鯉と鰻で休みを終える … 鯉とうなぎの「まるます家」(赤羽)
1週間の年末年始休暇も今日(1月4日)で終了。単身赴任先の呉(広島県)に戻るべく、昼過ぎに都内の自宅を出発します。夜までに着けばいいのに、こんなに早く自宅を出たのにはわけがある。今日から年明けの営業を開始した赤羽(あかばね)の「まるます家」で、一献傾けてから呉に向かおうと思っているのです。
創業、昭和25(1950)年。朝の9時から開いている「まるます家」に到着したのは午後2時前。店内は満席で、入口を入ったところで4~5人が待っており、入口の外にも2~3人が並んでいる状態。さすが大人気店ですねぇ。みんな、年明けの営業開始を待ちわびてやってきたんだろうなぁ。私自身もそうなので、ここに集まっているみなさんの気持ちがよくわかります。
もつ焼き「宇ち多゛」(京成立石)ほどの回転率ではないものの、ここ「まるます家」も比較的回転がいいお店なので、行列の後ろについてもそれほど長時間待つことはありません。今日も10分ほど待ったところで「次のおひとりのお客さ~ん、こちらへどうぞ」と声がかかって、ダブル「コ」の字カウンターのいちばん端っこの席に案内されます。(実は私の前にカップルが待っていたのですが、ひとつだけ席が空いたので、ひとり客が先に通されたのです。)
飲み物は“かわいこちゃん”という符丁で呼ばれる「富久娘」(350円)を燗でお願いし、つまみには鯉のあらい(400円)と岩のり(300円)をもらいます。
表の看板に「鯉とうなぎのまるます家」と大書されているとおり、この店では鯉と鰻が二大名物。鯉は群馬県内の特定の業者さんから仕入れているそうですが、この業者さんがものすごく研究熱心で、鯉のエサが残って水が濁ったりしないような工夫をしながら育ててくれているとのこと。「まるます家」の鯉のおいしさは、「きれいな水で育てた」というところにあるんですね。だから“あらい”じゃなくて、鯉の生刺(なまさし)(600円)でいただいても臭いが気にならないのです。他にも鯉こく(350円)や鯉のうま煮(750円)がメニューに並びます。
小鉢にぽってりと出してくれる岩のりは、日本酒にぴったりの定番のつまみ。ここ「まるます家」はいつもお客さんが多い上に、料理のほとんどは注文を受けてからきっちりと作ってくれるので、待ち時間ができることがあります。そんなときに、岩のりなどのちょっとしたものを出してもらっておくと、それをチビチビとつつきつつ、飲みながら待つことができるのでした。
岩のりと同じように、サッと出てきて、それを1品たのんでおくとチビチビ飲み続けられるつまみとして、とり皮ポンズ(350円)や明太子(400円)、かにみそ(350円)、ほや塩辛(500円)、自家製いか塩辛(350円)、もずく酢(400円)、韓国のり(250円)、おしんこ(350円)、カルシュウム(鰻の中骨、350円)などが用意されています。
“かわいこちゃん”をおかわりして、次なるつまみは二大名物のもう一方、鰻を1,000円の蒲焼きでもらいます。鰻の蒲焼き・白焼きは800円、1,000円、1,200円、1,500円と4種類あって、それぞれ大きさが異なるのです。
待つことしばし。大きな鰻の胴の部分が2切れ出てきました。つややかな照りが見るからに美味しそうではありませんか! そのとろけるように柔らかい身を、ひと箸つまみ、ポロリと取り落とすことのないように、口から迎えにいくようにしていただきます。ん~~~~。とろとろ。これはうまいっ! そして燗酒にもよく合うっ!
拙著「さかなマニア」でもご紹介させていただいたとおり、この店のモットーは『良いものを安く』。特に鰻は、ほとんどサービス品と言ってもいいほど、仕入れにこだわった、いい品物を使っているんだそうです。
蒲焼きを食べ終えても、岩のりもまだあるし、どじょうとじ(650円)も食べてみたいしするんだけれども、残念ながらここでタイムアップ。そろそろ東京駅に向かわなくてはなりません。
残った岩のりをつまみに、2本目の燗酒を呑み干して1時間ほどの滞在は2,400円。「今年もよろしくお願いします」と渡してくれたお年賀のタオルを手に、店を後にしたのでした。
鯉もうなぎも、美味しかったなぁ。さぁ、明日から仕事だ!
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