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2011年1月

〔くれ便り〕 呉のカレーはさりげなく … 喫茶「バンビ」(呉)

「バンビ」のカツカレー


 たっぷりと飲んだ翌日に、なんとなく食べたいのがカレーライス。それもカツカレーが好きなんですねぇ。

 スパイシーな味わいが、飲んだ翌日のなんとなく食欲のない感じを吹き飛ばしてくれるし、豚肉のたんぱく質やビタミンB1も身体にいい感じ。

 もっとも、思いっきり二日酔いになったときには、油ぎっしゅなカツカレーなんてとても食べる気にならず、がんばっても麺類、しかも汁っけの多い「かけうどん」なんかがやっとという感じ。もっとひどいと、しばらくは何も食べられない……。

 カレーライスも海軍発祥の食事なので、ここ呉にも、昔から続くカレーの店が数多くあります。しかも値段もそれほど高くないのがうれしいところです。

 一番よく行くのは、単身赴任社宅からもほど近い、喫茶「バンビ」。カツカレー(ミニサラダ付き、680円)は、この店の名物メニューでもあります。さらりとしたルーは、ピリッと辛口で、注文してから揚げてくれる熱々のトンカツは、そのまま食べても、ルーをからめて食べても、どっちもうまい。

 「バンビ」の店内には、小さめのテーブル席がずらりと並んでいて、ほとんどの客は店の一番奥に置かれたテレビが見える方向に座ります。私の前のテーブルに、向こうむきに座っているおにいさんの注文はピラフカツカレー(ミニサラダ付き、800円)。カレーライスのごはん(白飯)の代わりに、ピラフが盛られるようです。そんなメニューもあったんですねぇ。

 「海軍カレー」を街をあげての名物にしている横須賀では、「よこすか海軍カレー」と名乗れるための条件を厳しく設定しています。

(その1)カレー粉、小麦粉、肉(牛肉または鶏肉)、人参、玉ねぎ、馬鈴薯を入れること。

(その2)カレー粉、小麦粉を炒ってルーを作ること。

(その3)原則として、カレーライス、牛乳、サラダの3点セットで提供し、薬味としてチャツネを付けること。

 船の中での長い生活で必要となる肉と野菜の栄養素をカレーライスでバランスよくとれるほか、カレーだけでは不足するカルシウムと葉酸を、それぞれ牛乳とサラダで補足できるという優れもののセットメニューなんだそうです。

 現在の海上自衛隊でも、毎週金曜日はカレーの日と決められていて、みんながカレーを食べます。しかしながら、「よこすか海軍カレー」のように一律に定められたセットメニューではなくて、それぞれの船ごとに、それぞれのレシピやメニューがあるようです。

 呉の街で食べることができるカレーも、それほど旧海軍のレシピ等にこだわっているわけではなくて、その店、その店の工夫でおいしいカレーを食べさせてくれます。海軍発祥のカレーなんてことは、あまり前面には押し出していなくて、昔からごくごく普通に、さりげなく街にカレーが浸透してるという印象を強く受けます。

 ところで、上の(その1)で挙げたカレーの具材。カレー粉と小麦粉をやめて、代わりに醤油と砂糖で味を付けると、そのままこれまた海軍発祥の料理である「肉じゃが」になってしまうところがおもしろいでしょう。

 この「肉じゃが」のほうは、同じ海軍の軍港同士でありながら、呉が発祥なのか、舞鶴が発祥なのかと、今なお激論が交わされているようです。

 どこかの軍艦で、カレーと同じ材料を使って煮物(=肉じゃが)を作ったのが好評で、それが他の軍艦にも伝わり、それらの軍艦の寄港地である呉や舞鶴にも伝わっていったというところじゃないかと、私は思っているのですがどうでしょう。つまり、「肉じゃが」の元祖は陸地ではなくて、海の上を走る軍艦の厨房にあり、というわけです。

 なお、海軍発祥のカレーライスは、陸軍にも伝わって、陸軍ではライスカレーと呼ばれたそうです。これもまたおもしろい話。呉は海軍さんの街なので、どの店の表記も「カレーライス」なんですね。

    【店情報】
  • 店名: 喫茶バンビ
  • 電話: 0823-24-0839
  • 住所: 737-0046 広島県呉市中通2-1-17
  • 営業: 07:00-17:00、火休
  • 場所: 中通1丁目信号交差点(中通1丁目バス停近く)を山側、れんが通り方向に向かい、50mほど先の次の信号交差点を過ぎた次の角を左折してすぐ左手。
  • メモ: 〔HOT(暖)〕コーヒー380、ウインナーコーヒー550、炭焼コーヒー400、紅茶380、ミルク380、ミルクコーヒー430、エッグミルク430、ココア430、ホットレモン430。〔COLD(冷)〕アイスコーヒー430、炭焼アイスコーヒー450、アイス紅茶430、アイスミルク380、ミルクコーヒー430、エッグミルク430、アイスココア480、コーラ380、コーヒーフロート500、フレッシュジュース500、ミックスジュース450、レモンスカッシュ450、トマトジュース380、クリームソーダ450、ミルクセーキ450、アイスクリーム380、コーヒーゼリー400。〔サービスランチ〕カツランチ(スープ付)680、ハンバーグランチ(スープ付)680、ヒレカツランチ(スープ付)700、エビフライランチ(スープ付)800、プレーンオムレツランチ(スープ付)600、ピラフ(ミニサラダ付)600、カレーライス(ミニサラダ付)600、カツカレーライス(ミニサラダ付)680、ハンバーグカレー(ミニサラダ付)680、シーフードカレー(ミニサラダ付)680、ピラフカレー(ミニサラダ付)680、ピラフカツカレー(ミニサラダ付)800、ピラフハンバーグカレー(ミニサラダ付)800。〔スパゲティ〕ポロネーズ600、ボンゴレ650、スパカレー650。〔サラダ〕野菜サラダ400、ハムサラダ500。〔サンドイッチ〕ミックスサンド500、ハムサンド500、カツサンド500、エッグサンド500、ハンバーグサンド500、トースト(イギリスパン)200。〔セットメニュー〕エッグトースト580、ホットケーキ580。〔その他〕ぜんざい(冬季)500、なべやきうどん600。〔モーニングサービス(11:30まで)〕エッグトースト&サラダ480。(2010年11月調べ)

 カツカレーを食べ終えて、呉の街なかをふらりと散歩。の~んびりと過ごした日曜日でした。

101128a 101128b 101128c
喫茶バンビ / 昴(すばる)珈琲 / 福住フライケーキ

101128d 101128e 101128f
いせ屋 / 月ガ瀬 / 珍来軒

101128g 101128h 101128i
暫(しばらく) / 寿食堂 / こやなぎ

101128j 101128k 101128l
オオムラ / ゴールデン・バーンズ / 第一三とり

101128m 101128n 101128o
自由軒 / 西苑(さいえん) / たいちゃんⅢ

《平成22(2010)年11月28日(日)の記録》

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ササッとナスの塩もみ … 屋台「一二三(ひふみ)」(呉)

ササッとナスの塩もみ


 昨夜に続いて今日も最後(4軒目)はやっぱり屋台の「一二三」です。

 いつものように入って左側、鉄板横あたりに座り焼酎(いいちこ)の水割り(400円)をもらってクッとひと口飲んだあと、つまみにはナスの塩もみ(350円)を注文し、できあがりを待つ間に、おでん(1個100円)の玉子と厚揚げをもらいます。

 ナスはメニュー上は「なすび350円」とだけ書かれていて、もともとは焼きナスかナスの塩もみかが選べたのですが、少し前にコンロを新型に入れ替えたところ、安全装置の働きで焼きナスが作れなくなってしまったのです。それで今はナスは塩もみだけを提供中。

 注文を受けてからナスを1本取り出して、表面をササッと水洗いすると、両端を切り落として全体を長さ方向に二つに切り、端っこから5ミリ幅くらいに半月切りにしていきます。それをビニール袋に入れて塩と味の素をサッサッと振りかけて、ビニール袋ごとギュッギュッともんだら取り出して、水洗い(塩抜き)してから絞って水気を切り、再びビニール袋へ入れてササッと塩を振ってひと混ぜ。これをお皿に盛って、削り節をたっぷりとのせたらできあがり。醤油さしと一緒に出してくれます。

 おかあさんの手際がいいこともありますが、ナスの塩もみってこんなにも簡単にできちゃうんですね。しかもお酒にもよく合うし! 自分でも作ってみるかなぁ。

 さっきまで飲んでいた「シロクマ」のマスターも、ここ「一二三」の常連さん。よその土地に出ていた学生時代にも、呉に帰ってくると真っ先に、この屋台に立ち寄っていたんだそうです。

「『ただいまぁ~』言うて帰ってきよったよの」と、おかあさんも目を細めます。

 「シロクマ」のマスターは、自らが酒好き、酒場好きなので、「魚菜や」でも一緒になったりするのです。なので、「シロクマ」のマスターに対しては、店主とお客というよりも、呑ん兵衛同士の連帯感のようなものを感じているのでした。

 ここ「一二三」では、湯割りにしても水割りにしても、焼酎をたっぷりと入れてくれるので(もちろん少なめにしてもらうこともできますが)、1杯でも十分なくらい酔えます。しかも今日は4軒目なので、これくらいにしておきますか。

 向こうのお客さんがラーメンを注文したのに合わせて、私も〆のラーメン(500円)を注文。

 ここのラーメン(メニュー表記は「中華そば」)は、広島で多い豚骨醤油味で、麺はふつうの太さのストレート麺。具はメンマ、モヤシ、チャーシュー(1枚)に刻みネギがのります。

 それほどお腹がすいていない場合には、半麺(はんめん)といって、麺だけが半分の中華そば(値段は同じ)も作ってもらえます。半麺を注文して、そのスープをつまみにお酒(焼酎がよく合います)を飲むのもいいんですよねぇ。

 1時間弱の滞在は1,450円でした。どうもごちそうさま。

 やぁよく飲んだ。今日のうち(日付けが変わらないうち)に社宅に帰り着けそうです。

101127m 101127n 101127o
「一二三」 / おでんと焼酎水割り / 中華そば

店情報前回

《平成22(2010)年11月27日(土)の記録》

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呉の呑ん兵衛であれば … スナックスタンド「シロクマ」(呉)

スナックスタンド「シロクマ」


 広(ひろ)からバスで呉(くれ)へと戻り、今日の3軒目は呉で2番目に古いスタンドバー「シロクマ」です。

 呉で1番古いスタンドバーは昭和28(1953)年創業の「どん底」で、それに続くここ「シロクマ」の創業は昭和32(1957)年。「どん底」の現在の建物は昭和30年代に建てられたもので老舗の風格を漂わせていますが、ここ「シロクマ」の建物は、残念ながら平成20(2008)年6月に発生した呉市繁華街の火事で被災。一緒に被災した冷麺の「珍来軒」や焼肉の「加瀬多」などとともに新築や移転を余儀なくされました。だから現在の「シロクマ」は、平成20年に建てられた新しいもの。しかしながら、古い店舗の備品類などの中で、使えるものはほぼ使うようにして、できるだけ以前の雰囲気を保とうという工夫をされたのだそうです。

 「シロクマ」の店内は、左側が店の入口から一番奥までを貫くロングカウンター。15人くらいは座れるのかな? 右手奥には長円形のテーブル席があって両側にそれぞれ5人ずつ、合わせて10人ほど座れます。これとは別に2階にもカウンターやテーブル席があって、団体さんは予約して2階に入ることが多いようです。

 今日もカウンターの一角に座って、キープしている麦焼酎「二階堂」のボトルを出してもらって、炭酸割りで飲み始めると、お通しとして3点盛りの乾き物と、小鉢のキンピラを出してくれます。

 「お通しとして」とは言うものの、たいていの場合は、このお通しだけで特に他には注文せずに飲み続け、つまみがなくなってきたらちょこちょこと何かを出してくれる店が多い。お腹が空いていたりして、食べたいものがある場合は注文すると作ってくれます。このあたりはスナックとほぼ同じですね。

 店には店主夫妻のほか、手伝いの女性が何人かいて、カウンター内のそこここに立って接客してくれます。テーブル席の場合は、お酒がなくなったりすると作りにきてくれますが、お客さんと一緒に座ったりすることはありません。これがスタンドバーの決まりです。

 ただし、カウンターの中で接客してくれるおねえさんは、「私もいただいていいかしら?」と自分の好きな飲み物を飲み、その料金もお勘定に含まれます。「いただいていいかしら?」と聞かれて、なかなか「いやだ」とは言えないのです。

 たいていの場合は、ひとりのおねえさんがずっと担当のような感じでついてくれるのですが、来客の状況によってはおねえさんが代わる場合もあります。そのときは、新しいおねえさんも「私も1杯いただいていいかしら?」と飲みはじめるのでした。

 そのスタンドの料金は、スナックの料金と同様、店によって異なっていて、キープボトルがある場合、ひとり2~6千円くらい。ひとりで飲みに行くと3~5千円くらいのことが多いようです。ボトルがなくなってキープすると、その銘柄によって8千円~1万円くらい。

 決して安くはないのですが、呉の呑ん兵衛であれば、少なくとも1~2軒の行きつけのスタンドがあるのが当たり前。会社の後輩たちと飲みに行くときも、二次会、三次会ではそういう店に連れて行くことが多いので、社内ではスタンドの店名よりも「Aさんのお店」、「Bさんのお店」と、そのスタンドを行きつけにしている先輩の名前で呼ばれることが多いくらいです。

 私自身、今から30年近く前の新入社員時代、当時の先輩社員たちに、ここ「シロクマ」や、そのすぐ近くにあった「エスカルゴ」(今はもうない)や、「シロクマ」の2階にあった「白婉(びゃくえん)」(火事のあと別のビルに移転)などに、よく連れいってもらったものでした。しかも現金払いではなくて、ツケ払いだったので、お金を払っているところは見たことがない。「どのくらい払ってるんだろうなぁ?」と疑問に思ったものでした。

 そういえば給料が現金払いだった時代には、会社の門のところに、ツケ払いを回収するために、酒場のおねえさんたちがずらりと並んでた、なんて話も聞いたことがあります。今は昔の、景気がいい時代の話ですよねぇ。

 「二階堂」のボトルが空いて、おねえさんが「同じものを入れますか?」と聞いてくれたところで、「今度は角瓶にします」とキープボトルを切り替えます。

 新しいボトルからも1~2杯飲んだところでお勘定。1時間半ほどの滞在は、ボトル代も入って11,600円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成22(2010)年11月27日(土)の記録》

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木戸編集長の口コミで … よりみち処「笑月(しょうげつ)」(呉・新広)

広交差点の「笑月」


「広(ひろ)に行くんなら『笑月(しょうげつ)』にも行ってみんさいや。『花月(かげつ)』で修業した若い人が開いた店で、1品1品が笑(わろ)てしまうほど安いんじゃけえ(笑)」

 呉の情報誌「くれえばん」の木戸編集長からそんな話をうかがったのは8月のこと。「魚菜や(ぎょさいや)」で飲んでいるときでした。

 「花月」は呉でも屈指の高級(?)日本料理店で、夜のおまかせ料理は6,300円からと、なかなかふらりと立ち寄ることはできないお店です。その料理が居酒屋価格で食べられるのならば、ぜひ行ってみなければ。そう思いながらもあっという間に月日はたって、11月も終わりに近づいた今日、やっとその「笑月」に初入店となったのでした。

 店内は右手にL字カウンター8席分(短辺2席+長辺6席)、左手は小上がりになっていて、4人用座卓が3つ並んでいます。一番手前の卓のところだけ、上がりかまちが広く取られているので、お誕生日席にももう1人座れて、5人で卓を囲めるようになっています。そんなわけで、全体で21席の比較的小さなお店を、店主とアルバイトの女性の2人で切り盛りします。

 午後6時開店の「笑月」は、たった今、開店したばかり。初入店なのに、本日第1号の客になってしまいました。

 カウンターの一番奥の席に座り、アサヒとキリンが選べる瓶ビール(中瓶500円)からキリンを注文すると、「最初の一杯だけ」と笑いながらアルバイトの女性がお酌してくれます。この女性は近所に住む学生さんの様子。背中に「笑月」と大書されたトレーナーが、この店のユニフォームなんですね。

 お通し(200円)として出されたのは、野菜たっぷり、具だくさんのポテトサラダの小鉢です。

 カウンターの中の壁、小上がりの突き当たりの壁には『本日のおすすめ』と書かれた黒板があり、刺身や季節物などが30品ほど手書きされています。そういえば店頭にも同じ黒板が出ていました。日替わりメニューが30品もあると、3つの黒板を書きそろえるのもたいへんな作業だろうと思います。

 それとは別に紙に印刷された定番メニューが40品以上あり、そのほかに飲み物メニューがあります。定番メニューはカウンター上部に木製の短冊メニューとしても並べられています。

 そんなたくさんの料理の中から、今日の1品目は『本日のおすすめ』に挙げられている太刀魚(たちうお)の南蛮漬け(420円)を注文します。太刀魚の南蛮漬けのように、あらかじめ準備ができるメニューは、カウンター上段に大皿で並んでいて、注文すると、そこから一人前を取り分けてくれます。

 瀬戸内海では太刀魚がよく取れますが、こうして南蛮漬けでいただいたのははじめてですねぇ。これもおいしいや。

「『花月』で修業をされて、この店を出されたんですって?」と聞いてみると、

「いや、修業といっても短期間だったので、『花月』のような料理はできないんですよ」と謙遜される店主。「でも、その太刀魚の南蛮漬けは『花月』でも出されている料理です」とのこと。

 おぉ、なるほど。「花月」だったら、とても420円では食べられないだろうなぁ。感謝、感謝。

 作り置きのメニューが2品(ポテトサラダと南蛮漬け)続いたので、今度はあったかい料理をと、砂ずりから揚げ(480円)を注文します。砂ずりというのは鶏の砂肝のこと。この店の砂ずりから揚げは、その砂肝を比較的大きなかたまりのまま唐揚げにしたもの。櫛(くし)切りにしたレモンが1切れ添えられています。こんなに大きなかたまりなのに、固い筋のような部分がなくて軟らかい(砂肝の心地よい弾力感はもちろんある)のは、下ごしらえがいいからなのでしょうね。

 呉の肴(さかな)と、横須賀の肴は似ているな、と思うことがときどきあります。たとえばこの砂ずりから揚げ。横須賀の「銀次」には、もつ揚げ(300円)という砂肝を中華鍋で素揚げにしてくれる名物料理があって大人気。さらにこちらの小イワシは、横須賀でよく食べられるシコイワシと同じものです。磯で取れる小さな巻貝、ツブ(シッタカ)もそうですね。古くからの軍港同士なので、軍艦が行き来しているうちに料理も互いに伝播しあったのかもしれませんね。

 ビールを飲み終えて、今度は「千福」の燗酒を二合徳利(700円)でもらいます。日本酒はこの呉の「千福」のほか、西条(東広島市)の「白牡丹」と灘(神戸市)の「剣菱」が選べて、それぞれ一合なら360円で、二号なら700円。それぞれナショナルブランドのお酒ながら、安心して飲むことができる銘柄だと思います。

 ふと気がつくと、小上がりの座卓は2卓が埋まり、残る1卓は予約客の到着待ち。カウンターも私のほかに、二人連れ、三人連れがそれぞれ一組ずつ入っていて、あとは一人客が一人か二人、かろうじて入れる程度です。この値段で、この料理ですもんねぇ。人気があるのもわかります。

 追加のつまみで、『本日のおすすめ』ボードから、ゆでエビ(350円)を注文すると、大皿に盛られたエビをひとつかみ、小鉢に入れて出してくれます。「これで350円?」と驚いていると、「阿賀(あが、呉と広の間にある町)の漁師さんから、形がふぞろいなものを安く分けてもらえるんですよ」と店主。う~む。あんまりふぞろいでもないように感じるけどなぁ。

 瀬戸内海のエビの濃厚な味わいに、あっさりとした「千福」の味わいがよく合いますねぇ。この肴があって、このお酒ということがよくわかります。

 1時間40分ほどの滞在。お勘定は2,650円でした。どうもごちそうさま。

 いやぁ、呑ん兵衛同士の口コミほど信頼できる情報はありませんねぇ。改めてそう感じたお店でした。

101127g 101127h 101127i
お通しのポテトサラダ / 太刀魚の南蛮漬け / 砂ずりから揚げ

101127j 101127k 101127l
「千福」燗酒 / 店内の様子 / ゆでエビ

店情報

《平成22(2010)年11月27日(土)の記録》

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店情報: よりみち処「笑月(しょうげつ)」(呉・新広)

    101127z
  • 店名: 笑月
  • 電話: 0823-71-1311
  • 住所: 737-0125 広島県呉市広本町1-1-37-101
  • 営業: 18:00-02:00(金土は -03:00)、日休
  • 場所: JR呉線・新広駅の無人改札を出て、タクシー/バス乗り場を抜けて大通り(国道185号線)を右へ。道成りに進むこと約12分(650m)、右手ビル1階。広交差点のすぐ手前。新広駅の改札からの総距離は約760m、徒歩14分ほど。広駅から歩いてもほぼ同じ距離。
  • メモ: カウンター8席、小上がり座卓3卓(4席、4席、5席)の合計21席。〔飲み物〕びんビール中(アサヒ・キリン)500、生ビール中500、チューハイ(レモン・ライム・カルピス・梅・青りんご・巨峰・バナナ)420、焼酎(麦・芋、水割り・ロック・湯割り)350、ウーロンハイ420、ハイボール440、日本酒(千福・白牡丹・剣菱)一合360・二合700、冷酒(千福生)730、梅酒350、ウイスキー480、ブランデー480、ワイン(赤・白)飲み切りハーフボトル960、ジュース類(オレンジ・カルピス・コーラ)250、ウーロン茶250、ボトルキープ(福召(麦)・黒霧島(芋))2,800、ミネラルビン250。〔揚げ物〕海老の天ぷら630、タコの天ぷら420、小いわし天530、小魚の梅じそ天480、海老の変わり揚げ730、レンコンのはさみ揚げ560、野菜の天ぷら420、砂ずりから揚げ480、若鶏の竜田揚げ480、手羽先のから揚げ390、串かつ1本280、チーズカリコリ370、フライドポテト380、めんたいフライ530。〔焼き物〕親鳥の塩胡椒炒め530、ホッケ630、豚耳炒め530、ササミチーズ焼き420、納豆オムレツ370、出し巻き卵420、ゲソバター焼き480、豆腐ステーキ450。〔煮物〕牛すじ煮込み390、豚の角煮390、肉じゃが390、鳥皮味噌煮420、つくね団子450。〔小鉢〕ほたるイカの沖漬け270、タコワサ270、チャンジャ370、キムチ270、ちりめんやっこ370、漬物盛り合わせ420、チーズやっこ370、ポテトサラダ300、もろきゅう330、梅きゅう330、冷やしトマト350、シーザーサラダ480。〔御飯物〕梅ぞうすい500、鳥ぞうすい550、お茶漬け480、天丼830、かき揚げ丼830、むすび150。〔ラーメン(夜10時から、数に限りあり)〕笑月ラーメン730、チャーシューメン930。〔日替りの黒板メニュー〕かんぱち刺身580、あぶりサーモン530、たこ刺身480、シャコ480、牛レバー刺860、砂肝生刺830、酢ガキ480、カキフライ580、なまこ酢480、いさき煮付け960、あさりバター焼き480、太刀魚の南蛮漬け420、あん肝ポンズ480、わち酢漬け390、ゆでエビ350、うなぎ蒲焼き480、沖縄もずく270、白子ポンズ390、小いわし天530、牛もろみ焼き680、お刺身くらげ480、なっとう天420、チーズ天390、梅くらげ370、揚げ出汁どうふ420、アボカドとクリームチーズのサラダ480、五種ウインナー420、よせ鍋1,380、火鍋1,180、湯豆腐880。(2010年11月調べ)

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土曜日は家事のあとで … おでん「あわもり」(呉・新広)

かわ、きもと泡盛


 10月末に開催された「呉酒まつり」のあと、11月第1週の週末は東京で、第2週末は愛媛で、第3週末は横浜・東京に居たので、呉での週末は4週間ぶり。久しぶりに部屋の掃除をしたり、買物をしたりしながら昼間を過ごし、夕方になってからおもむろに「あわもり」へと出かけます。

 今日はいきなり泡盛(160円)の梅割りでスタートし、おでん(1本90円)はカワとキモをもらいます。

 ックゥ~ッ。いきなりの泡盛は効きますなあ。

 カワは豚の皮。事情通の遊星ギアのカズさんから聞いたところでは、豚の皮というのは実はなかなか手に入れにくい食材なんだそうです。ここ「あわもり」では、何十年も前からずっと豚の皮を仕入れているから、今でも手に入れ続けられるんでしょうね。

 豚足にかじりついてプリプリの皮の部分を食べるのもそれはそれで楽しいものですが、こうやってあらかじめ皮だけを煮込んであると、なんの苦労もなく皮のプリッとした食感を味わうことができます。くちびるがギトッとするほどのコラーゲンを、泡盛でキュッと流すのがいいんですよねぇ。

 キモのほうは、ヤワギモとかフワギモと呼ばれる肺の切り身を串に刺して煮込んだもの。「ホンギモ(=肝臓のこと)は煮込んだら小さく、硬くなるうえに、目方で仕入れるけえ、たこつくんじゃ」と店主。東京でも「大坂屋」や「藤や」、「小林」などのもつ煮込みにはフワが使われてますもんね。フワは煮込んでも小さくなったり、硬くなったりせず、煮汁もよく染みこむようです。

 続いてはコンニャクです。コンニャクは黒く小さくなるほど煮込まれていて、噛むと、表面に近い数ミリの部分には、しっかりと煮汁の黒い色が染みこんでいます。「あわもり」の煮汁は、最初の味付けはどうか知りませんが、営業中に追加していくのは出汁(だし)と醤油だけ。ときどきデキャンタにちょっと残った泡盛や、ポットにちょっと残った日本酒なども入れますが、それはほんの気持ち程度。基本は出汁と醤油です。それでこんな味になるのは、具材として入っている天ぷら(平天や棒天)やイワシ団子などからいい味が出るからなのかなあ。

 2杯目の泡盛梅割りをもらって、おでんはジャガイモです。近くの安芸津(あきつ)の赤土で栽培されたジャガイモは、長時間煮込んでも煮崩れることがなくホクホクと甘みがあります。このジャガイモも、この店の人気の一品なんですよねえ。

 というか、人気のあるものだけが長年にわたって生き残ってきているので、現在もメニューに並んでいる十数品は、すべて人気があるものばかりといっても過言ではありません。

 スジ(アキレス腱)をもらって、泡盛は3杯めに突入です。飲んだ杯数と同じ個数の青い丸タイルがカウンター上に置かれ、後ほど、このタイルの数でお勘定をしてくれるのです。

 となりのお客がネギマを注文するのに合わせて、私もネギマを注文します。注文を受けてからおでん鍋に投入されるネギマは、ネギの間にちょっと挟んでいるマグロの身がおいしい一品。『ネギ』の間に『マ』グロが入っているからネギマという名前になるのは、東京のネギマ鍋やネギマ串などと同じですね。

 東京で食べるネギマ串は、ネギよりもマグロが主役の感があります(マグロの身が大きい)が、ここ「あわもり」のネギマはネギが主役。よ~く見るとマグロの身が挟まってるな、という程度のマグロながら、そのほんのちょっとの身が、マグロらしい風味を放っているのだからすごいですよねえ。これで90円なんだから、なにも文句は言えません。

 最後は、芯にゴボウが入っている棒天(ぼうてん)で〆て終了です。

 1時間ほどの滞在は、泡盛3杯とおでん7本で合計1,110円でした。どうもごちそうさま。

101127a 101127b 101127c
こんにゃく / じゃがいも / すじ

101127d 101127e 101127f
泡盛3杯め / ねぎま / ぼうてん

店情報前回

《平成22(2010)年11月27日(土)の記録》

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豚足1本で腹いっぱい … 屋台「一二三(ひふみ)」(呉)

「一二三」の豚足


 「どん底」を出て、最後の仕上げにと向かったのは堺川(さかいがわ)沿いの屋台街の中の1軒、「一二三」です。

 寒いので焼酎の湯割り(400円)でももらって、おでん(1個100円)を2~3品つまんで帰るかなぁ、と思いながら防寒用のビニールシートをかき分けて、屋台の中へと入ります。

「おぉ、いらっしゃい。久しぶりじゃの」と笑顔で迎えてくれるおかあさん。そう言われてみると、前回から4週間ぶりですねぇ。ここ「一二三」は、基本的には金曜と土曜にしか営業していないので、週末に予定が入ったりするとしばらく来れなくなったりするんです。

 ちょうど空いていた左角のあたりに座り、まずは計画どおり焼酎(いいちこ)の湯割り(400円)を注文します。

 以前にも何度か書いたとおり、呉の屋台には上下水道と電気が完備されているので、あとはプロパンガスのボンベとガスコンロを持ち込めば、普通の店の厨房に近い状態になります。水と電気がじゃんじゃん使えるというのは、屋台にとってはありがたいことですよね。

 呉の屋台は、大きく分けると二つにグループ化できます。ひとつは屋台用の上下水道や電源の設置工事が行われた昭和62(1987)年頃から、ここで営業していた老舗屋台グループで、もうひとつは平成14(2002)年以降に行われた呉市の公募により営業を始めた新規参入グループです。

 前者、老舗屋台グループの特徴はラーメンとおでん、豚足が必ずメニューに載っていること。実はこのメニューの品揃えと、それらの値段を屋台の外にも明示することが昭和62年頃の認可条件だったんだそうです。

 ここ「一二三」のある一画、堺川にかかる楓(かえで)橋よりも北側にある「一二三」「八起」「富士さん」「清龍軒」の4軒は、すべて老舗屋台グループで、それぞれラーメン、おでん、豚足はあって、値段も同じながら、それぞれ味わいは違うのがおもしろい。たとえばラーメンにしても、ほとんどの屋台は豚骨しょうゆ味がベースだけど、「八起」は透明度のあるチキンスープを使っていて、ワンタン麺もメニューに並びます。

 一方で新規参入グループのほうは、お好み焼き屋台あり、燻製屋台あり、餃子屋台あり、焼き鳥屋台ありと、こちらはこちらで老舗屋台にはない特色を、それぞれの屋台ががんばって創り出そうとしているのがおもしろいところです。

 さてつまみ。おでんを2~3品と思いながら入ったのですが、目の前の鉄板でいかにもおいしそうな豚足が焼きあがっていくのを見てしまうと、やっぱりこれが欲しくなってしまう。私も豚足をお願いします。

 豚足は一人前600円が、豚の足先1個分。あらかじめ下ごしらえ(下ゆで?)した状態で発泡スチロールの箱にずらりと入っているものを1個取り出して、まな板の上で、おかあさんがひと口大に切り分けていきます。内部には硬い骨があるんだけど、絶妙な位置に包丁を当ててザクッと切り目をいれ、両手でグイと引っ張るとおもしろいようにばらけていきます。切り分けるためのツボのような場所があるんでしょうねえ。

 1本の豚足が、8つくらいのひと口大のかたまりに分割されたところで、それらを鉄板の上に並べ、塩・胡椒・味の素を順にふりかけたら蓋(ふた)をします。この状態でしばらく蒸し焼きにするんですね。少し経ったところで蓋を開け、両手に持った2本のコテで豚足をコロコロところがして、さっきとは違う部位を下にして、また蓋をします。これを何度か繰り返して、全面に焼き目がついたら、お皿に移してできあがり。

 この豚足は、お皿からそのまま手に取っていただきます。味付けは、おかあさんが最初にふりかけてくれた塩・胡椒・味の素のみ。他には何もつけません、かけません。なのに実にいい味が付いていて、焼酎が進んじゃうんですよねえ。

 日付けが変わる頃まで、1時間ほど楽しんで、今日のお勘定は豚足(600円)と焼酎湯割り(400円)でちょうど1,000円。豚足1本で、すっかり満腹になって帰宅したのでした。

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《平成22(2010)年11月26日(金)の記録》

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ワイワイと飲むもよし … バー「どん底(どんぞこ)」(呉)

どん底


 「魚菜や」を出て、静かにウイスキーでも傾けようかと、やってきたのは呉で一番古いスタンドバー「どん底」です。なにしろ、この「どん底」の、亡くなった店主が呉のスタンドバー組合の規則を作って、スタンドバーという業態を確立させたので、それより前には、明文化された状態での正式な呉のスタンドバーは存在しなかったのです。

「女の人が嫌いというわけじゃなくて、むしろ好きだったんだけど、お酒を飲んでる席で女性とイチャイチャしたりするのは『行儀が悪い!』といって嫌ってたわねえ。」

 と女将。亡き店主の奥様で、現在の「どん底」の店主です。そんな方が作った規則だから「店員はカウンターから出ず、カウンターの中でお酌程度のサービスをする」ということが明文化されたんですね。この規則が、現在もスタンドバーの原則として守られているようです。

 「魚菜や」から「どん底」までは歩いて5分ほど。「魚菜や」のまわりは、ちょっとした呑兵衛横丁になっていて酒場が並んでいますが、「どん底」の近くまで来ると店もまばら。ひときわ大きな「どん底」の重厚な造りが目を引きます。

 入口扉もまた重厚。今でこそ、あまり臆することなく扉を開けることができますが、若いときにこの店を知ってたとしても、ひとりでは入れなかったかもなあ。そんな思いがするほどの重厚さです。

 入口扉を開けて店内に入ると、酒場らしい賑(にぎ)やかなざわめきが耳に飛び込んできます。いつもは静かな雰囲気の「どん底」が、こんなに賑やかなのは珍しいことです。

 この店は、入口のすぐ内側にL字の壁があって、直接的に店内を見ることはできない造りです。L字の横にある、ほんの数段の階段を下りて、はじめて店内へと入るのです。

 その階段を下りながら、「こんばんは」と女将にごあいさつ。

 突然、「おぉ~っ、浜田さん!」と声がかかります。なんとなんと。賑やかにお酒を飲んでいたのは、部こそ違うものの、うちの会社の人たちだったんですね。この店で同じ会社の人にあったのは初めてです。

 6~7人ほどがカウンターにずらりと並んで飲んでいる横に座らせてもらい、私はいつもの「竹鶴」をロックでもらって、みんなと乾杯です。

「なんでこの店を知ってたの?」と聞いてみると、彼らの中のひとり(まだ若い!)がこの店にときどき来ているんだそうで、今日は彼にくっついてやってきたんだそうです。

 う~む。若いのに、この重厚な店にスッと入れるとは、かなりのバー好きですねえ。すばらしい。

 そんなわけで、ひとりで静かにウイスキーの予定が、ワイワイと楽しい「どん底」になったのでした。お勘定はみんな(7~8人ほど)で38,000円。ひとりあたり5千円前後といったところでした。どうもごちそうさま。

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《平成22(2010)年11月26日(金)の記録》

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金曜日の仕事を終えて … おでん「魚菜や(ぎょざいや)」(呉)

豊島産天然かき酢


 金曜日の仕事を終えて、ひとりでふらりとやってきたのは「魚菜や」です。

 「魚菜や」は、もともとの成り立ちがおでん屋台だったこともあって、現在も看板の上では“おでん”の店ということになっていますが、実際には女将のおいしい手料理を食べることができる小料理屋といった風情。小さなテーブル席(2人用)が1卓はあるもの、その店内はほぼL字カウンター10席程度のみの店といっていい状態。L字は縦の辺も横の辺もほぼ同じ長さで、その角の位置に四角いおでん鍋がすえられています。

 この店内を女将がひとりで切り盛りします。厨房は奥の間にあって、注文が入ると奥で調理して出してくれますが、それ以外の時間は、女将もL字カウンターの中に置かれた椅子に座って、我われの話し相手になってくれます。

 まずは生ビール(サッポロ)をもらって喉を潤すと、今日のお通しはほうれん草のゴマ和えです。

 料理のうち、あらかじめ準備ができるものは大皿に盛られて、カウンター縦の辺の内側にずらりと並べられていて、それを見ながら注文することも可能です。手書きの品書きも出されているので、それから選ぶこともできます。

 今日の品書きは、〆さば、地ダコ、タラの白子、すがき(岩がき)、カキフライ、小いわし天、タコ天、さばのはぶて焼、鯛のあら煮、大いわしの梅煮、ポテトサラダ、牛すじとジャガ芋の煮込、ごぼうの煮物、わけぎぬた、魚の子の煮物、なすの田舎煮というラインナップ。値段は表記されていませんが1品400円からで、全体としてそれほど安くもないものの、それほど高くもないといった感じです。

 これ以外に定番のおでんがあって、アキレス、ロールキャベツ、しらたき、こんぶ、がんす、豆腐、厚あげ、じゃが芋、大根、ウインナー、玉子、シューマイといった品々が、関西風と関東風の味付けでそろっています。

 今日はポテトサラダをもらいましょうかね。ポテトサラダは、ほぼいつもある定番の料理で、縦のカウンターの一番奥に置かれた大皿にたっぷりと盛られていて、注文するとそこから取り分けてくれます。ポテトのみならず、他の具材もたっぷりと入っているほか、横にはオニオンスライスや貝割れ大根なども添えられているのがうれしいですよねぇ。このポテトサラダのファンが多いというのもよくわかります。

 生ビールに続いては、安浦(やすうら)の地酒、「白鴻(はくこう)」を燗酒でいただきます。

 この店では、燗酒を注文すると、好きな猪口(ちょこ)を選ばせてくれます。太田和彦さんの影響か、私も逆八の字に上が広がったタイプの猪口が好き。しかもちょっと大きめのものが飲みやすいので、気がつくといつも富士に雁(かり)の絵柄の同じ猪口を選ぶようになってきました。この猪口で、太田さんを気取りながら、ツィ~ッといただく燗酒のおいしいこと。

 燗酒に合わせて、つまみは酢ガキをいただきます。この酢ガキのカキは、岩ガキといって、この近くの磯場(今日のは豊島産)で獲れる天然ガキです。この岩ガキがおいしいのは11~12月ごろだそうで、年末になるほど小粒になっていくんだそうです。今日のカキも、一段と小さくなりましたねぇ。身は小さくなるものの、味わいは逆にどんどん濃厚になっていきます。チュルンといただくひと粒ひと粒の味と香りがいいですねぇ。

 続いては日本酒を音戸の「華鳩(はなはと)」のにごり酒(冷酒)に切り換えて、つまみはおでんの“がんす”。関東風の出汁(だし)でいただきます。

 ゆっくりと2時間近くくつろいで、今日のお勘定は3,250円でした。どうもごちそうさま。

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生ビール、お通し / ポテトサラダ / がんす、にごり酒

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《平成22(2010)年11月26日(金)の記録》

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かきの天ぷら独り占め … 「鳥八茶屋(とりはちちゃや)」(呉)

かきの天ぷら


 かきの天ぷらが食べたくなって、会社帰りに「鳥八茶屋」にやってきました。

 店に入ると、その両側に店の奥に向かって伸びる直線カウンターは、1本の丸太を二つに割って、左右に分けたもの。今日は左側カウンターの中央、やや奥に座って、まずは瓶ビール(キリンラガー大瓶、630円)をもらって、かきの天ぷらを注文。そのかき天ぷらのでき上がりを待つ間に、定番の「みそ煮」(160円)をもらいます。

 「みそ煮」は、ここ「鳥八茶屋」のみならず、呉の“とり屋”(と呼ばれる焼き鳥屋)に行くと、必ず置いているこの地域全体の定番商品。鶏皮をみそ味でグツグツと煮込んだこの一品は、もともとは焼き鳥の下ごしらえで捨てていた鶏皮をなんとか有効利用しようと考え出したものなんだそうです。注文するとあっという間に煮込み鍋(もしくはバット)から小鉢によそって出してくれる、最初の一品として最適なスピードつまみでもあります。

 みそ煮をつつきながら、ビールをコップ2杯ほどいただいたところで、かきの天ぷらもやってきました。瓶ビールもまだ残っているものの、このタイミングで「華鳩(はなはと)」の燗酒(1.5合630円)も注文しておきます。

 最初のかきを箸にとって、ハフハフと口中へ。シャクっと噛み割った衣の中は、プリップリのかきの弾力感。プツッと噛み切ると熱々のかきのジュースが口の中いっぱいに広がります。ウゥ~ッ、うまいっ!

 天つゆも出してくれているのですが、かき自体にほんのりと塩味があるので、何もつけなくても十分においしい。もう1個、さらにもう1個と、熱いうちに戦うように食べていきます。

 すぐに「華鳩」の燗酒も登場。この酒が、味の濃い瀬戸内海の魚介類によく合うんですよねぇ。クッと喉に送り込むと、かきの味と香りをフワッと広げてくれます。

 ところで、ここ「鳥八茶屋」には、かきの天ぷらというメニューはありません。かきフライ(840円)は、かきの季節だけメニューに登場します。また天ぷらそのものは、盛り合せ天婦羅(1,050円)の他、えび天婦羅(840円)、小いわし天婦羅(530円)、野菜天婦羅(530円)、ささみ天婦羅(320円)、地物たこ天婦羅(630円)、いか天婦羅(530円)、明太子天婦羅(420円)などがメニューに載っています。それらを融合して、言えばかきも天ぷらで出してくれるのです。

 たしかに、カキフライはカキフライでまたうまいんだけど、かきの天ぷらにはそれとはまた違うかきの旨みや香りを感じます。

 1ヶ月ほど前、この店で初めてかきの天ぷらを食べたときは、一人前(8個ほど)を3人で分けあって食べたので、ひとり2~3個ずつしか食べられませんでした。今日は一人前を丸ごとひとり占めです!

 この店は開店して30年。現在の店主は二代目で、初代店主夫妻(現店主の両親)は、同じ通りの本通り寄りにある「鳥八」をやっているそうです。「『鳥八茶屋』と『鳥八』は、どちらが本店ということはないんです。互いに姉妹店としてやっています」と話してくれました。

 かきの天ぷらを食べ終えた後は、飲み物を同じ「華鳩」のにごり酒(カップ酒、420円)を注文して、つまみにはキムキュウ(210円)をもらいます。キムキュウは、ざく切りに下キュウリとキャベツを、キムチの素でさっと和えたもの。にごり酒のラベルには、

 『春は花 秋は月 冬は雪
   白きうまき酒ありて
  季節のよろこび さらに深し』

と記されています。にごり酒ながら、アルコール度数も16~17度とやや高く、その味わいはすっきりとしています。最後の1杯として、デザートワイン的にいただくのにもちょうどいいように思います。

 ゆっくりと1時間半ほどの滞在は、2,990円でした。どうもごちそうさま。

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みそ煮とビール / キムキュウ / 華鳩にごり酒

店情報前回

《平成22(2010)年11月23日(火)の記録》

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洋風さんま野菜スープ … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

さんまのすりみ野菜スープ


 野毛の「ホッピー仙人」をあとに、JR湘南新宿ラインでバビュンと都内へ。西武新宿線・都立家政(とりつかせい)に到着したのは午後10時半。かろうじて「竹よし」が開いている時刻(午後11時までの営業)なので、ちょっと寄って帰りましょうか。

 「竹よし」は入口右手が6人ほどのカウンター席で、左手に壁側にだけ座れるテーブル席(3人用)が2卓。普通に座って12人、ギュッと詰めても14人程度の、小さなお店です。この店内を、通常は店主と手伝いの女性の二人で切り盛りしています。

 手伝ってくれている女性も、みなさんこの店のお客さんだった人ばかり。

 以前は店主ひとりで切り盛りしていて、お客さんが多くて大変なときなどは、常連さんたちが料理や飲み物を出すのを手伝ったりしていたのです。そんな流れの中で、よく手伝ってくれていた何人かの女性が、正式にお店の手伝いとしてカウンターの中に入るようになり、現在に至っているのでした。

 土曜日のお手伝いはキティちゃん。燗酒(菊正宗、350円)を注文すると、キティちゃんの絵が描かれたお猪口とともに出してくれました。お通し(200円)はツミレ煮。

 その燗酒をチビチビといただきながら、今日のメニューはとカウンター内の壁に掲げられたホワイトボードを確認すると、今日の刺身は、びんとろまぐろ(700円)、あいなめ(600円)、大分直送 活さば(650円)、黒まぐろ脳の身(1,000円)、赤貝ひも(400円)、盛り合せ(1,000円)、小盛り合せ(650円)。

 焼魚は、たちうを(500円)、手造り天日干しあじ(600円)、大分産秋さばの頭と尾(650円)、ぶりかま(650円)、さわらかぶと(600円)。

 天ぷらは、車えび(大)2尾と野菜類(900円)、かき揚げ(800円)、盛り合せ(1,000円)。

 その他の一品料理として、たら白子生食(600円)、たらのきも酒むし(550円)、さば棒ずし(750円)、しめさば(550円)、穴子押しずし(800円)、から付ホッキ貝あみ焼(500円)、かき酢(三陸産、500円)、かきふわふわ焼(三陸産、600円)、焼きはまぐり(600円)、煮魚あいなめ切身(700円)、眞かれい姿煮 or 姿揚(800円)、さんまのすりみ野菜スープ(600円)、きのこ類の精進蒸し(500円)、どんこ鍋(800円)、かに雑炊(800円)、梨田わさび(450円)、生わさび手巻き(550円)、まぐろ山かけ(600円)、すのもの(550円)、粒うに(400円)、酒盗とクリームチーズ(450円)、山いも千切り(350円)、沖縄もずく(300円)、氷頭(ひず、400円)、スタミナ六品(まぐろ・納豆・山いも・オクラ・ねぎ・玉子、600円)、自家製しおから(二日目 and/or 五日目、350円)、いかわた味付(450円)、おしんこ(400円)などが並んでいます。

 閉店時刻までの残り時間を考えると、注文できるの1品のみ。

 今日は昼からずっと飲み続けてきたので、最後はお腹にやさしい汁物で締めますか。さんまのすりみ野菜スープ(600円)をお願いします。

 待つことしばし。出てきたスープはスパイス(胡椒)がよく効いた洋風なもの。サンマのすり身ということで、勝手に和風の味わいを想像していただけに、びっくりですねぇ。しかもラーメン丼のような大きな器に、ボリュームもたっぷりです。

 スープを飲んでは日本酒をちびり、またスープを飲んでは日本酒をちびりとやっていると、「ちょっとだけど、これも食べてみるかい」と店主が生食用の白子を小皿で出してくれました。

 プリッと膨らんだタラの白子はつやつやと光り、表面には小さな血管が走っています。ポン酢醤油をちょっとだけかけて、つるんと口中へ。やわらかい弾力をプツンと噛み切ると、ちょっと甘くて濃厚な白子の旨みが口いっぱいに広がります。この旨みを十分に堪能したところで、燗酒をちびり。あぁ~。なんと日本酒と合うことよ!

 ゆっくりと日本酒を飲み終えて、南太田(横浜)の「丸亀食堂」での今柊二(こん・とうじ)さん、やまけんさんこと山本謙治(やまもと・けんじ)さんとの鼎談に始まった長い一日を締めくくったのでした。

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燗酒とお通し / さんまのすりみ野菜スープ / たら白子生食

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《平成22(2010)年11月20日(土)の記録》

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今夜もホッピーで乾杯 … バー「ホッピー仙人(ほっぴーせんにん)」(横浜・桜木町)

今夜もホッピーで乾杯


 「ヌビチノ」を出て、野毛での3軒目は「ホッピー仙人」です。昨日から二日連続です。

 さっそくホッピー(500円)をもらって、居並ぶ常連さんたちと乾杯です。

 さて、野毛での1軒目として行った「福田フライ」の記事に関して、『一見さんに対する店の対応は問題外、「客商売なのに何様と思っているんだ」という感じ』を受けるといったご意見や、『マナー悪い客にも、客商売だから。という考えは間違ってると思います』いったご意見、また店のローカルルールについては『マナー違反というより、店舗側が説明する必要があるのではないでしょうか』といったご意見を、コメントとして寄せていただきました。ありがとうございます。

 私自身は、個人経営や家族経営を主体とした小規模な酒場は、一般的な営利目的の飲食店とはちょっと違うように思っています。

 これまでの経験からは、酒場として人気の高いお店は、「より多くの人に入ってもらって、儲かったほうがいい」という発想ではなくて、「毎日のようにやってくる人たちにサロン(集会所、地域のコミュニティ)的な場所として楽しんでもらえればよくて、収入にしても家族が食べていけるくらいあれば十分である」というような思想で切り盛りされている店が多いように思います。

 こういう店では、客のほとんどは足しげくやってくる常連さんで、それ以外の少数が、常連さんに連れられてきた客だったり、本やネットを見てやってくる客だったりしています。

 店は小規模なグループのサロン的な存在なので、当然のようにそのグループ内でしか通用しないような不文律のローカルルールができてきてしまいます。店への入り方や、注文の仕方、代金の払い方などは、ほとんどの酒場にローカルルールが存在するといっても過言ではないほどです。

 通常は、小数の不慣れな人に対しては、忙しく働いている店主に代わって、大部分を占める常連さんたちが、「この店ではこういう決まりになってるんだよ」ということを態度で示したり、教えたり、場合によっては叱ったりしながら、いつもとほとんど変わらない店の雰囲気が保たれていきます。

 ところが週末(土日)などには、不慣れなお客さんが多くなって、この客層比率が崩れてしまったりします。そうすると、側面支援的にローカルルールを教えてくれる常連さんの比率が相対的に下がってくるために、いつもの雰囲気とはまるで違って、客側から見ても、店側から見ても、なんだか不協和音だけが目立つような状態になってしまうのではないでしょうか。

 そうなると、毎日のようにやってくる常連さんも、「ちょっと空気が違うから、今日は止めとくか」、なんてことで店に入らなかったりして、ますます常連率が下がってくる。それによって店の雰囲気も、ますます普段とは異なってくる、という悪循環スパイラルに陥っていくんじゃないかと思います。

 多くの酒場が、取材拒否の理由として「今、来ていただいているお客様を大切にしたいから」ということをあげられています。「多くの常連客と少数の非常連客」という比率を守ることによって、サロン(寄り合いの場)としての店の雰囲気を保ちたいんだろうなと、私なりに理解しています。

 酒場は、広く、一般に向けて門戸を開放している飲食店の一種ですが、お酒を飲んで酔っ払う場でもあります。したがって店の人はだれにでもいい顔をするのではなくて、場を乱す客に対しては厳しい態度で臨むことも重要です。客商売ではあるけれど、毅然として「店も客を選ぶ」ことをしないと、居心地のいい雰囲気を提供することはできないのではないでしょうか。

 誤解を恐れずに書くと、常連さんであれ、一見さんであれ、これからもどんどん来てほしい客に対する扱いと、あまり来てほしくない客に対する扱いが違うのは仕方がないことではないかと思っています。

 たとえ常連さんであっても、行儀が悪いときにはピシャリと叱る。そういう凛(りん)とした姿勢が貫ける酒場が名店なのではないかと思います。

 ここ「ホッピー仙人」も人気酒場の1軒ですが、ここの空気は比較的ゆる~くて、昼間はサラリーマンをやっている立ち飲み好きの店主(=仙人)も、お客と一緒に楽しく酔っ払っていたりする。でもいつもお客がいっぱいなんですよねぇ。

 結局のところ、自分の好みに合う酒場が「自分にとっての名店」ってことなんでしょうね。

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《平成22(2010)年11月20日(土)の記録》

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野毛で楽しむ呉ビール … 生ビール「ヌビチノ(El Nubichinom)」(横浜・桜木町)

呉ビールとモンドール


 立ち飲みの「福田フライ」を出て、次なるお店は都橋商店街にある、これまた立ち飲みの生ビール屋、「ヌビチノ」。飲み仲間のカジさんが2010年に開店した、新しいお店です。

 この店の本当の名前は「una casa de gb gb El Nubichinom」(ウナ カサ デ グビグビ エルヌビチノ)という長い名前なのですが、長すぎて覚えにくいので、ネット上によく登場している「ヌビチノ(El Nubichinom)」という呼称を使わせていただきました。(他の呼び方のほうがよろしければ、ご指摘くださいね。>カジさん)

 店の前には、今日は「濃くておいしいバーレイ・ワイン(ビールよ)、13℃でお出しします」と書かれた黒板が出ています。

 店内に入ると、目いっぱい詰め込んでも8~10人程度という狭い立ち飲みスペースの店内には先客が5人ほど。私は一番奥側の、大岡川が見える壁際の立ち飲みカウンターに立って、そのバーレイワインの1つ、広島・呉ビールのバーレイワインをSサイズ(500円)で注いでもらいます。

 野毛で「呉ビール」に出合えるとは思わなかったなぁ。しかもこのビール(バーレイワイン)、呉では飲んだことないし!

 ここ「ヌビチノ」には、日替りで6種類くらいの生ビールが置かれていて、それぞれSサイズは500円、Mサイズは800円、Lサイズは1,000円で注いでくれます。

 今週はバーレイワインウイークという設定にしているんだそうで、神奈川・厚木の「サンクトガーレン」、広島・呉の「呉ビール」、そして岩手の「いわて蔵」(これのみSサイズで1,000円)という3種のバーレイワインがメニューに並んでいます。

 ウィキペディアによると、バーレイワインというのは、元々は19世紀ごろにイギリスで作られた、アルコール度数の高いビールのことなんだそうで、直訳すると「麦のワイン」という意味なんだそうです。ワインと同じ位のアルコール度数があることから、こう呼ぶようになったのだとか。

 そして「呉ビール」の説明書きには『小麦のワイン、バーレーワイン。濃くて甘みもあるチーズによく合うビールです。モンドールとともにどうぞ。9%』と書かれています。

 そんなわけで、つまみにはまわりのみなさんも食べているモンドールを1さじ(500円)いただきます。

 モンドールというのはフランスとスイスの国境の山間(やまあい)で、手作業で作られる軟らかいチーズで、まさに「ひとさじ(1スクープ)」といった感じでスプーンですくうようにして皿に盛り、それを添えられたフランスパンにのせながらいただきます。

 ビール(バーレイワイン)もチーズも、味わいも香りも濃厚なのがよく合いますねぇ。

 これら三種のバーレイワイン、それぞれをSサイズで1杯ずつと、、モンドール1さじのセットが2,000円。「いわて蔵」がSサイズでも1,000円なので、別々に注文すると2,500円となるところを、実に20%オフのサービス価格です。今日は昼からよく飲んだし、お腹もいっぱいなので、残念ながらこのセットには挑戦できませんでした。

 今日のバーレイワイン以外のビールは、宮崎「ひでじビール」(カスケード・ラガー)に、岩手「いわて蔵」のヴァイツェン、そして千葉「イクスピアリ」のIPAと呼ばれる濃いペールエールの3種。バーレイワインの3種と合わせて、合計6種です。

 つまみのほうは、今いただいているモンドール(軟らかいチーズ)以外には、定番の辛いピーナッツ(並辛か中辛が選べて300円)、素揚げニンニク(5個100円)のほか、今日はドライマンゴー(300円)やブルサン(チーズ、500円)、豚のリエット(500円)、冷凍から揚げ(2個300円)などが用意されています。

 なにしろカジさん一人で切り盛りされているので、さっと出せるものが中心。午後3時から8時までと、他の店々よりも早めの時間帯での営業です。

店情報前回

《平成22(2010)年11月20日(土)の記録》

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店情報: 生ビール「ヌビチノ(El Nubichinom)」(横浜・桜木町)

  • 店名: una casa de gb gb El Nubichinom(ウナ カサ デ グビグビ エルヌビチノ)
  • 電話: 045-231-3626
  • 住所: 232-0065 神奈川県横浜市中区宮川町1-1 都橋117
  • 営業: 15:00-21:30LO(料理は21:00LO)、火休
  • 場所: 大岡川のほとり、都橋商店街の1階中央付近。
  • メモ: 営業時間の変更等は店のブログを参照のこと。日替りで6種ほどの生ビールが、21時までのハッピーアワーはS(200ml)500円、L(410ml)1,000円。21時以降はS700円、L1,400円。(2013年3月調べ)
    肴も日替りだが、辛いピーナッツ(並辛 or 中辛)300、素揚げニンニク5個100、ドライ・マンゴースライス300、ブルサン on ガーリッククリスプ500、豚のリエット500、冷凍から揚げ2個300・5個600、モンドール(1スクープ)500など。(2010年11月調べ)

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土曜日はたいへんそう … 立ち飲み「福田フライ(ふくだふらい)」(横浜・桜木町)

フライと酎ハイ


 やまけんさんとともに、南太田駅から京急電車に乗り込んで、私は日ノ出町で途中下車。土曜日に横浜にいるという状況は、本当に久しぶりなので、土曜日の野毛の町をまわってから自宅(都内)に帰ろうと思っているのです。

 現在の時刻は午後5時。まずは人気の老舗立ち飲み店、「福田フライ」に行ってみましょうか。

 おぉ。土曜日もけっこう満員ですねぇ。

 「福田フライ」は入口の扉も、のれんもなく、道路に向かって開放されていて、道路側にも2卓ほどの小さな立ち飲みテーブルが出されています。店内は左手が店の奥までまっすぐに貫くメインの立ち飲みカウンターで、右手は壁に作り付けのサブ立ち飲みカウンター。びっちりと入ると30人以上入れるでしょうか。

 左手カウンターの内側が厨房スペースになっていて、一番手前に昔から使い続けられているフライヤー(揚げ台)があって、そこはおばちゃん(=女将)の牙城。奥にはノブさん(=女将の息子)がいて、魚介類や炒め物などを作ってくれます。土曜日でお客さんが多いからか、今日は女将の娘さんも手伝いに入っていて、3人体制です。

 フライヤーの前、立ち飲みカウンターがL字に曲がった角のところなら空いているので、そこに立たせてもらうことにして、おばちゃんに「こんにちは」とごあいさつ。

 「お久しぶりねぇ」と笑顔を見せてくれるおばちゃん。この笑顔に引かれて、野毛に来るとついついこの店に入っちゃうんですよねぇ。もちろんフライ(串揚げ)が美味しいことも大きな理由ですが、それ以上におばちゃんの笑顔がいい。

 以前、京阪神エルマガジン社のミーツ・リージョナル別冊「横浜本」に、ここ「福田フライ」を掲載させていただいたときに、おばちゃんの笑顔の写真とともに「おばちゃんの笑顔ではじまるはしご酒」というキャッチを入れさせてもらったほどの笑顔です。

 さっそく酎ハイ(400円)をもらい、フライは串かつ(140円)と、かき(140円)を、今日は辛いソースでいただきます。

 辛いソースというのは、ニンニクと唐辛子がうんと効いたソースのこと。ここフライを美味しく食べさせる最高のソースなのですが、最大の欠点はニンニクの量が半端じゃないこと。このソースで食べた後は、他の店に行っても「『福田フライ』に行ってきたでしょ?」と言われるほど臭うらしく、翌日になってもまだニンニク臭さが残ったりするのです。しかし今日は土曜日。遠慮なく辛いソースを楽しみましょう。

 店のお客さんも、土曜日の今日は平日とは顔ぶれが違っていて、横浜の町を散策していたらしい中年男女のグループ客も多いようです。こういうグループはたいてい女性が代表して注文しています。

「すみませ~ん。え~とねぇ、エビとぉ、アジとぉ、カキとぉ…」

「1本ずつ?」とおばちゃん。

「あ、4本ずつでお願いします。あとギンナンとぉ。えっ、カキきらいなの? じゃ、カキは3本にしてください。…(じっと壁のメニューを確認して)…。あとクジラ。みんなもいる? あそう、いらないの。じゃクジラは2本。」

「ソースは辛いの?」と確認するおばちゃん。

「え??」

「普通のソースと辛いソースがありますけど。」

「ん~と。どうする?(とグループのメンバーに確認するものの、みんなどっちがどうなんだかわかんない様子。) じゃ、辛いのにしてください。」

 土日はこういうお客さんも多いのか、「福田フライ」ならではの、いつもの小気味よいテンポは崩されっぱなし。う~む。こういう光景を目(ま)の当たりにすると、ノブさんが本や雑誌への掲載をお断りしているのもわかる気がするなぁ。

 ちょっと険(けわ)しい表情だったおばちゃんも、ジャーッとフライを揚げはじめると、いつものニコヤカさが戻ってきます。

「満月がね、ちょうどそこの屋根の上にあがるのよ。今日も晴れてるから見えるかな。」

 「福田フライ」の前、焼き鳥の「若竹」の横は現在さら地になっていて、フライヤーのところからは、ちょうどその上に満月が見えるそうなのです。

 満腹なのでフライは2本のみ。酎ハイ(400円)をもう1杯おかわりして、お勘定は1,080円でした。どうもごちそうさま。また来ますね。

店情報前回

《平成22(2010)年11月20日(土)の記録》

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大衆食堂で定食座談会 … 「丸亀食堂(まるがめしょくどう)」(横浜・南太田)

やまけんさんと今柊二さん


 神奈川新聞文化部のSさんから「毎年年末に掲載しております紙上『定食座談会』に参加いただけませんか」というメールをいただいたのは9月末ごろのこと。

 神奈川新聞では5年ほど前から、定食評論家・今柊二(こん・とうじ)さんの「かながわ定食紀行」という隔週連載が続いていて、毎年、年末になると食文化に詳しい方をお数人(たいてい二人)ずつ招いて、横浜の老舗定食屋さんで今さんとの対談を行って、年末の記事として掲載しているんだそうです。

 今年の座談会テーマは「日本の豊かな食文化」ということで、鼎談(ていだん)となるもうお一方は、ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」でもおなじみの農産物流通・ITコンサルタント、やまけんさんこと山本謙治(やまもと・けんじ)さんとのこと。

 今さんにしても、やまけんさんにしても、これまでご著書やネット上の記事を拝見することはあっても、お会いするのははじめて。とても光栄なことです。

 座談会の場所は、京急本線・南太田(みなみおおた)駅前にある大衆食堂、「丸亀食堂」。土曜日の営業は午後1時半までということで、営業終了後に鼎談開始です。

 「ビールも飲みますよね?」と瓶ビールを出してくれて、まずはみんなで乾杯です。

 料理のほうも、まずはお店のおすすめを何品か。これがまた、マグロ刺身に、ひじき、白和え、豚肉とごぼうのしょうが焼きなどなどと、いかにも大衆食堂のおかずといった内容なのが嬉しいですねぇ! こういう昔から続いているような、なんでもない日常的なおかずが、きちんとおいしいのが大衆食堂のいいところ。鼎談中にもかかわらず、みんな、箸が止まりません。

 今さん、やまけんさん、そして私に共通するのは、三人とも愛媛県生まれであるということ。今さんとやまけんさんは、愛媛県今治(いまばり)市生まれ、私はそのとなりの北条市(現在は松山市の一部)生まれということで、愛媛県内でもかなり近いところで出生したようなのです。やまけんさんは生後すぐ埼玉県に移り住みましたが、今さんと私は高校を卒業するまで愛媛県で過ごしました。鼎談中にも「浜田さんは松山東ですか。私(今さん)は今治西なんですよ」なんて出身校のローカルな話題が出たりするのもおもしろい。今治西は進学校でありながら、甲子園にも何回か行ったほど野球も強い学校。県内ではだれもが認めるライバル校同士なのです。

「今でこそ橋がかかってますが、昔の四国はまさに島国で、本州に出ようとすると必ずフェリーに乗らないといけなかった。」

「そのフェリーの中で食べるうどんがおいしいんですよねぇ。」

「うどんを食べながら、四国から出て行くんだなぁとか、四国に帰るんだなぁという実感がわいてくる。このうどんは単なる食べ物じゃないんですね。」

「そうそう。だから必ずフェリーのうどんは食べないといけない。お腹がすいてるから食べる、なんてもんじゃないんです。もう一種の通過儀礼ですよね(笑)」

 料理のほうも豚の角煮や玉子焼き、そして自慢の焼きタラコなどなどと続き、今さん、やまけんさんはごはんに突入です。「浜田さんはお酒のほうがいいんじゃないですか。どうぞどうぞ」というお言葉に甘えて、燗酒を注文すると、大きな受け皿のついた1合グラスになみなみと注がれた燗酒を出してくれました。

 ックゥ~ッ、酒もうまいのぉ。

 今さんは大学進学で、今治から横浜に出てきて、最初は「栄養をとらなきゃ」ということが主目的で定食屋に行くようになったんだそうです。しかし定食屋に通っているうちに、定食屋は栄養をとる場所だけでなく、店の人々が織り成すくつろぎの空間であることがわかり定食屋が好きになったそうです。「食べることは生きること」。定食屋にいると、その地域に住む人の生き様が見えてくるのです。

 今さんがおっしゃっている内容の、“定食屋”を“居酒屋”に変えてもまったく同じことが言えると思います。「大衆食堂や大衆酒場の空気感は、銭湯や温泉に入ってるのと似てますよねぇ」と意見が一致しました。

 一方、やまけんさんは「三度の飯より食べることが好き」というほどの“食べ好き”人間。それもご馳走ではなくて、日本各地の人たちが日常的に食べているような「地域の日常食」に目を向けられていて、そこで出会った食の数々を「やまけんの出張食い倒れ日記」に記録しています。「今の時代に合った(日本の)農作物の流通の姿を創り出すことが私の仕事です」とおっしゃるやまけんさんは、同じ食に目を向けていても、視点がとても高く、しかもとても広い。

 大衆酒場でも「地域の日常食」が一番のご馳走です。東京のもつ焼きやもつ煮込み、広島の小イワシ(カタクチイワシ)やツブ貝(磯の小さな巻貝)なんかがそうですよね。地元では安くて当たり前のように食べられているのに、他の土地の酒場に行くと、ほとんどお目にかからない。こういう料理は、その食材ともども、ぜひ長く続いてほしいと思います。(私は“思う”だけなんだけど、それが“どうすれば長続きするか”を考え、実行に移すのが、やまけんさんのお仕事なんでしょうね。)

 鼎談もさることながら、今さん、やまけんさんのお二人と会って、直接お話をすることができたのが最大のよろこびでした。貴重な機会を作っていただきまして、本当にありがとうございます。>神奈川新聞のSさん

 さらに、おいしい料理をたくさん出していただき、ありがとうございました。店内の両サイドにカウンター席があって、真ん中がテーブル席という、いかにも大衆食堂という雰囲気もすばらしく、気持ちよく過ごすことができました。ぜひまた伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。>丸亀食堂のみなさん

店情報

            ◇   ◇   ◇

ポラタ


 鼎談後、やまけんさんと二人、帰りの電車に乗るべく南太田駅まで移動しつつ、駅前の「珈琲ぱあら~ 泉(IZUMI)」に入ります。この店のポラタ(780円)というナポリタンスパゲティが、名物として広く知られているんだそうです。

「この地の名物ならば、ぜひ食べておかなくては!」

 「丸亀食堂」で腹いっぱい食べても、名物料理はぜったいにはずせない。さすが「三度の飯より食べることが好き」というやまけんさんだけのことはあります。その言葉にのせられて、満腹の私も一緒にポラタを注文。

 でてきたポラタの量の多いこと!

 それでも完食できてしまうのがナポリタンの怖いところですよねぇ。ケチャップのちょっとジャンクな味わいと、具として入っているウインナーやベーコンのやわらかい肉の感触が、ついつい食を進めてしまい、気がつくと満腹の上に、さらに満腹を重ねてしまっているのでした。うぅ~、おいしかったけど食べ過ぎだぁ。

《平成22(2010)年11月20日(土)の記録》

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店情報: 「丸亀食堂(まるがめしょくどう)」(横浜・南太田)

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  • 店名: 食事処 丸亀
  • 電話: 045-741-3940
  • 住所: 232-0006 神奈川県横浜市南区南太田1-8-24
  • 営業: 08:00-13:30 & 17:00-20:00(土は昼のみ)、日休
  • 場所: 京急本線・南太田駅の目の前。駅の改札を右に出て、道路(平戸桜木道路)の向かい側にある。
  • メモ: お酒320、ビール500、ライス(みそ汁付き)大320・中300・小280、焼のり110、納豆140、お新香140、おひたし140、シラスおろし140、煮物160、ポテトサラダ160、玉子焼き160、コロッケ160、シュウマイ160、うずら豆160、イカの塩辛160、冷奴210、酢のもの210、ごまあえ210、スパゲティサラダ210、ナスのいため210、オムレツ(ベーコン、ジャガイモ入り)210、とろろ芋220、五目煮240、筑前煮240、ハムサラダ260、煮魚(サバ)280、焼魚(鮭)310、トンカツ310、天ぷら310、鯖のマリネ350、タラコ380、おさしみ400、まぐろのさしみ400、豚の角煮380、肉じゃが310、生野菜サラダ380。(2010年11月調べ)

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歴史ある横浜バー文化 … バー「日の出理容院(ひのでりよういん)」(横浜・桜木町)

「日の出理容院」


 「横浜の酒場では飲んだことがない」という、呉から出張中の3人とともに、野毛の酒場を巡っています。1軒目は中華とモツをいっぺんに楽しんでもらおうということで「第一亭」へ。2軒目は、3人とも飲んだことがないというホッピーへの挑戦で「ホッピー仙人」へと行ってきました。

 横浜でもう1軒、行っておくべきなのはバーかな。

 日本で最初のバーが横浜港近くの山下町(山下公園付近)にオープンしたのは、今から150年前の江戸時代、万延元年(1860年)のこと。それ以来、船員さん向けのバーを中心に横浜のバーは地域に根付きながら発展してきました。

 そんな長い歴史があるからか、横浜のバーは市民の生活の中に、ごく自然になじんでいる。東京だとオーセンティックバーとして、極端に言えば「崇(あが)め奉(たてまつ)られる」ようなバーが、横浜だと何かの二次会ででもフラリと行けるような酒場として存在していたりします。

 私が行ったことがあるバーだけを思い出してみても、山下町の「スリーマティーニ」、「ウインドジャマー」、「ケーブルカー」、「491HOUSE」や、石川町の「ダフタウン」、「モータウン」、そして野毛の「」に「グローリー」などなど。いずれも本格的なバーなのに、地元・ハマッ子たちにとっては、まったく普段着の酒場。

 昭和25(1950)年創業の老舗バー「クライスラー」なんて、本当に敷居が低くて、大衆酒場に近い雰囲気ですもんねぇ。こういう雰囲気が、まさに港ヨコハマのバーではないかと思います。

 さぁそして、我われ4人がやってきたのは、そんな横浜のバーの1軒、「日の出理容院」です。古い理容院をそのまま使った店内の照明は暗く、10人ちょっと入るともう満席となる小さなバー。この小さな空間を女性バーテンダーのメグミさんがひとりで切り盛りします。

 カウンター席はすでにいっぱいで、我われは入口左側に1卓だけあるテーブル席へ。ここでいったん離脱していた横須賀のMさんも再合流です。野毛は街全体が1軒の大きな酒場のような感じで、縦横につながった廊下(=路地)をあっちに行ったり、こっちに来たりしながら、ハシゴ酒を楽しむ人が多いのです。

 それぞれが思い思いのお酒を注文すると、バーテンダーのメグミさんが美味しいお酒を作ってくれます。メグミさんは一見(いっけん)、となりのおねえさんのような、なんだか素人っぽい様子でカウンター内に立っているのですが、カクテルの注文が入ると、シャカシャカとシェイカーを振ったりしながら、きちんとしたカクテルを作ってくれるのがおもしろい。

 今は経営者が変わって、以前とは違うスタイルらしいですが、この近くにあった「バラ荘」というバーは、和服姿のおばあちゃんがひとりで切り盛りされていて、和服でしとやかに、やわらかくシェイカーを振ってカクテルを作ってくれたものでした。

 東京でも女性バーテンダーは増えていますが、私が知ってる範囲では、みなさんきっちりとバーコートに身を包んで、男性バーテンダーとあまり変わりがない姿の人が多いように思います。メグミさんや、旧「バラ荘」のママさんのような女性バーテンダーが存在することもまた、バーの歴史が長い横浜ならではの光景かもしれませんね。

 1杯5~600円のキャッシュ・オン・デリバリー(飲み物と引き換え払い)というところも、ここ「日の出理容院」のいいところです。どうもごちそうさま。

店情報前回

            ◇   ◇   ◇

 「日の出理容院」を出たところで、呉からの3人は宿舎に向かい、横須賀のMさんと私は、野毛の街なかにある怪しげなバーへ。なにが怪しげかというと、このバーには店名表記も何もなく、入口もごく普通の玄関のような感じ。こういう隠れ家風のバーがあるのも横浜のおもしろいところですよねぇ。

 もとはと言えば、先ほどの「日の出理容院」も知る人ぞ知る、隠れ家バーだったようで、私も最初に「日の出理容院」を紹介されたときは、その外観からは、とてもそこがバーだとは思えないほどでした。

 しかし、この隠れ家風バーも、店内に入ってしまうと、そこはきっちりとした格調高いバー。この感じも「日の出理容院」と同じですねぇ。

 この隠れ家に、店の片づけが終わった仙人やカジさん、チャコちゃんも合流して、横浜の夜はとっぷりとふけていったのでした。遅くまでありがとうございました。>みなさん

《平成22(2010)年11月19日(金)の記録》

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はじめて飲むホッピー … バー「ホッピー仙人(ほっぴーせんにん)」(横浜・桜木町)

はじめて飲むホッピー


 呉から出張中の3人と一緒に巡る横浜酒場。「第一亭」を出て、大岡川にそって下っていくと、川岸に経つ古い弧状の2階建てビルが都橋(みやこばし)商店街です。この建物の2階中央部にあるのが、「ホッピー仙人」です。

 呉からやってきた3人は、未だかつてホッピーを飲んだことがないとのこと。

 そうですよねぇ。広島方面の酒場の多くは、昔から日本酒がベース。ビールはあったものの、焼酎が入ってきたのは、焼酎ブームが訪れた平成15(2003)年頃からではないかと思います。少なくとも、私が前に呉に居たとき(1983~88年)には、焼酎を飲んだ記憶はないなぁ。最近できたチェーン居酒屋などのメニューには、ホッピーも並んでいるようですが、あまり飲む機会はないようです。

 「こんばんは」と入った「ホッピー仙人」の店内は、立って飲んでる人もいるほどの満席状態。でも立てば入れそうなので、出張中の3人と私は入ることにして、横須賀のMさんはこの辺をひと回りしてくるとのことで、いったん離脱です。

 仙人(=店主)はちょっと出ていったとのことで、カウンターを預かっているのは、「ぼくはグラスのふちをまわる」ブログのmagさんです。ここ「ホッピー仙人」では、仙人が外出するときには、代わりに常連さんがカウンターの中に入ってホッピー(500円)を作ってくれるのです。

「ホッピーを4杯、お願いします」と注文すると、仙人と同じように目の高さまでホッピージョッキを持ち上げて、きっちりと星のマークまで焼酎を注いでくれるmagさん。仙人も真剣な表情で注いでくれるのですが、magさんの表情はそれ以上です。この真剣な目線で、ホッピーのうまみが増すんでしょうね。(後日、そのときのmagさんのブログを拝見し、magさんご自身も必死の状態で作っていただいていたということを知りました。本当にありがとうございました。)

 仙人のホッピーは、焼酎と、ホッピー(外)と、ジョッキとを、それぞれ冷蔵庫内の決められた場所で冷却するという段階で、かなりの部分まで仕上がっているように思います。だから仙人がいないときに、最終的な注ぎの部分だけを常連さんがやっても、仙人のホッピーと同じようなホッピーが出せるんですね。

 しかも、どの常連さんがカウンターの中に入っているときでも、仙人とまったく同じ仕草でホッピーを作ってくれるのが面白いし、うれしいことですね。

 そうこうしているうちに、仙人も戻ってきて、我われ4人もカウンターの奥のほうに並んで座ることができました。

 ホッピービバレッジの推奨どおり、25度の焼酎1に対して、ホッピー(外)を5の分量で割ると、アルコール度数5度くらいのホッピーができあがります。ビールと同じくらいのアルコール度数ながら、なぜかビールを同じ分量飲んだときと比べると、ホッピーのほうが効くんですよねぇ。

 ホッピーを推奨どおりの飲み方で飲んだことがないという方には、ぜひ一度、この飲み方でやってみることをおすすめします。仙人のように、冷蔵庫内の位置まで決めるほどのこだわりを発揮しないでもかまいません。とりあえず冷蔵庫内の同じ段でいいので、瓶入りホッピーと、甲類焼酎(金宮、宝など)と、ジョッキ(なければグラス)を普通に冷しておいて、焼酎1に対して、ホッピー5の割合でホッピーを作ってみてください。ホッピーはなるべく勢いよく注ぐことが重要です。この勢いで焼酎とホッピーを撹拌しながら、泡を立てていきます。

 ドッと喉の奥にに流し込むように飲むと、ビールよりもはるかにドライな感覚で、飲みやすいことにビックリされるんじゃないかと思います。(甘みや旨みがないのがホッピーの大きな特長です。)

 初ホッピーの3人もおいしそうにホッピーを飲んでくれて、ひと安心。それぞれホッピーを1杯ずついただいたので、お勘定はひとり500円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成22(2010)年11月19日(金)の記録》

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横浜に出張中の面々と … 中華料理「第一亭(だいいちてい)」(横浜・日ノ出町)

「第一亭」おすすめの5品


 東京から出張で呉にいらっしゃったしんちゃんさんとの飲み会から一夜明けた今日は、今度は私が横浜出張。朝7時過ぎに呉駅を出て、広島駅での新幹線乗り換えのついでに、例によって広島駅1番ホームの立ち食いうどん屋「駅うどん」で朝食として天ぷらうどん(340円)をいただきます。

 この立ち食いうどん屋は、ずっと店名がわからなかったのですが、先日、広島ローカルのテレビ番組「元就。」で、この店が取り上げられていて、店名が「駅うどん」であることが判明。さらに、この「駅うどん」は創業52年(ということは昭和33年か34年ごろの創業!?)となる老舗であることも判明したのでした。

 ダシのよく効いた熱々のツユに、やわらかいうどん。そして上にのせられたカリッとした、具がほとんどないかき揚げ。この場合、「具がほとんどない」というのは褒め言葉で、この油分がジワリとツユに溶け出しながら、カリカリがふやけていくのが、このかき揚げ天ぷらの役割なのです。かき揚げうどん(420円)というのを注文すると、関東風に具が多いかき揚げが出てくるのかもしれませんが、このうどんにはやっぱりこの具がほとんどないかき揚げがよく合うように思うんですよねぇ。

 4時間弱の新幹線の旅で新横浜駅に到着。昼食は新横浜駅在来線ホームにる立ち食いの「濱そば」で天玉そば(420円)です。朝食でいただいた薄口醤油ベースのツユから、関東風の濃口醤油のツユへ。この甘辛いツユに玉子をゆるく溶いて、その玉子を絡めるようにしながらそばをすすり込みます。かき揚げ天ぷらは、首都圏の立ち食いそば屋では比較的標準的な野菜かき揚げ天。ツユに油分を加えるのみならず、しっかりとおかずになる具材です。

 午後からの横浜での仕事を終えて、呉から1ヵ月半ほどの出張に来ているメンバー3人とともに桜木町に出ます。まだこちらに来てちょっとしか経っていなくて、会社の近くしか行ってないという3人。まずは桜木町駅海側の、みなとみらい地区に出て、テレビや雑誌にもよく登場する、横浜らしい景色を見学してから、今度は桜木町駅山側に広がる野毛の酒場エリアへと向かいます。

 桜木町駅から「野毛ちかみち」(地下道)を左に抜けて、ブリーズベイホテルの手前を右に折れると、そこが野毛小路。魚骨のように縦横に広がる野毛の酒場街にあって、中骨的な存在の通りです。

 この通りを進んでいくと、右手に立ち飲みの「福田フライ」、中華の「萬里」、その向かい側、左手にはラーメン・餃子の「三陽」に焼き鳥の「若竹」という4軒が、関所の番人よろしく、野毛の入り口をガッチリと守っています。

 その先は、焼き鳥「末広」やジャズと演歌の「パパジョン」など、新旧の酒場が通りの両側にずらりと並んで野毛本通りと交差します。野毛本通りを渡ってさらにまっすぐに進むと酒場密度はグンと減って、周辺がやや暗くなるとともにラブホテルなどもチラホラと出てくる、あやしいエリアに入ってきます。かまわず直進するとソープなども現れて、あやしさはピークに達します。ソープのおにいさんの、やさしい呼びかけをかわして、抜けた先が台湾料理の「第一亭」です。

 呉からやってきた3人に、まず紹介しておきたかったのが、ここ「第一亭」です。

「ここはねぇ、昼(11:30)から深夜(23:30)まで、中休みなしで営業してるし、麺類はもとより、定食メニューなんかも充実してるので、食事だけのためにやってきてもいいし、その気になれば昼から飲むこともできるし、しかも、今日はJR(桜木町駅)側から来たけれど、京急で来れば日ノ出町駅からすぐ近くなので、便利がいいんですよ。なにしろ安くて美味しい中華が食べられるというのがいいんですよね。せっかく横浜に来てるので、ぜひ中華料理も楽しんで帰ってきてください」と3人に紹介しつつ店内へ。

 3人とも「苦手なものはありません」ということだったので、まずは生ビール(大800円、中650円)を各自の好みの大きさでもらって乾杯し、しじみ正油漬(600円)、レバニラ炒め(600円)、チート生姜炒め(600円)、青菜炒め(500円)に、私自身、この店では初めてのピータン(600円)も注文します。

 「苦手なものはない」という3人ながら、あまり内臓料理、しかも豚のモツはたべたことがないとのことだったので、無難にレバニラとチート生姜の2品にしてみたような次第ですが、この2品とも3人の評判はよくてひと安心。ここのチート生姜炒めは、「万人受けする豚モツ料理」と言っても過言ではないと思います。

 名物のパターン(600円)を追加注文すると、こちらも予想どおりの人気。「野毛のペペロンチーノ」とも言われるパターンは、茹で冷ました中華麺に、ニンニク醤油をからめたシンプルな料理ながら、そのニンニクの量が半端じゃない。一緒に出されるスープは、そのまま飲んでもよし、麺をその中に入れて、つけ麺のようにいただくもよし。ここのスープは、たっぷりの野菜が使われているので、身体にもいいのです。

 飲み物を紹興酒に切り換えて、ロック+レモンスライスでグイグイと飲み始めたところへ、仕事を終えた横須賀のMさんも合流。美人がひとり加わって、飲み会にもパッと華が咲きます。

 料理もトマト(300円)、八宝菜、こぶくろ(600円)、ビーフンを追加して、2時間半ほどの滞在は、みんなで14,400円(ひとりあたり2,880円)でした。どうもごちそうさま。

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「濱そば」の天玉そば / みなとみらい夜景 / パターン

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八宝菜とトマト / こぶくろ / ビーフン

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《平成22(2010)年11月19日(金)の記録》

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1/22にジャズライブ … バー「じょうもん」(呉)

ボウモアとマッカラン


 「シロクマ」を出て、しんちゃんさんと行く本日の4軒目は、そのしんちゃんさんのご紹介いただいたオーセンティックバー「じょうもん」です。

 店内はベテランバーテンダー・佐々木進さんを囲むようなコの字カウンター席と、その背後にボックス席という造り。この空間をおひとりで切り盛りされています。

 二人でマスターの真正面に陣取ると、しんちゃんさんの注文はボウモア12年のロック。う~む、そう来ましたか。じゃ、私はマッカラン12年を、同じくロックでください。

 ここ「じょうもん」はサントリー系のバーのようで、サントリー資本の入っている輸入ウイスキーもたくさん置かれているのです。シングルモルトでは、さっき注文したボウモアやマッカランの他に、ラフロイグ、グレンフィディック、バルヴェニー、トーモア、スキャパ、オーヘントッシャン、グレンギリー、マクレランズが、ブレンデッドではバランタイン、ブランドサイト、ティーチャーズ、ロングジョン、ジャックダニエル、ウッドフォードリザーブ、アーリータイムズ、カナディアンクラブがサントリー系のウイスキーです。世界各地に手を伸ばしてますねぇ!

 お通しは丸いお皿にガーリックトースト、チーズのカナッペ、そしてオリーブです。

「このオリーブは小豆島産なんですよ」とマスター。緑色が美しく、果物らしいフレッシュ感が感じられていいですねぇ。

 これまでハイペースで飲み進んできたしんちゃんさんも、ここに来てこれまでのお酒が回ってきたようで、となりの席でウツラウツラ。ざっと考えても、私の1.5倍から2倍の量を飲んでますもんねぇ。すごいっ。

 そしてしんちゃんさんが最後に少し眠るのも、これまた定番。しんちゃんさん行きつけの、人形町のおでん屋「ナポリ」の店主も、「この人は、他の店で飲んだときにでも、最後にうちに来て、ひと眠りしてから帰るんだよ」と笑うほどです。これがまた、ちょっと寝ると、そのあとはなんでもなかったように、すっと立ち上がって帰路につくんだからすごいですよねぇ。やっぱり欧米人なみだ。

 そうそう。いつもやわらかくジャズが流れる「じょうもん」の店内ですが、来る平成23年1月22日(土)の夜、店内でジャズライブをやるんだそうです。「ずっとやってみたいと思ってたんですが、やっと実現しました」とマスターもうれしそう。

 1ドリンク付きで、ひとり2千円(追加ドリンクは千円)。午後8時の部と、午後10時の部の2回の予定だそうです。ご希望の方は「じょうもん」に電話(0823-24-6519)してみてください。

 1時間ほどの滞在は、ふたりで4千円(ひとりあたり2千円)でした。どうもごちそうさま。

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《平成22(2010)年11月18日(木)の記録》

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3軒目はスタンドバー … スタンド「シロクマ」(呉)

「シロクマ」にて


 東京から出張でいらっしゃった、しんちゃんさんとともに、おでんの「あわもり」、宣伝酒場「春駒」という2軒の酒場を回った後、タクシーで呉に向かいます。

 「あわもり」や「春駒」のある広(ひろ)から、呉中心街までは約6キロ。タクシーで時間が10分弱、料金が約2千円ほどです。

 呉に到着して、今日の3軒目は、しんちゃんさんのリクエストにより、スタンドバー「シロクマ」に入ります。

 しんちゃんさんが前に呉にいらっしゃったときに、

「2軒目は私が昔よく行っていたスタンドにしましょう。」

 と言いながら連れて行ってくれたのが、どちらも私自身は初めての「じょうもん」と「「パールバー(Pearl Bar)」だったのです。どちらもかっちりとしたオーセンティックバー。

「どっちもスタンドバーじゃないでくて、本格的なバーじゃないですか。」

「あ、そう? スタンドバーだと思ってましたよ」というのが、そのときのしんちゃんさんの返事。そこで今回は呉を代表するスタンドバーの1軒、「シロクマ」をリクエストされたのでした。

 その「シロクマ」のカウンターの一角に座り、キープしている焼酎のボトルを出してもらって炭酸割り(=酎ハイ)を作ってもらって乾杯すると、つまみには小皿に何種類かの乾き物が出されます。

 スタンドバーは基本的にはカウンターだけの小規模な店舗。そのスタンド(=カウンター)の向こう側で、ママさんやアルバイトの女性陣が話し相手になってくれたり、お酒を作ってくれたりするのです。

 お酒を作ってくれるといっても、カクテルなどの本格的な飲み物が作れる店はほとんどなくて、たいていはウイスキーや焼酎の水割りや炭酸割り、ウーロン茶割りなどを作ってくれる程度。また、たいていの場合、「私もいただいていいかしら?」と、店のおねえさんたちも好みの飲み物を(あちこちのお客さんからもらって)飲むのです。

 呉には呉市スタンドバー組合というのがあって、決まりもはっきりしています。

 スタンドバーの女性は、スタンド(=カウンター)よりこっち側に出てきてサービスしてはいけないことになっています。スタンドから出てくるのは、店を出るときの見送りくらい。

 カウンターの後ろ側に、テーブル席やボックス席があるような、ちょっと大きめのスタンドバーもありますが、その場合にも、おねえさんはお客の間には決して座らず、必ずテーブルの向かい側に居て水割りなどを作ってくれます。

 しゃらっと1時間ほど飲んで、お勘定は二人で6千円(ひとりあたり3千円)。ボトルが入っていて、このくらいの値段になるのが一般的なスタンドバーの相場のように思います。

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《平成22(2010)年11月18日(木)の記録》

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しっかり浸けた〆サバ … 宣伝酒場「春駒(はるこま)」(呉・新広)

人気の〆サバ


「2軒目は宣伝酒場に行ってみたいんだけど」と呉出張中のしんちゃんさん。

「おっ。『春駒』ですね。ここからすぐ近いのでぜひ行きましょう!」

 今日、1軒目として行った「あわもり」から「春駒」までは、歩いて3分かかるかどうかという近さなのです。

「こんばんは」と入った「春駒」の店内には、右手カウンター席に先客が二人、左手の小上がり席にも3人連れが1組、入っています。

 我われはカウンターの先客二人の奥側に座り、焼酎の湯割り(350円)を、しんちゃんさんは麦焼酎で、私は芋焼酎で作ってもらって乾杯です。

 この店で、はじめていただいた焼酎湯割りですが、生ビール(中)用のジョッキになみなみと注いで出してくれるんですね。呑ん兵衛には、これはありがたい。

 「春駒」と言えば、つまみはなんといっても鳥足骨付(500円)ですね。鳥足骨付は、鶏の種類が「親」か「ひな」か、そして味付けが「タレ」「塩」「味噌」の3種から選べるところを、しんちゃんさんは親・タレで、私は親・塩で注文します。

 ジョッキの焼酎湯割りをチビチビとやりながら、待つことしばし。鳥足骨付が焼きが上がります。(「待つことしばし」と言っても、それほど長時間待つわけではないので、ある程度まで下ごしらえして置いている鳥足骨付を、最後の仕上げとして焼き上げて出してくれているのだろうと思います。)

「切りますか?」と女将さん。

「それはいいですねぇ。両方が食べられる。ぜひお願いします。」

「全部切る?」

「ひと切れずつあればいいです。」

 そうお願いすると、焼きあがった両方の鳥足骨付の身を、ひと切れずつ切り取って、それぞれのお皿にのせてくれます。これで、私のお皿には一部分が欠けた塩焼きの鳥足骨付に、タレ焼きの鳥足骨付の身がひと切れ。しんちゃんさんのお皿には逆にタレ焼きをベースに、塩焼きの身がひと切れ置かれ、両方とも食べられるようになりました。

 ここの鳥足骨付の親はものすごく硬いので、通常は骨を両手で持ったまま、鶏肉の部分に噛みつき、その状態で両手を向こうに押しやるようにしながら、ブチッと鶏肉を噛み切る(引きちぎる?)しかありません。だから、ひとり1足ずつ注文するのが一般的です。

 ただし、歯が弱いなどの理由で噛み切れない場合は、焼きあがったものを切り分けてもらうこともできます。白っぽい服を着ていたりして、ブチッと噛みちぎったときにタレがはねかえるのが嫌な場合にも、あらかじめ切っておいてもらうのがいいかもしれません。

 しかしながら、ここの鳥足骨付の醍醐味を堪能するには、やっぱり両手で持って噛み切るという食べ方が一番いいように思います。

 しんちゃんさんのハイペースは2軒目でも変わらず、私が焼酎湯割りを1杯飲む間に、しんちゃんさんはスルッと2杯。続いては「賀茂鶴」(特別純米酒)の冷酒(300ml瓶、700円)をもらって二人で飲むこととし、つまみには〆サバ(400円)を1人前もらいます。この〆サバも、注文する人が多い、人気の品のようなのです。

「〆サバはどれくらいの時間置いてるんですか?」と聞いてみると、

「今日のは二日くらい。1週間くらい浸けたものが好きな人もいるのよ」とのこと。

 最近、魚料理が中心の酒場(たとえば都立家政の「竹よし」など)に行くと、生(刺身)でも食べられるようなサバを、15分程度、サッと酢じめして、とてもフレッシュな〆サバとして出してくれたりすることも多くなっていますが、ここの〆サバは、しっかりと浸け込んだ、昔ながらの〆サバです。荻窪の「やき屋」の〆サバも、市販の品物ながら、ここ「春駒」と同じような、しっかりと浸け込まれた〆サバですね。阿佐ヶ谷の「川名」の〆サバも、しっかり浸け込むタイプですが、細く切った野菜類(玉ネギやニンジンなど)も一緒に浸け込んでいて、それらもたっぷり添えて出してくれます。

 しっかりタイプも、フレッシュタイプも、それぞれにそれぞれの良さがありますが、昔からの〆サバ好きには、このしっかりタイプのほうが馴染みが深いかもしれませんね。

 2時間以上、ゆっくりとくつろいで、お勘定は二人で3,200円(ひとりあたり1,600円)でした。どうもごちそうさま。

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今日の黒板メニュー / 鳥足骨付 / 賀茂鶴・特別純米酒

店情報前回

《平成22(2010)年11月18日(木)の記録》

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泡盛クイクイ6杯も! … おでん「あわもり」(呉・新広)

きも、かわ


 呉でのお仕事のために、しんちゃんさんが出張してこられ、今夜は一緒に飲むことになりました。今日は呉に入るだけで、お仕事そのものは明日とのこと。

「それじゃ、広島からJR呉線で来るときに、呉駅はそのままやり過ごしてもらって、新広(しんひろ)駅で待ち合わせて、おでんの『あわもり』に行きませんか?」

 とご相談したところ、しんちゃんさんもそれでOKとのこと。それではと、私も仕事帰りに呉駅から、しんちゃんさんが乗車している電車に乗り込んで、ふたつ隣の新広駅へ。改札を出たところでしんちゃんさんと合流し、トコトコと歩いて10分ほどで「あわもり」に到着します。

 変形L字カウンターのみ、18席ほどの店内は、木曜の午後6時20分のこの時間帯、半分くらいの入り。

 我われは長辺の真ん中あたりに並んで座り、まずはあったかいお絞りで手や顔を拭ってから、思い思いに注文を開始します。

 私は瓶ビール(キリンラガー大瓶、500円)をもらって、おでん(1品90円)は厚揚げとスジ。しんちゃんさんは、いきなり泡盛の梅割り(160円)からスタートして、おでんはスジ、皮、玉子です。

「尿酸値が高いから、ビールはできるだけ飲まないようにしてるんですよ」

 と言いながら泡盛を飲み始めたしんちゃんさんは、あっという間に1杯めを飲み干して、すぐに2杯めをおかわりです。

 しんちゃんさんは、強いお酒をグイグイと、すごいペースで飲むことでも有名。立石の「宇ち多゛」で飲むときなんて、ものの40分ほどの間に、焼酎の梅割り5杯半を飲み干して、打ち止めとなってしまうんだそうです。

「この店では、泡盛は10杯で打ち止めらしいので、ぜひ挑戦してみてください」とふってみると、

「『宇ち多゛』の半分くらいの量しか入らないグラスだから行けるかもしれませんね。今日はそんなに飲まないですけど」としんちゃんさん。そう言ってる端から、もう3杯めに突入です。(ちなみにここの泡盛はアルコール度数が35度なので、少量でも効きます!)

 私のほうはというと、まずは飲むよりも腹ごしらえ優先。最初の2本のおでんに続いては、玉子と肉。肉というのは、メニューにはないのですが、常連さんが注文しているのを聞いて、ときどき注文するようになった一品。スジ肉の肉の部分だけ集めたようなものなのでしょうか。さらには肝(きも=牛の肺)と皮(かわ=豚の皮)と、この店に来たら必ず注文するお気に入りの品へと食べ進みます。

 私は、ここでやっと1杯めの泡盛梅割り(160円)に突入です。この間、しんちゃんさんは、おでんは1度追加注文しただけで、梅割りはもう5杯め!

 今日の9本めのおでんとしてイワシ団子を注文したところで、梅割りをおかわりすると、しんちゃんさも同じタイミングで梅割りをおかわりし、ついには6杯の梅割りを飲み干してしまったのでした。まるでアルコールに強い欧米人と飲んでるような感じですねぇ!

「いやぁ、私ばかりガンガン飲んだから、お勘定は別々にしましょう。」

 と気を使ってくれるしんちゃんさん。ここは、飲み物は飲んだ杯数だけカウンター上にタイルが置かれ、おでんはお皿に残った串の数で計算されるので、お勘定をしてもらうときに、一緒にしてもらったり、別々にしてもらったりできるのです。

 ガンガン飲んだしんちゃんさんは、泡盛6杯に、おでんが5本で1,410円。

 いっぽう食べるほうが主体だった私のほうは、大瓶ビール1本に泡盛2杯、おでんが9本で1,630円と、せっかく気を使ってもらったのに、私のほうが高いという結果になったのでした。

 大瓶ビール1本(500円)が、泡盛(160円)3杯分以上の値段なので、飲み物については思ったほど差がつかなかったんですね。

 それにしても、これだけ飲み食いしても、一人分が2千円に届かないのが「あわもり」のすごいところです。どうもごちそうさま。

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あつあげ、すじ / にく、たまご / ねぎま、たまねぎ

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泡盛梅割り / きも、かわ(練りガラシをのせて) / いわし団子

店情報前回

《平成22(2010)年11月18日(木)の記録》

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毎月19日はトークの日 … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)

「トークの日」のお膳


 「魚菜や」では、毎月19日に「トークの日」という、常連さんたちへの感謝イベントを行っているんだそうです。

 19日という日付けをもじって「トーク」と呼んでいるわけですが、その19日が土日祝日に引っかかっていたり、その日に予約が入っていたりすると開催日が変更になります。

 今月も本来は19日(金)に開催する予定だったのですが、その日に予約が入ったため、今月の「トークの日」は、今日17日(水)の開催となったのでした。

 午後5時過ぎに同期入社のH君と会社の出口で落ちあって、二人でトコトコと「魚菜や」へ。「ちょっと早すぎるかなぁ」と言いながら、「魚菜や」の入口引き戸を開けると、なんとカウンター席にはすでにずらりとお客さんが並んでいます。

 「魚菜や」の店内はL字のカウンター10席ほどと、壁際のテーブル席2席の合計12席分くらいしかないので、すぐに満席になっちゃうんですよねぇ。

 「トークの日」は、ひとり3千円で飲み食べ放題という、感謝デイならではの格安価格になりますが、「今日は7時半に飛び入りの予約が入っちゃったのよ」と女将さん。ということは、我われ一巡め組は7時過ぎくらいには席を空けないといけないですね。

 カウンターやテーブルの上には、すでにお通しが並んでいて、まずは生ビールをもらってH君と乾杯すると、すぐにスープの入ったお椀が出されます。このスープは牛スジを6~7時間煮込んだものだそうで、ほんのりと甘くて、身体が温まります。

 小皿で出された鯛(たい)の刺身は、カルパッチョ風。ミントが効いていてスパイシーな味わいなのがおもしろですねぇ。飲み物は「華鳩(はなはと)」の燗酒に切り換えます。呉にも何種類かの地酒がありますが、この「華鳩」の燗酒が、瀬戸内の魚介類には一番よく合うように思います。

 小鉢で出された酢の物は、キュウリ、タコとワカメ。柚子の香りがいいですね。もともと、おでん屋さんということもあってか、この店の煮物はいつもすごくおいしい。今日は冬らしく根菜類の煮物です。

 お酒は「白鴻(はっこう)」の燗酒にチェンジ。野呂山(のろさん)の伏流水で造られた、しっかりとした味わいの日本酒です。

 「トークの日」などのイベントのときは、店の側で用意してくれた料理が何品か出されるほか、お好みでお品書きに書かれた一品料理や、おでんなどももらうことができます。今日のお品書きに載っているのは、酢かき(岩かき)、ぎんなん、ポテトサラダ、豚スペアリブ、玉ねぎとエビのかき揚げ、聖護院大根の桜煮、ゆでエビ、ハゲ(カワハギ)の煮付けといった品々。

 私は一昨日、カキフライでいただいて美味しかった岩ガキ(=地元・豊島産の天然カキ)の酢ガキをいただくと、生に近いカキの香りと味の濃厚なことといったら!

 子供のころに、近くの磯で、岩場にくっついたカキを、磯に落ちている石ころでガチガチと打って、取り出したカキの身を海水でチャチャッと洗って食べたりしていたのですが、その頃の味わいを思い出しますねぇ。

 日本酒を「宝剣(ほうけん)」の冷酒に切り換えて、つまみはポテトサラダに、おでんのガンスをもらいます。この「宝剣」も、先ほどの「白鴻」と同じく、野呂山の伏流水で造られた日本酒ですが、「白鴻」が野呂山の東側、安浦(やすうら)のお酒なのに対して、「宝剣」は野呂山の南側、仁方(にがた)のお酒です。

 午後7時を回ると、お客さんたちが次々にお勘定をし始め(といっても全員3千円ずつですが…)、カウンター上は7時半から入るお客さんたち用に片付けられ、新しいお通しがスタンバイされていきます。

 飲み放題、食べ放題のイベントであっても、状況を見ながらサッと切り上げていくところが常連さんたちばかりの集まりならではですね。我われもそろそろ切り上げますか。どうもごちそうさま。

 午後7時過ぎに店を出て、そのまままっすぐに帰るわけはなく、H君行きつけのスタンドを2軒ほどハシゴ。キープしているウイスキーを水割りやソーダ割りでもらって、店のおねえさんとおしゃべりをしながら、カラオケを歌ったりするのがスタンドでの過ごし方。店のおねえさんは、基本的にはカウンターの外側には出てきてはいけない決まりになっています。

 店によって値段は違いますが、キープが入っていて、ひとり3~5千円くらい。新しいボトルが入ると、それプラス8千円~1万円くらいが必要になります。

 どう考えても、それほど足しげくは通えない客単価なのですが、それでも二日とあけぬ勢いで通う常連さんもいるというのですからビックリです。

「ボージョレ・ヌーボーがありますよ」ということで、「へぇ、もうそんな時期なんですねぇ。風物詩だから、もらっときますか」とそれもいただいたら、けっこういいお勘定になりました。反省、反省。

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鯛のカルパッチョ / 酢ガキ(天然) / ポテトサラダ

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がんす(おでん) / スタンドでソーダ割り / ボージョレ・ヌーボー

店情報前回

《平成22(2010)年11月17日(水)の記録》

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〔コラム〕 今年は「呉・広島方面を楽しもう!」

呉の夜景


 明けましておめでとうございます。

 毎年、年頭に今年のテーマを決めて、それに沿って酒場めぐりを続けてきておりましたが、今年は「呉・広島方面を楽しもう!」というテーマで活動したいと思っています。

 昨年の4月に呉に単身赴任してから、早いものでもう9ヶ月が経過しました。

 自炊が中心の単身赴任生活になることもあって、最初の6ヶ月くらいは、できるだけ外飲みも含めて外食をすることは少なくして、なんとか自炊暮らしの習慣が定着するように心がけてきました。

 これまで料理なんて、ほとんど作ったことがなかったのですが、猛暑の夏を過ごすうちに、けっこう手抜き料理も覚えてきて、料理に困ることもなくなってきたのは大きな収穫です。

 で、10月になって涼しくなってきてから、呉市内の“とり屋”や“屋台”などにもチョコチョコと顔を出し始め、今に至っているところです。

 呉には、特に「何年間だけ」といったような年限付きで赴任しているわけではないので、もしかすると、この先もずっと呉勤務になるかもしれないのですが、それも確定しているわけではありません。

 そこで、呉に勤務しているできるだけ早いうちに、呉を中心とした広島県や、その周辺エリアの酒場に精力的に出かけておこう、ということで、「呉・広島方面を楽しもう!」というテーマを掲げたような次第です。

 呉市内はもちろんのこと、広島や竹原、近隣の島しょ部や山間部にも出かけてみたいなぁと思っていますので、広島方面のみなさん、ぜひよろしくお願いいたします。

            ◇   ◇   ◇

 ところで、昨年のテーマは「大衆酒場考」ということで、大衆酒場をめぐりながら、大衆酒場の在りようを考察していく活動を目指してきました。

 長引く不況の影響か、客単価の安い大衆酒場は、他の飲食店と比べると人気が高かったようで、大衆酒場関係の本が数多く出版されたり、雑誌でも大衆酒場が特集されたりすることが多い1年となりました。

 私自身は、途中で呉に転勤になったりしたため、4月以降、首都圏の大衆酒場を新規開拓したりすることは難しくなりましたが、その中にあって、「もつマニア」や「東京飲み歩き手帳」を出版していただいたり、「ブロガーおすすめのひとり飯」や「古典酒場 Vol.9」に記事を掲載していただいたりすることもできて、とても楽しい年にりました。

 今年も、呉・広島方面の酒場にどっぷりと浸かりつつも、自宅に戻る機会などをとらえて、首都圏の酒場についても考察して行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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