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2012年10月

土曜は大衆食堂で憩う … 「くわだ食堂」(呉)

アサリ貝汁でカップ酒


 「くわだ食堂」の閉店時刻は午後8時と早いので、平日の会社帰りだとちょっとしか飲めません。さらに日曜・祝日が定休日なので、ゆっくりと飲めるのは、土曜日のみ。

 しかしながら、なにしろ朝6時から、夜8時までの14時間、中休みなしで営業しているので、土曜日であれば、朝だろうが昼だろうが、いつ来ても飲めるのがうれしいところ。

 今日も早めの夕方からスタートです。

 店に入ると、まずは飲み物を注文しながら左手にある冷蔵陳列棚に向かい、片手にタンパク質系のおかず、もう一方の手に野菜系のおかずを取って席に着くのがいつものやり方。

 今日はキリンの大瓶(550円)に、おかずはトンカツ(300円)と、きんぴらごぼう(200円)を手に取ると、すぐに店のお兄さんがやってきて、「トンカツはあっためましょうね」と電子レンジで温め直してくれます。

 他のお客さんは、と見てみると、飲む人はだいたい1~2品、食事の人は2~3品のおかずを取って席に着く人が多いようです。

 ちなみに、3品以上(両手に持てない数)のおかずを取る場合には、冷蔵陳列棚の横にトレイ(四角いお盆)が置かれているので、それに載せて持ってきます。

 トンカツでビールを飲み終えると、燗酒(300円)とアサリの貝汁(180円)を注文。

 実は今日の遅めの朝食 兼 昼食も、ここ「くわだ食堂」でいただいたのですが、そのとき、となりのテーブルに、貝汁をつまみに、燗酒を飲んでいるおじさんがいたのです。それがいかにも美味しそうで、「自分も絶対やってみよう!」と心に決めたのでした。

 アサリがたっぷりと入った貝汁は、具のアサリも、もちろんいいつまみになりますが、それよりなにより、アサリのうま味が染み出した汁そのものがいい。この汁をすすりながら飲む燗酒がたまりませんねえ!

 の~んびり、ゆ~っくりとくつろいで、お勘定は1,530円でした。どうもごちそうさま。

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朝昼食(納豆、目玉焼きサラダ) / 晩酌(トンカツ、きんぴらごぼう)

店情報前回

《平成24(2012)年8月18日(土)の記録》

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瀬戸内名物タコ天ぷら … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)他

瀬戸内名物タコ天ぷら


 タコの天ぷら、食べたことがありますか?

 呉や松山など、瀬戸内海沿岸の町々では、ごく当たり前の料理だと思うのですが、東京方面からお客さんが来られたときに注文すると、ほとんどのみなさんが、「へぇ~っ!」と珍しがって、喜んでくれます。

 天つゆで食べる店もありますが、藻塩(もしお)で食べたり、塩胡椒をちょいと付けて食べたりするお店がおおいかな。家庭の料理としても、タコの天ぷらは普通に出されます。

 エサがいいのか、瀬戸内海のタコはうま味が強い。そのうま味を十分に味わうには、刺身や天ぷらなど、シンプルな調理法のほうが向いているようで、いい酒の肴になります。

 今日は「宇ち中」ブログのuchidaholicさんが、夏休みを利用して呉に遊びに来てくれたので、私も帰省先の松山から呉に移動。午後4時半に「オオムラ亜」でuchidaholicさんと合流して、スイングコックのサーバーから注がれる生ビール(500円)で乾杯です。

『グッと1杯! 思わず2杯!!』というキャッチフレーズどおり、ここの生ビールは軽い口当たりでいくらでも飲める。(だたしアルコール度数は変わらないので、飲んだ分だけ、しっかりと酔います。)

 2軒目は、最近よく通っている「關白」で、お得な晩酌セットを2人前。この晩酌セット、生ビール中ジョッキ(735円)に、ホルモン煮(小)(367円)と鶏唐揚げ(小)(367円)が付いて、本来なら1,470円のところ、ちょうど1,000円と、実に32%引き! ただし、午後6時半までしか注文できません。

 さらに牛バラのジンギスカン焼(1,260円)もいただいて、3軒目として「魚菜や」にやってきて、冒頭のタコ天をつつきつつ、呉の地酒「宝剣」をいただいたのでした。

 昨日の深夜、東京を出発する電車に乗って、延々と「青春18きっぷ」で呉までやって来られたuchidaholicさん。明日もまた「青春18きっぷ」での長旅だそうです。気をつけて!

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「オオムラ亜」生ビール / 「關白」晩酌セット / ジンギスカン焼(牛バラ)

・「オオムラ亜」の店情報前回) / 「關白」の店情報前回) / 「魚菜や」の店情報前回

《平成24(2012)年8月16日(木)の記録》

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54周年と成田一徹さん … バー「露口(つゆぐち)」(松山)

「あの店に会いに行く」


『露口朝子さん手ずからの「サマークイーン」である。ジンをベースにホワイトキュラソー、フレッシュのグレープフルーツとレモン少々をシェイク、ミントチェリーを沈め、ペパーミントの葉を飾る。1981年のサントリー・トロピカルカクテル・コンテストのグランプリ受賞作。日本のまとわりつくような景気を一気に鎮める力強さがある。なおかつその爽やかさは穏やかに体にしみる。名作である。「バー露口」の看板メニューのひとつだが、普段はもっぱら主の露口貴雄さんがつくる。この日は特別に作者である朝子夫人にお願いした。』

 成田一徹さんの近著「あの店に会いに行く」(2012年2月)の中の、バー「露口」紹介記事の冒頭部分です。『「坂の上の雲」の街で「夫唱婦随」に会う』と題されています。

 もちろん、成田さんならではの切り絵付き。カクテルを作る朝子さんが描かれています。

「そっくりじゃねぇ」と声をかけると、

「ほうじゃろ。細かいとこまで切り絵じゃけんねぇ。すごいわい」と笑う朝子さん。

 お盆休みに松山市内の実家に帰省し、今日は旧友たちと「露口」に飲みに来ています。

 実は今日、8月15日が「露口」の開店記念日。昭和33(1958)年の創業なので、今日で54歳になりました。

 飲み物はもちろん、名物、角のハイボール。

『8オンスのタンブラー、50mlのサントリー角。2コの氷にタンサン。レモンピールはなし。濃くて頑な男っぽいハイボールである。』

 と、これも「あの店に会いに行く」の中の成田さんの文章。切り絵のみならず、文章もすばらしいのが、成田さんならではです。

 それにしてもこのときは、ほんの2か月後に、その成田さんが急逝されるなんて、想像すらできなかったなぁ……。(合掌)

 日付けが変わる午前0時が、バー「露口」の閉店時刻。55年目となる、これからの1年も、引き続きよろしくお願いいたします。

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角ハイボール / 54周年コースター / 濃いめの角ハイボール缶

店情報前回

《平成24(2012)年8月15日(水)の記録》

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〔くれ便り〕 第5回 呉酒まつり(10/26~27)のお知らせ


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 今年で5回目(=5年目)となる「呉酒まつり」が、今週末、10月26日(金)と27日(土)の両日、呉市内11軒の酒場で開催されます。

 西条(東広島)の酒まつりが、参加者が酒蔵などを巡って、いろんな地酒を味わうのに対して、呉の酒まつりは、参加者はどこかの酒場に腰を据えて呑んでいるだけで大丈夫。蔵元さんのほうが、各酒場を回ってきてくれて、酒まつり用の特別なお酒をふるまってくれたり、お酒にまつわるいろんな話を聞かせてくれたりするのです。

 参加11店は次のとおりです。すでに予約で満席の店もあるようなので、事前に電話して参加されることをお勧めします。

    【呉地区】
  • 日本料理「花月」: TEL0823-23-1960、呉市本通2-1-5、10名、17:30-21:00入店、料理+地酒各種で10,500円
  • 「桐の木」: TEL0823-21-0162、呉市中通2-2-3、24名、17:30-、料理+3時間飲み放題で5,000円
  • 「富士さん」: TEL0823-23-8540、呉市中通3-1-7、10名、18:00-24:00、3種盛りと利き酒グラス3杯セットで1,000円。追加可
  • 「魚菜や」: TEL0823-24-7409、呉市中通4-1-24、12名、18:00-20:30、料理+呉の地酒各種で5,000円
  • ビヤハウス「オオムラ亜」: TEL0823-22-3832、呉市中通4-3-19、15名、18:30-20:30、呉地ビールなど飲み比べ、5,000円
  • 居酒屋「利根」: TEL0823-24-6166、呉市本町2-2、地酒1杯500円。なくなり次第終了
  • ちゃんこ「貴羽山」: TEL0823-24-0850、呉市中央3-11-12、20名、17:00-22:00、鍋と小鉢2品+90分飲み放題で4,000円
  • 旬彩「無双庵」: TEL0823-24-8341、呉市西中央2-4-1、17:00-22:00、料理3品+地酒2杯で1,500円。追加可

  • 【広地区】
  • 旬麺「晴れる家」: TEL0823-72-0650、呉市広本町1-1-3、30名、18:00-22:00、酒まつりセット3,000円
  • 串処「広酒場」: TEL0823-36-2414、呉市広本町1-1-3、14名、18:00-22:00、料理+2時間飲み放題で5,000円
  • 「151Aまつとら」: TEL0823-74-2288、呉市広古新開2-14-35、17:00-23:30LO、通常メニューに酒まつり用の地酒が加わる

 そして、今年はスペシャルゲストとして、音曲師・柳家紫文(やなぎや・しもん)さんも来呉され、都々逸(どどいつ)や新内(しんない)で、呉の町を流すんだそうです。

 呉の肴に呉の酒、ぜひお楽しみください。

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〔くれ便り〕 ついに実現、江田島での飲み会

江田島「坪希」での飲み会


 下井草にある大衆鉄板「こいくちや」の店主・まっちゃんは、呉市のとなり、江田島市のご出身。以前から、「江田島に帰省したときに、ぜひ一緒に飲みましょう!」と言っていただいていたのに、呉に来てから2年4ヶ月、まだ実現できていなかったのです。

 ちょうど今、まっちゃんご家族も江田島に帰省されていて、沼袋「たつや」の店主夫妻(たっつんさん、まるたんさん)も、江田島を訪問予定とのこと。私もご一緒させていただくことにいたしました。

江田島市 広島湾に浮かぶザリガニ型の島が江田島市ですが、細かく分けると四つの島に分かれるんだそうです。ザリガニの右手が江田島、左手が西能美島、胴体が東能美島。この3つの島は陸続きです。1個、ポツンとザリガニの尻尾のように離れている島が大黒神島。

 まっちゃんのご実家は、ザリガニの両手の中間あたり、江田島市役所がある中町港のすぐ近くにありました。この中町港の待合所にあるお好み焼き・鉄板焼きの「日和」で、お好み焼きをつまみに、生ビールで乾杯し、江田島飲みのスタートです。

 その後、まっちゃんの弟さんの車で、江田島市内をグルッと観光させていただき、夜は夜とて、まっちゃんのご両親や、まっちゃんご一家、弟さんご一家も集まって、ザリガニの左手の外側にある、老舗割烹旅館「坪希(つぼき)」で、豪華な料理をいただきながらの大宴会です。

 この「坪希」に、たっつん夫妻と私の部屋もとってくれていて、大宴会が終わったあとも、たっつん夫妻の部屋に集まって小宴会。

 明けて日曜日は、たっつん夫妻とともに小用港から呉にわたり、これから尾道~今治を経て、松阪(松阪牛のホルモン!)、静岡と回るというご夫妻と呉駅で別れ、楽しく濃厚な江田島への小さな旅を終えたのでした。

 たっぷりとお世話になり、本当にありがとうございました。>まっちゃん&ご親族のみなさま

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「日和」お好み焼き / 割烹旅館「坪希」 / 旅館の朝食

《平成24(2012)年8月11日(土)の記録》

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沼袋たつや店主夫妻と … 「のぶ」「富士さん」「どん底」「BAR ANCHOR」(呉)

「のぶ」トロロ焼きと焼きむすび


 沼袋「たつや」の店主夫妻(たっつんさん、まるたんさん)と巡る呉酒場。午後8時に、1軒目の「關白」を出て、すでに閉店して片付け中の「オオムラ亜」で、生ビールサーバーをちらりと見せていただいてから、お好み焼きの「のぶ」へ。せっかく広島に来てもらったので、カウンター全体が鉄板でできているお店も見ていただこうという考えです。

 ただし、明日の昼、お好み焼きを食べる予定が入っているので、今日はトロロ焼きと、焼きむすびのみでサッと済ませて、3軒目は屋台の「富士さん」です。屋台もまた、呉の、昔ながらの酒場文化ですもんね。

 ここでは焼酎水割り(400円)を飲みながら、おでん(全品100円)の鶏もつを2本に、鉄板では豚キャベツ串(2本250円)と、がんす焼き(1枚150円)を焼いてもらいます。

 がんすは、魚のすり身に、刻んだ玉ねぎや一味唐辛子などを練り込み、パン粉をつけて揚げた、呉の名産品のひとつ。そのままでももちろん食べられますが、ちょっと焼いたり、おでんの具にしてもおいしくいただけます。

 4軒目は、呉最古のスタンド「どん底」で、『竹鶴12年』や『山崎12年』をもらって乾杯。自家製のラッキョもちょっといただきます。

 この店では、なんといってもこのゆったり感を見ていただきたいと思っているのです。

 天井は普通の店の2階分くらいの高さにあり、重厚なカウンターは樹齢400年の欅(けやき)の1枚板を、手前と奥に2枚連結して、1メートルほどの奥行きを持たせたもの。となりの席との距離感もちょうどよくて、まったく圧迫感がありません。内装のほとんどが自然木でできているのもいいんでしょうね。

 そして最後(5軒目)は、「どん底」とは対照的に新しい(2008年創業)オーセンティックバー、「BAR ANCHOR(アンカー)」で、この季節(夏)ならではの自慢の一品、スイカのソルティドッグ(1,000円)をいただいて、本日の〆としたのでした。

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「富士さん」鶏もつ / 豚キャベツ / がんす

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「どん底」 / 自家製らっきょ / 「アンカー」スイカのカクテル

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《平成24(2012)年8月10日(金)の記録》

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ホルモン煮を推察する … ジンギスカン焼「關白(かんぱく)」(呉)

ホルモン煮


 沼袋「たつや」の店主夫妻(たっつんさん、まるたんさん)が、夏休みを取って呉にも来てくれたので、一緒に飲みに出かけます。

「魚がいい? 肉がいい?」と聞いてみると、

「『關白』のホルモン煮が気になります」

 という返事。やきとん屋の店主だけあって、やっぱり他の地域でどんなホルモン料理が出るかが気になるんでしょうね。

 そんなわけで3人で「關白」に入り、まずはそのホルモン煮もついてくる晩酌セット(1,000円)を人数分、注文します。

 ホルモン煮は、ひと口大にカットした豚の内臓5種類(ハツ、フワ、ガツ、コブクロ、シロ)を、ゆでては水を捨て、またゆでては水を捨て、さらにゆでては水を捨てと3回繰り返すことによって、やわらかく、匂いも全くない状態にしたものを、最後にコンニャクも加えてもうひとゆでし、刻みネギをたっぷりのせて、ポン酢醤油でいただく一品。

 ここまでゆでると、それぞれの内臓のクセというか、個性はまったくと言っていいほどなくなり、どれも同じような食感になります。

 ここまで豚もつのクセをなくしてしまわないと、呉の呑兵衛たちに受け入れられなかったんだろうな、と私は推測しています。

 昭和35(1960)年に、やきとん(=豚もつの串焼き)屋として創業した「關白」ですが、それから14年後の昭和49年に、毎日新聞呉支局から発行された『呉うまいもん』の中では、すでに今と同じくジンギスカン焼とテール鍋の店として紹介されています。つまり、創業当時のやきとん屋という形態は、それほど長くは続かなかった、ということなんですね。

 やきとんとしては長続きしなかった豚もつを、なんとか食べてもらおうと工夫して、このホルモン煮にたどりついたんだと思います。

 豚耳と牛バラのミックス焼き(1,200円+税)と、生ビール大ジョッキ(950円+税)を追加して、2時間ほどの滞在。お勘定は3人で7,250円でした。ごちそうさま。

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ホルモン煮(ハーフ)かき混ぜる前 / 鶏唐揚げ(ハーフ) / 牛バラと豚耳のミックス

店情報前回

《平成24(2012)年8月10日(金)の記録》

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〔コラム〕 「酒都を歩く」藤原法仁さん・橋本健二さん

酒都を歩く
藤原法仁さん橋本健二さん


 「古典酒場」の居酒屋ブロガー座談会で、創刊号からずっとご一緒させていただいている、「酔わせて下町」の藤原法仁さんと、「居酒屋考現学」の橋本健二さんのお二人が、読売ONLINE「酒都を歩く」に登場です。

  藤原さんの記事 → (前編後編
  橋本さんの記事 → (前編後編

 藤原さんのインタビュー酒場は、立石の「江戸っ子」と「とっちゃんぼうや」、そして“呑んべ横丁”のスナック「伯爵」。立石は藤原さんのホームタウン。最後に呑んべ横丁の、しかもスナックで締めくくるところが、実に藤原さんらしい!(←褒め言葉です。)

 大学入学と同時に、立石を離れた藤原さんが、再び故郷・立石に戻ってきたのは20年ほど前。近くの大衆酒場で飲み始めて、「京成線沿線は大衆酒場の宝の鉱脈。自分は王家の谷に住んでいる」と悟ったんだそうです。

 墨田区の鐘ヶ淵通り一帯を『酎ハイ街道』と名付けたのも藤原さん。会社社長ということもあって、当時は極力目立たないようにしてきましたが、『酎ハイ街道』という名称は、今や立派にひとり歩きしています。

 いっぽう橋本さんのインタビュー酒場は、池袋の「ふくろ」に、下北沢の「楽味」と「宿場」。この「酒都を歩く」の記事では、登場する各人が、それぞれ自分の行きつけの酒場でインタビューを受けるので、各回に登場する酒場群が、そのまま首都圏の名酒場リストの様相を呈しています。

 橋本さんは、東京大学を卒業後、研究者の道に入り、現在は武蔵大学社会学部教授。専門分野が社会階層論、階級論ということで、「居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある」と、酒場研究にも精力的に取り組まれ、その情報を自らのブログ「居酒屋考現学」にも記録されています。

 今回は、その橋本さんの研究用の手帳も公開されているのがおもしろいところです。

 酒場そのものではなくて、その酒場で飲み歩く人たちに焦点を当てたこの企画。すごく新鮮で、毎週火曜日の更新が楽しみです。

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焼酎水割り+キュウリ … お好み焼き「のぶ」(呉)

焼酎水割り+キュウリ


 仕事仲間と3人で、お好み焼きの「のぶ」にやってきました。長崎は五島列島出身の女将さんのお名前が川野伸子(かわの・のぶこ)さんだから、店の名前も「のぶ」。カウンター12席と小上がり8席の店内を、妹さんと二人で切り盛りしています。

 まずは取り急ぎ生ビールと枝豆をもらって乾杯し、おもむろに料理を注文します。

 今日、一緒に来ている若手K君は、お酒はそんなに飲めないけれど、食べるほうは爆発的にいける口なので、あれやこれやを注文してみようと思っているのです。

 豆腐ステーキを、ひとつはみそダレで、もうひとつは醤油で焼いてもらい、続いてはたっぷりとモヤシ炒め。このシンプルなモヤシ炒めが、生ビールのつまみにちょうどいい。

 生ビールに続いて、麦焼酎を水割りで注文すると、「キュウリを入れてもおいしいわよ」と女将。さっそくその飲み方にチャレンジしてみると、夏らしくさっぱりとした、とてもいい感じのカクテルになりました。

 大好物のトロロ焼に、お好み焼きも注文。

「うどんか、そばを入れますか?」

 と聞かれて「どっち?」と迷っていると、

「ちゃんぽんもできますよ」

 ということで、その“ちゃんぽん”に決定。広島風お好み焼きで“ちゃんぽん”というのは、うどんもそばも、両方ともを入れること。チャンポン麺を入れるわけではありません。

 焼酎水割り+キュウリもおかわりしつつ、料理もさらに肉ジャガやセンマイを追加して、我われはもう満腹。

「どう、満腹になった?」と尋ねてみると、

「いや、まだいけます!」と若手K君。それじゃあと、ボリュームたっぷりの焼めしを作ってもらうと、ほとんどひとりで、ペロリと完食。さすがじゃのぉ!

 ゆっくりと3時間ほど楽しんで、超満腹になって、お勘定は3人で10,900円(ひとり3,600円強)でした。どうもごちそうさま。

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生ビールと枝豆 / 豆腐ステーキ / もやし炒め

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トロロ焼き / お好み焼きの麺はちゃんぽんで / 麺と具材を炒めて

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小麦粉の上にのせ / ひっくり返して / 玉子にのせたら、お好み焼きの完成

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肉じゃが / センマイ / 〆の焼めし

店情報前回

《平成24(2012)年8月8日(水)の記録》

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ひと味違う、生ビール … 「オオムラ亜」「迷亭」他(呉)

収録中の「オオムラ亜」


「夏はやっぱり生ビールですね。カンパァ~イッ! こちらのビール、ひと味違います」

 中国放送(RCC)の戸井記者の、そんなコメントから始まった「オオムラ亜」での収録。夕方のニュースの、「ここに涼あり」という特集で使うためのものなんだそうです。

 そんな収録日に、たまたま東京から出張してこられて居あわせたのは、西武線沿線の呑み仲間・ミスタースリムさん。

「東京からの出張族ですが、呉に来たら『オオムラ亜』。これ飲まなきゃ、はじまりませんね」

 インタビューへの回答もビシッと決まって、ちゃんと放送(2012年8月8日)にも使われてましたよ!

 その「オオムラ亜」では、イカナゴの釘煮やポールウインナー、ガンスをもらって、生ビールを3~4杯ずつ。

 2軒目は、おでんの「迷亭」。呉の地酒「宝剣」を冷酒でもらった後、東北は宮城の「墨廼江(すみのえ)」や「一ノ蔵」に、おでんは豆腐、タコ、すじなどをもらいます。

「今は下ごしらえなどを一人でやっているので、以前のように手作りの食材が作れなくて、市販のものが主体になってしまいました」

 「迷亭」の店主・沖村能任(おきむら・よしたか)さんはそうおっしゃるものの、なかなかどうして、そう簡単にこんなおでんは出せません。

 ほろ酔いになって、お腹も満足したところで、本日の3軒目として、スナック「Aki」(中通3-3-10、0823-22-8444)へと向かいます。ここはカウンター席のみ8席ほどの小さなお店。店名のとおり、女将(ママ)のアキさんがひとりで切り盛りされています。

 呉のスタンドやスナックは、キープボトルがあれば一人3千円ほど。ボトルはウイスキーなどであれば8千円前後、焼酎の4合瓶なら5千円ほどでしょうか。

 最後(4軒目)は、「うどんの天」で、うどんをいただいて〆。

 月曜日から長時間おつきあいいただき、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。>ミスタースリムさん

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「オオムラ亜」つまみ / おでん「迷亭」 / 冷酒(宝剣)と豆腐

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たこ / すじ / 墨廼江・宝剣

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一ノ蔵 / 「Aki」バーボンソーダ / 「うどんの天」かけうどん

・「オオムラ亜」の店情報前回) / 「迷亭」の店情報前回

《平成24(2012)年8月6日(月)の記録》

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みそ味、とんちゃん鍋 … ジンギスカン焼「關白(かんぱく)」(呉)

とんちゃん鍋


 先日の記事で、「關白」がもともと、やきとん屋であったことや、そのやきとん屋時代の名残りのメニューとして、ホルモン煮(500円)、とんちゃん鍋(650円)の2品があることをご紹介しました。

 ホルモン煮は、晩酌セット(1,000円)にも含まれていることもあって、私自身もよくいただいている品なのですが、とんちゃん鍋はまだ食べたことがない。そこで今日は、そのとんちゃん鍋を実食してみることにします。

 ホルモン煮、とんちゃん鍋の具材は、どちらも、ひと口大にカットした豚のハツ(心臓)、フワ(肺)、ガツ(胃)、コブクロ(子宮)、シロ(腸)とコンニャクの水煮。

 水煮とはいっても、ゆでては水を捨て、またゆでては水を捨てを3回繰り返すことによって、臭みが全くない、やわらかい食感の豚もつ煮に仕上がるのです。

 ゆで汁ごと冷ました大鍋が、コンロの横に置かれていて、注文を受けてから仕上げの調理を開始します。

 ゆで汁ごと小鍋に取り分けて加熱し、グツグツと沸騰したところで、具材だけを小鍋に移し、ポン酢醤油をかけて、刻みネギをトッピングするとホルモン煮ができあがります。

 同じくゆで汁ごと、小さな鉄鍋に取り分けて、味噌をひとさじ投入してから加熱。グツグツと沸騰したところで、刻みネギをトッピングし、うずらの生卵を落としてできあがるのが、とんちゃん鍋です。

 とんちゃん鍋は、小さな鉄鍋のまま出され、具材は箸で、汁は一緒に出されるチリレンゲですくっていただくのです。

 みそ汁よりやや薄めの、やわらかい味付けで、汁まですべて完食することができます。

 今日の〆の一品には、これまた「關白」の名物であるカツカレー(850円)をいただきます。「關白」は向かい側で喫茶店を営業していた時代もあり、カレーはその時の名残りのメニューなんだそうです。

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とんちゃん鍋は小さな鉄鍋で出される / 七味唐辛子をかけていただく / カツカレー

店情報前回

《平成24(2012)年8月4日(土)の記録》

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西瓜のソルティドッグ … バー「アンカー(ANCHOR)」(呉)

西瓜のソルティドッグ


「スイカのカクテルは、どこにも負けない自信があります」

 オーナーバーテンダーで、「BAR ANCHOR」を一人で切り盛りされている森貞慶章(もりさだ・よしあき)さんがそう話してくれるとおり、この店のスイカのカクテル(1,000円)は、本物のスイカよりもスイカらしい。

 注文を受けて山陰産のスイカを切り分け、それを大きめのシェイカーに入れて、すりこ木で押しつぶしていきます。

「どの程度、スイカの繊維を残すかということが重要です。繊維がなくなるほどつぶしてしまうと、スイカらしさがなくなって、ただの砂糖水になってしまいます」と森貞さん。

 これにかなり大量のウォッカを入れて、スイカのソルティドッグに仕上げていきます。

 出してくれるグラスの縁(ふち)には塩をつけて、スノースタイルにするのですが、その塩をつけるためにグラスの縁を濡らすのも、実を取ったスイカの皮の部分(といっても赤い実もけっこう残っている状態)を使います。こんなところにも、森貞さんのスイカのソルティドッグに対するこだわりを感じますね。

 今日は仕事仲間たちと6人で、小鍋立て「五鉄」でひとしきり飲んだ後、二次会として「BAR ANCHOR」にやってきました。

 というか、「五鉄」で飲んでいるときに、

「BAR ANCHORのスイカのソルティドッグが、スイカよりもスイカらしくてとてもうまい」

 という話題が出て、

「それじゃあ二次会で行ってみましょうか」

 と話が決まったのでした。

 そんなわけで、「BAR ANCHOR」に入るなり、

「スイカのカクテルを6つ、お願いします」

 と注文し、6人全員で、スイカのソルティドッグをもらって乾杯です。

 チャーム(お通し、ひとり500円)には、チーズやミックスナッツなどの盛り合わせ。

 軽く1時間ほどの滞在。お勘定は6人で9千円でした。どうもごちそうさま!

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ていねいにスイカをつぶす店主 / スイカのソルティドッグ / チャーム(お通し)

店情報前回

《平成24(2012)年8月2日(木)の記録》

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珍味・鱧の子の煮もの … 小鍋立て「五鉄(ごてつ)」(呉)

珍味・鱧の子の煮もの


 「珍しいものがあるよ」と出してくれたのは、鱧(はも)の子の煮もの。

 小鍋立て「五鉄」では、天然ものの魚しか扱わないので、ときどきこういう珍しい部位が登場するのです。

 今日は仕事仲間と6人で「五鉄」の奥に一間だけある小上がりに入り、掘りごたつ式のテーブルを囲んでいます。

 「五鉄」の店主・蒲原明(かんばら・あきら)さんは、広島での会社勤めを終えた後、生まれ故郷の呉に戻り、8年前(2004年)にこの店を開店しました。

 会社勤めのころから食べ歩きが趣味だった店主は、その趣味を活かして、おいしいものが食べられる店を作ったのでした。

 店内はL字のカウンター席(11席)主体で、それ以外にはこの小上がりがあるだけ。

 小鍋立て「五鉄」という店名からもわかるとおり、店主は池波正太郎の大ファンでもあり、カウンター上や、お手洗いの壁際にある小さな本棚には、池波正太郎の文庫本や、グルメ本、江戸文化本などがずらりと並んでいるほか、メニューにももちろん『小鍋立て(一人前)』という項目があり、しゃも鍋(1,800円)、すき焼き鍋(3,000円)、黒豚鍋(1,300円)、キムチ鍋(1,400円)、レタスしゃぶしゃぶ(1,300円)、地鶏とキノコ鍋(1,800円)、もつ鍋(1,300円)、湯豆腐(500円)、五鉄鍋(冬1,500円)、浅蜊の小鍋立て(夏600円)、かき鍋(冬1,300円)といった料理がそろっています。

 今日は「この店に来るのは初めて」という人もいたので、刺身盛り合せ(時価)に始まって、地鶏(帝釈しゃも)のたたき(800円)、出し巻き玉子(500円)、山芋の鉄板焼(600円)、五鉄焼(お好み焼き風、600円)、地鶏(日向地鶏)の塩焼(700円)などの名物料理をずらりと注文。最後に各人の好みで、ちょっとうどん(うどんの小盛り)か、ミニざる(ざるそばの小盛り)で〆としたのでした。

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小鍋立て「五鉄」 / 刺身盛り合せ / 地鶏のたたき

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出し巻き玉子 / 山芋の鉄板焼 / 五鉄焼

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地鶏の塩焼 / ちょっとうどん / ミニざる

店情報前回

《平成24(2012)年8月2日(木)の記録》

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やきとん屋として創業 … ジンギスカン焼「關白(かんぱく)」(呉)

創業当時の「關白」


 上の写真、横一線に折れ目がついちゃってますが、創業(昭和35年)したころの「關白」の写真です。のれんや看板に『やきとん』の文字があることからもわかるとおり、創業当時の「關白」は、やきとん、つまり豚のもつ焼きを食べさせてくれるお店だったのです。

 呉には豚のもつ焼きをつまみに飲むという酒場文化はないと思い込んでいたのですが、50年前にさかのぼると、ちゃんともつ焼き屋があったんですねぇ! 新鮮な驚きです。

 しかしながら、その後、時代を経て、「關白」のメニューから『やきとん』がなくなり、その看板メニューが『ジンギスカン焼き』と『テール鍋』に変わったところを見ると、もつ焼きは呉の呑兵衛たちには受け入れられなかった、ということなんでしょうか。

 昭和40年代に「鳥好」「鳥八」「三とり」などの『とり屋』がグングンと増えていったので、そっち(焼き鳥と活魚)に人気を奪われちゃったのかもしれませんね。

 やきとん屋だったころの名残りを感じさせるメニューが、現在の「關白」にも残っています。それはホルモン煮(500円)と、とんちゃん鍋(650円)の2品です。

 ホルモン煮は、ひと口大にカットした豚のハツ(心臓)、フワ(肺)、ガツ(胃)、コブクロ(子宮)、シロ(腸)とコンニャクを水煮して、熱々のところをポン酢醤油を入れた小鉢に入れていただく一品。

 注文するとすぐに出てくるので、最初の一品としても人気が高く、ハーフサイズ(350円)も用意されています。

 とんちゃん鍋は、ホルモン煮と同じものを、鉄鍋に入れて再び煮込み、みそで味付けしたもの。仕上げにうずらの卵も落とされます。

 今日は、そんな創業当時の話も店主に伺いながら、二人で晩酌セット(1,000円)から、牛バラ焼き(1,200円)、テール鍋(1,700円)と「關白」の名物料理を食べ進み、最後は、うどん(600円)で〆て終了したのでした。

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現在ののれん / 晩酌セット / 牛バラ焼き

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エビス生大ジョッキ(左は中ジョッキ) / テール鍋 / うどん

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《平成24(2012)年8月1日(水)の記録》

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〔追悼〕 伊丹由宇さん・成田一徹さん

「古典酒場 Vol.9」より


 2012年9月30日(日)に“食の狩人”として知られるマルチライターの伊丹由宇(いたみ・ゆう)さんが、10月14日(日)に切り絵作家の成田一徹(なりた・いってつ)さんが、相次いで急逝されました。

 ブログ「米澤の日々仰天」によると、伊丹さんは「大好きな多摩川神社散歩の途中、最近頻繁に起こっていた持病の“めまい”に襲われたようで、昏倒して頭部を強打し」、亡くなられたのだそうです。

 一方、ブログ「私は眠らない。」によると、成田さんは10月8日に、都内の駅で「気分が悪い」と訴えて、救急車で病院に運ばれたそうですが、脳出血だったそうで、その後の治療もむなしく14日午前、逝去されました。

 伊丹さんとは「古典酒場 Vol.9」のホルモン酒場特集で、佐藤和歌子(さとう・わかこ)さんと共に鼎談をさせていただきました。

「俺は、そんなにホルモンに詳しいわけじゃないんだよ」なんておっしゃいながら、鼎談が始まると、「実はホルモンっていう言葉の歴史は大正時代までさかのぼるんですよ」とか、「髄と横隔膜を出したのは、五反田の『日南』が一番最初ですね」と教えてくださったり、1本4千円もする牛タンのお店を紹介していただいたりと、びっくりの連続でした。

 成田さんとは、こちらもまた「古典酒場」の関係で、成田さんと倉嶋編集長が、阿佐ヶ谷の「燗酒屋」で飲まれいるところへお誘いいただき、ご一緒させていただいたのでした。(→その時の記事

 いぶし銀のような渋さを感じるその切り絵の魅力、そして“一徹”というお名前の語感から、もっと年配の、頑固な親爺さんというイメージでいたのですが、実際にお会いした成田さんは、とても楽しくて好奇心旺盛で、実際の年齢よりもうんと若々しく見える方でした。

「神戸にもいい酒場がたくさんありますよ」とおっしゃっていただいたのに、ついに神戸でご一緒させていただくことはかないませんでした。

 お二人とも63歳。若過ぎます。しかも本当に急なことで、ご家族のみなさんの悲しみを思うと、胸がいたみます。

 謹んでお二人のご冥福をお祈り申し上げます。

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夏休みの〆はうな重で … 鯉とうなぎの「まるます家」(赤羽)

うな重(亀重)


 1週間(9連休)の夏休みも今日で終了。夜までには単身赴任先の呉(広島県)まで戻らないといけないので、その前に、ちょいと一杯、赤羽「まるます家」です。

「もし『まるます家』に行くのであれば、声をかけてくださいね。」

 昨日、一緒に飲んでいたときに、そう声をかけてくれていた男前H氏にも連絡を取って、午後1時ごろ「まるます家」に到着すると、真昼の猛暑にもかからわず、店の前には10人ほどの行列。さすがは人気店ですねぇ。

 15分ほど並んで、2階の座敷席の一角に座り、まずはやっぱりジャン酎(=ジャンボ酎ハイ、950円)+モヒートセット(1セット100円)をもらって乾杯し、つまみには鯉のうま煮(750円)、どじょうとじ(丸煮、650円)に、なまず唐揚(500円)という、川魚3点セットを注文します。

 「まるます家」の創業は昭和25(1950)年。

 初代店主の石渡増次(いしわたり・ますじ)さんは、現在の店主・石渡勝利さんのお父さんで、若女将・松島和子さんのお祖父さん。

 自らも酒好きだった増次さんの、「朝から飲める店がいい」という方針で、この店は朝から飲めるようになったのだそうです。

 増次さんの『増』の字をとって、最初は「ますや」という店名にしようとしたそうですが、「『ます(□)』では角が立つ」ということで、その□を○で囲んで、「まるます家」と決まったんだそうです。

 最初はマグロや豆腐などしかなかったものの、徐々に品数も増え、増次さんの兄弟が浜松いたことからウナギも取り扱うようになり、群馬は赤城山の近くの養殖場から、温泉水で育てたコイも仕入れるようになりました。

 最後に、うな重を注文すると、特上重(2,000円)はすでに売り切れでしたが、亀重(1,700円)、鶴重(1,500円)はまだありました。

 亀重をもらって〆。お勘定は二人で5,500円でした。どうもごちそうさま!

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ジャン酎モヒート / 真鯛の煮こごり / 鯉のうま煮

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どじょうとじ / なまず唐揚げ / 丸眞正宗(生酒)

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座敷メニュー(表) / 座敷メニュー(裏) / うな重の吸い物とお新香

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《平成24(2012)年7月29日(日)の記録》

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きざみ穴子で飲む冷酒 … 立ち飲み「やきや」(荻窪)

きざみ穴子と冷酒


 「河本」を出て、男前H氏と一緒に門前仲町あたりの酒場を見て歩き、地下鉄東西線に乗り込むと、中央線直通で30分ほどで荻窪に到着。今日の6軒目は、八戸直送のイカ料理を中心としたつまみが、ほぼ170円均一の立ち飲み屋、「やきや」です。

 店内はL字の奥に向かって長い立ち飲みカウンター主体で、一番奥に何席かの椅子席があります。この空間を女将と、板前の中(ちゅう)さん(=中条さん)、そして手伝いの方が一人入って3人体制。今日の手伝いは、「野暮酒場」まで一緒に飲み歩いていたゆりちゃんです。ちゃんと小岩から戻って来れたんですね。

 土曜日、午後8時の店内は、比較的ゆったりとした状態。カウンターの中央部に陣取って、冷酒(北の誉、250円)と刻み穴子(170円)を注文します。刻み穴子には千切りのキュウリも添えられて、冷酒とともに、いかにも夏らしい組み合わせですが、両者とも、年中楽しむことができる定番メニューです。

 「やきや」の飲み物は、日本酒(1合250円)は「北の誉」(小樽)。冬場は自動燗づけ器で、燗もつけてもらえます。にごり酒(1合2270円)は同じく、北の誉酒造の「親玉」です。ホッピーはセットで320円、ナカ、ソトはともに160円。ビールはアサヒで、中瓶、中ジョッキともに380円。ウーロンハイ、レモンサワーがそれぞれ280円。そしてウイスキー水割(ブラックニッカ300ml瓶)が380円というラインナップ。

 ホッピーの320円(ナカ・ソトともに160円)と、ウイスキー水割300ml瓶が380円というのは安いですよね。ウイスキー水割瓶のアルコール度数は10%。おいしい水で前割りした状態で貯蔵されている水割りは、香りも味わいも良くて、おすすめです。

 フランク串(170円)も炙ってもらって1時間ほどの滞在。お勘定は590円でした。どうもごちそうさま。

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「やきや」 / 店頭のメニュー / フランク串

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《平成24(2012)年7月28日(土)の記録》

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マグロのかけじょうゆ … 「河本(かわもと)」(木場)

マグロのかけじょうゆ


 午後5時ごろ「野暮酒場」を出て、男前H氏と二人で、JR小岩駅経由で木場の「河本」を目指します。

 小岩から見ると、木場は南西の方角にあるのですが、その方面に真っすぐに向かえる路線はなく、逆方向(南東)に西船橋まで行って、そこから地下鉄東西線で西へと向かうのが、早くて楽なコースです。

東京スカイツリー おぉ。木場駅から永代通りを左に折れて、「河本」に向かう道からは、振り返ると真正面に東京スカイツリーが見えるんですね。

 のれんをくぐり、開けっ放しの入口から店内に入ったのは午後6時20分。土曜日は7時までの営業なので、ギリギリ間に合ったって感じですね。

 さっそくホッピー(400円)をもらって乾杯し、煮込み(300円)を注文すると、煮込みはすでに売り切れ。

 ホッピーと煮込みは、この店の2大名物。

 なにしろホッピーが誕生した昭和23(1948)年以来、今日まで、ずっとホッピーを出し続けている酒場なんて、他にはほとんどないんじゃないかなぁ。

 そして煮込みは、牛腸とコンニャクだけの、とてもシンプルな牛もつ煮込み。こってりと濃厚なその味わいは、ホッピーに実にぴったりなのです。本当に残念でした。

 それじゃあ、と煮込みの代わりに注文したのは、“やっこさん”の小(100円)と“かけじょうゆ”(400円)。

 “やっこさん”は冷奴のことで、大(200円)なら1丁、小(100円)なら半丁の豆腐が、お皿でドンと出され、それとは別に醤油と薬味の入った小皿を出してくれます。

 “かけじょうゆ”は、マグロのぶつ切り。“かけじょうゆ”という言葉のとおり、こちらは醤油をかけた状態で出してくれます。

 女将・河本眞寿美(かわもと・ますみ)さんのお元気な様子にひと安心して、お勘定は二人で1,300円。どうもごちそうさま。また来ますね!

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「河本」 / ホッピー / やっこさん小

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《平成24(2012)年7月28日(土)の記録》

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遠藤哲夫さんにご挨拶 … 「野暮酒場(やぼさかば)」(小岩)

梅割り


 立石で「宇ち多゛」、「ゑびす屋食堂」、「二毛作」と3軒をハシゴしたあと、京成線で江戸川まで出て、今日の4軒目は、ライターの田之上信(たのうえ・まこと)さんが小岩に開いた「野暮酒場」です。

 田之上さんのツイッターの自己紹介によると、『東京の東のはずれ、小岩にある闇酒場。厳選した旬の安酒と、厳選した普通のカワキモノをご用意。営業は不定期、店主の気まぐれ気分しだい』という面白い酒場。

 京成・江戸川駅からは歩いて20分ほど、JR総武本線・小岩駅のほうが近くて、でも歩いて15分ほどかかるという、ちょっと不便な立地条件が、これまた闇酒場らしいところです。

「となりが『野暮酒場』なんですけど、ここでおつまみを買っていきますから」

 と、交差点の角にある「肉の津南」に入っていくのは、「野暮酒場」の常連でもある、ゆりちゃん。「野暮酒場」には缶詰や乾き物しかないので、他の料理が食べたいときには、ここで買ってから店に入るんだそうです。

 「野暮酒場」の開店準備のため、我われより一足先に立石を出た田之上さん。金宮の前掛けをビシッと締めたら、あっという間に店主らしい雰囲気になりました。

 「肉の津南」で仕入れてきたアジフライやポテトフライ、唐揚げ、シューマイ、マカロニサラダなどをつつきながら、各自の好みで梅割り(200円)や、地ウイスキーのハイボールなどをちびりちびり。

 そこへ入ってこられたのは「大衆食堂の詩人」、エンテツさんこと遠藤哲夫さんです。エンテツさんは、この店によくいらっしゃっているそうなのです。

 10年ほど前に、新杉田(横浜市)の大衆食堂「さかえや食堂」で飲んだ話を書いたところ、それをエンテツさんが、ご自身のサイト「ザ大衆食」で取り上げてくださったのでした(→こちら)。それ以来、ずっとお会いしたいと思っていたのですが、やっとそれがかないました。

 ちょっと過激な言い回しの裏側に、大衆食堂・大衆食への愛があふれるエンテツさんの文章。実際にお会いしたエンテツさんも、にっこりととても穏やかな方でした。

 エンテツさんの近著「大衆食堂パラダイス!」(ちくま文庫)も愛読しております!

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つまみは「肉の津南」で買う / 酒場本がずらり / 缶詰は各200円

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地ウイスキー / 小上がりから見た店内 / 「津南」で買ってきた料理

店情報

《平成24(2012)年7月28日(土)の記録》

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店情報: 「野暮酒場(やぼさかば)」(小岩)

    「野暮酒場」メニュー
  • 店名: 野暮酒場
  • 電話: 03-3672-6564
  • 住所: 133-0052 東京都江戸川区東小岩5-27-8
  • 営業: 不定期営業
  • 場所: JR総武本線・小岩駅を南口ロータリー側に出て、ロータリーの左向こう側、「ふれあいの街・サンロード」というゲートのある商店街(果物屋「やまとみ」と、とんかつ「さぼてん」の間の道。狭いながらもバス道路)を道成りに進むこと約12分(650m程)。途中、330m地点で柴又街道を渡り、500m地点左側にある小岩警察署や、560m地点右手角のセブンイレブンも通過して、650m地点の「東小岩6丁目」信号交差点に至る。この「東小岩6丁目」信号交差点を右折し、2ブロック(約2分、100m程)進んで、交差点の先、左手角に「肉の津南」が見えたら左折。「肉の津南」に向かって左どなりが「野暮酒場」。(JR小岩駅から徒歩約14分、800m)
    京成本線・江戸川駅からは、南側に出て約4分(240m地点)で蔵前橋通り(「江戸川」信号交差点)を横断歩道橋で渡って、千葉街道に入り、をひたすら南下。650m地点(約12分)左手の小岩小学校を通過しさらに南下。左手のコンビニ「スリーエフ」の先の信号交差点(900m地点、約16分)を右折し、60mほど先の五差路を右斜め前方へ。さらに100mほど進み、右手角に「肉の津南」がある角を右折。2軒目(「肉の津南」のとなり)が「野暮酒場」。(京成・江戸川駅から徒歩約20分、1,100m)
  • メモ: ライター・田之上信(たのうえ・まこと)さんが開いた面白い酒場。今日もニコニコ現金前払い。ホッピー(白・黒)350、外(ソト)200、中(ナカ)150、ビール(小)350、元祖ハイ250、梅割り200、ハイボール250、黒糖焼酎200。缶づめ(各種)200、チーズ50、柿ピー50、のり50、ギョニソ100。常連さんはとなりの「肉の津南」で、唐揚げやフライ、シューマイなどを仕入れてやってくる。(2012年7月調べ)

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酒もよし!肴もよし! … おでん「二毛作(にもうさく)」(立石)

西村さんと日高さん


 立石での3軒目は、平成19(2007)年創業の若き人気店、「二毛作」です。平行カウンター10席に、小さなテーブル席1卓4席の狭い店内は、いつ行っても満席状態です。

 もともとは「丸忠蒲鉾店」が昼の営業を終えたあと、夜の部として、おでんを売る酒場を開いたので、「二毛作」という店名だったのですが、5年前に今の場所に店舗を構えて、本格的な酒場としての営業が始まりました。

 今はおでん以外の料理も大人気で、飲み物の品揃えもいい。店を切り盛りしている日高寿博さん(写真右)と西村浩志さん(同左)の存在も、女性客が多い理由なんでしょうね。

 ライムの代わりに、スライストマトが入ったジントニックである「イマちゃんハイ」(400円)をもらって乾杯し、つまみには、この店ならではの「おでんのトマト」(400円)や「青のりのおでん」(200円)に加えて、日替わりの手書きメニューからは「生本マグロ刺」(800円)と「カツオのタタキ」(700円)を選ぶと、そのマグロやカツオのすばらしいこと! これは日本酒ですね!

 ちなみにその他の今日のメニューには、マグロの二色山かけ(500円)、徳島産・岩ガキ(800円)、北海道・うに刺(950円)、青柳刺・なめろう(700円)、地だこの桜煮(800円)に加えて、冷奴(250円)、フルーツトマトのカプレーゼ(600円)、しじみの味噌汁(300円)、カリーライス(500円)、うでん(=おでんの出汁で作ったうどん、700円)もラインナップされています。

 この今日のメニュー以外に、定番メニューとして、30種類以上の品数を誇るおでん(各100~200円)や、牛すじ煮込み(400円)、自家製ぬかづけ(300円)、世界のナチュラルチーズ(ハード、セミハード、白カビ、青カビ、ウォッシュなど。単品400円・盛り合せ800円)などもあって、メニュー選びに迷います。

 1時間半ほどの滞在。お勘定は5人で1万円(ひとり2千円)でした。どうもごちそうさま。

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「二毛作」 / おでん鍋 / お通しのブリ大根煮

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イマちゃんハイ / カツオのタタキ / おでんのトマト

120728s 120728t 120728u
青のりのおでん / 発泡薄にごり酒 / 生本マグロ刺

店情報前回

《平成24(2012)年7月28日(土)の記録》

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