もうすぐ創業13周年 … 立ち呑み「やきや」(荻窪)
「斎藤酒場」を後に、十条駅から新宿経由で荻窪へ。十条~新宿間が10分強、新宿~荻窪間はちょうど10分ほどなので、待ち時間も含めて30分もあれば、もう荻窪です。
そして荻窪での本日3軒目は、八戸直送のイカ料理で有名な、立ち飲みの「やきや」です。
中央線沿線の呑兵衛たちには、つとに知られる荻窪「やきや」ですが、その創業は平成11(1999)年7月と、実はそれほど古い店ではありません。
創業から11年半、平成23(2011)年1月末まで、荻窪駅北側に残る、戦後の闇市っぽい商店街の一角で営業をした後、建て替えによる立ち退きにより、同年7月1日から、荻窪駅南側にある現在の場所での営業となり、それを機に、店名も「やき屋」から「やきや」という平がな表記に改められたのです。新生「やきや」になってからは、まだ1年も経ってないんですね。
この7月で創業13年となる「やきや」ながら、もっと老舗のような感じがするのは、北口にあった「やき屋」が、古いスナックだったらしい店を、そのまま居抜きで使っていたことと、店を切り盛りする女将さんや、調理を担当する店長(北口時代はゲンさん、今はチュウさん)のしっかりと落ち着いた人柄にあるように思います。
現在の「やきや」も、前に同じ場所で営業していた店を居抜きで使っていますが、今度は比較的新しい(もしくは近年、内装をやり直している)ので、以前ほど『古い店』という感じではなくなりました。
店のポリシーは一貫して『八戸直送の新鮮なイカ料理を立ち飲み価格で安価に提供する』という1点にあり、決してぶれません。現在も、ほとんどの食べ物メニューは、北口時代と同じく、1人前が170円(税込)です。
この値段で、刺身などは注文を受けてから引いてくれるんだから驚きです。
『呑兵衛なんて、安く飲めればそれでいいんだろう?!』
なんて思っている人もいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。実は呑兵衛は安くて旨いものを出してくれる店はよく知っていて、まるで砂糖に群がるアリンコのように、どんどん呑兵衛が集まってくるのです。
逆に『安かろう、まずかろう』なんて店は、あっという間に閑古鳥です。
これはインターネット時代だからそうなじゃなくて、そんな手段がなかった昔から、呑兵衛同士の口コミで、呑兵衛から呑兵衛へと伝搬されていたようなのです。酒場の中で交わされる呑兵衛同士の口コミほど正しい情報はありませんものね。
さて「やきや」。今日は酒友・ゆりちゃん(元・秋元屋冷蔵庫前)も手伝いに入っていて、カウンターの中で大活躍中。私もカウンター中央部の、ゆりちゃんとも話しやすい場所に陣取って、燗酒(北の誉、250円)とイカ塩辛(170円)からスタートです。
このイカ塩辛ももちろん自家製。燗酒を飲むのに、これくらい合うつまみはないと、いつも思っている一品です。(冬場のイカ大根も、どんなお酒にでもよく合うのですが。)
イカ塩辛は170円という値段ながら、小鉢にたっぷりと盛られていて、1合のお酒ではまったく足りません。「燗酒、おかわり!」といきたいところですが、ここらでキリッと冷たい飲み物も欲しくなったので、ホッピー(セットで320円)に切り換えます。
氷入りのサワーグラスに定量の焼酎が注がれ、それとは別に瓶入りホッピーが出されるのが「やきや」のスタイル。グラスたっぷりまでホッピーを入れると2杯分の、グラスに8~9分目くらいまでだと3杯分のホッピー割りが作れます。
その冷たいホッピーに合わせて、イカ生姜棒(200円)も追加注文。
つまみ20品ほどが、ほぼ170円均一のこの店にあって、このイカ生姜棒と、シメサバ(220円)だけが170円よりも高級品なのです。
というか、「やきや」で飲んでるときは、他との対比からか、この2品が光り輝くほど高級品に見えるのですが、今こうして冷静に文章を書いていると、200円や220円のつまみというのも十分に安いですよね。
その高級イカ生姜棒は、刻んだイカの身が練り込まれた棒天です。長方形の皿からはみ出すほど長いそのイカ生姜棒を、注文を受けてから焼き台でじっくりと炙り、おろし生姜を添えて出してくれます。
シャラッと醤油を回しかけてかぶりつくと、そのほんわりと温かい食感に、冷たいホッピーがよく合います。
ナカ(ホッピーの焼酎のみ、160円)もおかわりして、1時間半ほどの滞在。お勘定は1,100円でした。どうもごちそうさま。
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