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鳥も魚も、どっちも! … 居酒屋「鳥八茶屋(とりはちちゃや)」(呉)

冷酒と味噌煮


 東京から来呉中の酒友・SaltyDogさんと行く呉酒場。今日の2軒目は、呉の“とり屋”の1軒、「鳥八茶屋」です。

 入口から平行に2本のカウンターが店の奥に向かって伸び、客はその内側に座ります。両側のカウンターの内側は厨房になっていて、店主のいる左カウンターの内側は主として魚料理用、右カウンターの内側は主として鳥料理用になっているようです。

 SaltyDogさんは、竹原の地酒、「誠鏡」純米(630円)の冷酒を、私は同じ「誠鏡」純米(630円)を燗酒でもらって、最初のつまみは考えることもなく味噌煮(160円)をそれぞれ1人前ずつ注文します。

 味噌煮というのは、鶏の皮をミソ味のダシで煮たもの。呉の“とり屋”では定番中の定番で、店に入ってくるなり、席に座る前に「生と味噌!」(=「生ビールと味噌煮をください」)と、まるであいさつのように言いながら入ってくるお客さんも多いのです。

 注文するとすぐに出てくるので、お通し代わりに注文する人が多いんですね。

 ちなみに、ここ「鳥八茶屋」では、座敷席に座るとお通しが出ますが、カウンター席はお通しは出ません。なので、サッと出てくる味噌煮は、とてもありがたい存在です。

 ところで、“とり屋”というのは、昭和26(1951)年創業の「本家鳥好」に端を発した、呉発祥の焼き鳥居酒屋の総称です。

 「本家鳥好」は焼き鳥屋として人気を博し、すぐに「第二鳥好」(現在の「竜之介」)、「第三鳥好」(現在の「三とり」)と、どんどん店舗が増えていきました。最盛期には、呉市街中心部の酒場街に、50軒もの焼き鳥屋が並ぶ状態になっていたんだそうです。

 そこへ進出してきたのが「養老乃瀧」をはじめとした、大規模居酒屋チェーン店。メニューに並んだ刺身や焼き魚などの魚料理は、たちまち呉の呑兵衛たちの人気を集めました。

 その当時、呉では魚料理は自宅で作って食べるもの、という固定観念があったんだそうです。(魚がいっぱい取れる瀬戸内海沿岸の町々では、今でもそういう傾向はありますけどね。)

 居酒屋チェーン店の進出によって、「呉の呑兵衛たちも、酒場で出される魚料理を好むんだ!」という、ごく当たり前のようなことに初めて気づいた焼き鳥屋の経営者たち。もともと鹿島という、呉のすぐ近くにある漁業が主要産業の島の出身者が多かったので、魚の仕入れや、魚料理はお手のもの。

 焼き鳥屋の店内に生け簀(いけす)を置いて、鹿島でとれた魚介類を直送。昭和50年代のはじめごろには、焼き鳥屋なのに活魚もあるという、よその土地ではあまり見かけないタイプの酒場が、呉の酒場の主流となりました。

 そして、これらの店は、店名に『鳥(とり)』の字がついていることが多かったので、それらをひとまとめにして“とり屋”と呼ぶようになったのでした。

 そんな“とり屋”の1軒である「鳥八茶屋」にも、焼き鳥メニューの他に、魚料理のメニューがずらりと並びます。焼き鳥メニューが年中ほぼ不変なのに対して、魚料理は季節とともにその内容が変わります。

 カウンター上に置かれた、『本日のおすすめ』と書かれた手書きメニューには、丸イカバター焼950、ズワイガニ蒸し1,890、活オコゼ造り1,890、活車えび造り2本1,470、石鯛の造り1,260、鯛しそ巻天530、しじみ赤だし420、鳥トロ串焼420、本カレイ唐揚840、親鳥足焼530、サーモン炙り造り840、カンパチ造り840、という12品が並びます。

 そんな中から、鯛しそ巻天(530円)と丸イカバター焼(950円)をもらって、「誠鏡」純米(630円)の冷酒をもう1杯いただきます。

 1時間ほどの滞在。お勘定は、二人で3,670円(一人当たり1,835円)でした。どうもごちそうさま。

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「鳥八茶屋」 / 鯛しそ巻天 / 丸イカバター焼

店情報前回

《平成24(2012)年5月17日(木)の記録》

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コメント

SaltyDogです。その節は大変お世話になりました。
鳥皮の味噌煮を初めていただきましたが、美味しいものですねー。
東京で食べられないのが残念ですが、また食べたくなったら呉に行きます(笑)
"とり屋"や"スタンド"のようなその土地独特の食文化・業態と出会えるのが旅の醍醐味ですね。

投稿: SaltyDog | 2012.07.06 08:26

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受信: 2013.06.24 22:06

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