煮魚が食べたくなって … 食事処「田形(たがた)」(呉)
風邪(かぜ)っぽかった体調も、二日ほど節制したらだいぶ良くなり、昨日は仕事関係の宴席のあとで、バー「アンカー(ANCHOR)」に行ってジントニックとギムレットを飲んだら、もうすっかり快復したような感じ。最後はやっぱり酒が効くんですね!(?)
今日は今日とて、無性に煮魚が食べたくなって呉の街中へ。煮魚がおいしいところって、どこだろう?
東京だとこういうときは「三州屋」(銀座)に行ったり、「竹よし」(都立家政)に行ったりするわけですが、呉だと意外に思い浮かばないなぁ。刺身がおいしい店はいっぱいあるんだけど。
「森田食堂」や「くわだ食堂」などの陳列棚にも煮魚は並んでるんだけど、今食べたいのは、その場でさっと煮付けてくれた、熱々で、ふんわりととろけるような煮魚なんですよねぇ。
あまりここといった店を思い当たらないので、以前から気になっていた社宅のすぐ近くにある、おでん屋兼お食事の店、「田形」に行ってみることにしました。
以前、王子にあるおでん屋、「平澤かまぼこ」で、爆発的にうまい牛スジ煮込みに驚いていたら、店長の平澤慶彦(ひらさわ・よしひこ)さんが、「おでん屋なので、煮るのはプロですから」と話してくれたことを思い出したのです。
入口引き戸を開けて店内に入ると、そこはカウンター5~6席程度の小さな空間。「いらっしゃいませ」と迎えてくれたのは、いかにも人が好さそうな、まさに近所のおばちゃんという感じの女将。この女将がひとりで切り盛りしているようです。
すっと出されるお茶と割り箸。看板にも『お食事処』と書かれているくらいなので、食事だけのお客さんも多いのかもしれませんね。店内にはビールやお酒の値段くらいは書かれていますが、料理などのメニューは特にありません。
「瓶ビールをください」と注文すると、アサヒスーパードライの中瓶(500円)と、お通しの切干大根煮が出されます。切干大根というと、通常は細切りにした大根を乾燥させた、細長い形態のものを思い浮かべますが、ここの切干大根は輪切りにした大根を乾燥させた、自家製のものなんだそうです。
女将さんはとても話好きな様子で、この切干大根の作り方などを楽しそうに話してくれます。こうなるとこっちは楽ですね。フムフムとうなずきながら、ときどきビールをゴクリと飲んでおけばいい。
呑兵衛には、自らが話題の中心になって、会話をぐいぐいリードしていくような『おひさまタイプ』の人と、自らはあまりしゃべらず、店内の話題に静かについていくような『お月さまタイプ』あるいは『お星さまタイプ』の人、そしてどんな話題にもわれ関せずでテレビの画面に集中していたり、文庫本に集中しながら飲んでるような『ブラックホールタイプ』の人がいるように思います。
中でも多いのは『お月さまタイプ』の呑兵衛ではないでしょうか。私もおそらくそのタイプ。なので、女将さんなり、『おひさまタイプ』のお客さんなりがいろいろと話を進めてくれたほうが居心地よく感じることが多いのです。
「煮魚が食べたいんですけど、ありますか?」
話しやすそうな女将さんなので、こちらの希望をストレートに伝えてみます。
「いいカレイがあったから2匹買ってきてるんだけど、これを煮魚にしましょうか」
「いいですねぇ。ぜひお願いします」
ということで談笑しながら待つことしばし。大きなカレイが煮あがってきました。カレイと一緒に煮付けているのは豆腐と長ネギ。
ど~れどれとカレイの真ん中あたりの身に箸を伸ばすと、期待どおりのふんわり感で、口に入れると熱々の身がとろけます。
ん~~~~っ。これよ、これ! こういう煮魚が食べたかったんだ!
さっそくこの魚に合わせて燗酒を注文すると、「1合ですか? 2合ですか?」と女将さん。カレイの大きさを考えて2合にすると、銘柄は呉の「千福」でした。地の魚には、地の酒がよく合いますよね。煮汁をたっぷりと絡めながらいただきます。
お酒2合で、カレイ煮魚をすっかりいただいて、〆にご飯の小をお願いすると、それと一緒に漬物(白菜)と、みそ汁が出されます。
このご飯のために取っておいたのが、カレイと一緒に煮込まれた豆腐。この豆腐をひと口分ずつ箸で割っては、これにも煮汁をよく絡めてご飯の上へ。それをご飯と一緒にガッとかきこみます。あぁ。どうしてこんなにうまいんだろう。
「ごはんもそうだけど、漬物とみそ汁もうまいですねぇ」と言いながら食べていたら、「これも自家製だからお土産にどうぞ」と立派な梅干を小さなパックに詰めてくれました。
「外食するときは、またうちにも来てくださいね」と女将さん。今日のお勘定は2,700円でした。どうもごちそうさま。
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