ぬる燗で飲む生ビール … 生ビール「ヌビチノ(El Nubichinom)」(横浜・桜木町)
「カジさんのおすすめのビールをください。」
「わかりました。今日は何杯くらい飲んでいきますか?」
「2杯くらいかなあ。」
「じゃあ、1杯目は、燗をつけて飲むのが美味しいビールにしてみましょうか。」
「えっ! ビールでも燗が美味しいのがあるんですか?!」
「あるんですよ。こちらのヴァイツェン・ボックというビールです。」
とメニューに並んでいるビールのひとつを指し示してくれるカジさん(=この店の店主)。なるほど「大山Gビール」製の、濃いヴァイツェン(白ビール)なんだそうで、35度くらいに温めて飲むとバナナ風の香りが高くなって美味しいんだそうです。
ここ「ヌビチノ」は地ビールの生ビールが売りの店で、店主・カジさんがその時期、その時期に選んだビールを、常時6種類くらい置いています。基本的にはどのビールを飲んでも、Sサイズなら500円、Mサイズは800円、そしてLサイズは1,000円。
メニューにも簡単な解説は書いてくれていますが、簡単なのは好みだけをカジさんに伝えて、おすすめを出してもらうこと。「今日は2杯飲みたいです」とか、「4杯ほど行きたいと思います」という予定を伝えておくと、どう飲めば美味しいかという順番も組み立ててくれます。
狭い店内で一緒になったのは「Monday☆スナック」のよっちゃん(男性)と、ヒトミちゃん(女性)。
「ちょっと聞いてくれる」とヒトミちゃん。
「よっちゃんから『来週、オレとやらない?』っていうメールが来たのよ。えっ!?ってビックリしちゃってさあ。私はそんなに軽い女じゃないわ、って確認したら、『来週の月曜日、いつも「Monday☆スナック」をやってくれているひろたろうさんが休みなので、オレと一緒に「Monday☆スナック」をやってもらえないか?』っていうことだったのよ。もう、紛らわしいわよねえ。」
「で、『何を着ていけばいい?』って聞かれたからさ。『トレンチコートがいいよ』って。下着の上にトレンチコートだけってのがいいよね」とよっちゃん。
あはは。「Monday☆スナック」では、店員さん(主としてひろたろうさん)がコスプレしてたりしますもんね。
それにしても、ひろたろうさんもそうだけど、野毛で飲んでる女性陣は、みんなサラッと、あっけらかんと下ネタにも加わってくれます。女性陣のノリが抜群いいので、けっこう際どい内容でも、大笑いネタにしていくのがすばらしい。
池波正太郎さんが、その著書「散歩のとき何か食べたくなって」の中の、「横浜あちらこちら」という章で、
『当時の横浜の人びとには、明治以来の開港地の人情と、さっぱりとした気性が濃厚に残っていて、ことに若い女たちの明るい、奔放とも言える言動と人懐(ひとなつ)っこさが私をおどろかせた。それは東京の女たちにはない、一種、特別なものだったようである。』
ということを書かれているのですが、この中の『当時の』というのは昭和15(1940)年頃のことです。それから70年以上たった現代においても、その気風(きっぷ)はきっちりと受け継がれているように思います。
2杯目としてカジさんがすすめてくれたのは、名古屋は「金しゃちビール」のインペリアル・チョコレート・スタウト。原料の一部にチョコレートモルト(=深焙りした麦芽)を用いた、濃厚でやわらかい香味の黒ビールです。
「できたてのフレッシュなものと、3ヶ月寝かしたものの両方がありますが、どっちにしますか?」とカジさん。
さっきまで燗づけした濃厚なビールをいただいていたので、今度はフレッシュなほうにしてみましょうか。
ちなみに醸造元で出しているのは、フレッシュなインペリアル・チョコレート・スタウトのみ。3ヶ月熟成生ビールは、カジさんが3ヶ月前に仕入れて、それをこの店の冷蔵庫で熟成させたんだそうです。
その3ヶ月熟成のほうも、味見用にちょっと出してくれましたが、確かに味わいがぜんぜん違う。これはおもしろいなぁ。
店内の冷蔵庫がそれほど大きくないこともあって、いつも熟成させておくことはできないそうですが、またいいものがあれば熟成させてみたいとのことでした。
「これもちょっと味見で」と出してくれたのは、「チーズ工房IKEGAWA」の自家製手作りナチュラルチーズ「サワークリーム」です。ここのご主人は脱サラして2007年にジャージー牛1頭で「チーズ工房IKEGAWA」をオープンし、現在に至っているんだそうです。
やぁ、ビールもチーズも美味しかった。そして何より楽しかった。お勘定はS2杯で1,000円でした。どうもごちそうさま。
燗づけ中 / インペリアル・チョコレート・スタウト / サワークリーム
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