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今夜もホッピーで乾杯 … バー「ホッピー仙人(ほっぴーせんにん)」(横浜・桜木町)

今夜もホッピーで乾杯


 「ヌビチノ」を出て、野毛での3軒目は「ホッピー仙人」です。昨日から二日連続です。

 さっそくホッピー(500円)をもらって、居並ぶ常連さんたちと乾杯です。

 さて、野毛での1軒目として行った「福田フライ」の記事に関して、『一見さんに対する店の対応は問題外、「客商売なのに何様と思っているんだ」という感じ』を受けるといったご意見や、『マナー悪い客にも、客商売だから。という考えは間違ってると思います』いったご意見、また店のローカルルールについては『マナー違反というより、店舗側が説明する必要があるのではないでしょうか』といったご意見を、コメントとして寄せていただきました。ありがとうございます。

 私自身は、個人経営や家族経営を主体とした小規模な酒場は、一般的な営利目的の飲食店とはちょっと違うように思っています。

 これまでの経験からは、酒場として人気の高いお店は、「より多くの人に入ってもらって、儲かったほうがいい」という発想ではなくて、「毎日のようにやってくる人たちにサロン(集会所、地域のコミュニティ)的な場所として楽しんでもらえればよくて、収入にしても家族が食べていけるくらいあれば十分である」というような思想で切り盛りされている店が多いように思います。

 こういう店では、客のほとんどは足しげくやってくる常連さんで、それ以外の少数が、常連さんに連れられてきた客だったり、本やネットを見てやってくる客だったりしています。

 店は小規模なグループのサロン的な存在なので、当然のようにそのグループ内でしか通用しないような不文律のローカルルールができてきてしまいます。店への入り方や、注文の仕方、代金の払い方などは、ほとんどの酒場にローカルルールが存在するといっても過言ではないほどです。

 通常は、小数の不慣れな人に対しては、忙しく働いている店主に代わって、大部分を占める常連さんたちが、「この店ではこういう決まりになってるんだよ」ということを態度で示したり、教えたり、場合によっては叱ったりしながら、いつもとほとんど変わらない店の雰囲気が保たれていきます。

 ところが週末(土日)などには、不慣れなお客さんが多くなって、この客層比率が崩れてしまったりします。そうすると、側面支援的にローカルルールを教えてくれる常連さんの比率が相対的に下がってくるために、いつもの雰囲気とはまるで違って、客側から見ても、店側から見ても、なんだか不協和音だけが目立つような状態になってしまうのではないでしょうか。

 そうなると、毎日のようにやってくる常連さんも、「ちょっと空気が違うから、今日は止めとくか」、なんてことで店に入らなかったりして、ますます常連率が下がってくる。それによって店の雰囲気も、ますます普段とは異なってくる、という悪循環スパイラルに陥っていくんじゃないかと思います。

 多くの酒場が、取材拒否の理由として「今、来ていただいているお客様を大切にしたいから」ということをあげられています。「多くの常連客と少数の非常連客」という比率を守ることによって、サロン(寄り合いの場)としての店の雰囲気を保ちたいんだろうなと、私なりに理解しています。

 酒場は、広く、一般に向けて門戸を開放している飲食店の一種ですが、お酒を飲んで酔っ払う場でもあります。したがって店の人はだれにでもいい顔をするのではなくて、場を乱す客に対しては厳しい態度で臨むことも重要です。客商売ではあるけれど、毅然として「店も客を選ぶ」ことをしないと、居心地のいい雰囲気を提供することはできないのではないでしょうか。

 誤解を恐れずに書くと、常連さんであれ、一見さんであれ、これからもどんどん来てほしい客に対する扱いと、あまり来てほしくない客に対する扱いが違うのは仕方がないことではないかと思っています。

 たとえ常連さんであっても、行儀が悪いときにはピシャリと叱る。そういう凛(りん)とした姿勢が貫ける酒場が名店なのではないかと思います。

 ここ「ホッピー仙人」も人気酒場の1軒ですが、ここの空気は比較的ゆる~くて、昼間はサラリーマンをやっている立ち飲み好きの店主(=仙人)も、お客と一緒に楽しく酔っ払っていたりする。でもいつもお客がいっぱいなんですよねぇ。

 結局のところ、自分の好みに合う酒場が「自分にとっての名店」ってことなんでしょうね。

店情報前回

《平成22(2010)年11月20日(土)の記録》

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コメント

う〜ん、感じ方は皆さん違いますからね。
私は基本的に初めての場合は、できるだけお店の空気を読むようにしています。常連さんの振る舞いとか、お店の状況を見ながら飲んでます。
やっぱりお店ごとに違いがありますし、できるだけその場の雰囲気を壊したくないですから。
でも、そんなに気張らなくても、普通にしてさえいればほとんど問題ないと思うんですけどね(笑)
分からないことがあれば、お店の人に聞けばいいし、なにしろその場の雰囲気を楽しみたいですから。
一見、常連とかの問題じゃなくて、長年に渡って醸成されたお店の空気はやっぱり大切にしなくちゃいけないと思うのです。
それこそ、その酒場の普段の姿であり日常ですから、そこに混ぜて楽しませていただく訳ですから、お互いいい気持ちでいたいですよね。

投稿: mag | 2011.01.21 01:27

いつも、ブログを楽しみにさせて頂いております。
ふっと、大衆酒場の位置付けのテーマが浮き上がってきたので、興味深く読ませて頂きました。
私のように、ちょっとしたサロンとして利用する呑み助もいれば、ファミレス感覚で来客される方もおられる訳ですな。
これほど飲食店情報が溢れる時代ですからね…。
何かが気に入れば、足繁く通い、愉快も不快も、常連として受け止め、受け流しながら楽しむのが、最良の大衆酒場の楽しみ方とは思っていますが…。
かといって、新参者が大衆酒場を楽しむのに、壁やハードルが高いのは良しと思いませんしね…。
うーん、難しいですな。
基本的に、受け流す余裕が無い人は、大衆酒場の、一見と常連の壁を超えられない事だけを知っております。

投稿: IVY | 2011.01.21 01:31

記事を読ましていただいて
自分の好みに合う酒場が「自分にとっての名店」
自分はそのとおりだと感じました。

何かが気に入れば、足繁く通い
愉快も不快も、常連として受け止め
受け流しながら楽しむのが
最良の大衆酒場の楽しみ方

新参者が大衆酒場を楽しむのに
壁やハードルが高いのは良しと思いません

この意見にも賛成です。。。

投稿: ふじま | 2011.01.28 21:20

重箱の隅をつつくようですが。


>誤解を恐れずに書くと、

恐らく、
お店のシステムで戸惑っているお客さんと、本当にお行儀の悪いお客さんを
ごちゃ混ぜに考えておられるのかなと思います。
戸惑っているなら、お店側もきちんと説明するのが親切だと思います。


浜田様が目撃された場面が著しく注文方法が悪かったのかもしれませんけどね。


> そうなると、毎日のようにやってくる常連さんも、
>「ちょっと空気が違うから、今日は止めとくか」、なんてことで店に入らなかったりして、

敬遠する気持ちもわかる反面、
そういう空気があるときでも入らないのは果たして常連なのかとも思ってしまいます。
不慣れなお客さんを煙たがっているのは、案外常連さんなのでは?。

投稿: yama | 2011.01.29 17:30

いつも楽しく拝見させていただいております。

浜田さんも仰っているとおり、大衆酒場は小規模の家族経営が多いですよね。「注文が立て込んでいるな」、「お店の人が忙しそうだな」といった気遣いがお客さんにも必要なんじゃないかなあと思っております。

私もPCでいろんな居酒屋さんを探して飲み歩いておりますが、ほとんどが一見として入るお店なので、最初はお店の方や周りの人に聞くようにしています。そうしないとお店の雰囲気に溶け込めないような気がして。

お店の人が忙しそうな時は、一呼吸置いてのんびり待つ。
そういった余裕さを持って大衆酒場を楽しめれば素敵ですよね。

ただ個人的な意見として、やはり小さなお店はあまり大人数で訪ずれるべきではないかなと思います。

投稿: neinnein | 2011.01.29 21:01

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 6月3日(金)は久しぶりに横浜出張。午後5時ちょうどくらいに仕事を終え、一路、野毛(野毛)へ。野毛に入るにはJR京浜東北・根岸線または市営地下鉄の桜木町駅から入るコースと、京急本線・日ノ出町駅から入るコースの二つのコースがあるのですが、今日は日ノ出町側から入ります。  野毛と言えば、なんといっても老舗「武蔵屋」なのですが、残念ながら一時休業中で、6月7日(火)から再開とのこと。ちょっとの違いで今... [続きを読む]

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