竹輪、大根、焼酎湯割 … 屋台「一二三(いちにさん)」(呉)
「あわもり」を出ると、ちょうど目の前がバス停。ただし、大通りをちょっとはずれた路線なので、午後7時を過ぎると、呉まで帰れるバスは1時間に1本ほどしかなくて、午後7時40分の次は8時33分で、これがこのバス停から呉市内まで帰るバスの最終便。
なので、ほとんどの場合は、大通りまで出てバスで帰るか、新広駅まで歩いて電車で帰るかという選択肢になるのです。
しか~し。なんと今日は「あわもり」を出たのが午後8時半。バスの時刻にぴしゃりではありませんか! こうなると歩くのはめんどくさくなって、このバス停からバスに乗り込みます。
広の町から呉に出るには、以前、住んでいたころはクネクネと呉越(くれごえ)峠を越えるルートしかなかったのですが、今は休山(やすみやま)の下をぶち抜いて「休山新道」という長いトンネルが通っていて、朝な夕なに渋滞はしているものの、以前と比べるとずいぶんと交通の便もよくなっているのです。
しかし、今日のバスは、昔ながらの呉越峠を越えていく路線。峠を越えたあたりでチラチラと見えてくる呉の街の明かりがとても美しいのです。古くからの港町は、いずこも坂のある町でもあるので、まわりの斜面にも明かりが並んでいるのがいいんですね。
本通3丁目のバス停で降りて、まっすぐに堺川(さかいがわ)を渡ると、その両側が呉の屋台が並ぶ「赤ちょうちん通り」です。そして、その交差点のすぐ右手にあるのが「一二三」なんだけど、あれっ!? いつもは金・土の週二日しか開いていないはずの「一二三」が、今日は開いてる。そうか、明日が祝日(天皇誕生日)なので開けたんですね。
「一二三」の営業は、不定休で午後6時半から朝の4時まで。まだ幼いお孫さんの面倒を見ながらの屋台運営なので、基本的に金曜と土曜だけの営業になってしまうのですが、今日のような祝前日にも開くことがあるんですね。これは行かねば!
防寒用のビニールシートをかき分けるようにしながら、「こんばんは」と屋台の中に入ると、
「おろ、いらっしゃい。久しぶりじゃの。元気じゃったんか?!」
と笑顔を向けてくれるお母さん。そういえば先週末は四国の故郷(いなか)に帰省していたので、「一二三」に来るのは11日ぶりです。このところ「一二三」に来る頻度が上がってるなぁ。
豚足やおでん、ラーメンといった料理が美味しいということもあるけれど、ここの一番の魅力は、この屋台を二人で切り盛りされているお父さんとお母さんの人柄にあります。店内にはいつも笑い声があふれていて、本当に居心地がいい。
「焼酎の湯割り(400円)と、最初はおでん(各100円)にするかなぁ……。」
「よっしゃ、おでんの。なに取ろか?」
と新しい皿を1枚手に取り、おでん用の菜箸(さいばし)をかまえるお母さん。
「大根とぉ、あと竹輪。」
「よっしゃぁ、大根と竹輪の。」
と復唱しながら、おでん鍋の中から煮汁のよく染みた大根と竹輪を選んでくれます。お母さんは、いつも「よっしゃ」と元気よく注文を受けてくれるのです。
おでんをつまみながら、「いいちこ」(麦焼酎)の湯割りをちびりちびり。
あっさりとしたものも食べたくなって、ナスビ(350円)を注文すると、その場で1本のナスビを取り出して、目の前で、あっという間にナスの塩もみを作ってくれます。
なにしろ屋台には〔別室の厨房〕なんていうかっこいい場所はなく、すべての料理は目の前で仕上げられていきます。そうやって調理されていく様子そのものも、これまたいい酒の肴になるんですよねぇ。
最後はラーメン(500円)で〆て、1時間ほどの滞在は1,450円でした。どうもごちそうさま。
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