タラ湯豆腐でコップ酒 … 大衆食堂「富士食堂(ふじしょくどう)」(荻窪)
「川勢」を出て、本日の2軒目は、その「川勢」の筋向かいにある大衆食堂「富士食堂」です。以前から気になっていたお店ではありますが、入るのは初めてですねぇ。
店は「きっと昔は2軒だったんだろうなぁ」という感じの左右の部分に分かれていて、その両方に入口があります。店内はひとつの大きなスペースになっているので、どちらの入口から入っても大丈夫です。
2軒分が1つになった店内は、ざっくりと言えば横に長い長方形で、一番右手が壁際に作り付けのカウンター8席。中央部に4人掛けテーブルが4卓、左手壁際に2人掛けテーブルが3卓と、奥の突き当りの壁際に2人分程度の小さなカウンター席があって、全体では32席程度のキャパシティです。
大衆食堂らしく、ひとり客がほとんどで、2人連れが何組かいる程度。私も空いているテーブル席のひとつに座り、店内にずらりと貼り出された短冊メニューを確認するものの、飲み物のメニューは見当たりません。まわりのテーブルを見渡してみると、瓶ビールやチューハイなどを飲んでる人も多いようなので、飲み物(酒類)は置いているようです。
「お酒のあったかいのはありますか?」と聞いてみると、
「冷酒か、ぬる燗になります」と店のおにいさん。どうやらこの私服にエプロン姿のヒゲのおにいさんが、この店の店主の様子。ホールは店主ひとりで担当しており、奥の厨房に白衣に白帽子の、調理担当のおじさんが3人。全体として4人で切り盛りしているようです。他の人たちとのやり取りを聞いていても、ホールのおにいさんはぶっきらぼうな対応ながら、要所要所はきちんと抑えている様子。
「じゃ、ぬる燗で」と注文すると、すぐに奥の厨房のヤカンから、お酒がグラスに注がれ、お通しの切干大根煮と一緒に出てきます。お酒の銘柄は「金宝」。ぬる燗といいつつも、燗をつけてしばらく時間がたってしまったのか、室温に近い状態です。
つまみに「お湯豆腐」(350円)を注文すると、「タラ湯豆腐(500円)もありますよ」と店主。『無愛想ながら要所を押さえているなぁ』と感心するのは、こういう点なんですよね。タラが1片入ると、湯豆腐がグンとうまくなりますもんね。「ぜひそっちをお願いします」と、店主おすすめのタラ湯豆腐を注文します。
ややあって、出てきたタラ湯豆腐は、ひとり用の金属鍋に、タラと豆腐はもちろんのこと、白菜、ネギ、キノコ類、ホウレン草、蒲鉾(かまぼこ)と具沢山。これを小鉢の刻みネギと削り節がたっぷりとポン酢醤油につけていただきます。これが500円というのは安いぞっ!
大衆食堂には大きく分けて2種類があって、注文してから作ってくれる定食がベースの食堂と、陳列棚に並ぶおかずから好きなものを取ってきて、それとは別にご飯とみそ汁などを注文する“一膳飯屋(いちぜんめしや)”タイプの食堂です。東京など東日本では定食屋タイプが多く、広島など西日本では一膳飯屋タイプが多いように思います。ここ「富士食堂」も定食屋タイプ。
客の多くは食事だけの客か、もしくは定食+ビールくらいのひとり客。新たに入ってくるお客さんは、一様にテレビ下に貼り出された10品ほどの短冊をながめては、そこに書き出された定食を注文しています。肉団子とニラ玉530円、ゴボー肉野菜煮550円、切干大根肉野菜煮550円、サバ唐揚580円、レバー生姜焼580円、白身フライ580円、マグロぶつ切り650円、イナダの西京焼きハムエッグ付き650円、マグロとイナダの合わせ刺身700円、そしてサバ味噌煮ハムエッグ付き650円の10品。中でも一番最後のサバ味噌煮ハムエッグ付きが大人気の様子。定食には冷奴とご飯、味噌汁、お新香(たくあん)が付いています。
ゆっくりと1時間半ほどを過ごし、お勘定は900円。日本酒とお通しで400円だったんですね。
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コメント
富士食堂懐かしいですね。40数年前学生時代に本天沼に下宿をしておりまして、よく利用した食堂です。当時は単品に本日の定食が2種類あって、たいていは両定食に大盛ご飯を頂いておりました。まだ頑張っているのですね。小生は広島在なので、とても親しみをもって拝見させていただいております。ただ下戸に近いので酒系のお店には行くことはありませんが、「いせや」や「峰」はよく行っております。特に「峰」は大好きですね。
これからも楽しみにしております。
投稿: 野村 直樹 | 2011.06.12 21:32