カキ天ぷらとカキ串焼 … 「本家鳥好(ほんけとりよし)」(呉)
(前の記事からのつづき)
さあ出てきましたよぉ! カキの天ぷらです。カリッと揚がった天ぷらは8粒。横にざく切りのキャベツが添えられています。天つゆが出ないのは、このまま食べろということですね。
さっそく一つを箸にとり、真ん中あたりをシャクッと噛み割ると、口の中にブワッと広がる熱々のカキの汁。ハフハフハフ。天ぷらの衣に閉じ込められていたカキの香りが口の中から、鼻腔の奥からドーンと押し寄せてきます。
ん~~~~っ。カキ自身が持っている塩加減もちょうどいいですねぇ!
熱々の口の中へ、ビールを流し込みます。ッハァ~ッ、うまいっ。
「茹でて縮むカキは天ぷらにできないんですよ」と若旦那。身が縮むカキは、体内に取り込んだ水分で水ぶくれしているので、天ぷらにしようとするとはじけてしまったりするんだそうです。「カキフライの場合は、衣にすき間があるので(ある程度、水分が多くても)大丈夫なんですが、天ぷらだとてきめんです。うちのカキは、今朝、カキ打ち場で打ったものをそのまま仕入れてるから、今もまだ生きている。だから加熱しても身の縮みが少ないんですよ」。
そんな話を聞きながらも、この天ぷらはぜひ熱いうちに食べなきゃと、戦いを挑むようにハフハフもぐもぐ、ハフハフもぐもぐと食べ進み、あっという間に完食です。
店頭の『毎年話題の鳥好のカキ、入荷しました!!』の看板の下には、『カキの串焼き、カキの天ぷらなど、ぜひ一度ご賞味ください!』と書かれていました。そのもう一品のおすすめであるカキの串焼き(400円)もいただきましょうか。
カキ串焼きは、注文を受けてから串を打ち、焼き台にのせます。この焼き台も、ここ「鳥好」のオリジナル。ガスの火ながら、下火に加えて、上にも火がついて、上下から同時に焼けるようになっています。
「大量に焼き鳥の注文が入ったときでも、すばやく焼けるように、この串焼き機を作ったそうですよ」と教えてくれる若旦那。この串焼き機は昭和49年に出版された「呉うまいもん」にも載っていて、その中で『10年前に考案した』と書かれているので、昭和39(1964)年頃に作られたものなんですね。
その串焼き機のおかげで、ほとんど待つこともなくカキの串焼きも焼きあがります。串の根元に丸太に切った白ネギが刺され、その上にカキが3個。その串が2本で1人前です。
カキのふちのビラビラっとしたところが真っ黒なのが、カキが新鮮な証拠。鮮度が落ちるにしたがって、だんだん灰色に変色してきます。
ど~れどれ。これまたハフハフものの熱さながら、直火で焼いているだけに香ばしい感じはより強く、カキの身そのものの味わいをよく感じます。身のそのもののジューシーさは天ぷらかなぁ。しかし、どちらもそれぞれ捨てがたい。
飲み物も日本酒にしますか。燗酒でお願いします。
ここの日本酒は、昔からずっと吉浦(呉から二駅分、広島寄り)の「水龍(すいりゅう)」なんだそうで、茶色い徳利型ガラス瓶(1合450円)のまま燗がつけられていて、そのまま出されます。
あぁ~、うまい。焼いたカキには、やっぱり燗酒ですねぇ。
(つづく)
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