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2011年4月

内臓も丸ごとイワシ天 … 居酒屋「九太呂(くたろ)」(広島・本川町)

内臓も丸ごとイワシ天


 オオカワさん、鴉田(からすだ)さん(「善吉」店主)、遊星ギアのカズさんと一緒にめぐる広島酒場。4軒目はタクシーで本川町まで移動して、居酒屋「九太呂」です。

 広島を代表する居酒屋として名前があげられることが多い、酒肆「なわない」の原点とも言うべきお店が、ここ「九太呂」なんだそうです。

 まずそれまでも別の地で居酒屋をやっていた女将がここ「九太呂」が開店し、その後、ご主人がそれにならって「なわない」を開店した、という順番です。

 魚は天然、野菜は国産、添加物は一切使用しないという料理が人気で、黒板に手書きで書き出されている今日のメニューは、ざっと50品。値段はおでんや串ものを除くと、一品360~750円と、いい品を使っている割りにリーズナブルです。

 こういうきちんとした料理には燗酒がいいですね。日本酒は広島(三次)の「美和桜」で、2合が730円です。このほかに、各種冷酒が1合550~750円。焼酎も1杯あたり350~550円で、各種そろっています。

 店内は右手が大きなカウンター席で、左手と奥側にテーブル席が並んでいます。木とレンガを基調にした店内は、とても落ち着きがあります。

 料理は、ひとり一品ずつ程度を注文。

 おから(360円)は具だくさんのしっとり系。藤沢の「久昇」のおからより、もっとしっとりとした食感で、トッピングされている紅生姜の赤で、おからの白さが際立ちます。

 なまこ(530円)。刻みネギをたっぷりとかけて、紅葉おろしをトッピングしています。ぬた(360円)の具材は鳥貝(とりかい)です。

 おでんは一品160~260円で16種類。その中から牛すじ(210円)を2本いただきます。

「この店に来たら、ぜひこれは注文してください」

 というオススメの一品は、いわし天(630円)。“いわし”と単純に書かれていますが、もちろんこの“いわし”は“小イワシ(カタクチイワシ)”で、内臓を取らずに、そのまま天ぷらにするのが「九太呂」流。内臓のほろ苦さが、日本酒によく合います。これはいい。

「そして、締めはこれです」

 と江波巻(えばまき、370円)を2人前注文。江波というのは、広島市内の太田川河口あたりの地名で、江波巻はその地の名物料理なんだそうです。

 焼海苔に熱々のご飯をのせ、食べやすく刻んだ広島菜(ひろしまな)を醤油で味付けしたものを芯にして巻いたもの。1本を真ん中から2等分したものが1人前で、その長さのまま、かぶりついていただきます。

 江波あたりは、昔は海苔の養殖が盛んでした。その当時、傷の入った売り物にならない海苔を使って作ったのが、この江波巻だったんだそうです。

 1時間ほどの滞在は、4人で5,960円(ひとりあたり1,490円)でした。どうもごちそうさま。またじっくりと来てみたい居酒屋です。

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店内の様子 / おから / なまこ

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ぬた / 牛すじ2本 / 江波巻2人前

店情報

《平成23(2011)年1月15日(土)の記録》

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店情報: 居酒屋「九太呂(くたろ)」(広島・本川町)

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  • 店名: 九太呂
  • 電話: 082-292-9851
  • 住所: 730-0802 広島県広島市中区本川町2-1-29
  • 営業: 17:00-23:30、日祝休
  • 場所: 広電・本川町の電停を降りて、「TOTO水彩プラザ」横の路地を北上すること約2分(130メートルほど)、右手。
  • メモ: 〔黒板メニュー〕よおわさし750、かんぱちさし750、さよりさし750、たこさし750、いかさし750、げそさし530、こいわしさし530、なまこ530、酢がき530、めばる煮付750、あじ塩焼550、くじらベーコン750、ローストビーフ750、角煮530、あなご天730、いわし天630、くじら竜田揚630、海老天630、野菜天530、はす天530、ゴーヤ530、チーズおやき530、いかわた焼530、串かつ470、オムレツ470、手羽唐470、しゅうまい470、じゃがバター470、げそ天470、いかバター470、和牛バラ串310、地どり串210、海老グラタン680、かきフライ680、チキントマト煮680、ソーセージ盛680、チーズ盛680、すじポン470、すじ煮込み470、ゆで海老420、いか煮420、焼ナス420、焼しいたけ420、丸干360、かにみそドーフ360、ぬた360、おから360、さよりミリン360、もろきゅう360、トマト360。〔おでん〕豆腐260、ロールキャベツ260、つみれ260、エノキ260、大根210、じゃがいも210、牛すじ210、もちきん210、竹の子210、厚あげ210、玉子160、こんにゃく160、糸こん160、ごぼ天160、ちくわ160、平天160。〔ごはん〕焼むすび(2個)370、海苔むすび(2個)370、梅茶漬450、海苔茶漬450、ごはん210、味噌汁210、つけもの盛り合わせ370、江波巻(広島菜の海苔巻)370。生ビール(エビス・キリン)500、びんビール500、日本酒(美和桜2合)730、梅酒(ロック・ソーダ・水わり)420、杏露酒420、カンパリソーダ420、ジンフィズ420、ウィスキー角420、ハーパー500、グラスワイン(赤・白)350、ワインフルボトル各種1,800~、冷酒1合550~750、焼酎各種350~550、焼酎キープ各種2,400~2,700。(2011年1月調べ)

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広島で初の豚もつ焼き … やきとり「豚鳥(とんとり)」(西広島)

テッポウ


 今日は、広島在住の酒場通・オオカワさんと、広島の立ち飲み屋「善吉」の店主・鴉田(からすだ)さんのお二人に広島の酒場をご紹介いただいています。呉から私と一緒に参加してくださったのは遊星ギアのカズさん。遊星ギアのカズさんは呉のみならず、広島の酒場にも造詣が深いので、実際には3人からいろいろと教えていただいているような、とてもありがたい状態です。

 お食事処「ふくもと」を出て、再び広電・福島町の電停へ。この路面電車が通っている大きな通りが平和大通りです。

「次の店は歩いていける距離なので、ここから歩きましょう」

 と鴉田さん。腹ごなしと酔いざましのためにも、それがいいですね。大賛成です。

 太田川放水路をまたぐ、長さ300メートルほどの大きな橋(新己斐橋)を渡ると、そこがもうJRと広電の西広島駅。ここから道なりに南下して、宮島街道を宮島方面に向かうこと約10分。左手のひなびた(ほめ言葉です!)建物の1階にある、まるで小さな横丁のような飲み屋街が、己斐ショッピングセンターです。これはすごいっ。ビルの1階に、新宿ゴールデン街にある古いお店を数軒を持ってきたような感じと言えば伝わるでしょうか。

 目指すお店、「豚鳥(とんとり)」は、その奥のほうの一角にありました。

 手前側と向こう側とに、まるで2軒のお店のように入口がありますが、そのどちらもが「豚鳥」の入口。以前は1軒だけだったのに、人気が出てきたのでとなりの店も吸収合併(?)して、2軒分を1軒として営業しているんだそうです。

「浜田さんがよく『呉にはもつ焼き屋がない』とブログに書かれていますが、この店には、ちゃんと豚のもつ焼きがありますよ」

 とオオカワさん。どれどれとメニューを確認すると、鶏串(狭義の〔焼き鳥〕)と豚串(いわゆる〔もつ焼き〕)の両方が並んでいます。豚串は肝、カシラ、ハラミ、ハツ、タン、シロ、テッポウ、バラの8種類で、それぞれ1本150~200円ほど。鶏串も同じく1本150~200円ほどです。

 鴉田さんが予約してくださっていた上に、開店第1号の客として店に入ったので、すんなりと5席分ほどしかないカウンター席に座ることができましたが、とにかくすごい人気で、予約なしでは入れないほどなんだそうです。実際、我われが飲んでいる間にも、何人ものお客さんが入口から顔をのぞかせては、「ごめんなさい。満席です」と断られて帰っていきました。

 席に座るとまず、端っこに味噌が盛られた取り皿と、小鉢に盛られた生キャベツ、そしてお通しの〔もつ煮込み〕が出されます。この3品は定番なんだそうです。〔もつ煮込み〕の具材はモツとコンニャクというシンプルなもの。刻みネギがトッピングされています。さっぱりとした、やわらかい味付けですね。

 焼酎がいろいろとそろっているようなので、「湯割りにして美味しいのをお願いします」と注文したところ、芋焼酎「赤兎馬(せきとば)」(500円)を出してくれました。

 串焼きの1本目は桜島鶏の白肝(150円)です。刻んだ青ネギがたっぷりとトッピングされていて、肝そのものもずっしりと重量感があります。

 2本目は豚肝(150円)。こちらには刻んだ白ネギがトッピングされていて、ビジュアル的にも鶏の肝とは異なっています。さっそくいただいてみると、この豚肝の焼き具合がベリーレア。表面をサッとあぶったレバ刺しといった感じです。

 3本目は霧島鶏のムネ肉(200円)。表面に柚子胡椒が塗られています。地鶏は肉の味わいが濃厚でいいですねぇ。

 次は豚のカシラ(150円)。これまた、ずっしりのボリューム感です。

 「赤兎馬」のお湯割りを飲み干して、メニューに『大将のオススメ酒。何がでるかはお楽しみ』と書かれた冷酒(500円)の銘柄を確認すると、なんと呉の地酒「宝剣(ほうけん)」ということで、さっそくそれをいただきます。

 5本目はテッポウ(150円)。豚の直腸ですが、下ごしらえがていねいで、ほぼ同じ大きさに切りそろえられたテッポウが、ひと串にずらりと並んでいます。焼き加減もいい!

 6本目にいただいた桜島鶏の心残り(150円)は、鶏の心臓上部の血管のあたりなんだとか。もともと鶏のハツは大好きなのですが、この部位も食感がいいですねぇ。

 開店から1時間半ほどの滞在は4人で7,680円(ひとりあたり1,920円)。広島で初めて豚のもつ焼きをいただきました。

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己斐SC食堂街入口 / 味噌とキャベツ / 「赤兎馬」湯割りとお通し(もつ煮込み)

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白肝(桜島鶏) / 豚肝 / ムネ肉(霧島鶏)

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カシラ(豚) / 煙もうもうの店内 / 心残り(桜島鶏)

店情報

《平成23(2011)年1月15日(土)の記録》

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店情報: やきとり「豚鳥(とんとり)」(西広島)

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  • 店名: 焼鳥専門店 豚鳥(TONTORI)
  • 電話: 082-273-2606
  • 住所: 733-0812 広島県広島市西区己斐本町2-13-28
  • 営業: 17:00-24:00(売切れ仕舞)、月休(GW、盆、年末年始も休)
  • 場所: JR・広電の西広島駅から大通り(宮島街道)に沿って宮島方面に南下すること約10分。「己斐本町2丁目」の信号交差点先、左手の市営己斐ショッピングセンターアパートの1階にある飲み屋街の奥のほう。
  • メモ: 〔桜島鶏〕白肝、皮、せせり、つくね、砂肝、ももみ、心、心残り。〔霧島鶏〕ささみ(梅、ゆず)、ムネ肉。〔親鶏〕ももみ、せせり。〔豚串〕肝、カシラ、ハラミ、ハツ、タン、シロ、テッポウ、バラ。〔生野菜〕キャベツ、キュウリ、トマト、セロリ。〔焼野菜〕ししとう、しいたけ。〔一品〕酢もつ、ザク、肝のつくだ煮。〔めし〕焼鳥丼、ライス、白△、焼△、汁△。〔デザート〕はちみつバニラトースト。〔鶏〕肝150、親鳥150、皮(塩・タレ)150、せせり150、つくね200、ささみ(梅しそ・柚子胡椒)200。〔豚〕豚肝150、カシラ150、タン200。〔一品〕ガツポンズ400、焼△200、白△200。〔一品〕やきなす300、生セロリ250、もろきゅう250、鶏肝のつくだに400、オニオンスライス200、ぶたみそ100、しいたけ200、ししとう120、ザク380、ガッツリ梅キュウ400、冷トマト250。〔飲み物〕元祖ハイボール400、トロトロハイボール400、生ビール(ザ・プレミアムモルツ)480、中瓶ビール(キリンクラシック、プレミアムモルツ)500、酎ハイ(生搾りレモン酎ハイ、カルピス酎ハイ、ウーロンハイ)450、ウイスキー(ロック、ストレート、ソーダ・水割り)角瓶450・山崎10年650・ボウモア680、ソフトドリンク(コーラ、ジンジャ、オレンジ、カルピス、烏龍茶)250、冷酒(大将のオススメ酒。何がでるかはお楽しみ)500、燗酒(黒龍)1合500、芋焼酎:富乃宝山500・六代目百合500・千鶴450・さつま国分450・海童450・磨千貫500・赤兎馬500、麦焼酎:村正450・つくし白450、果実酒:緑茶梅酒500・鶴梅すっぱい500・紫蘇梅酒500。(2011年1月調べ)

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でんがくはもつ煮込み … お食事処「ふくもと」(広島・福島町)

でんがく、天ぷら、おでん


 「みやさん食堂」を出て、左(福島町電停方面))へ進むこと約100メートル(1分ほど)。左手2本めの路地を左折した右側に、やはりホルモン天ぷらの食事どころ、「ふくもと」があります。今日の2軒目は、ここ「ふくもと」です。

 1軒目の「みやさん」が、注文を受けてから天ぷらを揚げてくれる店だったのに対して、こちら「ふくもと」は、入り口を入ってすぐ左手のカウンターの手前側におかれたバットの上に、すでに揚げ終わったホルモン天ぷら(1個100円)がずらりと並んでいて、そこから好きなものを取る仕組み。お勘定のときに、取った個数を自己申告するんだそうです。バットの横に、大きなまな板も置かれていて、ひと口大にカットするのも、その場でやります。それ以外の場所にはまな板は置かれていません。

 天ぷらバットのすぐ近くに、おでん鍋も置かれていて、おでん(1個100円)も、ここから自分で取っていきます。おぉ、おでんの中にもホルモン(牛の内臓肉)がいろいろと入ってるんですね。お皿に取り分けたホルモンのおでんは、まるでもつ煮込みのような外観です。

 店内は左手がカウンター席で、右手壁際には4人がけのテーブル席が何卓か並んでいます。この空間を、ちょっと派手め(失礼!)の女性5人ほどが切り盛り。そのテーブル席のひとつに座って、酒(「福美人」上撰、300円)と「でんがく」(400円)を注文すると、1合のコップになみなみと燗酒が注がれます。

 「でんがく」というのは、牛もつがたっぷりと入ったスープというか、もつ煮込みで、おでんのほうが黒っぽい汁なのに対して、こちら「でんがく」は白っぽい汁。でも味わいは濃厚です。

 この「でんがく」は、中に麺を入れることで、「でんがくうどん」(450円)や「でんがくそーめん」(450円)とすることもできます。メニューには普通の「うどん」(400円)や「そーめん」(400円)もあって、こちらはおそらく普通のお出汁で出されるんでしょうね。

 「でんがく」もまた、この地域の食堂では比較的一般的なメニューなんだそうです。先ほどの「みやさん」にも、同じく400円で「でんがく」がありました。

 「おでん」や「天ぷら」をいくつか取っておかずにして、それに「めし」と「でんがく」をプラスすることで定食のようにして食べる人が多いようです。

 お酒をおかわりしながら、ゆっくりと1時間半ほど楽しんで、お勘定は4人で3,600円(ひとりあたり900円)でした。どうもごちそうさま。

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ホルモン天ぷら / その場で切って、 / タレをかける。

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店内の様子 / おでん鍋 / ホルモンおでん

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でんがく / でんがくの具 / せんじがら

店情報

《平成23(2011)年1月15日(土)の記録》

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店情報: お食事処「ふくもと」(広島・福島町)

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  • 店名: 天ぷら専門店・お食事処「ふくもと」
  • 電話: 082-232-7080
  • 住所: 733-0025 広島県広島市西区小河内町1-20-8
  • 営業: 10:00-19:00(日祝は -15:00)、不定休(基本は第3月休)
  • 場所: 広電本線(路面電車)・福島町の電停の信号交差点を北上すること400m強(徒歩約7分)、二つ目の信号交差点をわたり2ブロック先の、左前方に韓国食料品店「山城屋」がある路地を左折した少し先、左手。赤いファサードテントが目印。電停からの総距離は450m(徒歩8分)ほど。
  • メモ: でんがく400・W600、うどん400、そーめん400、でんがくうどん450・W650、でんがくそーめん450、天ぷら100、おでん100、めし(大)200・(中)180・(小)150、ビール(大)550・(小)400、生ビール500、酒300、せんじがら700、持ち帰りでんがく1,000。(2011年1月調べ)

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出刃包丁でひと口大に … 食堂「みやさん」(広島・福島町)

出刃包丁でひと口大に


『広島にホルモン天ぷらを出してくれる食堂が何軒かあるエリアがある』

 ということで、広島在住の酒場通・オオカワさんと、広島の立ち飲み屋「善吉」の店主・鴉田(からすだ)さんにご案内いただいて、遊星ギアのカズさんとともに、ホルモン天ぷらを出してくれる食堂の1軒、「みやさん」にやってきています。

 このあたりはすっかり住宅街で、そのところどころに、ポツリ、またポツリと食堂があって、そこでホルモン天ぷらが出されます。

 ド~ンと丸皿にてんこ盛りで出されたのは、肉が10種、野菜が5種の天ぷら(1個100円)です。「おまかせで」と注文したのと、衣に包まれていて中が見えないこともあって、外観だけでネタがわかるものはナスとレンコン、肉ではセンマイくらいしかありません。

「小皿にポン酢醤油を入れて、そこに一味唐辛子をたっぷりと、そう、これくらたっぷりと入れてください。ここの唐辛子は、辛さはそんなにありませんから、思いっきり入れても大丈夫ですよ」

 鴉田さんが、ご自分の小皿を取って、実演しながらタレの作り方を教えてくれます。ポン酢醤油の表面にはびっしりと赤い一味唐辛子で覆われます。ヒャア~、そんなに入れちゃうんですね。

 ホルモンの天ぷらは大きなかたまりのまま揚げられていて、そのままでは食べにくい。そこでテーブルやカウンター上の、そこここに置かれているまな板と出刃包丁の登場となるわけです。これまた鴉田さんが丸皿からまな板上に天ぷらを取り出しては、箸で押えながら、出刃包丁でひと口大に切り分けてくれます。

 おぉ。断面が見えてくると、肝っぽいもの、胃っぽいもの、腸っぽいものなどの区別がわかりますねぇ。そうか、きっとこれが白肉ですね。白肉はミノ(牛の第一胃袋)なんだ。オオカワさんおすすめのチギモは牛の脾臓(ひぞう)だそうです。

 なるほどなぁ。生のままサッと天ぷらにしたものを、唐辛子入りのポン酢醤油でいただくという、とてもシンプルな料理なので、それぞれの素材のもつ味わいや香り、食感がとてもよくわかります。もつ好きにはたまらんな、こりゃ。

 鴉田さんが言ってたとおり、唐辛子は山のように入れてもあまり辛くない。酢の味が強めのポン酢醤油に対して、いいアクセントになります。

 我われ4人が食べているところへ、ふらりと入ってきた常連さんは、入るなり「小メシ(140円)と、にゅうめん(450円)ひとつの!」と声をかけながら、おでん鍋のところへ直行し、おでん(各120円)を2~3品、お皿にとって、厨房ぎわのカウンター席に座ります。おでんにもホルモン(牛の内臓類)がいろいろと入ってるんですね。そのおでんも、まな板にのせて、ひと口大に切り分けながら、すぐに出された小メシのおかずとして食べ始めます。ホルモンのおでんのみならず、イカや牛スジなどの、普通のおでんも包丁で切り分けているのがおもしろい。一緒に注文した「にゅうめん」は汁物の代わりなんですね。

 いかにも通いなれている風情の家族連れも多く、我われ以外は、みなさん、食事のお客さんです。ホルモン天ぷらを、ポン酢醤油ではなくて、塩だけで食べている人もいます。その全員が、まな板と包丁を器用に使いながら食事をしているので、パッと見には、洋食店でナイフとフォークで食事をしている光景を見ているのと同じような印象を受けます。

 入口の横のところには、「せんじがら」(700円)という、牛や豚のもつを揚げたものが袋詰めで売られています。これは、もともとは脂身や内臓を加熱して、食用油を採った残りかすだったそうで、地域によっては「油かす(あぶらかす)」とか「かす」とも呼ばれている品。「せんじがら」というのは、もつを煎(せん)じた殻(から)というところから来ているのかな? 現在は、油を取った残りかすではなくて、ちゃんと食べて美味しい「せんじがら」になるように調理されているので、お土産に買って帰るファンも多い料理になっているそうです。

 15品の天ぷらは、4人で一所懸命食べても食べきれないくらいの分量です。ひとりだと3品ほどでちょうどいいくらいかもしれません。

 本日1軒目の「みやさん」は、1時間ほどの滞在。お勘定は4人で3,700円(ひとりあたり925円)でした。どうもごちそうさま。美味しかったです、ホルモン天ぷら!

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白肉(ミノ、第一胃袋) / ハチノス(第二胃袋) / せんじがら

店情報前の記事

《平成23(2011)年1月15日(土)の記録》

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広島のホルモン天ぷら … 食堂「みやさん」(広島・福島町)

広島のホルモン天ぷら


 先月、広島在住のオオカワさんと「鳥八茶屋」で飲んでいたとき、

「西広島の一部のエリアに、ホルモンの天ぷらを食べられるお店が何軒かあるんですよ」

 というお話をうかがって、「ぜひ今度ご一緒させてください」とお願いしていたのですが、今日、それが実現する運びとなりました。

 JR広島駅の改札口に、呉線の到着時刻、午後1時15分に合わせて集合したのは、案内してくれる広島組が、オオカワさんと、広島の立ち飲み屋「善吉」の店主・鴉田(からすだ)さん。案内していただく呉組が、遊星ギアのカズさんと私の、総勢4人のメンバーです。

 初対面のごあいさつもそこそこに、広島駅前から路面電車(広電)に乗って、向かう先は、JR西広島駅近くの電停・福島町です。広島駅からの所要時間は30分ほど。なのに運賃は150円と安いなぁ、広電。私以外の3人は、「パスピー(PASPY)」という広島県交通系ICカードでピピッと支払い。これで払うと運賃が10%割引になるほか、乗り継ぎ時の割引もされるんだそうです。

 福島町駅で下車した4人は、電停前の横断歩道を右に渡り、そのまま住宅街の中の広いまっすぐな道を北上します。この一帯が、すでにホルモン天ぷらのエリアなんだそうです。

「この辺で天ぷらと言えば、ホルモン天ぷらのことを指すんです」

 道路左側にある「中華そば・天ぷら あきちゃん」と書かれた店を指差しながら、鴉田さんがそう教えてくれます。

 電停から500メートル(10分弱)ほど北上し、左手の路地に「くりはら」の緑のファサードテントが見えたら、そこを左折。この「くりはら」もホルモン天ぷらの食堂で、広島のグルメサイト「快食.com」のホルモン料理店というジャンルの中で、筆頭に挙げられているお店です。

 今日はその「くりはら」は通り過ぎて、次の小さな交差点を右折。50メートルほど先の右手が、我われの目指す「みやさん食堂」です。先ほどの「くりはら」が緑だったのに対し、こちら「みやさん」は赤いファサードテント。店頭にはLPガスの大きなボンベ2本に流し台。その流し台の横に、なんと洗濯機が鎮座しています。ホルモンの下ごしらえ(洗浄)に使うのかなあ。

 入口を入ると、左右にビールなどの飲み物が冷えている冷蔵庫があり、左手のフロア中央に、ドーンと大きな長テーブル(片側5席ずつの計10席)が置かれています。テーブル席の手前窓側(入口の延長線上)には、壁に作り付けのカウンター席が5席ほどあり、その隅っこ上部にテレビが置かれています。テーブル席の奥は、厨房との間を仕切るようにL型のカウンター(Lの内側に座る形式)7席ほど。Lの角のところに、丸い大きなおでん鍋が置かれています。

 テーブル上やカウンター上には、等間隔にまな板が置かれていて、さらにそのまな板の上には小さな出刃包丁が置かれています。これでホルモン天ぷらを切り分けながら食べるんだとか。これは面白そうだなあ。

 オオカワさんや鴉田さんは何度かいらしゃっていますが、遊星ギアのカズさんと私は初訪問。何軒かあるホルモン天ぷらの店の中で、この店だけが注文を受けてから天ぷらを揚げてくれるので、熱々の天ぷらが食べられる。それがこの店を今日の1軒目として選んだ理由なんだそうです。

「ビールをもらいますね」

 と店のおばちゃんに声をかけながら、冷蔵庫から勝手にビールを取り出し、テーブル席の奥のほう両側に、二人ずつ並んで座ります。

「なんにしましょうか?」と店のおばちゃん。

「肉を10個と、野菜を5個。混ぜておまかせで」と注文してくれる鴉田さん。「チギモは入れてくださいね」とオオカワさんが補足します。

 壁のメニューには「天ぷら(肉・野菜)100円」「おでん120円」「でんがく400円」……と書き出されており、厨房との仕切り壁の上部に、「白肉、ハチノス、センマイ、ビチ、オオビャク、チギモ、ヤオギモ」と書かれた紙が張り出されていて、その横の小さな紙には「時々」と注意書きがされて「上白肉、ガリ」という2品が書き出されています。う~む。名前を聞いてもちっともわからない部位もありますねえ。

 さらにその右手には、「ジャガイモ、サツマイモ、ゴボオ、タマネギ、レンコン、シイタケ、豆、ナス、アスパラ」と、今日の野菜天ぷらの短冊メニューが並んでいます。

 ビール(アサヒスーパードライ大瓶、550円)で乾杯しながら待つことしばし。丸皿にてんこ盛りになった天ぷらが出てきました。

(つづく)

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みやさん食堂 / まな板に出刃包丁 / 天ぷらメニュー

店情報

《平成23(2011)年1月15日(土)の記録》

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店情報: 食堂「みやさん」(広島・福島町)

    みやさん1
  • 店名: みやさん食堂
  • 電話: 082-296-6826
  • 住所: 733-0025 広島県広島市西区小河内町1-8-13
  • 営業: 11:00-19:00、月・第1火休
  • 場所: 広電本線(路面電車)・福島町の電停の信号交差点を北上すること500m弱(徒歩約8分)、二つ目の信号交差点をわたり3~4ブロック先の左手路地に御食事処・天ぷら「くりはら」があるところで左折して、「くりはら」の先の交差点を右折。50mほど先、右手。電停からの総距離は約570m(徒歩10分ほど)。
  • メモ: カウンター8席、テーブル12席の合計20席。天ぷらは注文を聞いてから揚げ、テーブル上のまな板と包丁で好きに帰って食べる。天ぷら(白肉、ハチノス、センマイ、ビチ、オオビャク、チギモ、ヤオギモ、上白肉、ガリ、ジャガイモ、サツマイモ、ゴボオ、タマネギ、レンコン、シイタケ、豆、ナス、アスパラ)100、小えび天ぷら200、たこ天100、おでん120、でんがく400、でんがくうどん450、でんがくぞうすい650、でんがくにゅうめん500、うどん400、鍋焼きうどん750、にゅうめん450、テールスープ800、めし大170・小140、瓶ビール(アサヒスーパードライ大)550、焼酎(麦)350・(芋)500、酒320。せんじがら(豚・馬)700。(2011年1月調べ)

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〔お知らせ〕 「古典酒場 Vol.10」(横丁酒場特集号)発売

古典酒場 Vol.10


 4月8日(金)、「古典酒場 Vol.10」(三栄書房、933円+税)が発売されました。

 今号の特集は横丁酒場。

 『吉田類さんに学ぶ、2大横丁の楽しみ方』では、思い出横丁(新宿)とハモニカ横丁(吉祥寺)が取り上げられ、『戦後横丁の場末飯』では裏路地の大家・藤木TDCさんが、そして『立石「呑んべ横丁」酔録記』では「酔わせて下町」のFさんが「呑んべ横丁」全店の紹介に挑んでいます。

 玉袋筋太郎さんの『スナックで呑んでこそ、大人酒。』も面白いですねぇ。「スナックで飲む時こそ、その客の人間力が出る」。いやぁ、私もそう思いますねぇ。「身の丈を知っていれば、スナックにはすんなり入れると思いますね。野球で言えば6番バッターでいい。目立たなくていいんです」。うん、うん、とうなずきながら読みいってしまいました。

 毎回楽しみなホッピー酒場の漫画。今回は横須賀の「中央酒場」です。よく知っている酒場が漫画になると、これまた楽しいもんですね。劇画タッチの最初のページと、最後のページなんて、まるで写真のように「あ、あの店員さんだ」なんて分かりますもんね。

 私も、今回も『居酒屋通ブログ五人衆よもやま話』の座談会に参加させていただいたほか、前回から連載がはじまった『呉酒場さんぽ』では「屋台の楽しみ」について書かせていただきました。屋台専用の駐車場の様子や、屋台を設置する様子なども掲載していますので、ぜひご笑覧いただけるとありがたいです。

 よろしくお願いしま~す。

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独身寮の仲間と新年会 … バー「アンカー(ANCHOR)」(呉)

マティーニ


 今日は、今から25年ほど前に、5年ばかり住んでいた独身寮の仲間たちとの新年会です。

 一次会の会場は呉森沢ホテル内にある和食堂「平安」。ここの「平安彩々」というコースは、20品ほどの料理の中から7品を選ぶ仕組みで、飲み放題もついて、ひとり3,500円とリーズナブルです。

 当時の寮長さんお二人も来てくれたほか、寮母さん(寮長の奥様)や、当時、一緒にスキーやナシ狩りなどに行っていた女性陣も何人か来てくれて、場がパッと華やぎます。

 飲み放題でたっぷりと飲み終えて、二次会として向かったのはH寮長行きつけのカラオケサロン「つばさ」です。呉にはカラオケ喫茶もとても多くて、ここ「つばさ」も昼間はカラオケ喫茶として営業していて、夜になるとスナックのような雰囲気になります。ただし、昼と夜でメニューやお店の人が変わるわけではなくて、夜になるとお客の側に酔っ払いが増えてくるので、スナック風になっちゃうんですねぇ。なので普通のスナックよりも安いし、料理も豊富。なかでもスライスした豚耳が入った焼きそばは、以前、お土産として持ち帰ったほどおすすめの一品です。

 飲んで飲んで、歌って歌って、あっという間に25年前にタイムスリップですねぇ。

 二次会を終えたところで解散し、まだまだ飲み足りない5人で「シロクマ」へと向かいます。ボトルキープしている角瓶を出してもらってソーダ割りで乾杯。マスターがお屠蘇代わりにと出してくれたのは、東広島市黒瀬町の地酒「賀茂金秀(かもきんしゅう)」です。呉のみならず、西条なども含めて、広島県内には酒造会社が多いのです。(詳しくはこちら。) この「賀茂金秀」が、このところのマスターいち押しのお酒なんだそうです。日付けが変わるころまで「シロクマ」で飲んで、お勘定は5人で11,400円(ひとりあたり2,280円)でした。

 焼山(やきやま)方面に帰る3人は、「シロクマ」で呼んでもらったタクシーで帰途につき、ここから歩いても帰れるTさんと私は、さらにもう1軒ということで、日付けは変わっちゃいましたが、本日の四次会はバー「アンカー」です。明日が休み(月曜だけど祝日)だと思うと、すっかりエンドレス状態ですねぇ。オーナー・バーテンダーの森貞さんに、Tさんはソルティドッグを、私はギムレットを作ってもらって乾杯です。

 ギムレットというのは錐(きり)のような工具の名前なんだそうで、まさにグイッと突き刺すようなアルコールの強さがあるお酒なのに、ライムの甘みと酸味、そしてシェイクしてきりっと冷えた冷たさで、スゥ~ッと飲めてしまうんですねぇ。危ない危ない。

 最後にもう1杯、同じジンベースのマティーニをいただいて、今日のお勘定は4,000円(ひとりあたり2,000円)でした。

 いやぁ、まったくよく飲んだ1日でした。

・「アンカー」の店情報前回

《平成23(2011)年1月9日(日)の記録》

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ダシと醤油なのにコク … おでん「あわもり」(新広)

すじ、かわ


 新年初の「あわもり」は、大瓶ビール(500円)をもらって、おでん(1本90円)はスジとカワという、「あわもり」名物の2品からスタートです。

 ここのおでんは、出汁(だし)に醤油だけで味付けしているようなのに、すごくコクがある。スジや天ぷら(平天や棒天)から味が染み出してるんでしょうか。

 3品目は厚揚げ。ボリュームたっぷり、ふわふわの厚揚げも、これまたほとんどの人が注文する人気の品です。その厚揚げを半分くらい食べたところでネギマを注文しておきます。

 14品のおでんの中で、ネギマと玉ネギの2品だけは、注文を受けてから鍋に投入されるので、できあがるのに少し時間がかかるのです。

 そのネギマは、串に筏(いかだ)状に刺した白ネギの間に、マグロの身を何切れか挟んだもの。この少量のマグロの身が、いい味を出してくれるんですねぇ。

 飲み物を泡盛(160円)に切り換えて、ロールキャベツ、ひらてん、最後はキモで締めて、今日はあっさりめに終了。

 1時間ほどの滞在は、おでん7本とビールに泡盛で1,290円でした。

 バスで呉市街に戻って、最近オープンした、うどんの「つるや」で、かけうどん(430円)を食べて〆。細うどんに天かす、刻みネギ、そしてかまぼこが1切れのったシンプルなうどんでした。

110108a 110108b 110108c
あつあげ / ねぎま / ロールキャベツ

110108d 110108e 110108f
ひらてん / きも / 「つるや」のかけうどん

店情報前回

《平成23(2011)年1月8日(土)の記録》

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手作りの餅キンチャク … 屋台「一二三(いちにさん)」(呉)

手作りの餅キンチャク


 呉の人気屋台「一二三」のおでんは、各種それぞれ1個100円なのに、キンチャクだけが150円。

(なんでキンチャクだけ高いのかなぁ?)

 と思っていたら、なんとこのキンチャク、手作りだったんですね。

 油揚げも、お餅も、干瓢(かんぴょう)も、それぞれ市販の品ながら、お揚げに餅を入れて、その入り口を干瓢で縛ってという作業を、1個1個ていねいにやっていくのです。

「売りよるキンチャクはこまい(=小さい)けえの。じゃけえ、自分らで作るんじゃ」

 と、おかあさん。お餅は杵(きね)つきのものを買っているんだそうです。

 以前は、お餅入りのキンチャクと、普通の具材入りのキンチャクの2種類を作っていたそうなのですが、

「どっちがどっちか、自分らでもわからんようになるけえの(笑)」

 という理由で、今はお餅だけになったんだそうです。

 ここ「一二三」は不定休ながら、ほぼ週に金と土の二日間だけの営業。しかも、なにしろ屋台だけに、風が強かったり、雨だったりすると、営業できないこともあります。なので、呉の呑ん兵衛たちからは『幻の屋台』と呼ばれているほど。開いている日には、常連さんが続々とやってくるのです。

 今日は焼酎(いいちこ)のお湯割り(400円)を1杯に、おでんは牛スジ(100円)、ぼう天(100円)、玉子(100円)にキンチャク(150円)をもらって、1時間弱の滞在は、850円でした。どうもごちそうさま!

店情報前回

《平成23(2011)年1月7日(金)の記録》

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今夜はウイスキー三昧 … バー「じょうもん」(呉)

じょうもん


 年末年始の休みが明けて、5日、6日、7日と三日働いたら週末に突入です。7日の今日は、仕事関係の大規模な新年会を終えたあと、職場の同僚のOさんとふたりで「じょうもん」へ。まずはマッカラン12年をロックで二つ出してもらって乾杯です。

 Oさんは、普段はあまり酒のことなど口にしないし、一緒にバーに来たのも今回が初めてなので、

(なれないバーで、注文に困らないようにしてあげなきゃ。)

 と気を使って、マッカランを一緒に注文したのですが、飲みながら話をしてみると、ウイスキーのことをすごくよく知っていてビックリです。もの静かで、知識をひけらかさない人のほうが、本当はよく知ってたりするんですよねぇ。お見それいたしました。

 それじゃ、と2杯目にもらったのはジョニーウォーカーのブルーラベルです。Oさんは同じくロックで。私は今度はストレートでいただきます。

 最初にもらったマッカランがシングルモルト・ウイスキーと呼ばれる、単一蒸留所で作られたウイスキーを瓶詰めしたものだったのに対し、こちらジョニーウォーカーはブレンデッド・ウイスキーという、何種類ものモルトウイスキーやグレーンウイスキーを混ぜ合わせて作られるウイスキーです。

 シングルモルトが楽器のソロだとすると、ブレンデッドはオーケストラにたとえられたりします。どちらもそれぞれに捨てがたい味わいがあるんですよねぇ。

 ウイスキーの年数表示は、そのウイスキーを構成するウイスキーの中で、もっとも熟成年数が低いものを記載しないといけないルールがあります。「12年もの」といった場合は、混ぜ合わせるウイスキーのすべてが、最低でも12年以上熟成されている必要があるのです。

 ジョニーウォーカーの場合は、黒(ブラック)ラベルが12年もの、緑(グリーン)ラベルが15年もの、金(ゴールド)ラベルは年数を表示していないものの18年ものと言われていて、今いただいている青(ブルー)ラベルは何十年も熟成させたウイスキーがいくつも使われているという噂の、ジョニーウォーカー究極のブレンドです。

 わが家(東京の自宅)にもブルーラベルとゴールドラベルが、それぞれ1本ずつあるのですが、ずっと飾っているだけで開けられない。なんらかの大義名分がないと開ける踏ん切りがつかないような、そんなウイスキーなのです。

 ゆったりとふくよかなジョニーウォーカー・ブルーラベルを味わったあと、最後はピート(泥炭)の香りも濃厚なアイラモルト、ラガブーリン16年のロックでビシッと舌を引き締めて終了です。

 2時間ほど楽しんで、お勘定は二人で7,000円(ひとり当たり3,500円)でした。大贅沢をしてもこの値段というのが、さすが「じょうもん」ですね。

 そうそう。飲んでる途中でマスターから、小豆島産オリーブの最後の8粒を(ひとり4粒ずつ)おつまみとしていただいたのですが、その緑色の鮮やかなこと。口に含むと静かな油の感覚が、これまたいいのです。イタリアのオリーブの、いかにも「オリーブです!」と言わんばかりの強い油の感覚とはまったく対照的。もの静かな日本の美人と、ラテン系の陽気なイタリア美人の違いといったところなのかなぁ、なんてことを思いました。

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《平成23(2011)年1月7日(金)の記録》

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ついつい足が向くのが … 屋台「富士さん(ふじさん)」(呉)

富士さん


 年末に飲んだくれてて、散髪にも行けずに新年を迎えたので、1月4日の今日になって、朝から散髪屋に出かけます。新年早々から散髪する人なんて、他にいるのかな、と思いながら店に入ると、先客がひとりいて一安心。この散髪屋は、仕上げの前にローラーのようなもので、頭全体をグリグリとしてくれるのですが、これがすごく気持ちいいんですねぇ。

 木製のタイヤのような部分がグリグリと回転しているのに、けっして髪の毛を巻き込まない。聞けば中国にしか売っていない品物らしく、向こうに行ったときに買って帰ったんだそうです。「壊れると、同じものはもう手に入らないかもしれませんねぇ」とのこと。う~む。そんな貴重な品だったんですね。

 午後3時前には、明日からの仕事のため、呉に向かって出発。飛行機はあまり好きじゃないので、今回もまた新幹線。ひとしきりビールを飲んでから、カミサンに作ってもらった炒飯弁当です。フライパンでしゃかしゃかと簡単そうに作っていたのに、これがおいしいこと。米粒がパラリとほぐれます。崎陽軒の「横濱チャーハン」に負けてないなぁ。

 午後8時40分ごろに呉駅に到着。炒飯弁当を食べてから、3時間近く経ったので、ちょっと小腹がすいている状態です。

(新年早々だけど、屋台はどっか開いてるかな?)

 と思いつつ、蔵本通りを北上します。呉にも美味しいラーメン屋さんは何軒もあるらしいのですが、呑ん兵衛の私は、ついつい屋台に足が向いてしまうんですよねぇ。

 屋台もけっこう開いてますねぇ。おっ。「富士さん」も開いてる。

 「富士さん」の創業は昭和49(1974)年。今年で創業37年となる老舗屋台の1軒です。

 現在の店主のおとうさんが創業者で、一緒にやっていたおかあさんのお名前が富士子さん。お店の名前は、もしかするとおかあさんのお名前から取ったのかもしれませんね(未確認)。

 ここ「富士さん」の現在の店主と、となりの「八起」の店主のお二人が、呉の屋台群の中では若手店主です。お二人とも、それぞれひとりで屋台を切り盛りされています。

 「富士さん」は料理がバラエティ豊かなのが特徴。老舗屋台の定番である、おでん、豚足、ラーメンはもちろんのこと、鳥串(2本250円)、豚キャベツ串(2本250円)、がんす焼(1枚150円)、もやし炒め(400円)、砂ズリ(500円)、砂ズリピーマン(600円)、コーンバター(300円)、豚タン塩(300円)、とんとろ焼(500円)、山いもバター焼(400円)、ギョーザ(6個400円)、ホルモン炒め(700円)、ホルモン焼そば(900円)、焼そば(600円)などのメニューが並びます。

 創業当時からの自慢の品は、なんといってもラーメン(500円)らしいのですが、雑誌などで取り上げられることが多いのはホルモン焼そば(900円)です。これはホルモン炒め(700円)と焼そば(600円)を合体させたような一品で、お客さんからの要望で作り始めたところ、すっかり名物として定着してしまったんだそうです。

中華そば 明日は、いつもより早い時間に仕事開始なので、今日は飲まずにラーメン(500円)のみ。豚骨しょう油に、茹でたモヤシが入っているのが、呉や広島のラーメンの特徴です。

 スルスルっとラーメンを食べ終えて、ごちそうさま。

 さぁ、早く寝て、明日からの仕事、がんばろう!

店情報前回

《平成23(2011)年1月4日(火)の記録》

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串揚げを思いっきり! … 串揚げ「揚派(あげは)」(鷺ノ宮)

揚派


 正月三日の今日は、鷺ノ宮駅の近くにある串揚げ屋、「揚派」にやってきました。

 ここは串カツのチェーン店、「串の坊」で修業した店主が5年ほど前に独立して開業した串揚げの店。店内は10席程度のU字カウンターのみですが、2階にも座敷席もあるとのこと。正月ながら先客は二人。それぞれ男性ひとり客が、U字の左側と、一番下側のところに座っています。バランスを取るように、私はU字の右側に座って、まずは瓶ビール(中瓶各種630円)をエビスでもらって、グイッと1杯、飲み干します。

「串揚げは、おまかせでお願いします」

 串揚げおまかせコース(デザート付)を注文すると、鳥・獣・菜・魚・貝・実・その他四季折々の串揚げ約40種(1本105~420円)を次々に揚げてくれます。もう満腹というところでストップをかけると、そこでデザートが出され、それまで食べた分でお勘定をしてくれる仕組みです。

 大きなお店だと、店のペースでどんどん出されたりするのですが、ここは基本的に店主ひとり(手伝いの人が入っている場合もあり)で切り盛りする小さなお店なので、こちらの飲むペース、食べるペースに合わせて、ちょうどいいタイミングで1個1個の串揚げを出してくれます。

 最初にお通しのほうれん草のおひたしと、口中をリフレッシュさせるための生野菜(キャベツのぶつ切りと野菜スティック)、そして調味料を入れるための三つ切り皿が出されます。この三つ切り皿のそれぞれに、岩塩、ソース、ポンズ醤油を入れてスタンバイしたところへ、1本目の串揚げ、子持ち昆布(210円)が出されます。

 串揚げは、天ぷらと同じで、熱々のうちにシャクっといただくのが一番。2本目は豚肉(105円)、3本目はうずらの卵(105円)と、次々と出してくれる串揚げを、出てくるやいなやという感じで、パクパクと食べ進みます。お腹がすいている最初のうちは、どんどんいけますねぇ。

 アスパラ(263円)は、穂先の部分にだけ衣をつけて揚げたもの。ここでビールも飲み干して、ずらりと並んだ焼酎の中から、店主おすすめの「桜井」(芋焼酎)を湯割りでいただきます。焼酎は(大)が683円、(小)が473円という均一価格。それぞれの焼酎の単価の差は、注ぐ量でコントロールしているんだそうです。通常は(大)のほうで出されます。

 シイタケ(210円)、ホタテ(210円)、もち明太子(158円)で次なる焼酎は「天無双」の湯割りです。

 この辺までくると、ペースもグンと落ちてきて、店主もカウンターの中でお客さんたちと話しをしながら、ときどきフライヤーのほうに戻っては次のネタを揚げてくれます。

 ゆっくりと間合いを取りながら、順に、かまぼこ(105円)、牛ヒレ(210円)、カキ(210円)と出してくれたところで、3杯目の焼酎湯割りは「小牧」です。

 すでに飲んだり話したりするのが主体で、串揚げはときどきつまむ程度。それでも美味しくて、まだまだストップはかけられません。手羽先(210円)に続いて出されたセロリのキス巻(210円)は、コリッとしたセロリの食感なのに、口の中にはキスの旨みも広がると言うおもしろい一品。そしてトマト(158円)に、静岡名物の黒はんぺん(105円)。こんな食材も串揚げにすると美味しいんですねぇ。

「焼酎を、今度はロックで!」

 4杯目となる焼酎をロックでお願いすると、店主が選んでくれたのは「八幡」です。飲み物が冷たくなると、串揚げもまたまた進みます。

 ぎんなん(210円)は、生ハムで巻いて揚げています。エビのシソ巻(210円)に山芋(105円)、そしてニンニク(158円)。ピーマン肉詰(105円)は揚げ物の定番かな。明太子(210円)をいただいたところでストップです。さすがに、もう食べられない。

 デザートのシャーベットをいただいて、お勘定は7,350円! 今日は贅沢をしましたねぇ。

 内訳としてはお通しが315円に、串揚げが21本で3,675円。そして飲み物が瓶ビール1本に焼酎(大)が4杯で3,360円。これらを合計して7,350円です。

「ごちそうさま」と店を出て、鷺ノ宮駅の前でばったりと出会ったのは荒木又右衛門さん。「あぁ、どうも明けましておめでとうございます」と新年のごあいさつを交わし、「これからどちらに?」と聞いてみると、なんとトンカツを食べに行くところとのこと。う~ん。残念ながら、もう食べられない。特に揚げ物は絶対に入らない。次の機会に、ぜひまたよろしくお願いいたします。

 これだけの串揚げを食べると、翌朝になってもまだ満腹感が継続していて、朝ごはんも食べられないほどでした。食べ過ぎだよなぁ、明らかに。反省、反省。

店情報前回

《平成23(2011)年1月3日(月)の記録》

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さぁ、今年も飲むぞ! … 焼鳥割烹「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

「川名」で黒牛


 平成23(2011)年、最初の酒場は阿佐ヶ谷の焼鳥割烹「川名」です。

 開店時刻の午後4時を目指して「川名」に向かうと、奥の小上がりの一卓には、すでににっきーさん祝さんが到着されていて、ほどなくして熊さんと、「竹よし」四女の直ちゃんも到着です。

 1月1日だって、「川名」の営業はいつもと大きな違いはありません。ずらりと並ぶ定番メニューはすべてOKだし、今日のおすすめを示すホワイトボードにも『甘えび420、ぶり刺420、ぶり・さば盛合420、いか刺420、さんま開焼294、絹あつあげ294、揚げ出し豆腐294、牛すじ煮294、鮭かま焼294、ぎんなん294、ブロッコリーサラダ294、野菜炒め294、ササミグリーンペッパー294、豚バラ・トロ串126、鳥・豚にんにく串105、鳥中おち串126、手羽中串210、鳥軟骨つくね串168、皮にんにく串168、菜の花168、キャベツ漬168、大根漬168、ぽてとさらだ231、ゴーヤサラダ294、いかげそ串126』と、ほぼいつもと変わらぬ品数が、いつもと変わらぬ料金でラインナップされています。

 アサヒスーパードライ(大瓶504円)をもらって乾杯すると、お通し(サービス)にはリンゴが出されます。

「うちに毎日来てくれるお客さんの中には、果物もうちでしか食べないなんて人もいらっしゃるからね」という理由で、お通しには季節の果物を出してくれることが多いのです。

「まずはお屠蘇(とそ)がわりにどうぞ。お店からのサービスです」

 と出してくれたのは「紅の里 山形路」(特別純米酒)。ブリ、サバ、甘エビを盛り合わせにしてくれた刺身にぴったりです。カウンターで飲んでいた“しんちゃん”さんも合流し、和歌山の地酒「黒牛」もいただいて、正月は冷酒で盛り上がります。

 今年の1軒目、「川名」のお勘定は5人(しんちゃんさんは別会計)で8,700円(ひとり1,740円)でした。

 2軒目は中野に出て、立ち飲みの「おかやん」です。冬場に美味しいおでん(1個100~300円)の盛り合わせ(3~4個で500円)や、おせち盛り合わせ(700円)、刺身三点盛り(600円)などをいただいて、こちらは6人で6,300円(ひとり1,050円)。

 3軒目は、ツイッターで連絡がついた「こいくちや」のよっちゃんファミリーと、居酒屋「豊海(とみ)」で合流します。ここは麻辣(まーらー)料理が自慢のお店。麻辣というのは、しびれる辛さのこと。“麻”がしびれる感覚をあらわし、“辣”が辛さのことです。ここのタレは、数種類の唐辛子や山椒、八角などを独自の比率でブレンドしたものなんだそうです。

 麻辣カキ焼き(450円)や麻辣牛鍋(450円)などをつまみに、紹興酒やホッピーを楽しんで、最後はよっちゃんおすすめの炒飯(500円)で締めて終了。お勘定はみんなで10,150円でした。ここも安いお店ですねぇ。

 店を出て、西武線沿線方面に帰るにっきーさん、直ちゃん、私の3人は都立家政駅へ。「最後にもう1軒、どっか開いてないかなぁ」と周辺を探すものの、さすがに1月1日だけあって、めぼしいお店は開いていない。仕方なく駅のすぐ横で大きな看板が目立つ「魚民」で軽く飲んで、締めとしたのでした。

 さぁ、平成23(2011)年も飲むぞ!

110101a 110101b 110101c
【川名】お通しのリンゴ / お屠蘇がわりの「山形路」 / 刺身盛り合せ

110101d 110101e 110101f
ササミグリーンペッパー / 鮭かま焼 / 焼きもち

110101g 110101h 110101i
キャベツ漬、大根漬 / キムチ玉子焼 / 豚軟骨もつ煮込み

110101j 110101k 110101l
【おかやん】おでん盛り合せ / 刺身三点盛り / おせち盛り合せ

110101m 110101n 110101o
【豊海】木須肉(ムースーロウ) / 春巻 / 麻辣カキ焼き

110101p 110101q 110101r
麻辣牛鍋 / 炒飯 / 【魚民】漬物盛り合せ

110101s 110101t 110101u
ポテトソーセージ / 角ハイとトリハイ / 鮪タタキ巻

・「川名」の店情報前回

《平成23(2011)年1月1日(土)の記録》

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