〔この一品〕 呉「山口山」の皿うどん
看板に「本場長崎の味、皿うどん、長崎ちゃんぽん」と書かれているこのお店。新入社員時代(今から25年ほど前)にもよく行っていたお店です。当時はれんが通りが蔵本通りに突き当たったまだ先の堺川沿いで、夜遅くまで営業していて、ひとしきり飲んでから最後の締めに長崎ちゃんぽんを食べに行ったりしていたものですが、今は和庄中学校の近くに移転しちゃったんですね。
ここは名物のちゃんぽん、皿うどん以外にも料理の品数が多くて、普通の居酒屋としてもいけるほど。飲んで食べて仕上げにちゃんぽん、皿うどんという楽しみ方ができるのです。
味の特徴は、本場長崎のちゃんぽんや皿うどんがそうであるように、甘い。
私の故郷・愛媛県北条市(現・松山市)なども含めて、中四国・九州方面は、全般的に甘ぁ~い味付けをするところが多いように思いますが、ここ呉の料理は、それほど甘みの強さを感じない。東京などの味付けと比較的近い印象です。
これはおそらく、呉の町ができあがってきた歴史にあるんじゃないかなぁと思っています。
もともとは小さな農漁村だった呉が都会化したのは、明治22(1989)年にこの地に海軍鎮守府が置かれてから。それから昭和20(1945)年の終戦までの50年ちょっとの間に、全国第9位の人口を誇る都市にまで、一気に駆け上ったのです。
新しい町には全国から人がやってきて、料理の味も各地の味付けが混ざり合った標準的なものになったんだろうというのが私の推測です。
夏場には、夏季限定の冷麺(750円)も登場します。ここ「山口山」の冷麺は白味噌ベースのスープなのが特徴です。
呉の名物に「細(ほそ)うどん」がありますが、冷麺もまた呉の名物のひとつ。最近は「呉冷麺」と地域名を冠して呼ばれるほどです。一番有名なのは「珍来軒」。行列必至の人気店ながら、年中、冷麺が食べられます。
ただし、「珍来軒」も含めて、けっこうストイックに呉冷麺を極めている店が多いので、なかなか飲んで食べて、締めに冷麺なんてわけにはいきにくい。ガッと食べて、並んで待っている人たちに席を譲らないといけません。その意味でも、ここ「山口山」はありがたいよなぁ。
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