普通にうまいのが魅力 … 大衆食堂「くわだ食堂(くわだしょくどう)」(呉)
会社帰りに、ひとりでフラリとやってきたのは、呉駅の近くにある大衆食堂「くわだ食堂」です。
ここは、近くにある「森田食堂」同様に、陳列ケースにずらりと並んでいるおかずの中から、自分の好きなものを取ってきて、それとは別にお酒をもらったり、ごはんをもらったりして、飲んだり、食事をしたりするタイプの大衆食堂。広島も含む西日本エリアには、このタイプの大衆食堂が多いようですね。
今日は店の入口近くにある冷蔵庫から、キリンの大瓶ビール(550円)を取り出して栓を抜き、すぐ上に置かれたグラスをもって、テレビの正面、一番奥にある席に陣取ります。
そのビールを、グラスに1杯、ゴクンゴクンと喉を鳴らしながら飲み干した後、もう一度立ち上がって、おかずを選びに陳列棚へ。ずらりと並んだおかずは35種類ほど。一皿が80円から、高いもので400円くらい。う~ん。あれもこれも美味しそうで迷うなぁ。
おっ! なまこ発見! 今日の1品目はこれにしましょう。
なまこの小鉢を手に持って、自分の席に戻ると、店のお兄さんがポン酢醤油を持ってきてくれて、なまこの小鉢にサッとかけ回してくれます。これで「なまこ酢」の完成ですね。グルグルッと全体をかき回して、1~2切れずつチマチマといただくと、コリコリとしたなまこ独特の食感がおいしいこと。
現在の時刻は午後7時前。店内の客は私も含めて10人ほどで、そのうちの7~8人は、おかずをつまみに、ビール、酒、酎ハイなどを飲んでいます。残る2~3人は、2~3品のおかずに、ごはんとみそ汁を合わせてガッツリと食事中。飲んでる人の多くも、だいたいは2~3品のおかずを取ってきて飲んでいます。
私自身は、居酒屋で飲むときもそうだけど、だいたい1品ずつ、順に食べていくことが多いのです。食べるよりも、飲むほうが主となることが多いからでしょうか。かといって、つまみなしでは飲めないので、少量ずつつまみながら、ゆっくりと飲む、といった感じの飲み方です。
なまこを3分の1ほど食べたところで、残りは、後ほど注文予定の燗酒用に取っておいて、ビールのつまみには改めてポテトサラダ(150円)を取ってきます。ポテトサラダも、大衆酒場、大衆食堂では定番の一品ですね。
大衆食堂といえば、エンテツさんこと、大衆食堂の詩人・遠藤哲夫さんの新刊「大衆食堂パラダイス!」(ちくま文庫、840円+税)が昨年(2011年)9月に発売されました。その中に、
『大衆食堂の魅力は、スタンダードつまり普通が持つ魅力だ。日々繰り返される、働き生きるための食事。なにより、毎日通っても、飽きのこないめしがある。大衆の暮らしを支えるめしであるから「大衆めし」とも呼ぼう』
という文章があります。さらには、
『大衆食堂ってのはね、普通にうまければいいのだよ、特別にうまい必要はないのさ』
と。これは大衆酒場も同じじゃないかと思います。びっくりするほどじゃないんだけど、普通にうまい酒があって、普通にうまい肴(さかな)がある。“普通”だからこそ、毎日でも通えるんでしょうね。
ポテトサラダでビールを飲み干して、いよいよ燗酒(300円)に突入です。ん~~~。やっぱり「なまこ酢」はこっちが合うなぁ。
温かいおかずも食べようと、陳列棚から「肉じゃが」(200円)の小鉢を手に取ると、すぐにお兄さんが「温めましょう」とやってきてくれます。お客の動きを実によく見てるんですね。ふむふむ。これもまた普通にうまい。
燗酒を飲み干したところで、小ごはん(140円)と、みそ汁(100円)を注文。たっぷりと作るからか、ごはんもみそ汁もうまいなぁ。
1時間ちょっとの滞在。お勘定は1,790円でした。どうもごちそうさま。
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