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丸ごとメバルの南蛮漬 … お食事処「一つ家(ひとつや)」(呉)

丸ごとメバルの南蛮漬


 日曜日。今日も今日とて朝から寒い。最低気温はなんと氷点下2度です。今日から呉のカキ祭りが始まるので、ぜひ行ってみようと思っていたのですが、こう寒いと野外のイベントはちょっとねぇ。

 ちなみに呉のカキ祭りは、町ごと、漁港(漁協)ごとに行っているようで、1月末から2月末までのほぼ1ヶ月間の間(主として日曜日)に、市内のあちこちでカキ祭りが開催されるのです。呉だけではなくて、広島でも同じようなカキ祭りが行われているので、2月はカキ好きにはたまらない季節のようです。(私自身は、去年の4月に呉に転勤してきたので、カキ祭りのシーズンを過ごすのは、今が初めてです。)

 閑話休題。そんなわけで、寒さの今日はカキ祭りは断念。とりためたTV番組を見たり、本を読んだりして過ごしていると、なんと広島市内には雪が積もっているというニュース。窓を開けて外を確認してみると、呉には雪は降っていないようです。

 1日中、一歩も外に出ないというのもなんなので、夕食は外食することにします。先日、クワイの煮物がおいしかった「一つ家」にしてみましょうかね。日替わりで手作りの惣菜が出されるお店のようなので、どんな料理が食べられるのか楽しみです。

 店に着いたのは午後7時過ぎ。先客はご夫妻らしき男女二人連れで、左手にある直線カウンターの中央部に座っています。そこから1席空けて手前の席に座り、燗酒を注文しておいて、大皿に並ぶ今日の料理を観察します。

「フキがうまいよ!」

 ご夫妻のご主人にそうすすめられて、さっそくそのフキの煮物をいただきます。しゃっきりと硬めに仕上げたフキは、フッとほろ苦味が効いていて、いかにも初春らしい味わい。「千福」の燗酒によく合います。

 そこへ男性二人連れがやってきて、カウンターの最奥部へ。次にやってきた男性ひとり客は、先客のご夫妻と知り合いらしく、私とご夫妻の間に空いていた1席に腰を下ろします。さらに若い男女が入ってきて、カウンターの一番手前に座り、これでカウンターは満席です。私も、もうちょっと遅くに家を出ていたら、もう入れないところでしたねぇ。

 奥の男性二人はカンパチ刺を、私の右どなりに座った男性はタコの煮物を注文します。左どなりの男女ふたり連れは「お酒を燗で」とだけ注文すると、すぐにフキとタコが出されました。このお二人、どうやら相当の常連客のようで、いつも料理はおまかせで食べている様子です。

 先客のご夫妻が、私が入ってくるよりも前に注文していたらしい〔八宝菜もどき〕(=野菜たっぷり炒め)ができあがり、私も含めて他のお客さんたちにも、「隠れメニューよ」といいながら、女将さんがちょっとずつ分けてくれます。

 私が入ったときに、カウンターの中で野菜を切っていたのは、この〔八宝菜もどき〕用のものだったんですね。そこへ続々とお客が入ってきたので、野菜の量を増やして、みんなにもちょっとずつ分けられるように作ってくださったようです。

「“いいかげんな八宝菜”という名前で、メニューにも載せればいいのに」

 と先客の奥さん。この野菜たっぷりの八宝菜は、どうやらこの店の定番の隠れメニューのようです。

 この店の黒板メニューには、“てまのかかる天ぷら”とか“具の少ない茶ワンむし”といった、面白い名前の料理が並んでいるということは前回も書きました。その昔、この店の茶碗蒸しを食べたあるお客さんから、「茶碗蒸しなのにギンナンが入っていない」という指摘があったことから、メニューの表記を“具の少ない茶ワンむし”としたのだそうです。

 燗酒をおかわりして、大皿料理からはメバルの南蛮漬けを注文。大きなお皿に、これまた大きなメバルが数尾、ど~ん、ど~んと置かれているので、「まさかこれ1尾が1人前ということはないよなぁ。きっと切り分けられて出されるに違いない」と思いながら注文したのですが、これがなんと、この大きな1尾がドカンと丸ごと1人前。これはすごいっ。

「メバルはこのサイズじゃないと南蛮漬けにできないのよ。これより小さいと身離れが悪くてねぇ」と女将さん。メバルはもともと骨太の魚なので、小さいと食べるところがほとんどなくなっちゃうんでしょうね。ん~、南蛮漬けにしても、メバルはうまいだなぁ!

 左どなりの男女は、“てまのかかる天ぷら”を注文。最初の何品かは女将が出してくれて、メインディッシュは自分たちで選ぶようです。この天ぷらが、白子あり、小魚あり、野菜ありと、ひと品ひと品が違う食材で、しかも下ごしらえから目の前でやってくれる。なるほどこれは手間がかかってますねぇ。男性は継続的に燗酒を飲んでいますが、女性の前にはご飯とお茶が出されます。この男女もご夫婦のようで、ここで食事をすませて帰るんですね。

 メバルの南蛮漬けをきっちりと食べ終わったところでお勘定をお願いすると、「ご飯はいいの?」と女将さん。前に来たときに単身赴任だということを話したので、夕食の心配をしてくれたようです。

「大丈夫です。おいしいメバルをたっぷりといただきましたから。ありがとうございます」

 ゆっくりと1時間半ほどの滞在。お勘定は3千円でした。どうもごちそうさま。

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「一つ家」 / フキ煮物 / 八宝菜もどき

店情報前回

《平成23(2011)年1月30日(日)の記録》

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コメント

広島にも、雪が積もるのですね。メバルに是非食べてみて!と写真が言っているようです。

投稿: りゅうちゃん | 2011.05.13 21:15

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受信: 2011.08.27 15:24

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