お元気そうでひと安心 … 酒房「北国(きたぐに)」(中野)
JR中央線・中野駅の南口側の小さな路地の中にある酒房「北国」にやってきました。前回、この店に来たのは平成21(2009)年2月13日(金)のことなので、実に2年ぶりです。
店に近づくと、店内から女将さんの元気そうな笑い声が聞こえてきました。あぁ、よかった。お元気なんだ。
縄のれんをくぐり、ガラリと引き戸を開けて「こんばんは」と店内へ。
「あら、いらっしゃい。久しぶり」
と笑顔を見せてくれる女将。奥の厨房では、姪御さんのユミさんも手伝っているようです。カウンターに並ぶ常連さんたちの姿もちっとも変わっていない。これが老舗の安心感ですねぇ。
唯一変わっているのは、入口横のテーブル席を若いお客さんたちが囲んでいること。あとでわかったことですが、このお客さんたちは、常連さんの息子さんとその友人。何も変わらないようでいて、お客さんたちは世代交代したりしてるようです。
「なんにする? ビール?」
と聞いてくれるのも以前のまま。
「いや、お酒をください。あったかいの」
「はいよ」と返事して、八戸(はちのへ)の地酒「八鶴(はちつる)」を燗づけて出してくれます。奥の厨房から、ユミさんが出してくれたお通しは身欠きニシンのマリネです。
ここ「北国」の創業は昭和32(1957)年。今年で創業54年となります。呉のスタンド「シロクマ」と同じなんですね。それにしても片や「北国」で、こなた「シロクマ」ですか。どちらも寒そうな……(笑)。
冬場だけの名物、おでんももらいましょう。まずは玉子とスジ、そしてツミレをもらうと、「はい、これはサービスね」と昆布も1つ、入れてくれます。
ここの玉子は、殻付きのまま煮込まれているのが大きな特徴。ただし、生卵の状態からおでん鍋に入れて煮込むわけではありません。あらかじめゆで卵を作っておいて、それをおでん鍋に入れるときに、コツンと鍋のふちにゆで卵をぶつけて、殻にヒビを入れてからおでん鍋に投入します。このヒビの部分からおでんの汁(つゆ)が染み込むのですが、殻があるので煮くずれません。
玉子をたのむと、殻を入れるための小皿も一緒に出してくれるので、アチチ、アチチと殻をむいていただきます。
関東のスジは、西日本方面で人気のある牛スジ肉やアキレスではなくて、魚のスジ。紀文サイトによると、『白身魚のすり身に軟骨を加えて棒状に形づくり、ゆでたもの』だそうで、これを厚さ1.5センチほどにスライスしたものを、おでん鍋で煮込みます。
関東には、この魚のスジとか、魚のすり身に山芋を加えてふんわりと形作ったハンペンとか、小麦粉を大きな竹輪状にしたチクワブといった、白いネタが多いんですよね。
そうだ、せっかくなのでチクワブももらっときましょう。あとガンモドキもお願いします。チクワブも、呉のおでん屋には置いてないですもんねぇ。
今日のおでん以外のメニューは、いかまぐろ(500円)、まぐろてり(400円)、えぼ鯛(430円)、氷頭なます(400円)、いか納豆(380円)、ほや塩辛(450円)、うどサラダ(400円)、みりん干(300円)、たたみ(400円)、まつも(400円)、白才漬(300円)といったところ。女将もユミさんも青森出身とあって、東北系のつまみが多いんですよね。
ゆっくりと1時間半ほどの滞在。お勘定は1,400円でした。どうもごちそうさま。
「北国」 / ニシンと八鶴(燗) / がんもどき、昆布、ちくわぶ
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