ぷっつんとろり鯛白子 … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)
金曜日。「魚菜や」に到着したのは午後9時です。
「どっかで飲んで来たん?」
「いや、今日はちょっと出遅れて、これから飲み始めです。」
そんなわけで、まずは生ビールをもらうと、今日のお通しは分葱(わけぎ)ぬた。この季節、分葱がシャキシャキと実にうまいっ。
今日の「魚菜や」は、L字カウンターの縦の辺に、男女二人連れが2組。横の辺は私だけです。「魚菜や」の営業時間は夜10時までなので、残りあと1時間。すでにお客さんが多かった時間帯は過ぎているんですね。
分葱をつまみ、生ビールを飲みながら、今日のメニューを確認します。看板には「おでん」と書かれている「魚菜や」ながら、その実態は「おでんもある、おばんざい屋」といった感じで、手作りの季節のおばんざいがおいしいのです。
そのメニューの中に、鯛の白子煮を発見。「これはいいなぁ」と思っていたら、まるでその気持ちが伝わったかのように、女将さんからも「今日の鯛の白子はおすすめよ」と声がかかります。
「それ、お願いします。あと千福を燗でください」と即座に注文。
出てきた鯛の白子の大きいこと。プリッと白い光沢が、みるからに美味しそうだ。これは絶対に燗酒だね。千福(特撰)の燗酒をもらって合わせる。大きな鯛の白子をプツンと噛み切ると、中はとろりとやわらかくて、ゴクンと喉を通るときに、口全体、鼻の奥全体にフ~ンとなんとも言えぬ鯛らしい、いい香りが広がる。これはまた、鯛の身を食べるよりも鯛らしいなぁ。味と香りがギュッと濃縮された感じ。その余韻に浸りつつ、燗酒をちびり。ん~~~、んまいっ!
2組の男女は相次いでお勘定をして席を立ちます。どちらも二人で6千円前後。普通に飲んで食べると、このくらいの金額(ひとり3千円ほど)が「魚菜や」の相場だと思います。
燗酒(千福特撰)のおかわりをお願いしておいて、次なるつまみを選びます。
今夜の品書きは、おばんざいが、地ダコ、小いわし、タコ天、小いわし天、カキフライ、春野菜の天ぷら、鯛の白子煮、メバルの南ばん漬、フキの煮物、おから、わらびのわさび和え、海ぶどう、ちくぜん煮、ホーレン草のごま和え、うるめいわし。
おでんは、アキレス、ロールキャベツ、はんぺん、じゃが芋、玉子、大根、こんにゃく、こんぶ、厚あげ、がんもどき、がんす、ウィンナー、きんちゃく、ごぼう天、しらたきで、関西風と関東風の両方の味が選べます。関西風おでんの代表格である“牛スジ(アキレス)”と、関東風おでんの代表格である“はんぺん”とが同居してるのがおもしろいでしょう?
そんな中から、フキの煮物を注文します。1品目の鯛白子煮がものすごく美味しかったし、今シーズン、まだフキを食べていないので、煮物の連続となるけどフキ煮物にしたのでした。
地元・呉でとれたというフキは、春らしいえぐみが残っていて実にいい。これを佃煮の状態にまで煮込むと、小さく小さくなってしまうんだそうです。
10時になると閉店準備に入り、残っていたおからを少し出してくれました。
ここのおからは、具だくさんのしっとりタイプ。殻つきの小エビなんかも入ってるのがうまいんだな。
最後に、ほぐした梅干をまぶした小さなおむすびを2個いただいて、今日のお勘定は2,900円でした。やぁ、おいしかった。どうもごちそうさま。
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