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「やき屋」にふられて … うなぎ「川勢(かわせい)」(荻窪)

「川勢」


 東京の自宅に帰ってくると、行きたい酒場が何軒かあります。イカ料理全品170円の立ち飲み屋、「やき屋」もそんな酒場の1軒。午後4時半頃にわが家を出発し、バスで10分ほどの荻窪駅へと向かいます。

 あれっ!? やってないのかな、「やき屋」。

 営業中には路地の入口のところに出されている、「やき屋」の赤い看板が、今日は出ていません。路地に入って「やき屋」の前まで行ってみると、『工事のため、2月1日から15日まで休ませていただきます』という貼り紙。う~む残念。

〔その後の顛末: 結局「やき屋」はこのまま『立ち退きによる閉店』となってしまいました。かわいがってくれた常連さんたちのためにも、できるだけ近い場所で営業を再開すべく、現在、物件を探しているところだそうです。1日も早い再開を心から願っています。(2011年6月10日記)〕

 それじゃ、イカに代わって、ウナギといってみますか。

 「やき屋」からひと筋、荻窪駅側の路地の中にあるのが、うなぎ串焼きの「川勢」です。いつも満席か、やっと席が空いていると思ったら、すでに多くの品物は売り切れのことが多い「川勢」ですが、祝日の、この時間帯なら大丈夫なんじゃないかな!?

 うなぎ串焼きは、東京では割りとポピュラーなんですが、横浜は屏風浦(びょうぶがうら)の「うなぎや」くらいしかしらないし、呉ではまだ見たことがありません。広島にはあるのかなぁ?>だれとはなく

 その「川勢」は、5時に開店した直後なのに、すでに3人ほどの先客あり。さすがです。

 私もカウンターの一角に座り、燗酒(両関、320円)をもらって『一揃(ひとそろい)』を注文すると、すぐにお通し(30円)のキャベツとシソの実の浅漬けが出されます。この浅漬けを、うなぎ串焼き用の新品の串2本を箸代わりにしていただきながら、焼き上がりを待つのです。

 うなぎ串焼きは、最初に『一揃』の6本を食べてから、単品を追加注文するというのがこの店のルールです。

 まず出てきたのは、ばら焼(190円)、ひれ焼(190円)、きも焼(190円)の3本です。

 ばら焼は、うなぎの腹骨まわりの身を集めて焼いたもので、脂がのっていて旨みがあります。牛や豚の肋骨まわりの肉のこともバラ肉と言いますもんね。それと同じような語源なんでしょうか。

 ひれ焼は、うなぎの背びれ、腹びれなどをニラと一緒に巻きつけたもの。「ひれって、食べられるの?」と思う人もいるでしょうが(私も最初はそう思った)、思わずおかわりしたくなるほど美味しい串なのです。

 きも焼は、うなぎの内臓一式を串にさして焼いたもの。うなぎ専門店ではないところで、「うなぎ串」として出されるのがこれですね。内臓一式と言いつつも、肝臓(れば)は別です。肝臓は肝臓だけ10匹分くらいを1串に刺して、れば焼として出されます。

 続いて出てきたのは串巻(190円)と八幡巻(260円)。

 串巻は、縦に細長く割いたうなぎの身を、くねらせるように串に刺して焼いたもの。店によってはクリカラ焼とも呼ばれます。タレ焼きで出してくれましたが、塩焼きもまたおいしいし、背中の身と、腹の身でも味わいが異なるので、色んな楽しみ方ができます。

 八幡巻は、串巻と同じように縦に細長く割いたうなぎの身を、ゴボウの周りに巻きつけて焼き上げます。うなぎとゴボウとがいい相性なんですよねぇ。

 本当はこれに、れば焼(190円)が加わった6本が『一揃』で1,210円(各串の合計金額と同じ)ですが、今日はれば焼がないということで、かわりに短冊(たんざく、260円)が出されます。短冊はひと口大に切り分けたうなぎの身を、1串に3個ほど刺して焼いたもの。ミニ蒲焼といった感じの仕上がりになります。

 短冊が出たところで燗酒(320円)をおかわりすると、ポットで保温している燗酒が、受け皿付きのコップに注がれます。

 『一揃』もすべて出きったので、追加として、えり焼(190円)を焼いてもらって、大好物のひれ焼(190円)もおかわりです。えり焼というのは、うなぎの頭の部分の身を集めて串に刺し、焼いたもの。もつ焼きのカシラ(豚の頭まわりの肉)がおいしいのと同じように、うなぎのカシラもまたうまいのです。

 店はすでに満席。今日は大将(鈴木康治さん)の他に、若い頃の内藤洋子さんに似たお嬢さんも手伝っています。

 ここ「川勢」では、その日仕入れたうなぎ(30~40匹ほど)は、その日のうちに売り切って、売り切れたら閉店です。したがって、公式営業時間は午後5時から10時までとなっているのですが、ほとんどの場合は9時頃には閉店してしまっています。

 売り切れていなくても、遅くなればなるほどなくなっている品は多くなりますので、なるべく早く出かけることをおすすめします。

 ちなみにうなぎ串焼き用のうなぎは、すべて国産のものだそうです。

 また、ランチ営業もしていて、夜は1,200円のうな丼が、昼は900円で食べられるそうですよ!

 1時間ほどの滞在。燗酒2杯と、うなぎ串焼き8本で、お勘定は2,330円でした。どうもごちそうさま。

110211a 110211b 110211c
「川勢」 / お通しと燗酒 / ばら焼、ひれ焼、きも焼

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串巻(手前)と八幡巻 / 短冊焼 / えり焼(手前)とひれ焼

店情報前回

《平成23(2011)年2月11日(金)の記録》

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コメント

つい先日、広島市中区小町の居酒屋「あいさん家」(アイサンチ)で、鰻の肝のたれ焼き(串1本350円)を食べました。よく冷えた華鳩や出羽桜など呑みながら。おいしかったです。ただ、この日のおすすめの逸品としてあったものなので、レギュラーメニューではなく、この店は鰻の専門店でもありません。広島の鰻屋といえば「柳橋こだに」なのですが、敷居が高くて入ったことないし、身以外の部分の串焼きがあるかどうかもわからない。どこかに秘境的なお店があるんだろうか。調べてみますね。

投稿: おおかわ | 2011.06.11 12:18

おおかわさんこんにちは。
呉市安浦町・清酒「白鴻」の蔵本を見下ろす山間に、鰻養殖場があります。
広町の黒瀬川河口で捕獲した稚魚を、山水で育てる「小谷うなぎ養殖場」(広島の「こだに」とは関係ないようです)。
必ず前日までの予約が必要な、敷地内の「うな重一番」で食べることができます。
純国(呉)産で安くてうんまい。ただし仕舞いが早く、酒とは無縁。

ここで蒲焼を予約しテイクアウト、近くの手造りハム・ソーセージ店「ミュラー・オオタニ」で生ハムをスライスしてもらい、
盛川酒造で白鴻を買い求め、田園風景を眺めながら、ホタル舞う野呂川のほとりで一献。
残念ながら店ではありませんが、
鰻をからめた、JR呉線安登・安浦間約5キロで展開される、妄想プログラムであります。

投稿: 遊星ギアのカズ | 2011.06.12 11:07

カズさん、ご無沙汰しています。
ミュラー・オオタニの生ハム。先日お教えいただいたものですね。
鰻に極上生ハム、ほどよく冷やした白鴻。うわぁ、いいなぁ。実現させたいものですねぇ♪ちなみに私は蒲焼も好きだけど白焼きのほうがもっともっと好きなんですが。へへへ。
投稿した翌日からちょい入院しまして、本日退院、カズさんのコメントを拝見した次第です。
また是非一献。よろしくお願いいたします。
8月から平清盛のロケが始まるそうで、呉もまた活気づきそうですね!

投稿: おおかわ | 2011.06.21 11:20

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 荻窪に来るたびに、必ずすることがある。  それは、うなぎ串焼きの「川勢(かわせ)」をのぞいてみること。  もともと人気があった「川勢」ですが、何年か前から、ますます人気が沸騰してきて、開店から2時間ほどは満席が続くし、やっと空(す)いてきたと思ったら、「ごめんなさい、今日は売り切れです」なんてことで、とにかく入れないのです。  だから、荻窪に来るたびに、「川勢」をのぞいてみては、「あぁ、今日もダ... [続きを読む]

受信: 2014.05.03 10:41

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