今宵は真鯛を骨蒸しで … 料理屋「灘(なだ)」(呉)
予定のない木曜日。先日、初めてうかがって真鯛のお造りと、あら煮を、とても美味しくいただいた「灘」に再訪してみることにします。今日も先客は、カウンター奥の一組のカップル。奥のテーブル席にもお客さんが一組入っているようです。
剣菱(けんびし)の燗酒を注文してメニューを確認。今日は鯛の造りはなくて、白身魚は平目(ひらめ)のようです。その平目を薄造りでお願いして、合わせて真鯛の骨蒸しも注文しておきます。
剣菱の燗酒と一緒に出されたお通しは、魚の切り身の煮物。魚の切り身と言っても、刺身よりも小さいくらいの切り身で、種類もいろいろ混ざっているようです。その煮物をチビッとかじっては、燗酒もちびり。これはいいつまみです。
ややあって、出てきた平目の薄造りの美しいこと。十数切れの平目の薄造りが、まん丸の平皿の上に、くるりと花弁のように並べられていて、その花びらがちょうど1周し終わったところに、縁側(えんがわ)も3切れほど添えられている。その縁側の肉厚を見ても、1枚1枚の薄造りの大きさを見ても、かなり大きな平目だったことがわかります。
薄く削がれた平目の身に、小ねぎをくるみ、もみじおろしとポン酢にからませていただきます。フグの場合は、ふぐ刺し2~3枚で小ねぎをくるむそうですが、この枚数(全部で十数切れ)だとあっという間になくなってしまうので、1枚ずつ順番に、大切にいただきます。
白身魚の味わいが濃くて深いのが、瀬戸内の地魚の大きな特長。平目にしても、鯛にしても、白身魚ではないけれどタコにしても、しっかりと旨みを感じます。エサがいいからなのかなあ。
ちょうど平目の薄造りを食べ終わるタイミングで、丸深の蒸し椀で調理された骨蒸し(こつむし)の登場です。あぁ、いい香りだ。
骨蒸しの具材は、前回のあら煮と同じく真鯛のかぶと(半身)に、中骨、背びれ、胸びれ、尾びれと、その周辺の部分。一緒に蒸された豆腐が添えられています。
熱のとおり具合がちょうどよくて、身がほっこら熱々で、官能的な弾力感。これを紅葉おろしを入れたポン酢醤油にちょいとつけていただきます。
ん~~~っ。いいですねぇ!
鯛の身の味わいが濃いので、骨蒸しのような単純な料理のほうが、よりそのうまさを感じることができます。
前回同様、骨を手づかみにして、もくもくと骨際(ほねぎわ)の身までしゃぶり尽くします。
店主は大阪の割烹で修業をした後、地元、呉に戻ってきて12年前(2000年)に、現在の店のすぐ近くに、ご自身の店「灘」を開店。4年前にこの場所に移ってきて、今に至っているんだそうです。店内が新しいのはそういう理由があったんですね。
狭い厨房の中を、手伝っているおねえさんたちが、「通ります」と声をかけながら背後をすり抜けたり、「開けます」と声をかけつつ物置の引き戸を開けたりと、しっかりとオペレーションが確立しています。
今宵は2時間ほどの滞在。お通しのほか、平目の薄造り、真鯛の骨蒸しと、剣菱の燗酒を3本いただいて、お勘定は3,570円でした。どうもごちそうさま。
今日も大満足で家路についたのでした。
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