晩酌にどんどんセット … 居酒屋「せとや」(呉)
先日の〔くれ便り〕に、呉在住の酒場通・遊星ギアのカズさんからコメントで、何軒かのオススメ酒場をご紹介いただきました。
今日はその中の1軒、「せとや」にやってきました。
縄のれんをくぐって店内に入ると、目の前にずらりと並ぶテーブル席は4人掛けが5卓ほど。入口のすぐ右手には2階へと上がる階段があり、2階に座敷もあるようです。1階の奥側は、左手がL字カウンター9~10席ほど、右手が小上がりで5人掛け(4人掛けが壁際にくっついていてお誕生日席にも座布団が置かれていて5人分)の座卓が2卓と、1階全体で30人ほどが入れる広さです。
水曜午後7時過ぎのこの時間帯、先客は1組3人(中年の男性2人と女性1人)のみ。「いらっしゃいませ」と店の奥にいる女店員さんが迎えてくれます。店はこの女性と、若い女性、そして女将と思われる年配の女性、そして厨房の板さんという4名で切り盛りしている様子。
テレビは一番奥、カウンターの中の上部にあるので、そのテレビが一番よく見えるL字カウンター短辺(3人座れる)の中央に座りメニューを確認します。メニューは壁に張り出された短冊メニューのみで、カウンター上やテーブル上にはメニューは置かれていません。しかも右壁に貼っている短冊と、左壁に貼っている短冊には違うメニューが書かれているので、すべてのメニューを見るには、壁全体を見わたす必要があります。ただし、その総数はそれほど多くないので、あまり苦にはなりません。魚や肉、揚げ物などと幅広い料理が金額明示で並んでいますが、飲み物メニューはどこにもありません。
小上がりの座敷席の壁に、遊星ギアのカズさんのコメントにあった「どんどんセット」を発見。この「どんどんセット」はビール大瓶1本または日本酒大徳利1本に、本日のおすすめ刺身と小鉢1品が付いたいわゆる“晩酌セット”のような位置付けのもので、値段は1,050円です。さらに『生ビールは今だけ(夏季限定)290円(午後5以降)』なんて張り紙もあります。
袋入りのおしぼりを出してくれながら「何にしましょうか?」と聞いてくれるおねえさんに、「どんどんセットをお酒でもらって、それとは別に、先に生ビールをもらえますか?」と確認してみると、「はいはい、いいですよ」とという返事。
すぐに生ビール(サッポロ生)が注がれ、続いて「どんどんセット」の小鉢物が出されます。今日の小鉢はキュウリとワカメの酢の物。あ、小さなタコも一切れ入ってるなぁ。この小鉢をつまみに、まずはグィ~ッと生ビールで喉を潤します。あぁ、この冷たさが心地よい。
ややあって刺身も登場です。四角い皿に3点盛りで、手前にヨコワマグロ(クロマグロの若魚、関東ではメジ)、左奥にカンパチ、右には生ジャケ。カンパチのみ3切れで、あとは2切れずつ。ツマは千切り大根、大葉1枚、キュウリをスライスしたのが数枚。「お酒はあとで、生ビールがなくなってからお出ししましょうね」とおねえさん。さすがわかっていらっしゃる。
刺身と一緒に出された醤油皿には刺身醤油が入れられています。このあたりでは刺身用の醤油は、ちょっと甘くて粘度の高い刺身醤油を使うのが普通のようなのです。刺身が瀬戸内の地物じゃないのがちょっとがっくりではありますが、このセットで1,050円というのは安いですよねぇ。
生ビールを飲み終わると、大徳利の燗酒を持ってきてくれます。銘柄をたずねると「白牡丹」とのこと。1675年(延宝3年)創業と、広島・西条の酒の中で最も古い歴史をもつ日本酒です。
他のつまみはたとえば、あら煮500円、あじ南蛮酢づけ500円、串かつ350円、若どり塩焼550円、小いわし天550円、たこ天550円など。メニューで見ると、一番安いつまみは320円のししゃもです。
店の看板に『居酒屋・食事』と書かれているとおり、メニューには定食類も並んでいます。サービス品らしい日替り定食には「せとや定食」と「つばき定食」の2種類があって、どちらも700円。今日の「せとや定食」は大いわしと野菜の天ぷら、小鉢2品。「つばき定食」は鶏肉の網焼き、煮物、和え物他という内容です。
ふらりと一人で入ってきて、カウンター長辺に座った常連らしいおじさんは、「しょうが焼定食(1,000円)をやってや」と注文。この「○○をやってや」という注文の仕方をよく耳にしますが、このあたりの標準的な注文法なんでしょうか? 店のおねえさんからは「鶏のしょうが焼でいいのね?」という確認が入ります。どうやら定食メニューとしての「しょうが焼」は鶏肉の生姜焼きのようです。定食メニューではないのですが、「豚しょうが焼」(850円)というメニューもあるので、おねえさんが確認したんでしょうね。すべての単品料理はプラス330円で定食にすることができます。
お酒がまだあるのに刺身も酢物もなくなったので、あじ南蛮酢づけ(500円)を注文します。この季節、とにかくこの地方のアジはおいしいし、瀬戸内の小魚を骨ごとバリバリ食べるのもいいなぁと思っていたのですが、出てきたあじ南蛮酢づけを見てびっくり。大きなアジ丸ごと1尾を揚げて酢漬けにしたものなのです。この状態で、こんなにプリッと大きく見えるということは、生のときはそうとう立派だったんだろうな。ためしに頭の部分を齧ってみたら、よく酢に浸かっていてやわらかく、まったく問題なく骨まで食べられます。
大きな1尾丸ごとを箸でつかんで、頭のほうからひと口かじっては燗酒をチビリ。またひと口かじっては燗酒をチビリと飲み進んでいるうちに、尾っぽの先まですっかり完食。お皿の上には何も残っていない状態になってごちそうさま。
今日のお勘定は1,840円。「あじ南蛮酢づけがおいしかったです。これは夏だけ?」と聞いてみると「年中ありますよ」という返事でした。
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