串カツをつまみに燗酒 … 御食事処「寿(ことぶき)」(呉)
2軒目は、うどんの「よしのや」からもほど近い場所にある、御食事処「寿」です。
ここは陳列棚に並ぶおかずを勝手に取ってきて、お酒やご飯をもらって飲食するタイプの大衆食堂。首都圏にあるような、『本格的な大衆酒場』(ごはんや麺類は置いていない)を見かけない呉の飲み屋街において、大衆食堂は朝から飲むことができる大衆酒場としての役割も担っています。
特に今日、日曜日は「森田食堂」も「くわだ食堂」も定休日とあって、大衆食堂としては、ここ「寿」(火曜と第2月曜が定休)が独占状態になるのでした。
しかも「寿」は、若いお孫さん(美人!)が跡を継ぐことになって、店内を改装して、真ん中にカウンター席ができたり、メニューも新しく書き換えられたりと、活気にあふれているのです。
午後5時前の「寿」は、ひとり客のおっちゃんだらけ。それぞれが1テーブル(4人掛け)を独占して、テレビのある入口側に向かって座っています。同じく、ひとり客のおっちゃんである私も、空いているテーブルに、テレビのある入口側に向かって座りながら、「いらっしゃい」と声をかけてくれるおばちゃんに燗酒を注文します。
「白牡丹でええ?」とおばちゃん。
「うん。それでええよ」と答えてから、改めてメニューを見てみると、前は白牡丹しかなかった日本酒に、千福も加わっています。どちらも佳撰(昔の二級酒、普通酒)が400円。白牡丹だけ上撰(昔の一級酒、本醸造酒)も選べて、こちらは450円。
酒どころであり、今でも日本酒を飲む人が多い呉では、なにも言わずに注文すると、普通酒(昔の二級酒)が出されます。上撰(本醸造酒)をたのもうとしても、店によっては、
「二級のほうがおいしいけえ、二級にしときんさい」
とすすめられることもあるほどです。まあ、たいていの日本酒が、普通においしいと思います。
料理と一緒に飲むときは、この“普通においしい”くらいがちょうどいい。“特別においしい”お酒だと、そっちに気がいってしまって、せっかくの料理が楽しめないこともあります。
その燗酒は、チロリできっちりと正一合が出され、それとは別にグラスが出されます。正一合のお酒は、このグラスに3杯分ほど。けっこう飲んだ気になれます。
そして陳列棚から取ってきたおかずは、〔豚ネギ串カツ〕(300円)です。席に戻ると、おばちゃんが「あっためようね」と、その皿を持って行って電子レンジで温めてくれました。横に野菜の天ぷらも添えられてる(面積的にはむしろそっちのほうが大きいくらいである)のがうれしいですね。
ウスターソースをかけていただく串カツのおいしいこと。呉で串カツというと、焼き鳥の“ねぎま”に衣を付けてカツにしたものが出ることが多いので、豚肉の串カツは久しぶりな感じです。
燗酒のおかわり(400円)をもらって、おかずは〔とろろ酢〕(150円)と〔サラダ〕(150円)を持ってきます。
とろろ酢は、山芋をすったものの酢のもの。ツルツルっと流し込むように食べることができて、それでいてコクのある味わいが、燗酒によく合います。
サラダは、小鉢に千切りキャベツにキュウリ2切れ、ミニトマト1個、スライスしたゆで卵2切れ、そしてポテトサラダが盛り合わされているものに、マヨネーズをちょいとかけてもらっていただきます。
燗酒2合に、おかずが3品。2時間ほどの滞在は1,400円でした。
1軒目の「よしのや」は、うどん屋なのに、だれもうどんを食べずに飲んでるだけ。2軒目の「寿」も食堂なのに、みんなが飲んでるのがおもしろいなぁ。営業時間中のほとんどが酒場として機能していて、食事時だけ、うどんやごはんも出るんでしょうね。
◇ ◇ ◇
「寿」を出たところで午後6時半。帰り道に「山乃屋」で、かけうどん(330円)をいただいて、本日の夕食とします。
「山乃屋」は、来年(2013年)に、製麺業として創業70年、うどん屋として創業40年を迎える、呉を代表する老舗うどん屋です。残念ながら飲み物は小瓶のビール(400円)しか置いておらず、またつまみとなるような品も、特にはありません。うどん定食のおかずは、いいつまみになりそうなんだけど、それだけ単品では頼めないんだろうなぁ。
かけうどんとはいうものの、そのトッピングは、刻み揚げ、天かす、とろろ昆布に刻みネギ。細うどんによく絡むようにと、たっぷりと張られたつゆは、ダシがよく効いた甘めの味つけ。「山乃屋」のつゆは、多くの客が飲み干します。あぁ、このつゆで冷酒を飲んだら、どんなにうまいだろうと思いながら、つゆまですっかり完食。ごちそうさまでした。
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