とり屋の元祖はこの店 … 「本家鳥好(ほんけとりよし)」(呉)
さぁ、いよいよ満を持して「本家鳥好」にやってきました。ここが呉の“とり屋”の元祖です。
倉橋島の先、鹿島の上瀬稔さんが、大阪での修業のあと呉に戻ってきて開店したのが、ここ「鳥好」です。開店の時期は、「呉うまいもん」(毎日新聞呉支局編、昭和49年発行)では昭和25年、「本家鳥好」の店頭掲示では昭和26年、中国新聞の記事では昭和27年と、諸説があるようですが、ま、昭和26(1951)年前後ということですね。(その後の取材で得られた「鳥好」創業に関する新しい情報は→〈こちら〉 2012.02.19追記)
現在の店主・上瀬弘和さんは二代目。お子さんがいなかった先代(上瀬稔さん)からこの店をゆずり受け、すでに50年になるそうです。今は三代目の若旦那もカウンターの中に立ち、親子とそれを手伝う女性陣(おそらくみなさんご家族です)でがんばっています。
ちなみに、現在の店主(二代目)の妹さんが、横須賀「鳥好」の店主の奥さんだそうです。
こうやって、横須賀にも「鳥好」があるほか、呉市内だけでも「第一鳥好」、「第五鳥好」があり、さらに系列かどうかは不明ですが、iタウンページで検索すると、広島市内で2軒、福山で1軒、三原で1軒の「鳥好」がヒットします。なので、この店にはあえて『本家(ほんけ)』という名称を付けているんでしょうね。
店内は入って左手がカウンター席で、入口のすぐ右手には大きな生簀(いけす)があって、その奥右手が座敷席。宴会もできるような“とり屋”が多い中、比較的小さいお店ですが、これくらいが店主の目が行き届くギリギリの大きさかもしれません。
水曜日、午後6時半の店内には先客は一人。いかにも常連さんらしい年配の男性が、カウンターの手前側で燗酒を傾けています。私もその奥側、カウンターの中央やや奥に座り、まずは瓶ビールを注文すると、「いつもはキリンラガーですけど、今の時季だけ“秋味”もありますよ」と、カウンターの中の三代目(=若旦那)。その“秋味”をもらいます。
さて料理。すでに心に決めている一品があります。それは「カキの天ぷら」(800円)です。
つい先日、私自身としては初めてのカキの天ぷらを「鳥八茶屋」でいただいて、そのおいしさにびっくり。調べてみると、呉の街なかでも何軒か、店頭に「カキの天ぷら」という品書きが出ているお店があるほか、首都圏でも「カキの天ぷら」を出してくれるお店はあるという情報もいただきました。
こんなおいしい料理を、今まで知らなかったのがくやしいなぁ、と思いながら街歩きをしていたところ、ここ「本家鳥好」の店頭にも、『毎年話題の鳥好のカキ、入荷しました!!』という文字が躍り、かき串焼400円、酢がき500円、かきフライ800円、かき天ぷら800円、かき鍋800円という品書きがぶら下がっているのを発見。『当店のカキがうまいのは、カキ打ち場に直接買い付けに行って、活きたものを買って来るからです』とも書かれていて、ぜひここのカキを食べてみなければ、と思っていたのでした。
さっそくそのカキの天ぷらを注文し、そのできあがりを待つ間に、名物の「みそだき」(2本1皿で300円)をもらいます。
みそだき(味噌炊き)は、鶏の皮を水炊きしたあと、残っている毛をきれいにとって串に刺し、それを味噌で味付けした鶏のスープ(ドロリと濃厚)で煮込んだもの。もともとは硬くて捨てていた鶏皮の有効利用のために考え出された料理らしいのですが、いまやどこの“とり屋”でも定番の名物メニューになっています。
昔は、どの“とり屋”もお通しは出さなかったので、サッと出てくる味噌炊きは、ちょうどいいスターター代わりにもなったんですね。なおここ「本家鳥好」は、今も「うちは昔からお客さんが注文しないものは出さないことにしています」というポリシーを貫いていて、お通しという概念そのものがありません。さすが“本家”です。
(つづく)
・店情報
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コメント
横須賀の鳥好には偶にお邪魔してます。
ご主人は元自衛官で、呉勤務時代に鳥好に通っていて奥さんと結婚したとか聞きました(笑)
場所柄海上自衛官のお客さんも多いですね。
私が飲んでいた時は、今日呉から来たって方もいらっしゃいました。
おやじさん、ちょっと強面なんですが、話すと意外に笑顔が可愛いんですよね。
こちらのホッピーですが、横須賀でもスーパーストロング級に焼酎の量が多いので、何時も外を継ぎ足し継ぎ足ししながら飲んでます。
ここのホッピー割りは3本で確実にヘロヘロになりますね。
そして、つまみも美味しくて安いのがまたいいんですね。
投稿: mag | 2011.02.02 12:58