帰京時に必ず食べたい … やきとん「すっぴん酒場(-さかば)」(野方)
東京に帰ってきたら必ず食べておきたいのが、もつ焼き/やきとんです。
もつ焼きも、やきとんも、呼び方が違うだけでものは同じ。豚の畜産副生物と呼ばれる、食肉卸売業でセリによって取り引きされる精肉ではない部位(主として内臓や、頭、手足の先、尻尾など)を串に刺して焼いたものです。牛や鶏の畜産副生物を出す店もあります。
昔は、焼き鳥屋のメニューの一部として、焼き鳥と言いながらも、その実態は豚の内臓、といった、鶏肉の代用品のような使われ方をしていた時代もあったらしいのですが、今では焼き鳥は焼き鳥、もつ焼き/やきとんはもつ焼き/やきとんとして、明らかに違う食べ物として、老若男女を問わずファンを増やしているようです。
もつ焼き/やきとんの店がない地域に住んでいる人には信じられないかもしれませんが、豚の畜産副生物で作るもつ焼き/やきとんは、しばらく食べないと禁断症状が出てしまうほど美味しい食べ物なんですよ!
東京をはじめとする首都圏の特性として、まず豚肉の消費量が多いことがあげられます。関東方面では、肉と言えばまず豚肉です。豚肉が多く流通するということは、それに伴って豚の畜産副生物の流通も多くなります。鮮度のいい畜産副生物がどんどん手に入れられるんですね。
そして、もつ焼き/やきとんを専門とする酒場が多いことがもう一つの特性です。これによって店同士の切磋琢磨も激しくなり、当然のように客の味覚も向上していきます。
お客の側は、まずい方から、うまい方へは、なんの抵抗もなくどんどん上がっていくのですが、いったんうまいもつ焼き/やきとんを経験すると、もう下の方へはさがれない。ものすごくまずく感じてしまうのです。だから上へ上へとあがっていくしかない。
こうして、首都圏のもつ焼き/やきとん専門店は、ものすごく高いレベルに達している店が多くなってきたようです。
月曜日の今日は、野方にある立ち飲みのやきとん屋、「すっぴん酒場」からスタートです。
「すっぴん酒場」の店主・徳宿克治(とくしゅく・かつじ)さんは、神田多町にある高級もつ焼き店「三政(さんまさ)」で修業をして、平成18(2006)年にこの店を開店。高級もつ焼き店の味と技が、ここでは立ち飲み価格で楽しめるのです。
焼き台近くのカウンターに立ち、黒ホッピー(400円)をもらうと、お通し(100円)として豚レバーの煮物が出されます。この店には普通のホッピー(いわゆる白ホッピー)はなくて、置いているのは黒ホッピーのみ。店主の好みなんだそうです。焼酎(ナカ)の量がガツンと多いのも特長です。
今日は残念ながらレバ刺(400円)はなくて、コブクロ刺(400円)を注文。冷蔵庫内の金属製の蓋付きバットに入れられているコブクロをていねいに取り出して、目の前でスッスッスッと刺身に仕上げていく店主。もつの生もの(刺身)を食べようとしたら、こういう信頼できるお店で食べないとダメですよね。どこででも注文できるものではありません。
焼きのほうは、はらみなんこつ(100円)と、たたきつくね(150円)を1本ずつ焼いてもらいます。
はらみなんこつは、串の先のほうから順に、ハツの弁の部分や動脈の部分、喉頭(のどがしら)をたたいた軟骨部分、そして根元にハラミが刺されているという、他のもつ焼き屋ではあまりお目にかからないひと串。食べるにつれて味わいや食感が変わるところがおもしろい。
たたきつくねは、小さく刻んだ軟骨が練りこまれたつくね。つくねの種類が多いのも、この店の特徴のひとつ。普通のつくねは、鶏、豚、牛のひき肉を混ぜたもので、そのつくねにチーズを入れたものがチーズつくね。豚肉だけのひき肉に、細かく切ったキムチ、ニラ、ニンニクを混ぜたもがオヤジつくねです。
中身(焼酎おかわり、200円)をもらって、ぽこちゃん(100円)と、しょうがみょうが(200円)を焼いてもらいます。
ぽこちゃんは、笑い地蔵の近くにある練り物やおでん種の店「九州屋」で売られている、ピリ辛のさつま揚げ。ポコ○ンに似た形に作っているので、ぽこちゃんと呼ぶんだそうです。(「すっぴん酒場」だけでそう呼んでいるわけではなくて、「九州屋」で売られている商品名が、ぽこちゃんなのです。)
しょうがみょうがは、すっかり「すっぴん酒場」の定番ですね。しょうがと、みょうがを豚肉で巻いて串に刺し、焼いたものです。
1時間半ほど楽しんで、キャッシュ・オン・デリバリー(商品と引き換え払い)の支払い合計は1,650円でした。どうもごちそうさま。
《夏休みスペシャル:本日の1日1麺》
「本日の」と言いながら、この肉玉うどんは、昨日のもの。長い夏休み(9連休)のペース配分を考えて、昨日は休肝日にしたので、昨日分の酒場の記事もなし。そんなわけで、今日の記事の中で、昨日の分の1日1麺をご紹介させていただいているような次第です。
私が生まれ育った四国・松山あたりでは、うどんと言えば、肉うどんや鍋焼きうどんが比較的ポピュラー。中でも肉うどんは、砂糖と醤油で甘辛く煮た牛肉と松山揚げ(油揚げの1種)をトッピングしたうどんで、肉の甘さが、イリコ出汁+薄口醤油ベースの汁(つゆ)によく合うのです。
わが家の肉うどんは、その肉うどんの牛肉を豚肉に変えたもの。
上の本編記事でも書いたとおり、東京方面では、肉といえば豚肉というほど、豚肉の消費量が多い。それがいい競争になっているのか、豚肉の味がものすごく良くて、安いのです。
松山揚げは、けっこう日持ちする油揚げなので、ミカンなどの果物とともに、ときどき実家から送ってくれるものを使っています。
麺は冷凍さぬき麺、汁(つゆ)はヒガシマルうどんスープです。
生卵をぷつんとつぶして、肉やうどんに絡めながらいただくのが美味しいのです。
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