かきの天ぷら独り占め … 「鳥八茶屋(とりはちちゃや)」(呉)
かきの天ぷらが食べたくなって、会社帰りに「鳥八茶屋」にやってきました。
店に入ると、その両側に店の奥に向かって伸びる直線カウンターは、1本の丸太を二つに割って、左右に分けたもの。今日は左側カウンターの中央、やや奥に座って、まずは瓶ビール(キリンラガー大瓶、630円)をもらって、かきの天ぷらを注文。そのかき天ぷらのでき上がりを待つ間に、定番の「みそ煮」(160円)をもらいます。
「みそ煮」は、ここ「鳥八茶屋」のみならず、呉の“とり屋”(と呼ばれる焼き鳥屋)に行くと、必ず置いているこの地域全体の定番商品。鶏皮をみそ味でグツグツと煮込んだこの一品は、もともとは焼き鳥の下ごしらえで捨てていた鶏皮をなんとか有効利用しようと考え出したものなんだそうです。注文するとあっという間に煮込み鍋(もしくはバット)から小鉢によそって出してくれる、最初の一品として最適なスピードつまみでもあります。
みそ煮をつつきながら、ビールをコップ2杯ほどいただいたところで、かきの天ぷらもやってきました。瓶ビールもまだ残っているものの、このタイミングで「華鳩(はなはと)」の燗酒(1.5合630円)も注文しておきます。
最初のかきを箸にとって、ハフハフと口中へ。シャクっと噛み割った衣の中は、プリップリのかきの弾力感。プツッと噛み切ると熱々のかきのジュースが口の中いっぱいに広がります。ウゥ~ッ、うまいっ!
天つゆも出してくれているのですが、かき自体にほんのりと塩味があるので、何もつけなくても十分においしい。もう1個、さらにもう1個と、熱いうちに戦うように食べていきます。
すぐに「華鳩」の燗酒も登場。この酒が、味の濃い瀬戸内海の魚介類によく合うんですよねぇ。クッと喉に送り込むと、かきの味と香りをフワッと広げてくれます。
ところで、ここ「鳥八茶屋」には、かきの天ぷらというメニューはありません。かきフライ(840円)は、かきの季節だけメニューに登場します。また天ぷらそのものは、盛り合せ天婦羅(1,050円)の他、えび天婦羅(840円)、小いわし天婦羅(530円)、野菜天婦羅(530円)、ささみ天婦羅(320円)、地物たこ天婦羅(630円)、いか天婦羅(530円)、明太子天婦羅(420円)などがメニューに載っています。それらを融合して、言えばかきも天ぷらで出してくれるのです。
たしかに、カキフライはカキフライでまたうまいんだけど、かきの天ぷらにはそれとはまた違うかきの旨みや香りを感じます。
1ヶ月ほど前、この店で初めてかきの天ぷらを食べたときは、一人前(8個ほど)を3人で分けあって食べたので、ひとり2~3個ずつしか食べられませんでした。今日は一人前を丸ごとひとり占めです!
この店は開店して30年。現在の店主は二代目で、初代店主夫妻(現店主の両親)は、同じ通りの本通り寄りにある「鳥八」をやっているそうです。「『鳥八茶屋』と『鳥八』は、どちらが本店ということはないんです。互いに姉妹店としてやっています」と話してくれました。
かきの天ぷらを食べ終えた後は、飲み物を同じ「華鳩」のにごり酒(カップ酒、420円)を注文して、つまみにはキムキュウ(210円)をもらいます。キムキュウは、ざく切りに下キュウリとキャベツを、キムチの素でさっと和えたもの。にごり酒のラベルには、
『春は花 秋は月 冬は雪
白きうまき酒ありて
季節のよろこび さらに深し』
と記されています。にごり酒ながら、アルコール度数も16~17度とやや高く、その味わいはすっきりとしています。最後の1杯として、デザートワイン的にいただくのにもちょうどいいように思います。
ゆっくりと1時間半ほどの滞在は、2,990円でした。どうもごちそうさま。
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