手水場までも風情あり … バー「どん底(どんぞこ)」(呉)
「あわもり」を出て、呉の中心街に戻り、今日の2軒目は昭和28年創業の老舗バー「どん底」です。
樹齢400年という欅(けやき)の一枚板のカウンターには先客は男性ひとり。前回もとなりで飲んでいた若い(40歳ほどの)常連さんです。
竹鶴12年をロックでもらうと、今日のお通しは拍子木に切った山芋にイクラをのせたもの。「お醤油をちょっとかけて食べてください」と女将が醤油刺しをこちらに押しやってくれます。
この重厚なカウンターは、幅(奥行き)が1メートルほどはありそうな広さ。女将が向こうから手を伸ばし、こちらもうんと手を伸ばして、やっと届くほどです。天井もうんと高く、全体がとてもゆったりとした造りなのです。
昭和4年生まれの女将は80歳。腰が悪いので普段はカウンターの中の椅子に座って接客してくれるのですが、そうやって座ると、目線の高さもちょうど合ってとても話しやすいのです。文字どおり怪我の功名ですね。
ここでゆっくりと、女将が話してくれる昔の呉の様子などを聞きながら飲むウイスキーがうまいんだよなあ。
竹鶴12年のロックをおかわりしたところで、男女二人連れも来店。この方たちも常連さんのご様子で、自分たちのキープボトルを出して飲み始めます。
キープボトル用のボトル棚は、カウンター席の背後の壁に造りつけられた木製のロッカーのような棚に入っていて、それぞれの棚に番号が付いています。その棚から自分のキープボトルを取り出してくるのです。
もちろん棚には限りがあって、現在はすべての棚が埋まっている状態。この棚に入れられないキープボトルは、カウンター内に収納されているんだと思いますが、確認はしていません。
その後、ふらりと入ってきた男性は、以前はよく来ていた人のようです。近くの町に引っ越して、なかなかこのあたりにも出てこれなくなったんだそうです。今日は近くで宴席があって出てきたので、その帰りにちょっと顔を出してみたとのこと。30分ほどの間に、ビールを1本だけ飲んで、さっとお勘定をして(1,500円でした)帰られました。男女二人連れも1時間ほど居て、お勘定は二人で4,000円。私も2杯目の竹鶴ロックを飲み干してお勘定をお願いすると3,500円。高いお店のように言われていますが、実はそれほど高くはないのです。
午後9時前から11時過ぎまで、2時間ちょっとの滞在でした。どうもごちそうさま。
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