早い時間は尻尾も温か … 豚の「味珍(まいちん)」(横浜)
横浜駅西口・狸小路にある「豚の味珍」にやってきました。前回来たのが平成21(2009)年12月17日なので、実に2年ぶり。すっかりご無沙汰してしまっていました。
それぞれ別会計の、本店1階・2階、新店1階・2階の4店舗の中で、今日は濱の酒場通・伊東さん行きつけの本店2階に入ります。
土曜日、午後4時半の店内は、先客はひとり。L字カウンター(Lの左上が入口)の最奥部、Lの短辺の付け根に座っているところを見ると、この先客も常連さんのおひとりなんですね。本店2階では、常連さんが奥のほうに集まって座ります。
「いらっしゃい。久しぶり」と迎えてくれる本店2階の店長・川野恭一さん。店長も少しも変わっていなくて、ひと安心です。
カウンターの入口から3つめくらいの席に座り、キリンビール(中瓶、550円)をもらい、豚の尻尾(700円)を注文して、それを待つ間に辣白菜(ラーパーサイ、300円)という白菜の漬物ももらいます。
まずはグラス一杯のビールを飲んで喉を潤し、すぐに目の前の小皿に練り辛子とお酢を入れてグリグリとかき混ぜ、仕上げにラー油をちょっと落としてスタンバイ。ここ「豚の味珍」では、豚の出を待っている間に、こうやって自分の流儀に沿ったタレを作って準備しておくのが決まりごとのようになっているのです。おろしニンニクを入れたり、醤油を入れたりする人もします。
タレの準備も終わったところで、辣白菜を一口。そのまま食べてももちろんおいしいのですが、これにタレをつけて食べても、ピリッと感じてまたうまい。
そうこうしているところへ、豚の尻尾が出てきました。おぉ。この時間帯だと、まだ湯気が立つほどあったかいんですね。
他の地域がどうなのかは知りませんが、首都圏の豚は衛生上の理由で、生まれてすぐに豚は尻尾を切り落とさなければならないらしく、「豚の尻尾」として陳列棚に並んでいるものも、最大直径4センチほど、長さ15センチほどの円錐台(えんすいだい)の形なのです。これを3本ほどとって、ひと口大に切り分けてくれたものが1人前です。
それを1個、箸(はし)で取って、先ほど作った辛子+お酢+ラー油のタレにつけ、そのまま口の中に放り込みます。尻尾なので、まん中に直径1センチ、長さ1センチくらいの骨(脊椎の延長上の骨)が連続して並んでいるのですが、そのまわりに付いている身は、プリンとゼラチン上で、歯を使うこともなくチュルリととろけます。そのチュルトロを口の中で舐めまわしているうちに、最後は小さな骨だけが数個残ってきます。これをコン、コン、コンと皿の上に落として、次の一切れへと向かうのです。
ここの尻尾はいつもおいしいと思うのですが、こうやってあったかいと、またひとしおですねぇ!
中瓶ビールを飲み干したところで、飲み物を“やかん”に切り換えます。“やかん”というのは、焼酎(380円)のこと。金属製の、背の高い魔法のランプのような形状の“やかん”で注がれるので、“やかん”と呼ばれるようになったようです。
氷をもらったり、缶入りのウーロン茶(鉄観音茶)を一緒にもらってお茶割りにしたりするお客さんも多いのですが、私自身はシンプルに梅割りで飲むのが好きです。梅シロップは、“やかん”のとなりに置いている、ジョニ黒の瓶に入れられています。
豚の尻尾を食べ終えても、まだ少し焼酎が残っているので、腐乳(フールー、150円)という中国産の発酵豆腐をもらいます。沖縄の“豆腐よう”とも近い感じなのですが、“豆腐よう”が少し甘い感じがするのに対して、腐乳はあまり甘みはなくて、チーズのような感じです。小皿に一切れ出してくれるのを、爪楊枝の先っぽにつけて舐め舐め、焼酎の梅割りをいただきます。
1時間ほどの滞在。お勘定は2,080円でした。どうもごちそうさま。
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