郷土料理・はぶて焼き … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)
生ビールの「オオムラ」を出て、今日の3軒目は、先日「くれえばん」編集長とご一緒させていただいた「魚菜や」です。
いいなと思う店があったら、すぐに裏を返して店の人にも覚えてもらい、自分が通いやすい環境を作らないといけないのに、ご紹介いただいてからすでに2ヶ月がたとうとしています。いかんですねぇ。
「こんばんは」と入った店内には先客は5人。L字カウンターの縦の辺の一番奥に男性一人客。L字の角を挟むように二人ずつ座っている男性客は、4人が1グループなんですね。
この店のカウンターはL字の縦の辺も、横の辺もほぼ同じ長さで、それぞれ4人ずつ座れる形。それとは別に2人がけの小さなテーブルがひとつ、壁際に置いてあります。
私が入口右手の、L字の横の辺の一番端っこに座ります。
丸太を割ったカウンターは、カウンターの付け根の辺り両端でぐんと広がっているので、今座った端っこの場所は、自分の身体がカウンターに取り巻かれるような感じで、なんだか居心地がいい。前に来たときにも「カウンターが丸く広がっている端っこの席に座ってみたいなぁ」と思っていたので、今日はこの席が空いていてちょうどよかった。
「いらっしゃいませ」と出されたおしぼりで、手や顔を拭いたところで生ビールを注文します。さっきの「オオムラ」で生ビールが1杯しか飲めなかったので、まだなんとなくビール不足なのです。ちなみに、ここ「魚菜や」には、ビールは生ビールしかありません。
お通しは、ゆでたそら豆。「オオムラ」が生ビールにいかり豆(揚げたそら豆)だったので、組み合わせ的には似ているなぁ。
さてつまみ。店の外にある自然木の看板には「おでん 魚菜や」と書かれていて、店内には確かにおでんもあるんだけど、それ以外に、ひとりで店を切り盛りする女将の手料理も日替わりで並んでいて人気の様子。手書きの“おしながき”には、地ダコの刺身・天ぷらや、小いわし天ぷら、さばのはぶて焼、小イカの煮物、小芋の衣かつぎ、野菜の南ばん漬、ふきの煮物、メンパチの唐揚などが並んでいます。
飲み物も食べ物も値段表記がないのがこの店の特徴。しかし、もともとは屋台で営業されていただけあって、高くはないようです。店の外には、ある程度値段の目安も書かれていて、それによると『刺身は時価、おばんざいは1品400円から、揚げ物は600円から、おでんは1個150円から』とのことです。
「さばのはぶて焼き、ってどういう料理なんですか?」
「煮たサバを焼き魚にしたものなんですよ。この辺(広島)の郷土料理です。」
「へぇ~。じゃ、それください」
「はぶてる」というのは、「すねる」とか「ふてくされる」といった意味合いの広島弁。煮た魚は身が崩れやすくなっていて焼くのがむずかしい。ふくれっ面をして焼いたので「はぶて焼き」という名前が付いたのだそうです。
そのはぶて焼きが出たところで、お酒をおまかせで注文すると、地元・仁方(にがた)の「宝剣(ほうけん)」を出してくれました。
はじめて食べたはぶて焼きは、煮魚の旨みと、焼き魚の芳ばしさを兼ね備えたような料理で、日本酒にもよく合います。こんな料理があったとは、ちっとも知らなかったなぁ。
はぶて焼きのあとは、おでんをもらいます。カウンターの中にはおでん鍋が二つ並んで置かれていて、ひとつは関西風、もうひとつは関東風のおでんが入っています。おでんのネタのなかにがんすがあるのを発見し、さっそくそれを注文。
「がんすは、おでんのネタとしても使われるんですか?」
「店では使うけど、一般の家庭ではあまり使わんかもしれんねぇ」と女将。
がんすは、魚のすり身に、刻んだ野菜や一味唐辛子を加えて練り、パン粉をつけて揚げたもの。これがおでん鍋に入ると、外のパン粉の部分がふやけて、赤い平天のような感じに仕上がっています。
さらに、大根、しらたきといった、「あわもり」のおでんにはない具材を、ここぞとばかりに楽しんで、2時間ほどの滞在は2,250円でした。どうもごちそうさま。
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コメント
私も友人も「さかなや」と読んでいて、他の知り合いもそう読んでいたのですが「ぎょさいや」と読むんですねぇ。初めて知りました。
投稿: 喝の男 | 2010.08.21 01:20