真寿美さんからひと言 … 「河本(かわもと)」(木場)
大手町(東京)での仕事を終えて、地下鉄東西線でやってきたのは木場(きば)。1ヶ月ぶりの「河本」です。
金曜日ながら、まだ午後5時と早いので、店内はまだチラホラと空席がある状態。その空席のひとつに座り、さっそくホッピー(400円)とニコタマ(煮込み玉子入り、300円)をもらいます。
昭和23年にホッピーが開発されたときから、ずっと出し続けているという「河本」のホッピー。ほとんどの客がそのホッピーを注文します。ホッピーじゃない飲み物を注文すると、女将・真寿美さんが「うちはホッピー屋だよ!」と笑うほどのホッピー酒場ぶりなのです。
なにがすごいって、飲み物メニューの中にホッピーはありません。みんなが注文するからメニューの必要すらないのかもね。
「最近は、ナカ、ソトって注文する人が多いのよ。うちにはナカ、ソトはないからね。ちゃんとホッピー(400円)か焼酎(300円)って注文しなきゃ」と真寿美さん。
この店では、昔から焼酎も瓶のホッピーも冷蔵庫で冷して、氷を入れないジョッキで出してくれるので、ホッピー(400円)を注文して、一緒に出される瓶のホッピーを全部使ってしまうのが基本的な飲み方。瓶を全部入れると、ちょうどジョッキがいっぱいになる量になっています。
なので、飲み方もホッピー(400円)を何度もおかわりして、カウンター上におかわりした回数と同じだけのホッピー瓶を並べていくのが一般的。焼酎だけ(300円)のおかわりをしながら飲み進む常連客は、それほど多くないように思います。
「もうひとつ、ついでに」と真寿美さん。「私のことを“ママさん”って呼ぶのは止めておくれ。わたしゃアンタのお母さんじゃないよ」
アハハと笑いながら、ポンポンと言葉を投げかけてくれる真寿美さん。口は悪いが、気がいいのが下町気質(したまちかたぎ)。下町酒場ならではの小気味よいテンポの会話が飛び交います。みんなに伝わるように、書いときましたよ~!(笑)
ちなみに真寿美さんの呼び方ですが、常連さんたちは“真寿美ちゃん”と呼んでいます。さすがにそれは恐れ多いので、私は“真寿美さん”と呼びます。ご本人は“女将(おかみ)さん”と呼ばれるのもコソバユイみたいなので、“すみません”と呼びかけるか、あるいは“真寿美さん”と呼ぶのがいいのではないかと思います。
奥の厨房で調理を担当されている真寿美さんの弟さんのことは、みなさん、“アンチャン”と呼んでいます。
煮込みは、品川から二日に1度、毎回3キロずつ牛の腸が届き、それをアンチャンが朝の5時半から仕込みます。牛の腸は硬いし、臭いもあるので、水をかえながら何度も何度も煮るんでしょうね。そうすることで“トロっとやわらかいのにプリっと弾力感がある”という、ここ「河本」の煮込みならではの絶妙のバランスが生まれるんですね。もつ以外の具は、少量のコンニャクだけ。味付けは味噌だけ。昭和21年に今の形態の酒場になる以前から、この煮込みは人気の品だったんだそうです。
「前は4キロずつ届けてくれたんだけど、今は3キロしかくれないねぇ」と残念そうなアンチャン。もつを出す店が増えてますもんね。
煮込みと一緒に煮たゆで卵を付けてくれるニコタマは、本当は隠れメニュー。鍋の中には、玉子は何個かしか入っていないので、注文する場合には遠慮がちに、できれば何度か通ってから注文するのがいいのかもしれませんね。
今宵は、ホッピー(400円)を3杯に、ニコタマ(300円)と、やっこさん小(100円)には塩辛(200円)も添えて、塩辛豆腐としていただきます。さらに、さらしくじら(もどき)(400円)をつまんだあと、もう一度、煮込み(300円)をもらって終了。午後7時過ぎまで2時間以上の長期滞在。お勘定は2,500円でした。あぁ~、堪能した。
メニューにホッピーはない / やっこさん小と塩辛 / 塩辛は豆腐にのせて
さらしくじら / 煮込み、おかわり / 飲み終えたホッピー瓶
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