ホルモン焼きそばで〆 … 屋台「富士さん(ふじさん)」(呉)
西武線沿線の呑み仲間・Hさんが出張で呉にやってきて、夕方、待ち合わせをしたのは小さな老舗ビアホール「オオムラ」です。店に到着すると、すでにHさんは飲み始めていて、私もさっそく生ビール(サッポロ、500円)をもらって乾杯します。
Hさん、実は1か月半ほど前にも呉に出張だったのですが、そのときは、二日間で4人の来客という異例の事態。二夜連続のダブルヘッダー飲み会の最後(第4試合目?!)がHさんとの飲み会だったので、あまりゆっくりとはできなかったのでした。
でも今日は大丈夫。「オオムラ」でのゼロ次会付きで、呉の呑兵衛フルコースを、じっくりと楽しんでいただく予定です。
先は長いので、「オオムラ」は生ビール1杯くらいでサクッと切り上げたいところですが、そのビールのあまりの飲みやすさに『ぐっと1杯! 思わず2杯!』(←これが「オオムラ」のキャッチフレーズです)。
「オオムラ」を出て、呉の呑兵衛フルコースの1軒目は“鳥屋(とりや)”です。
“鳥屋”というのは、焼き鳥屋と、生簀(いけす)のある割烹を融合して、大衆向きにしたような、呉独特の酒場文化。もともとの始まりは「鳥好」ですが、それが「三鳥」、「鳥八」といったように広まっていったのです。店名に“鳥”の字が付いている店が多いので、こういった形態のお店のことを総称して“鳥屋”と呼ぶようになったのでした。
数多い“鳥屋”のなか、我われが向かったのは、つい先日も行ったばかりの「鳥八茶屋」です。この時期の桜鯛(さくらだい)があまりに美味しかったので、ぜひHさんにも食べて帰ってもらおうと思っているのです。
なので、さっそく真鯛の刺身(1,050円)と、鯛の頭酒蒸し(740円)を、それぞれ1人前ずつ注文し、それを待つ間に、“鳥屋”ならではの『とりあえず』の一品、みそ煮(160円)をもらって、「華鳩」のにごり酒(1合420円)で乾杯です。
真鯛の刺身が出たところで、お酒を「誠鏡」(純米、1合半630円)に切り替えて、刺身はポン酢醤油でさっぱりといただきます。鯛の頭の酒蒸しには「華鳩」の燗酒(1合630円)です。
2時間弱の滞在は、ふたりで3,880円(ひとり1,940円)でした。
呉の呑兵衛フルコース、2軒目は“スタンド”です。“スタンド”というのは、スタンドバーの略称。スタンドバーというのは、立ち飲みということではなくて、カウンター席しかない簡易的なバーのことを指します。店のおねえさんはカウンターの内側にいて、ビールを注いだりはしてくれますが、お客さんのとなりに座って接客をするようなことはありません。呉には呉市スタンドバー組合という組織もあるほど、一般的な酒場の形態なのです。
今日は、呉最古のスタンドバー、「どん底」に入り、樹齢400年の欅(けやき)一枚板の重厚なカウンターの前に陣取ります。
ここ「どん底」も、昭和28(1953)年に開店した当初は『カウンターだけの簡易的なバー』だったそうなのですが、カウンターだけでは収容しきれないほどの人気で、片側を増やしてボックス席にし、それでも足りずに反対側も増やしてボックス席にし、と大きくなっていき、昭和45(1970)年に現在の木造3階建ての店舗に生まれ変わったのでした。ものすごく贅沢な空間の使い方に、創業店主(現在の女将のご主人)の心意気を感じます。
「竹鶴12年」をロックで2杯ずつと、自家製のラッキョなどの簡単な肴をいただいて、2時間半ほどの滞在は、ふたりで8,000円(ひとり4,000円)でした。
呉の呑兵衛フルコースの終着駅となる3軒目は“屋台”です。“鳥屋”でお腹を満たして、“スタンド”で大いに語り、歌い、そして最後に“屋台”で〆るというのが、呉での定番の飲み方なのです。だから“鳥屋”は夜10時くらいに閉店し、“スタンド”は真夜中に閉店し、最後の砦(とりで)である“屋台”が3時、4時まで開いているのでした。
今夜の最後の砦は「富士さん」です。「富士さん」は昭和49(1974)年創業。現在は二代目がひとりで切り盛りする、中華そばとおでんと鉄板焼きの屋台です。
「黒霧島」の湯割り(400円)を2杯もらって乾杯し、つまみと〆の一品を兼ねて、ホルモン焼きそば(900円)を作ってもらいます。
ホルモン焼きそばは、鉄板の上でホルモン(牛腸)を野菜を炒め、そこに茹で上げた中華麺を投入して仕上げます。この中華麺が、焼きそば用のものではなくて、中華そばを作るのと同じ、ラーメンの麺であるところがおもしろい。ホルモンのプリプリクニュクニュした弾力感と、ラーメン麺のツルツルシコシコとアルデンテな感じが、なんだかよく合うのです。
店主の一押しは、創業当時からきっちりと受け継がれている中華そば(500円)ながら、他の屋台では食べることのできないホルモン焼きそばは、放っておいてもすごい人気。ガイドブックなどで「富士さん」が紹介される場合には、必ずと言っていいほど、このホルモン焼きそばが登場するのでした。
日付けが変わったところでお勘定。ふたりで1,700円(ひとり850円)でした。
午後6時前に「オオムラ」に集合して、午前0時過ぎに解散するまで、たっぷりと、ゆっくりと6時間以上、都合4軒の『呉の呑兵衛フルコース』でした。
遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました。呉出張時には、また声をかけてくださいね!>Hさん
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コメント
浜田さん、呉では大変お世話になりまして有難う御座いました。「呉の呑兵衛フルコース」だったのですね。また宜しくお願いします。
投稿: 細井 | 2011.08.13 14:21