ワイワイと飲むもよし … バー「どん底(どんぞこ)」(呉)
「魚菜や」を出て、静かにウイスキーでも傾けようかと、やってきたのは呉で一番古いスタンドバー「どん底」です。なにしろ、この「どん底」の、亡くなった店主が呉のスタンドバー組合の規則を作って、スタンドバーという業態を確立させたので、それより前には、明文化された状態での正式な呉のスタンドバーは存在しなかったのです。
「女の人が嫌いというわけじゃなくて、むしろ好きだったんだけど、お酒を飲んでる席で女性とイチャイチャしたりするのは『行儀が悪い!』といって嫌ってたわねえ。」
と女将。亡き店主の奥様で、現在の「どん底」の店主です。そんな方が作った規則だから「店員はカウンターから出ず、カウンターの中でお酌程度のサービスをする」ということが明文化されたんですね。この規則が、現在もスタンドバーの原則として守られているようです。
「魚菜や」から「どん底」までは歩いて5分ほど。「魚菜や」のまわりは、ちょっとした呑兵衛横丁になっていて酒場が並んでいますが、「どん底」の近くまで来ると店もまばら。ひときわ大きな「どん底」の重厚な造りが目を引きます。
入口扉もまた重厚。今でこそ、あまり臆することなく扉を開けることができますが、若いときにこの店を知ってたとしても、ひとりでは入れなかったかもなあ。そんな思いがするほどの重厚さです。
入口扉を開けて店内に入ると、酒場らしい賑(にぎ)やかなざわめきが耳に飛び込んできます。いつもは静かな雰囲気の「どん底」が、こんなに賑やかなのは珍しいことです。
この店は、入口のすぐ内側にL字の壁があって、直接的に店内を見ることはできない造りです。L字の横にある、ほんの数段の階段を下りて、はじめて店内へと入るのです。
その階段を下りながら、「こんばんは」と女将にごあいさつ。
突然、「おぉ~っ、浜田さん!」と声がかかります。なんとなんと。賑やかにお酒を飲んでいたのは、部こそ違うものの、うちの会社の人たちだったんですね。この店で同じ会社の人にあったのは初めてです。
6~7人ほどがカウンターにずらりと並んで飲んでいる横に座らせてもらい、私はいつもの「竹鶴」をロックでもらって、みんなと乾杯です。
「なんでこの店を知ってたの?」と聞いてみると、彼らの中のひとり(まだ若い!)がこの店にときどき来ているんだそうで、今日は彼にくっついてやってきたんだそうです。
う~む。若いのに、この重厚な店にスッと入れるとは、かなりのバー好きですねえ。すばらしい。
そんなわけで、ひとりで静かにウイスキーの予定が、ワイワイと楽しい「どん底」になったのでした。お勘定はみんな(7~8人ほど)で38,000円。ひとりあたり5千円前後といったところでした。どうもごちそうさま。
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