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土曜の昼にゆっくりと … もつ焼き「宇ち多゛(うちだ)」(京成立石)

煮込みと梅割り


 土曜日の今日は、昭和21(1946)年創業の、もつ焼きの聖地「宇ち多゛」にやってきました。

 京成立石駅に着いたのは午後1時。土曜日にしてはもう遅い時間で、残っているものはもうほとんどないはず。でも、この時間帯の「宇ち多゛」は、忙しさのピークも過ぎてゆっくりとした空気なのが好きなのです。(ピーク時の、注文が怒号のように飛び交う店内も、これまた面白いんですけどね。)

 正面入り口の待ち行列は、なんと1人だけ。その人の後ろについたとたんに、その人が店内に入れたので、店に着くなり行列の先頭になり、すぐに私の後ろにひとり、ふたり。

 あんちゃん(=この店の三代目)に「ひとりです」と声をかけると、「ここちょっと詰めてもらえるかな。ひとり入れてあげて」と、入口のすぐ左側の2列並んだテーブルのところをチャチャッと調整してくれて、「はい、ここに入って」と入れてもらったのは、ずらりと並んだ、「宇ち多゛」の若き常連さんたちの間。ちょうど右どなりが「宇ち中~宇ち多゛中毒のページ」ブログでおなじみの、宇ち中(うちちゅう)さんです。

 戦争のように忙しいなかなのに、知り合い同士がいると、さりげなく近いところに座らせてくれたりするこの下町ホスピタリティが「宇ち多゛」のすごいところなんですよねぇ。いつも感心させられます。

 まずは焼酎の梅割り(180円)をもらって、おかず(=「宇ち多゛」では、つまみとなる料理のことをこう呼びます)は、煮込み(180円)と、おしんこ(180円)を『生姜(しょうが)のっけて、お酢』のオプションで注文します。

 単身赴任先の呉にいるときは、日本酒を、それも呉の地酒を飲むことが多いので、自宅のある東京に帰ってくると、まず飲みたいのが甲類焼酎。梅割りあり、チューハイあり、ホッピーありと、甲類焼酎の飲ませ方においては東京を中心とする首都圏がずば抜けています。

 特に「宇ち多゛」のもつ焼きや煮込みには、梅割り焼酎や、葡萄(ぶどう)割り焼酎といった、ストレートに近い強さの焼酎がとてもよく合うように思います。

 そんな「宇ち多゛」の煮込みは、豚のもつだけを煮込んで、味噌で味付たもの。野菜も豆腐も入っていないシンプルさがいいのです! もつの内容は、シロ(腸)やガツ(胃)の他、フワ(肺)、ハツモト(心臓の動脈)、レバ(肝臓)あたりかな。開店時に先着10名くらいに入れると、ホネと呼ばれる豚のあごの部分の骨付き肉を食べることができます。

 この煮込み、毎日完全になくなって、翌日はまた新たに作ります。それなのに「煮込みが浅い」なんて感じたことはまったくなくて、いつも濃厚なコクの煮込みが食べられるのがすばらしい。「宇ち多゛」に来たら、まず第1品目にたのむべき、必食のおかずです!

 そして、おしんこ。これは、きゅうりと大根のぬか漬けに紅生姜(べにしょうが)をちょっとのせて、醤油をかけたもの。『生姜のっけて』とお願いすると、紅生姜の量が多くなり、『お酢』とお願いすると、醤油以外にお酢もかけてくれます。逆に『かけないで』とお願いすると、醤油もかけずに出してくれます。私はこのおしんこのファンで、来るたびいつもたのんでいる一品です。

 もつ焼きはレバたれ(180円)をお願いすると、なんとレバは後1本しか残っていないとのこと。「もう1本は何にする?」とあんちゃん。まだアブラがあるそうなので、アブラと混ぜてもらうことにします。

 ここ「宇ち多゛」のもつ焼きは、2本1皿で180円。今のように、残りが1本になった時だけ、ラッキーにも2種類のもつ焼きを1本ずつ混ぜて注文できるのです。とはいうものの、『残りが1本』になるようなタイミングでは、ほとんどのもつ焼きは売り切れていて、選択肢はあまりありません。(注: もつ焼きを「生(なま)」で注文する場合は、2種類を1本ずつ混ぜてもらうことが可能です。)

 焼酎の梅割り(180円)をおかわりして、次なる注文はシロ塩(180円)です。

 2本1組で出てくるところを、1本はばらして、残っている煮込みの汁の中に投入し、味噌風味の汁をたっぷりとからめながらいただきます。残る1本はそのままで。

「おしんこお酢の汁で食べるのもおいしいんですよ。生姜ものっけて」

 と宇ち中さん。ど~れどれとやってみると、これがうまいっ! こんな食べ方もあったんですねぇ。さすが常連さんだ。

 午後2時になって、店内がますますまったりとしたところにやってきたのが、「酔わせて下町」のFさんや、歩く酒場データベース・Kさんです。もう煮込みとシロ、そして大根しか残っていないくらいなんですが、これから閉店までの、ほんのちょっとの時間が、一番ゆっくりとした時間帯なんですね。

 2時半まで、1時間半ほどの滞在。お勘定は1,080円でした。どうもごちそうさま!

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「宇ち多゛」 / おしんこ生姜のっけてお酢 / レバとアブラ(タレ)

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シロ塩 / 煮込み汁にシロ塩 / 生姜のっけてシロ塩

店情報前回

《平成24(2012)年4月14日(土)の記録》

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 午前7時過ぎに呉駅を出発し、広島駅1番ホームの「駅うどん」で、朝食代わりの天ぷらうどん(340円)。週明けの都内での仕事に向けて、土曜日の今日、東京に移動です。  広島駅を8時過ぎに出発したのぞみ号が、東京駅に着くのは4時間後の正午過ぎ。こんなに早起きして東京に向かったのは、「宇ち多゛」のもつ焼きが食べたいから。  もともと土曜日は正午開店だったらしいのですが、開店前から長い行列ができるので、他... [続きを読む]

受信: 2012.07.16 11:30

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