いのです。そんな時に、その近くにある他の名店が、サッと簡単に調べられるポケットに入るサイズの本があると、とてもありがたい。

 目指す酒場に入れた場合でも、2軒目、3軒目のハシゴ酒コースを検討するのにも役に立ちます。

 特定の店をピンポイントで探すにはネットが便利ですが、その地域全体をざっくりと把握するには印刷された媒体が向いています。なので各店の記述は営業時間や定休日など、必要な最小限度にとどめ、掲載軒数を多くして、その地域の名店はできるだけ網羅することを重視しました。

- 大衆酒場などの飲み歩き(はしご酒)が人気を集めるようになったのはなぜだと思いますか?

 長引く不況で接待や社内宴会などの場が減ってきて、自分の小遣いで、自分の楽しみのために飲むことが増えてきてるのではないでしょうか。不況になると立ち飲みが流行ったり、大衆酒場が流行ったりするようです。

 これまでは、その地域に住んでいる人しか知らないような存在だった大衆酒場が、インターネットという『大きな口コミ媒体』を通して、広く知られるようになったのも大きいのではないかと思います。店の存在だけではなく、その店でオススメの料理や値段、その店での過ごし方なども含めて紹介されることによって、大衆酒場の敷居の高さが下がってきたんではないでしょうか。

 実際に大衆酒場に行ってみると、店の人や周りのお客との適度な距離感がとても心地いいんです。放課後の部室のような、フッと気が抜ける空間。利害関係のない人たちの中で、黙っていてもいいし、話してもいいし。その気楽さがいいんです。

 最近は世の中の移り変わりも激しく、仕事でも常に変化、革新を求められます。そんな中にあって、変わらないのが酒場の魅力。何ヶ月ぶりにいっても、何年ぶりに行っても、いつもと同じ人がいて、いつもと同じ料理があって、いつもと同じ酒がある。ものすごく安心できる空間なのではないでしょうか。

- 大衆酒場の魅力はなんでしょう?

 「東京飲み歩き手帳」の中では、大衆酒場の魅力として次の4点を取り上げました。

(1)値段が安い … 2品と2杯で、客単価1,500円未満。毎日のように出かけることができる。

(2)料理がおいしい … 人気の大衆酒場では安い素材に、手間ひまをかけることによって、呑兵衛好みの安くてうまい料理を出してくれる。

(3)ひとりで行ける … 大衆酒場は基本的にひとり客を対象として作られている。店内もカウンター席主体だし、料理もひとりで食べるのにちょうどいい分量である。

(4)気楽に行ける … 仕事が終わった後、予約も必要なく、普段着のままでもふらりと立ち寄れるのが大衆酒場のいいところ。何十年も続く老舗酒場であっても、普通にふらりと入ることができる。

- 最近ホットなエリアや個店の情報を教えてください。

 このところのホルモンブームもあって、老舗のもつ焼き店で修業した人が独立して、新しいもつ焼き店を開く例が多くなっています。これらの店では、修業先の老舗と同じクオリティの料理が、比較的安く味わえたりするのもうれしいところ。

 北千住「ささや」(平成19年創業)は銀座の老舗「ささもと」で、野方の「すっぴん酒場」(平成18年創業)は神田の老舗「三政(さんまさ)」で、同じく野方の「秋元屋」(平成16年創業)は埼玉・蕨(わらび)のみそ焼きで有名な「喜よし」(←こちらも大衆向けのお店です。)で修業をして、それぞれの老舗の流れをくんで開店したもつ焼き店です。

 去年から今年にかけては、その「秋元屋」で修業した若手の店も続々とオープンしていて、それぞれ店も新しくて、女性でも入りやすい造りになっています。中板橋の「万備(ばんび)」(平成20年4月開店)、富士見台の「くろちゃん」(平成21年6月開店)、上板橋の「ひなた」(平成22年1月開店)、沼袋の「たつや」(平成22年3月開店)などが、「秋元屋」出身者の店です。

 立ち飲みで、和の料理が安く楽しめる酒場も人があふれています。東の「徳多和良」(北千住)、西の「おかやん」(中野)などがその代表格。八戸直送のイカ料理の数々が1品170円で並ぶ荻窪の「やき屋」も相変わらず人気店です。

 もともと人気があった老舗酒場は、どこもますます人気が出てきているらしく、店の前に行列があることもしばしばです。立石の「宇ち多゛」「江戸っ子」「ミツワ」、四ツ木の「ゑびす」、八広の「丸好酒場」、北千住の「大はし」「酒屋の酒場」、町屋の「ときわ食堂」、日暮里の「いづみや」、南千住の「大坪屋」「丸千葉」、浅草橋の「西口やきとん」「やまと」、木場の「河本」、門前仲町の「魚三酒場」「大坂屋」、豊洲の「山本」、月島の「岸田屋」、新橋の「大露路」、浜松町の「秋田屋」、三田の「たけちゃん」、恵比寿の「たつや」、渋谷の「富士屋本店」「細雪」、祐天寺「ばん」、世田谷「酒の高橋」、水道橋「うけもち」、四ツ谷「鈴傳」、新宿の「つるかめ食堂」、阿佐ヶ谷「川名」、練馬「金ちゃん」、池袋「ふくろ」、東十条「斎藤酒場」、赤羽の「まるます家」「いこい」、王子の「山田屋」「平澤かまぼこ」、武蔵小山「牛太郎」、蒲田「鳥万本店」、雑色の「三平」などがその好例です。

- 飲み歩きの流行に伴い生じている課題と初心者へのアドバイスをいただけますか。

 大衆酒場の作法について、「東京飲み歩き手帳」の中では以下の4点を挙げました。

(1)おじゃましますの気持ちで臨むこと … どの大衆酒場も、その地域の常連さんにとっては毎日の日常の場。予約を取って行くような、ハレの空間としてのレストランとは違って、まったくのケの空間であることを認識して、その空気(雰囲気)を壊さないように、「ちょっとだけお邪魔します」という気持ちで臨むことが大事です。「うまいうまい」と大騒ぎをしたり、あちこちにカメラを向けたりすることはご法度です。

(2)一人か二人で行くこと … 3人以上で出かけると、その酒場ならではの雰囲気がわかりにくいばかりか、他のお客さんにもご迷惑をかけてしまいます。一人か二人でその酒場そのものを楽しむのがいいのではないでしょうか。

(3)たのみ過ぎず、たのまな過ぎずを心がけること … 大衆酒場は薄利多売をむねとしているところが多いのです。喫茶店とは違うので、飲み物を目の前に置いたまま話し続けるのはNG。店に居るならしっかり飲み食いするし、飲み食いしないならサッと席を立って、待っている人たちに場所を譲りましょう。たのみ過ぎるのもまた迷惑。目の前に常に1~2品の料理とお酒があるのがちょうどいい状態だと思います。

(4)まわりの空気にゆっくりと浸ること … 温泉に浸かって身体の疲れを取るのと同じように、心地よい酔いに身をまかせながら、その酒場の空気にどっぷりと浸かって、「酒場浴」を楽しむのがいいですね。

            ◇   ◇   ◇

 思いつくままにそんな話をさせていただいたものを、記事の一部分として載せていただいたのでした。10日ほど前の新聞なので、入手するのが難しいかもしれませんが、裏1面の大きな記事なので、ぜひご笑覧いただけるとありがたいです。

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〔この一品〕 下井草「御天」のせん菜炒め

せん菜炒め


 「御天」のつまみでは、やっぱりこれが一番好きだなぁ。せん菜(さい)炒め(550円)。

 簡単に言ってしまえば、細切りチャーシュー入りモヤシ炒めなんだけど、モヤシ(せん菜)がいいのか、チャーシューがいいのか、味付けがいいのか、はたまた炒め方がいいのか。

 せん菜炒めを最初に食べたのは今から3年前。平成19(2007)年2月3日(土)のことでした。ここ「御天」の常連さんである酒友・にっきーさんにオススメの一品として紹介してもらったのです。

 それ以来、シャキッとしたせん菜の歯ごたえと、口に中にジワァ〜ッと広がるなんともいえない旨みが忘れられず、ここに来るたび、いつも注文しているのです。

 お皿に山盛りで出てくる、その姿もまたすばらしい。ボリューム感あふれるその山を、てっぺんのほうからワシワシと食べ崩していくのも、これまた満足感たっぷりでいいんですよねぇ。「食ってるぞぉ〜っ」という感じがする。

 この店にやって来るのは、だいたい日付けが変わった後。深夜も深夜という時間帯です。飲みはじめにいくらガッツリと食べていても、そのくらいの時間まで飲み続けているとまたお腹がすいてきて、身体に悪いと思いながらもついアレコレと食べてしまうのです。

 考えてみれば、飲みはじめの午後7時ごろから、日付けをまたぐ午前0時までという時間は、朝食から昼食までの時間と同じくらいですもんね。腹が減るのも無理はない。

 博多出身の店主・岩佐俊孝さんが、博多屋台のように「飲んで、つまんで、仕上げにラーメン」という店を目指して、平成7(1995)年に開店したのがここ「御天」。だからこの店は、長浜ラーメンが食べられるラーメン屋であるとともに、立派な酒場でもあるのです。

 せん菜炒め(550円)以外にも、博多鉄鍋餃子(2人前〜)や、手羽先の煮込み(1本120円)、ざく切りキャベツ(200円)、マカロニサラダ(320円)、ポテトサラダ(350円)、タラモサラダ(400円)、おつまみザーサイ(300円)、おつまみキムチ(300円)、おつまみメンマ(300円)、黒豚おろし水餃子(6個500円)、ぴり辛リブ(500円)、肉野菜炒め(600円)、ネギチャーシュー(550円)、あったかネギチャーシュー(550円)、ピータン(450円)、ピータン豆腐(600円)、豚キムチせん菜(800円)、軟骨ステーキ(700円)、ポークソテー(900円)などなど、軽いつまみから、しっかりと腹にたまる一品料理までがずらりと並んでいます。

 飲み物も、ビール(生・瓶)に、各種チューハイ類のほか、焼酎は芋、麦、そば、ごまなど各種が400円から、日本酒も燗酒二合(鬼ごろし450円)や菊水(450円)、一ノ蔵(450円)が並び、他にも各種梅酒や果実酒、紹興酒や、ウイスキーまでそろっているのです。

 飲み物のほうのマイブームは、“甘くないシークァーサーサワー”(400円)。メニューにはシークァーサーサワーとしかありませんが、にっきーさんが「甘くないのを」と注文していたので、真似するようになったのでした。

 ひとしきりつまんで飲んだら、仕上げはラーメンです。

 ラーメンも、基本のラーメン(700円)からはじまって、生にんにくラーメン(750円)、のりラーメン(800円)、たまごラーメン(800円)、きくらげラーメン(800円)、温泉たまごラーメン(800円)、せん菜ラーメン(900円)、キムチラーメン(900円)、ザーサイラーメン(900円)、メンマラーメン(900円)、タイ式ラーメン(900円)、ネギラーメン(900円)、チャーシューメン(1,000円)、インド式ラーメン(1,000円)、リブラーメン(1,100円)、黒しゃぶラーメン(1,100円)と幅広いラインナップ。

 最近は、これまたにっきーさんにならって「脂(あぶら)抜き、粉おとし。生にんにくを別皿で」と注文することが多くなっています。

 “脂抜き”と注文すると、スープに入れる脂分をなくしてくれます。

 “粉おとし”というのは、麺のかたさの注文です。麺のかたさは6段階あって、かたいほうから、粉おとし→ハリガネ→バリカタ→カタメン→ヤワメン→バリヤワで、通常(ノーマル)はカタメンです。

 生にんにくを別皿でもらうのは、1人前の生にんにく(50円)がけっこう多いので、2〜3人で分けあって食べるためです。一人で全部食べるのであれば、最初から生にんにくラーメンを注文しても同じです。

 このラーメンに、カウンター上に置かれているゴマや紅ショウガを大急ぎでトッピングして食べ始めます。麺がものすごく細いので、ゆっくりしていると伸びてしまうのです。せん菜炒めが残っていたら、それをのせるのもおすすめ。最近は、そのためにせん菜炒めを少しだけ残しておくようにしているほどです。

 途中まで食べたところで胡椒を入れたり、辛し高菜(これもカウンター上に置かれている)を入れたりすると、味がぐんと変わってまた楽しい。辛し高菜はものすごく辛いので、入れ過ぎないように気をつけましょう。

 「御天」は、ここ下井草の井草本店のほか、JR代々木駅東口の近くに千駄ヶ谷店があるそうです。私も一度、千駄ヶ谷店にも行ってみようと思いながら、いまだに実現できていないのでした。

店情報前回

《平成21(2010)年1月11日(月)の記録》

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会話の渦に酔いしれる … 「兵六(ひょうろく)」(神保町)

「無双」の湯割り


 木場(きば)の「河本」を午後7時過ぎに出て、となり駅の門前仲町(もんぜんなかちょう)へ。トコトコと歩いても10分ほどの距離なのです。いつものように「魚三酒場」のにぎわいや、「だるま」や「大坂屋」の様子を観察したあと、地下鉄(都営大江戸線)に乗り込みます。森下で都営新宿線に乗り換えて神保町へ。今日の2軒目は「兵六」です。

 店に着いたのは午後8時。金曜日とあって、外からもそれとわかる大にぎわい状態です。これは無理かな、と思いつつも「こんばんは」と縄のれんをくぐって店内へ。

「いらっしゃいませ」と笑顔を見せてくれる店主・柴山真人(しばやま・まさと)さん。「ここにひとり入れてあげてください」と先客にお願いしてくれて、ギュギュッとカウンターの一番奥に、ひとり分の空席ができました。みなさんご協力いただき、ありがとうございます。

 この店のカウンターの椅子は、2本の丸太を渡した長いすなので、ゆったりと座ることもできるし、込んでくると今のようにギュギュッと詰めあって座ることもできるのです。

 飲み物は芋焼酎「無双」(680円)をお湯割りでもらい、つまみには兵六自家製ぬかづけ七種盛(530円)を注文。このところ、この自家製ぬかづけにはまっていて、来るたびにこれをたのんでいます。

 自家製ぬかづけそのものがおいしいということもあるのですが、7~9種類ほど盛り合わせてくれる野菜のラインナップが、毎回ちょっとずつ変わるのもいいところなんですよねぇ。季節を感じるおつまみです。

 芋焼酎のお湯割りは、軽く燗をつけた焼酎が大徳利で出され、それとは別に小さな急須でお湯が出されます。一緒の出されるぐい飲みに、この両者を入れて、芋焼酎の湯割りを完成させるのです。

 焼酎通の話では、先にお湯を入れておいて、そこに焼酎を注ぐのがいいらしい。そのほうが焼酎の香りが立つんだそうです。

 今日の「兵六」も店内は見知った顔がずらりと並んでいます。みなさん本当に毎晩のようにやって来てるんですねぇ。

 コの字カウンターの真ん中に陣取る店主・真人さんを囲んでの談論風発。毎日、毎晩語り合ってもまだ語り足りない、そんなエネルギーあふれる会話の渦にもみくちゃにされながら酔っ払えるのがこの店のいいところなんだろうなあ。

 となりに座るYさんは酒場などの商業施設の企画・設計がお仕事。これまで手がけられた酒場の話や、広島、松山でのおすすめの酒場などを教えてもらいます。いい酒場を知るためには、酒場での呑ん兵衛同士の口コミに勝るものはありません。私にとってはもっとも信頼できる情報源のひとつです。

 閉店時刻(午後10時半)まで腰をすえて、今日のお勘定は1,210円でした。どうもごちそうさま。

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「兵六」 / 自家製ぬかづけ七種盛 / そろそろ閉店

店情報前回

《平成22(2010)年6月18日(金)の記録》

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〔お知らせ〕 「ブロガーおすすめのひとり飯」発売中

「ブロガーおすすめのひとり飯」


 成美堂出版から「ブロぐるめ!」とタイアップしたムック、「ブロガーおすすめのひとり飯」(950円+税)が、去る2010年7月2日に出版されました。

『有名食ブロガー29名による、究極の“読者目線”からできた新刊MOOK』

 というのが、そのうたい文句。登場ブロガーは次の29名です。

柳生九兵衛(B級グルメ王柳生九兵衛の「永久にB級!」)/gypsy(YAKINIQUEST)/GENET(フェティッシュダディーのゴス日記)/浜田信郎(居酒屋礼賛)/イノウエシンゴ(palog(ハンバーガーブログ))/大崎裕史(自称「日本一ラーメンを食べた男」の日記)/はんつ遠藤(ブログbyフードジャーナリスト はんつ遠藤)/米川伸生(回転寿司を愛してる!)/華麗叫子(ゴージャスカレー姉妹華麗叫子の胃袋は偉大なるコスモ)/鈴木絢子(絢子のセレブログⅡ)/倉嶋紀和子(古典酒場編集長 酔いどれブログ)/小谷あゆみ(べジアナあゆの野菜畑チャンネル)/okamooo(さぷら伊豆!渋谷の平日・伊豆の休日)/さとみ(てくてく日々帖)/瀬川あずさ(Azusa's Gourmet Diary)/白木あきこ(ほぼ日刊 追求!美食道)/く~(トコトコカフェメグリ)/麦酒男・タカバシ(生ビールブログ -とりあえず生!-)/kyah(漢(オトコ)の粋)/げん(しずる!写真グルメガイド)/スイーツ番長(スイーツ番長オフィシャルブログ「男のスイーツ」)/拳杉槙一(ワルメン・コスギのシェフブログ)/M(エム)(東京グルメ 居酒屋訪問記 ~銀座 六本木 赤坂 恵比寿などのレストランめぐり~)/ほんまちゃん(hommania+gourmet)/ラデュレ(きものライフアドバイザー佐保田 香織の「きものde美食」)/マッシー益子(マッシーのグルメ日記)、BMS12(No Meat, No Life.)/オニオン(★東京食べ繋ぎ★BY オニオン)/ぶれいぶ(日本食べある記@blog

 見ていただくとお気づきのとおり、「たしかにブログも書いてるけど、プロじゃん!」という方々もたくさん混ざっているのがおもしろい。

 ラーメンの大崎裕史さんとか、うどんのはんつ遠藤さんとか、B級グルメ王の柳生九兵衛さんとか。我われ酒場ファンにはおなじみの「古典酒場」編集長・倉嶋紀和子さんも登場されています。

 私もこの本の中の、「滅法たのし、ひとり酒!」というコーナーで4軒、「宵っ張りブロガーの深夜メシ!」というコーナーで2軒、そして「人気ブロガー対抗 私の絶品“昼めし”自慢!」というコーナーで1軒のお店をご紹介させていただきました。

 おもしろいのは「人気ブロガー対抗 私の絶品“昼めし”自慢!」。私自身、飲むところはそれなりに知っていても、食事だけするところはあまり知らないので、このコーナーでは酒場と食事処の中間のような銀座「三州屋」を挙げさせていただいたのですが、われらが倉嶋編集長はさすがに器が違います。いきなり新橋の立ち飲み「こひなた」をご指名。

「あれっ!? こひなたにランチなんてあったっけ?」と思って読み進めてみると、

『おかあさんたちの手作り惣菜で呑む黒ホッピーは至福の味』って。

 そうかぁ。編集長にとっては、つまみ+黒ホッピーがランチそのものなんだ! 徹底して酔人・紀和子を貫くその姿勢に、改めて感服したような次第です。

 そんなこんなで、この「ブロガーおすすめのひとり飯」。ぜひ手にとってご笑覧いただけるとありがたいです。

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真寿美さんからひと言 … 「河本(かわもと)」(木場)

ニコタマとホッピー


 大手町(東京)での仕事を終えて、地下鉄東西線でやってきたのは木場(きば)。1ヶ月ぶりの「河本」です。

 金曜日ながら、まだ午後5時と早いので、店内はまだチラホラと空席がある状態。その空席のひとつに座り、さっそくホッピー(400円)とニコタマ(煮込み玉子入り、300円)をもらいます。

 昭和23年にホッピーが開発されたときから、ずっと出し続けているという「河本」のホッピー。ほとんどの客がそのホッピーを注文します。ホッピーじゃない飲み物を注文すると、女将・真寿美さんが「うちはホッピー屋だよ!」と笑うほどのホッピー酒場ぶりなのです。

 なにがすごいって、飲み物メニューの中にホッピーはありません。みんなが注文するからメニューの必要すらないのかもね。

「最近は、ナカ、ソトって注文する人が多いのよ。うちにはナカ、ソトはないからね。ちゃんとホッピー(400円)か焼酎(300円)って注文しなきゃ」と真寿美さん。

 この店では、昔から焼酎も瓶のホッピーも冷蔵庫で冷して、氷を入れないジョッキで出してくれるので、ホッピー(400円)を注文して、一緒に出される瓶のホッピーを全部使ってしまうのが基本的な飲み方。瓶を全部入れると、ちょうどジョッキがいっぱいになる量になっています。

 なので、飲み方もホッピー(400円)を何度もおかわりして、カウンター上におかわりした回数と同じだけのホッピー瓶を並べていくのが一般的。焼酎だけ(300円)のおかわりをしながら飲み進む常連客は、それほど多くないように思います。

「もうひとつ、ついでに」と真寿美さん。「私のことを“ママさん”って呼ぶのは止めておくれ。わたしゃアンタのお母さんじゃないよ」

 アハハと笑いながら、ポンポンと言葉を投げかけてくれる真寿美さん。口は悪いが、気がいいのが下町気質(したまちかたぎ)。下町酒場ならではの小気味よいテンポの会話が飛び交います。みんなに伝わるように、書いときましたよ~!(笑)

 ちなみに真寿美さんの呼び方ですが、常連さんたちは“真寿美ちゃん”と呼んでいます。さすがにそれは恐れ多いので、私は“真寿美さん”と呼びます。ご本人は“女将(おかみ)さん”と呼ばれるのもコソバユイみたいなので、“すみません”と呼びかけるか、あるいは“真寿美さん”と呼ぶのがいいのではないかと思います。

 奥の厨房で調理を担当されている真寿美さんの弟さんのことは、みなさん、“アンチャン”と呼んでいます。

 煮込みは、品川から二日に1度、毎回3キロずつ牛の腸が届き、それをアンチャンが朝の5時半から仕込みます。牛の腸は硬いし、臭いもあるので、水をかえながら何度も何度も煮るんでしょうね。そうすることで“トロっとやわらかいのにプリっと弾力感がある”という、ここ「河本」の煮込みならではの絶妙のバランスが生まれるんですね。もつ以外の具は、少量のコンニャクだけ。味付けは味噌だけ。昭和21年に今の形態の酒場になる以前から、この煮込みは人気の品だったんだそうです。

「前は4キロずつ届けてくれたんだけど、今は3キロしかくれないねぇ」と残念そうなアンチャン。もつを出す店が増えてますもんね。

 煮込みと一緒に煮たゆで卵を付けてくれるニコタマは、本当は隠れメニュー。鍋の中には、玉子は何個かしか入っていないので、注文する場合には遠慮がちに、できれば何度か通ってから注文するのがいいのかもしれませんね。

 今宵は、ホッピー(400円)を3杯に、ニコタマ(300円)と、やっこさん小(100円)には塩辛(200円)も添えて、塩辛豆腐としていただきます。さらに、さらしくじら(もどき)(400円)をつまんだあと、もう一度、煮込み(300円)をもらって終了。午後7時過ぎまで2時間以上の長期滞在。お勘定は2,500円でした。あぁ~、堪能した。

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メニューにホッピーはない / やっこさん小と塩辛 / 塩辛は豆腐にのせて

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さらしくじら / 煮込み、おかわり / 飲み終えたホッピー瓶

店情報前回

《平成22(2010)年6月18日(金)の記録》

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〔コラム〕 東京出張の昼食は八重洲「三州屋」

八重洲「三州屋」の鯖塩焼き


 東京に出張。3月までは逆方向(東京・横浜から呉への出張)だったので、なんだか変な感じです。朝早くに呉駅からの下り電車に乗ると、広島方面への通勤、通学の客が多くて、東京のラッシュアワーほどではないものの、かなり込みあっている状態。なるほど、朝の呉線の電車はこんな感じだったんですね。日ごろ徒歩通勤なので知りませんでした。

 快速電車ながら、広島までは30分近くかかり、すっかり立ち疲れたころにやっと広島駅に到着。新幹線の指定席に腰を下ろして、ホッとひと息です。今度からは時間がかかっても呉駅始発の座れる電車(各亭)がいいかもね。

 新幹線で移動しながら、ネットブック(小さいノートPC)+イーモバイルで作業をすることが多いのです。このイーモバイル、トンネル内ではもちろん通信できないのですが、トンネルを抜けても抜けても接続が途切れないことに、かつては驚いたものでした。ところが最近はブツブツとよく切れること。トンネルの多い山陽新幹線内では、何度も何度もつなぎ直さないといけません。それどころか東海道新幹線のエリアに入っても、長いトンネルがあるときはもちろん、浜松あたりの広い平地の中でもブツブツと接続が切れてしまいます。う~む。これはいかんですねぇ。そろそろ別の通信手段を考えなきゃいけないかなあ。。。

 広島から東京までは4時間ほど。メールを打ったり、ちょこちょこと物を書いたりしているとあっという間に到着です。こうやって、ある程度かたまった時間が取れるのが新幹線のいいところです。

 飛行機だと、空港までへの移動、機内での電子機器が使えない時間、空港からの移動と、同じく4時間弱かかる時間が細切れになって、ちょっとした仕事がしにくいのです。さらに出張用の格安航空券は搭乗便を変更できないというデメリットもあって、東京・横浜への移動はもっぱら新幹線を利用しているような次第です。(飛行機そのものがあまり好きじゃない、ということも大きな理由のひとつです。どうにも地に足が着かない気がして……。)

 逆に、新幹線の欠点は、ときどき騒がしい状態になること。新幹線内はビジネス客が多いので、だいたいは静かな環境なのですが、ときどき観光利用と思われるおばちゃんたちの一団が乗ってきて、大きな声で飽きることなくしゃべり続けたり、家族連れの小さな子供たちが大騒ぎしたり(親も「静かにしなさいって言ってるでしょ」と何の効果もない表向きの言葉を繰り返したり)、夕方には一仕事終えたと思しきサラリーマンの2~3人連れが車内宴会モードに入っていたりと、内心、『ありゃりゃ。今日は失敗したなぁ』と思うこともあるのです。

 東京駅到着後の昼食は、八重洲側に出て「ふくべ」の並びにある「三州屋」にしてみます。夕方飲みに来たことはあるけれど、ランチタイムは今回が初めて。

 ずらりと並んだ白木のテーブルのひとつに腰を下ろすと、すぐに店の女性が、お絞りと割り箸、お茶、お新香の小鉢を持って、注文を取りにきてくれます。

 背広姿だったからか、何も聞かれずに昼食メニューが差し出されましたが、ラフな服装で入ってくる男性客には「食事ですか?」と確認してから、食事と答えるとお茶とお新香のセットを出しているようです。銀座の「三州屋」と同じように、昼から飲んでる客もけっこういるんですねぇ。さっき入ってきた男性二人は、「食事もするけど、ビールもちょうだい」と、食事とともに生ビールももらって、乾杯しています。

 ただし、銀座の「三州屋」のようなランチ専用メニューはなくて、主菜として3種類くらいの焼き魚か刺身盛り合わせから1品を選び、吸物として赤だし、アサリ汁、なめこ汁から1品を選び、ごはんの大、中、小をいずれか選ぶのが標準的なスタイル。それぞれの単品を足し合わせた合計が、そのまま食事代になる仕組みです。

 そういう仕組みなので、昼食用として写真付きのメニューに並んでいるもの以外の料理も注文することができて、吸物代わりに鳥豆腐をもらったり、つまみメニューの何品かと一緒にごはんをもらったりしている人もいます。

 私はサバ塩焼き(530円)とアサリ汁(160円)、中ごはん(210円)を選んで、お勘定は900円。小鉢のお新香はサービスだったんですね。ごちそうさま。

《平成22(2010)年6月18日(金)の記録》

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昭和の町並みが残る広 … おでん「あわもり」(呉・新広)

おでん「あわもり」


 週半ばの水曜日。会社の仕事を終えて、仁方方面に帰宅する同僚の車に便乗させてもらって、広(ひろ)の町にやってきました。

「広交差点の近くで、停(と)めやすいところでいいよ」

 とお願いしたところ、たくさんの車で渋滞する広交差点のすぐ手前を左折した路地で降ろしてくれました。

 おぉ~っ。なんとも見事な建物が残っていることか。

 “宣伝酒場”と書かれたいかにも古そうな酒場や小料理屋、古い造りの雑貨屋に、看板建築の魚屋さんと、まさに歴史ある町並みが、手付かずのままで残っている感じです。

 呉には海軍鎮守府や海軍工廠が設けられましたが、山を越えたここ広の町にも、広海軍工廠が開かれ、そこが後に海軍航空廠になり、飛行艇の試作などが行われたのでした。戦後は、ここ広にも英軍などが進駐したこともあって、街も栄えていたんでしょうね。

 広の町を少し散策した後で「あわもり」に入ります。

 最初はビール(キリンラガー大瓶、500円。サッポロ黒ラベルもあり)をもらって、おでん(1本90円)は厚揚げとジャガイモからスタートです。

 ふんわりとやわらかく煮込まれた、熱々の厚揚げ。ボリュームもあるので、飲み始めの空腹時にもピッタリです。前回話題に上った煮崩れないジャガイモは、やや小ぶりのものが丸ごと、あるいは大きなものは半分にカットされた状態で串に刺されています。

 3個めは煮縮むほどよく煮込まれたコンニャク。ここのおでんは、平皿で汁は添えずに出されるのですが、その状態で食べてもしっかりと味わえるほど、よく味の染み込んだコンニャクです。

 泡盛の梅割り(160円)をもらって、おでんはいつもの皮(豚)と肝(牛の肺)です。コラーゲンたっぷりの皮は、35度の泡盛とベストマッチです。

 そして平天(ひらてん)。この近くでは愛媛のジャコ天が有名ですが、瀬戸内海沿岸であれば、どこでもこういった平天は作られていて、それぞれにいい味わいなのです。

 泡盛の梅割りをおかわりすると、2杯目の泡盛がグラスに注がれるとともに、青くて小さな丸タイルが2個、カウンターの上に置かれます。これは、「現在2杯目ですよ」ということを示すタイル。2杯目をおかわりしたときから置かれ、おかわりするたびに1個ずつ増えていきます。

 おでんは、ぎっちりと身が詰まったイワシ団子に、注文してから鍋に入れてくれる玉ネギ。つまみはおでんしかないこの店ながら、それで十分おいしくお酒が飲めるんですよねぇ。季節に関係なく、夏場でも大人気です。

 3杯目の泡盛には、やわらかいスジ肉をもらいます。かたいスジ肉は、噛むとバリバリ音がするくらい硬いのですが、やわらかいスジ肉は、もつ焼きにたとえるとアブラっぽい感じ。どちらも捨てがたい味わいです。

 4杯目の泡盛をもらって、つまみはウインナー。ちょいちょいと切り目を入れて煮込んだウインナー。これもおでん出汁(だし)と合うんですねぇ。

 約2時間の滞在。ビール大1本に泡盛4杯、おでんが10本で、大満腹。お勘定は2,040円でした。どうもごちそうさま。

 店の近くのバス停からバスに乗ると、20分ほどで単身赴任社宅のすぐ脇にあるバス停まで帰り着けるのもうれしいところなのです。

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厚揚げとジャガイモ / コンニャク / 皮と肝

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平天 / イワシ団子 / 玉ネギ

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泡盛(梅割り) / スジ肉(やわらかいの) / ウインナー

店情報前回

《平成22(2010)年6月16日(水)の記録》

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〔この一品〕 下井草「こいくちや」のスパムと目玉焼き

スパムと目玉焼き

 “大衆鉄板焼き”というジャンルのこのお店。大きな鉄板の2辺をL字に囲むカウンター席で、料理ができあがっていく様子を見ながら飲むのが、鉄板焼きの醍醐味です。しかも鉄板焼きの前に“大衆”という肩書き(?)がついているとおり、ほとんどの料理が280円というのもまたうれしいではありませんか。(お勘定時に外税と、席料ひとり100円がプラスされます。)

トマトチーズ焼き 開店当時(平成20年創業)からの人気メニューがトマトチーズ焼き(280円)。鉄板の上にくし型に切ったトマトを並べ、その上に刻んだチーズをパラパラとかけたらボウルを逆さにしたような蓋(ふた)をかぶせます。待つことしばし。蓋を開けるとトロリととろけたチーズがトマトを覆うように丸く広がり、鉄板に面したところはカリッと、表面側はとろけたチーズのやわらかい状態で仕上がるのです。加熱されたトマトがまたうまいんですよね。

 しかしながら、トマトチーズ焼きは、すでにだれもが知っているこの店の目玉中の目玉商品。なので、今日の〔この一品〕はそれとは別の品を選んでみました。

 それは、スパムと目玉焼き(280円)。

 スパムというのは香辛料を混ぜたひき肉をギュッと固めた缶詰で、米軍さんが持ち込んだことがきっかけとなって、沖縄や韓国などにも広まった食品なんだそうです。その沖縄で定番のスパム料理が「ポーク卵(たまご)」。スライスしたスパムの両面を焼いて、スクランブルエッグや目玉焼きにケチャップが添えられた料理です。

 ここ「こいくちや」の“スパムと目玉焼き”も、まさにその“ポーク卵”の目玉焼き版。さすがにプロだけあって、焼き上がりが美しいなあ。

 その他の今日の黒板メニュー(各280円)は、紅しょうが肉巻き、特製ぎょうざ、ホタテ焼きタルタルソース、めんたいチーズ焼き、まぐろホホ肉焼き、山イモ素焼き、厚揚げ焼き、じゃがバター、オクラ焼き、こんにゃく焼き、ハムカツ焼きなど。

 鉄板を使わないメニュー(各280円)は、もろきゅう特製みそ付き、ポテトサラダ、生キャベツ特製みそ付き、冷しトマト、冷やっこ、オニオンスライス、まぐろカルパッチョ、割りぼしキムチ、チャンジャ、牛すじ煮、もずく酢、煮込みライス、ビーフシチュー(パン付き)、酒盗とクリームチーズなどなどです。

 開店してまだ2年ながら、すっかり地元の人気店として定着しました。

店情報前回

《平成21(2010)年1月10日(日)の記録》

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初期のお客は米兵さん … ビアホール「オオムラ(おおむら)」(呉)

「オオムラ」


 単身赴任なので月に1回程度は自宅(都内)に帰り、せっかく近くにいるのでこれまた月に1回程度は実家(松山)にも顔を出しとしていると、ゆっくりと呉で過ごせる週末は多くても月に2回程度。部屋を掃除したり、布団を干したり、買い置き分の食料の買出しに行ったり、図書館に本の返却・貸出に出かけたりと、ゆっくりと過ごせるようでいて、実際にはけっこう忙しい週末になるのです。

 この週末に、これだけは済ませておかなけりゃ、と思ってリストアップしていた項目はすべて順調に終了し、「よっしゃ!」とばかりに今日もトコトコと「オオムラ」に出かけます。軽く生ビールでも飲んで、ひとりで週末の打ち上げをしようという魂胆です。

「こんちわっ」

 と小さな声で言いながら店に入ると、ニコッとこれまた小さな笑顔で迎えてくれる店主。人見知りするのか常連さんとは話をするけど、そうでないお客さんに対してはかなりシャイなのです。ムスッとしてるからイヤなのかと思っていると、帰りにラッキーコインをくれたりするのがおもしろい(詳しくは初回のブログをご覧ください)。私自身、今日で3度目だし、昨日に続いての連日の「オオムラ」なので、ちょっとは覚えてくれたのかな?

 昨日はカウンターの奥のほうに座ったのですが、今日は逆に入口側が空いていたのでそこに着席。すぐに1杯目の生ビール(500円)が出されます。

「いっただきまぁ~す」と口に運び、泡の下からすくい取るようにングッ、ングッ、ングッと、大きく3ゴクン分くらいを喉(のど)の奥に流し込みます。

 冷えすぎず、炭酸もちょうどいい具合に抜けているここの生ビールは、グイグイと流し込めるし、ゲップもほとんど出ないのです。

「おいしいねぇ、今日も」と声をかけると、

「ときにゃあ『これが飲めるか!』いうようなビールも届くんでぇ。ワシが作っとるわけじゃないけぇ、しょうがなぁがのぉ」と笑う店主。へぇ、そんなビールにも逆に当たってみたいですよねぇ、話のネタとして。

 ここ「オオムラ」の創業は戦後比較的すぐ。現在の店主のお父さんが開業しました。最初からビールの専門店として開業したので、お客のほとんどは進駐してきた米兵さん。高級品だったビールが日本人の口に入ることは少なかったそうです。

 カウンター上に置かれているクレイジーソルト(スパイスやハーブを混ぜた岩塩)もその頃の名残です。

「もともとバーベキューのときに使う塩らしい。あいつら(米兵さん)は何にでもそれをかけるんじゃ」

 と店主。私もさっきからソーセージ(伊藤ハムのポールウインナー、1本200円)に、そのクレイジーソルトをつけつけ食べていたところです。この塩っけがまた、生ビールを進めてくれるんですね!

 店主とたくさん話ができたついでに定休日についても確認してみると、なんとほぼ無休。

「休んだら、次の日に店を開けるんがタイギィけん(大変だから)ねぇ。短い時間でも毎日やるんがええんよ」

 とのこと。毎日、午後4時過ぎくらいに店に入って、8時前くらいに帰るんだそうです。

 やぁ、おいしかった。今宵は生ビール(500円)4杯にソーセージ(200円)とチーズ(200円)で、2,400円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成22(2010)年6月13日(日)の記録》

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〔この一品〕 四ツ木「ゑびす」の古漬け

古漬け


 大きな暖簾(のれん)が特徴的な四ツ木の「ゑびす」。ずらり並ぶ料理メニューには、刺身あり、焼き物、揚げ物、丼物あり、そして鍋物ありと、その数、300種類近く。

 魚料理も種類が多くて安く、なかでもカワハギ刺身(380円)は、この値段で姿造りで、肝も添えられて出される名物品。普通であれば、この店の〔この一品〕として紹介しないといけないのは、絶対にこのカワハギ刺身です。

 がしかし! 今日ご紹介するのは古漬けです。

 この料理、ずらりと並んだメニューの中にはありません。前に「酔わせて下町」のFさんと一緒にこの店に来たときに、「この店のオススメはこれ!」と注文してくれたのが、この古漬けだったのです。それ以降、この店にも2~3回来ていて、そのたびに古漬けを出してもらっているので、メニューにはないけれど、いつも置いている品だろうと思います。

 値段はお新香が280円なので、きっと古漬けも280円だろうと思いますが未確認。

 今日の古漬けは、キュウリ、ナス、カブの3種の古漬けを混ぜたもので、いつものようにニンニクとショウガが思いっきり効いています。その効き具合は、明日の朝になっても、まだニンニクの臭いをたっぷりと感じるほど。この強烈な味で、お酒(焼酎ハイボール270円)が進むんですよねぇ。

 「ゑびす」では冬場の鍋物も名物。寄せ鍋(1,100円)、ちゃんこ鍋(1,100円)、かき鍋(1,000円)、かきちり鍋(1,000円)、白子鍋(1,000円)、白子ちり(1,000円)、安こう鍋(1,300円)、安甲ちり鍋(1,300円)、豚なべ(1,000円)、たらちり鍋(1,000円)などがあって、1人前から注文することができます。

 ただでさえ品数が多いのに、その他に、その日の仕入れによって書き換えられる黒板メニューもあって、今日は松輪のシメサバや、九州産のアジ刺身、愛媛産のカンパチ刺身、同じく愛媛産のブリ刺身などがそれぞれ1人前380円のほか、三重産・焼きハマグリ(480円)、北海道産・白子ポン酢(480円)、千葉産・新じゃが煮(320円)など、ここにも20種弱ほど並んでいるのです。

 この品数、この値段が下町大衆酒場ですよねえ。毎日やってくる人が多いのもうなずけます。

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カワハギ刺身 380円 / 松輪のシメサバ 380円 / 寄せ鍋 1,100円

店情報前回

《平成21(2010)年1月9日(土)の記録》

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〔くれ便り〕 大衆酒場に近い大衆食堂

「寿食堂」


 呉駅の近くに「森田食堂」(08:00-21:00、日休)や「くわだ食堂」(06:30-20:00、日祝休)、さらには「バス食堂」(11:00-24:00、木休)といった大衆食堂があって、それぞれ午前中から夜まで、中休みなしに営業しているので、休みの日などは昼間っから地元の呑ん兵衛たちがお酒を飲んでいる姿もしばしば見かけます。

 池袋の「ふくろ」や蒲田の「鳥万本店」、そこまで大きくなくても十条の「斎藤酒場」や王子の「山田屋」、四ツ木の「ゑびす」といった大衆酒場は、こちら呉にはありません。

 活魚料理と焼き鳥でお酒が飲める『とり屋』という、呉発祥の酒場の形態が、東京の大衆酒場にかなり近いと思うのですが、大衆酒場がどちらかというとひとり客中心なのに対して、とり屋はグループ客中心。メニュー構成も、大衆酒場がひとり分の小皿中心なのに対して、とり屋はひとりには多すぎる料理が多いように思います。

 その代わりに、ひとり客がふらふらと向かうのが大衆食堂のようなのです。つまり呉の大衆食堂は、東京の大衆酒場も兼ねた存在になってるんですね。立石の「ゑびすや食堂」や町屋の「ときわ食堂」なんかと近い感じかな。

 そんな大衆食堂は、通勤の乗降客が多い呉駅前だけにあるのかと思っていたら、呉れんが通り商店街を北に抜けたあたり(呉市中通4丁目8-9 )にも1軒あるのを発見。店の上部に、手書きで「酒類、めし、うどん、中華そば、丼物」と大書された看板があるのも渋いではありませんか。

 店の名は「寿食堂(ことぶきしょくどう)」(10:00-20:00、火と第1月休)。

 さっそく店内に入ってみると、ずらりと並ぶ4人がけのテーブル席のそれぞれに男性ひとり客。みなさん料理1~2品を前において、ビールや焼酎、お酒を飲んでいるようです。みなさん入口近くにあるテレビのほうに向かって座っているのですが、お客同士はそれぞれ常連客らしく、ときどき向こうのテーブルとこっちのテーブルとで会話を交わしたりしています。

 私も空いてるテーブルのひとつに腰を下ろすと、「いらっしゃい。おかずはガラスケースの中に並んでますからね」と店のおばちゃんが声をかけてくれます。

 立ち上がって、小イワシの刺身でもないかと探しに行きますが、冷蔵ガラスケースの中に並んでいる料理のなかで、刺身っぽい器は1種類のみ。ラップがかかってて、中がよく見えないなあ。近くに来てくれたおばちゃんに「刺身はこれだけ?」と確認してみると、「そう。人気あるよ」とのこと。内容はわからないままにその器を取り出すと、おばちゃんがその器からラップをはすして、醤油皿と一緒にテーブルまで持ってきてくれます。

「あったかいお酒。1級のほうをお願いします。」

 と燗酒を注文。メニューには「お酒 1級450円、2級400円」とあったので、50円の差なら1級のほうが外れがないかな、と思ったような次第。たいていの店では、1級は本醸造酒が、2級は普通酒が出されるようですからね。本醸造酒と普通酒は、その値段の差以上に味わいの差があると、私は思います。

 刺身はイカとタイ、サーモン、それともうひとつはハマチかな。それぞれ2~3切れずつが盛り合わされています。

 お酒はチロリ(金属製の燗づけ器)のまま出され、それとは別にコップが1個。このコップに自分で注いでいただきます。銘柄は広島・西条の「白牡丹」とのこと。このあたりの酒場では比較的よく目にするお酒のひとつです。

 焼酎を飲んでいる人には、冷蔵ガラスケースの中で一緒に冷されている500mlのペットボトルが出されるのですが、あれはどうやら冷水(水道水を冷したもの)のようです。ポットを出してもらっている人もいるので、みなさん焼酎を水割りか湯割りで飲んでいるようです。飲み物メニューにもお酒とビール(大600円、中500円、小400円)のほかは、焼酎(二階堂、400円)としかありませんもんね。チューハイだとかサワーだとかはないようです。

 呉にももちろん、大手居酒屋チェーン店や、昭和レトロをねらったような酒場は何軒かあるので、チューハイやサワー(もしかしたらホッピーも?)あるのはあるのですが、昔ながらの歴史ある酒場では、それらはほとんど見かけません。

 最後はごはんで締めて帰るのかと思いきや、ほとんどのお客さんはちょっとしたつまみでひとしきり飲んだら席を立ちます。大衆食堂という看板ながら、その実態はほとんど大衆酒場なんですね。

 お酒を飲み終わってお勘定をお願いすると1,050円。刺身は600円だったんですね。どうもごちそうさま。

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「寿食堂」 / 刺身盛合せ / お酒(燗)

《平成22(2010)年6月12日(土)の記録》

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〔この一品〕 立石「倉井ストアー」のラーメン

ラーメン


 朝からお酒が飲めるスーパー(?)として、立石ファンの間ではつとに有名な手造り惣菜の店「倉井ストアー」のメニューに、ラーメンがあることをご存知でしたか?

 土曜日の今日は「宇ち多゛」のあとに、飲み中間たちとここ「倉井ストアー」にやってきて、例によって餃子(270円)やハンバーグ(150円)、若鶏からあげ(315円)などでひとしきり飲んだ後、最後にラーメン(315円)を注文します。

 壁に張り出されたメニューには『自家製スープのおいしいラーメンはいかがですか?』とあり、ラーメン単品315円のほかに、ラーメン・ライス475円、ラーメン・のり弁565円、ラーメン・そぼろ丼565円、ラーメン・おにぎり(1個)435円などのセットメニューが並んでいます。

 さらに『自家製チャーシューがたっぷり入った』と書かれているチャーシュー麺(550円)や冷し中華(350円、大盛り525円)、月見うどん(315円)、スパゲッティー(270円)などの麺類もあるんですね。うーん、知らなかったなあ。

 出てきたラーメンは、チャーシューが1枚と、ゆで玉子が半個、そして少量のモヤシとキャベツの野菜炒めがのった、シンプルな醤油ラーメン。

 このラーメンが意外と(失礼!)うまいのでびっくり。

 ぜひ一度試してみてください。

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餃子 / ハンバーグ / 若鶏からあげ

店情報前回

《平成21(2010)年1月9日(土)の記録》

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夏はやっぱり生ビール … ビアホール「オオムラ(おおむら)」(呉)

生ビールとソーセージ


 暑い季節がやってくると、やっぱり飲みたいのが生ビール。呉れんが通り近くの小さなビアホール「オオムラ」にやってきました。

 カウンター12席だけのこの店で、出される飲み物は生ビール(500円)のみ。黙って座ればスッと生ビールが出されます。

 この店の生ビールは昔ながらの氷冷式のサーバーで出されることもあって、冷えすぎていない。また、この古風なサーバーには、今のサーバーのように泡だけを出すといった機能もないようで、ビールを注ぎながら多すぎる泡はナイフで切りながらこまめに調整して出してくれます。

 なかなかなくならない細かい粒の泡。ジワァ~ッと泡が消えてきても、その分ビールが増えてきて、全体として嵩(かさ)はあまり減らない。チェーンの居酒屋などでアルバイトの人が注いだ生ビールが、みんなにビールが出そろって乾杯するまでの間に泡の部分だけポッカリとなくなってしまうのとはぜんぜん違います。

「な~に。親父の代から、ズゥ~ッとこうやってやっとるだけよ」

 とまったく肩に力の入っていない店主。そうは言うものの、やっぱりこのビールはうまいですよ~。

「そうでしょう。この氷はうちが納めとるんですよ」

 カウンターの三つくらい横で飲んでいる男性客が、そう言いながら笑顔を向けてくれます。おぉ、氷屋さんもこの店にビールを飲みに来るんですね。

「ここで飲むのが楽しみでね。前にお客が少なかったときに、「樽を全部あけてもええ?」とマスターに聞いて、14~5杯くらい飲んだこともあるんよ。さすがにあの時はきつかった。」

 そう笑いながら、今日もつまみなしに軽く5杯は飲んでいます。

「私もここのビールが大好きで、1年半ぶりくらいに山口から飲みに出てきたんですよ。」

 私と氷屋さんの間には、男女ふたり連れが座っているのですが、その男性も話に加わってくれます。この男性は、以前は呉に住んでいたんだけど、3年ほど前に山口に引っ越したんだそうです。呉にいるときは、ここ「オオムラ」によく通っていて、今でもときどき、どうしてもここのビールが飲みたくなって、こちらに出てこられるんだと話してくれます。

 そんな話を聞きながら、ソーセージ(200円)をつまみに生ビール(500円)をついつい3杯。『ぐっと一杯! 思わず二杯!』というキャッチフレーズが店内に張られていますが、本当に気がつくとなくなってしまっているほど飲みやすい生ビールです。

 1時間ほどの滞在は1,700円。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成22(2010)年6月12日(土)の記録》

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〔この一品〕 立石「二毛作」の大粒カキのおでん

大粒カキのおでん


 立石「二毛作」の冬の名物、大粒カキのおでん(500円)です。

 カキはいろんな料理法で食べられますが、私が好きなのは、こうやっておでんで出してくれるカキと、プリッと焼いた焼きガキです。これらはいずれも、店の側で絶妙な火の通し加減で仕上げて出してくれるのがいいんですよねぇ。生ではなく、火が通り過ぎていることもなく、これぞカキが一番おいしいという状態です。

 しかも、ここ「二毛作」では値段が安いのもうれしいところ。これで500円ですからねぇ。

 落合の「多幸兵衛」でも、冬場にはカキのおでんが出されていたのですが、残念ながら今年の4月で閉店となりました。

 焼きガキでおいしかったのは上大岡の「鳥佳」です。注文を受けてから生のカキを串に刺し、炭火で焼きます。身がプクンとふくらんできたところで、醤油ベースのタレを刷毛(はけ)で塗って仕上げてくれます。

 カキ(マガキ)は夏場に産卵期を迎えるので、精巣や卵巣が増大し身がやせていることや、産卵に栄養を取られて抵抗力が落ち病気になりやすいなどの理由で、食用には適さなくなります。しかし、カキのなかでも岩牡蠣(いわがき)は、逆に6~8月が旬。今が一番おいしい時期です。

 最近はバイオ技術を応用して生殖機能をなくしたカキ(関連サイト)などもあるほか、ニュージーランドやオーストラリアなどのカキも輸入されていて、一年中おいしい生ガキが食べられるようになったのがうれしいですね。

 私自身も、2010年4月からカキの一大産地・広島県に転勤してきましたので、今年はたっぷりと美味しいカキが食べられそうな予感です!(嬉)

店情報前回

《平成21(2010)年1月8日(金)の記録》

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手水場までも風情あり … バー「どん底(どんぞこ)」(呉)

手水鉢に柄杓


 「あわもり」を出て、呉の中心街に戻り、今日の2軒目は昭和28年創業の老舗バー「どん底」です。

 樹齢400年という欅(けやき)の一枚板のカウンターには先客は男性ひとり。前回もとなりで飲んでいた若い(40歳ほどの)常連さんです。

 竹鶴12年をロックでもらうと、今日のお通しは拍子木に切った山芋にイクラをのせたもの。「お醤油をちょっとかけて食べてください」と女将が醤油刺しをこちらに押しやってくれます。

 この重厚なカウンターは、幅(奥行き)が1メートルほどはありそうな広さ。女将が向こうから手を伸ばし、こちらもうんと手を伸ばして、やっと届くほどです。天井もうんと高く、全体がとてもゆったりとした造りなのです。

 昭和4年生まれの女将は80歳。腰が悪いので普段はカウンターの中の椅子に座って接客してくれるのですが、そうやって座ると、目線の高さもちょうど合ってとても話しやすいのです。文字どおり怪我の功名ですね。

 ここでゆっくりと、女将が話してくれる昔の呉の様子などを聞きながら飲むウイスキーがうまいんだよなあ。

 竹鶴12年のロックをおかわりしたところで、男女二人連れも来店。この方たちも常連さんのご様子で、自分たちのキープボトルを出して飲み始めます。

 キープボトル用のボトル棚は、カウンター席の背後の壁に造りつけられた木製のロッカーのような棚に入っていて、それぞれの棚に番号が付いています。その棚から自分のキープボトルを取り出してくるのです。

 もちろん棚には限りがあって、現在はすべての棚が埋まっている状態。この棚に入れられないキープボトルは、カウンター内に収納されているんだと思いますが、確認はしていません。

 その後、ふらりと入ってきた男性は、以前はよく来ていた人のようです。近くの町に引っ越して、なかなかこのあたりにも出てこれなくなったんだそうです。今日は近くで宴席があって出てきたので、その帰りにちょっと顔を出してみたとのこと。30分ほどの間に、ビールを1本だけ飲んで、さっとお勘定をして(1,500円でした)帰られました。男女二人連れも1時間ほど居て、お勘定は二人で4,000円。私も2杯目の竹鶴ロックを飲み干してお勘定をお願いすると3,500円。高いお店のように言われていますが、実はそれほど高くはないのです。

 午後9時前から11時過ぎまで、2時間ちょっとの滞在でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成22(2010)年6月11日(金)の記録》

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会社帰りにさっくりと … おでん「あわもり」(呉・新広)

かわ、きも、すじ


 金曜日の仕事を終えて、ひとりでふらりと「あわもり」です。

 店に到着したのは午後7時過ぎ。変形L字カウンター20席ほどだけの店内は、ひとり客でも入れないことがしばしば。今日は大丈夫かなあ、と心配しつつ暖簾(のれん)をくぐります。

 おぉ~っ。けっこう多いものの、L字の角の、ちょうどおでん鍋の前がポツンと空いています。この近辺は、なんだか常連さんの席のような気がするけれど、知らぬふりして座らせてもらいましょう。

 今日の広島県地方は、最高気温が今シーズン初の30度越え。こんなに暑い日なのに、おでんしかないこの店は込んでるんですねえ。さすがです。

 今日もまずは大瓶のキリンビール(500円)をもらって、おでん(1本90円)はカワ(豚の皮)、キモ(肺)に、スジの硬いのからスタートです。

 呉には(広島にも?)、もつ焼き屋がないので、身体がモツ切れ状態になりやすいのですが、ここのカワ、キモ、スジやアブラを食べると少し解消されるのです。あぁ、うまい。

「ここのジャガイモは特別品?」

 となりのおじさんが店主にそう尋ねます。自分の家でおでんを作るときに、どうしてもこの店のジャガイモのようにしっかりとした状態に仕上がらず、煮崩れてしまうんだそうです。

「メイクイーンはくずれるんじゃ。ここのジャガイモは安芸津(あきつ)の男爵(だんしゃく)よ。農林1号や出島でもええ」と店主。農林1号や出島というのもジャガイモの品種名です。

 う~む。前にカワやキモの仕込みの話を聞いたときにも驚いたけど、何でもないようなジャガイモの仕入れにも、こだわりがあるんですねぇ。

 ロールキャベツをもらって、飲み物は泡盛の梅割り(160円)に切り換えます。

 このロールキャベツも、もちろん90円。これにもなんか秘密のこだわりがあるんだろうなぁ。そのうち聞いてみなきゃね。

 続いては、これまた人気の厚揚げです。みんながどんどん注文するので、おでん鍋の一番外周のところに、ずらりと半周以上、厚揚げが並んでいるほど。やわらかくて熱々で、ボリュームもたっぷりです。

 そしてネギマ。ネギマは注文してから鍋に投入され、ちょうどネギに火が通ったところで出してくれます。

 出張のついでにこの店に来てたときは、「めったに来れないから」という思いもあって、端から端まで食べつくすような勢いで食べていたものですが、今日はこの店の常連さんたち風に、このあたりでストップです。

 ここの常連さんたちは、おでんを3本に泡盛を3杯ほど飲んで、800円ほどのお勘定で帰っていく人が多いのです。

 私のほうは、おでん6本にビール大、泡盛1杯で、お勘定は1,200円。まだまだ常連さんたちのようにサックリとはいけないですねぇ。どうもごちそうさま。

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ロールキャベツ / 厚揚げ / ねぎま

店情報前回

《平成22(2010)年6月11日(金)の記録》

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