真鯛の造り、4種4様 … 料理屋「灘(なだ)」(呉)
美味しい魚が食べたくなって、最近よく行っている「灘」に向かいます。土曜日、午後7時前の店内は、手前カウンター席(全6席)の奥側に3人(カップルと男性一人客)、奥のテーブル席にも客が入っている様子。土曜日なら静かなのかな、と思っていたのですが、そうでもなくてびっくりです。
カウンター席は、カップルが一番奥に、1個空けて男性一人客が座り、手前2席が空いている状態。これまでと同じく、カウンターの一番手前の席に座り、「剣菱を燗で」と注文すると、奥の席にいた女性から「あっ! 浜田さん!」という声。「えっ?」と思って見れば、なんとうちの職場でよく行くラウンジのEちゃん。連れの男性は、私にこの店を紹介してくれたUさんではありませんか。
「あれ以来、何度か来てるんですよ」と報告すると、
「ほうじゃろ。今、ここが一番うまいんじゃ」と笑顔を見せてくれるUさん。
間にお客さんを挟んで会話をするのは、酒場ではご法度。Eちゃん、Uさんとの話は、ごあいさつ程度に留めておいて、メニューを確認。おぉ、今日はお造り(刺身)メニューの中に、鯛も並んでますねぇ。さっそくそれを注文します。
燗酒と一緒に出された今日のお通しは、ホタルイカ。ゆで冷ましてプックリと膨らんだものを、酢味噌でいただくと、ホタルイカならではのコクのある味わいに燗酒がすすみます。お通しの段階からやってくれますねぇ。
この店には、毎日のようにやってくる常連さんも多いので、お通しも日替りで、毎日2~3品ずつ用意しているんだそうです。
さぁ、来ましたよ。鯛のお造りです。この店に初めて来たときと同様に、お皿の4箇所に、鯛のそれぞれ異なる部位4種類の刺身が、それぞれ2切れずつ、美しく盛り付けられています。白身にピンクが混ざったこの色合いも、鯛ならではの美しさですよねぇ。
まずは「砂ずり」と呼ばれる、お腹の一番下の部分の身をひと切れ。ギュッと締まった身の食感、そんなに身が締まっているのに、たっぷりとのっている脂のうまみ。冷たい海水から内臓を守る部分の身ならでは。マグロで言うと大トロの部分ですね。
それ以外の部位も、マグロに大トロ、中トロ、赤身があるように、鯛にもそれぞれの部位ならでは味わいと食感があります。こうして鯛のいろんな部位を食べ比べることができるのも、鯛を食べる機会が多い、瀬戸内沿岸ならではかもしれませんね。
「Uさんからです」
と言いながら出してくれた一品は、創作料理メニューの中に並んでいる“海老サンド揚げ”。お礼を言いつつ聞けば、この海老サンド揚げ、Eちゃんの大好物で、ここに来ると必ず注文するほどの品なんだそうです。
前回いただいたカキフライが、よくあるようなパン粉の衣ではなくて、薄いパンで挟んで揚げたものだったので驚いたのですが、この海老サンド揚げも、海老を薄いパンでサンドイッチ状態にして揚げたもの。パンの、薄いながらもモチッと感じる食感と、ほのかな甘みがいいんでしょうね。
3本目となる「剣菱」の燗酒をもらって、料理のほうは、“焼きもの”というジャンルの中から、太刀魚(たちうお)塩焼きを注文します。
しばらくすると、カウンターの中から芳ばしい香りが漂ってきます。見れば長い2本の金串に、大ぶりの太刀魚の身が3切れ。スッ、スッと金串を抜きとって、お皿の上に美しく盛り付けたら、太刀魚塩焼きの完成です。あぁ、いい香り。
太刀魚というと、中骨もそうですが、背びれや腹びれから延びてくる骨も多くて、なんだかホネホネしたイメージが強い魚です。ところが、この店の太刀魚には骨がない! というか、大きな太刀魚の、身の部分だけを切り分けて焼いているので、骨がないように感じるんですね。
骨を気にせずにかぶりつくことができる太刀魚の、ふっくらとやわらかい身のおいしいこと! こんな太刀魚を子供のころに食べていたら、もっと若い頃から太刀魚ファンになっていたかもなぁ。そう思うと実に惜しい。
1時間半ほどの滞在。燗酒3本と料理2品(+お通し)で、今日のお勘定は3,780円でした。どうもごちそうさま。
お通し(ホタルイカ)と燗酒 / 海老サンド揚げ / 太刀魚塩焼き
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