ひと味違う、呉ビール … ビヤハウス「オオムラ亜(おおむらあ)」(呉)
ビヤハウス「オオムラ亜」で出される生ビールがひと味違う理由は、氷冷式のサーバーと、スイングコックの注ぎ口にあります。
生ビールの樽は冷蔵庫内に置かれ、チューブで氷冷式サーバーへとビールが送られます。
サーバーの中には、専用の氷が上に置かれた熱交換器があって、この中をのばすと15mあるというチューブがくねくねと通っていて、そこを通過する間にグッと温度が下がります。
実は、現在の生ビールサーバーも、原理としてはこれと同じ。氷で冷やすかわりに、電気冷蔵庫と同じような仕組みで冷されます。
現在のサーバーともっとも違うのは、注ぎ口のスイングコック。簡単に言ってしまえば、単なる蛇口で、開ける、閉めるの操作ができるだけ。今のサーバーのように「泡だけ出す」なんていう器用なことはできません。
このスイングコック。炭酸の抜けがいいのか、すごくマイルド(に感じるよう)なビールが注げるのが最大の特長。最大の欠点は、その裏返しで大量の泡が出ることです。
「オオムラ亜」の前身である「オオムラ」の店主は、お客に出すジョッキよりひとまわり大きい、泡専用のジョッキを用意することによって、この欠点を克服しました。
大量の泡となったジョッキから、専用のナイフで切るようにしながら、その泡を泡専用のジョッキに移し、泡が少なくなったジョッキに、さらにビールを注ぎ、そのときまた出た泡も、ナイフで泡専用のジョッキに移す。
これを2回、3回と繰り返すうちに、泡専用のジョッキの中の泡が落ち着いてきて、大きな泡はなくなり、きめ細かい、濃厚な泡だけが残ってきます。これをお客に出す側のジョッキの上部に、静かに戻せばできあがり。
「オオムラ亜」の店主・實兼亜矢(じつかね・あや)さんも、この手法をしっかりと継承されていて、『シルクの泡』とも呼ばれる、抜群の口当たりのサッポロ生ビール(500円)を提供してくれます。
「いつものサッポロ生ビールも、もちろん美味しいんだけど、日本に何台かしか残っていない(と思われる)サーバーなので、他のビールもこのサーバーで飲んでみたいよね」
他の常連さんたちと、そんな話をしながら飲んでいたら、今日はなんと、その夢が実現。
呉ビール株式会社のご協力を得て、呉の地ビール「海軍さんの麦酒」を、このサーバーで飲ませていただけることになりました。
1樽めとしてサーバーにセットされたのはピルスナー。いつものジョッキではなくて、それよりは小さめの、生ビール用のグラス(琥珀エビス用のもの)に注がれます。
おぉ。ポコンと盛り上がった泡の、しっかりしていること! これだけで美味しそう!
今日は、呉ビールの醸造部責任者・佐々木雅治(ささき・まさはる)さんも来てくれて、呉ビールに使う麦芽(ばくが)やホップなども見せて&食べさせてくれました。麦芽って、これだけでいいつまみになるんですね。
呉ビールの水は、呉の名水のひとつ、灰ヶ峰(はいがみね)の湧水。呉の地酒「千福」に使われている水と同じものです。
ピルスナーの樽が空いて、2樽めはヴァイツェン。呉ビールの中でも、ビール好きを自認する人たちからの人気が高い銘柄です。フルーティな香りが特徴です。
これまたグイグイと飲めてしまって、危ないなぁ。このサーバーで注ぐと、どのビールも喉のとおりがすごく良くて、困ってしまう。
2樽めもワイワイと空いてしまい、3樽めは焙煎麦芽などを使って造られた、濃い褐色のビール、アルトが出されます。
呉ビールでは、これら3種の他にも、白く濁った感じのケルシュや、アルコール度数9%とちょっと強めのバーレーワイン、さらに限定生産の呉吟醸ビールなども造っています。
予想どおり、このサーバーで注いだ「海軍さんの麦酒」はひと味違いました。こういう企画、ときどきやってもらいたいですね。
スイングコックのビアサーバー / 呉ビールの佐々木さん / 焙煎麦芽とピルスナー麦芽
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