毎年恒例の自然薯の会 … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)
今日は「魚菜や」で『自然薯(じねんじょ)の会』が開催される日です。
毎年、この時期になると、「魚菜や」常連のUさんが自然薯を掘ってきてくれて、それを目当てに他の常連さんたちも集まるんだそうです。この会は、すでに10年以上続いているというから驚きです。
午後6時に店に到着すると、他のメンバー(総勢12人ほど)はすでに到着して席についています。
「すみません。遅くなりました」と言いながら、最後に空いていた1席に腰を下ろすと、
「来て早々だけど、まずクジを引いて。と言っても、もう当たるのは決まってるんだけどね」と言いながら、最後の1つしか選べないアミダクジをこちらに渡してくれます。その最後の1個を下にたどってみると、たしかに○印のところに当たっている。
「やったぁ。あたりだ。すみませんねぇ。最後に来たのに」とお礼を言うと、まわりのみんながニヤリと笑いながら、
「なんのなんの。当たりといっても、自然薯をする係りだからね。」
「えぇ~っ。そういうことなのか。大変な役が当たっちゃったなぁ。。。」
「あはは。みんなの分だから、たくさんあるからね。がんばってよ。」
厨房から切り分けた自然薯を出してくれたのを、おろし金でゴリゴリとすりおろします。これがものすごく粘り強くて、すりおろした全体がまるでお餅のように一体化してしまうほど。
もちろん、みんなも何もしないで待っているわけではなくて、前菜として出してくれたおひたしや、いつも用意されているおでんなどをつまみながら、ビールを飲み、お酒を飲んで談笑です。
「毎年、Uさんに『いつでも手伝いに行きますよ』と言ってるんだけど、絶対に誘ってくれないんだよねぇ。」
「そうそう。自然薯がどこで取れるのかは、Uさんだけの秘密なんだよね。」
「自然薯も年々取れなくなってるらしいんだけど、Uさんは毎年、毎年、確実に取ってくるもんなぁ。よほどいい場所を知っているのに違いない。」
奥の厨房で、女将さんと一緒に自然薯の下ごしらえをしているUさんは、みんなのそんな話を聞きながらニマニマと笑っています。
「さぁ、代わろう。」
ちょうど(疲れたなぁ)と思い始めたところで、となりに座っている木戸編集長が自然薯すりを交代してくれます。
「毎年、この役をやってるんだよ」と木戸編集長。自然薯を掘るのもたいへんな重労働だそうですが、こうやってすりおろすのもまた大変な重労働ですねぇ。
やっと自然薯がすり終わって、奥の厨房で大きなお餅の塊のようになった自然薯を、みんなの小鉢に切り分けて出してくれます。
これにチラッと醤油をかけてつまむと、濃厚なその味わいに燗酒がすすみます。
「はい、ごはんよ」と女将さんから、丼につがれた炊きたて麦飯が出されます。麦とろにして食べるのかな、と思いきや、このご飯を自然薯の中に入れて、一緒に混ぜ込んでつまみにするんだそうです。ご飯ととろろの立場が逆転して、たっぷりのとろろに、少ないご飯の麦とろですね。麦飯が入ることで、自然薯の強烈な粘りがちょっと緩和されて、とても食べやすくなります。
自然薯を食べ終えた後も、木戸編集長が持ってきてくれた暮坪カブ(くれつぼかぶ)や、今日もいつものように用意してくれている女将さんの手作り料理をいただきつつ、夜遅くまでワイワイと談笑。午後9時半頃まで、ゆっくりと3時間半もの「自然薯の会」となったのでした。どうもごちそうさま。Uさん、ありがとうございました。
| 固定リンク | 0
コメント