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2012年12月

呉の三大大衆食堂巡り … 「森田食堂(もりたしょくどう)」(呉)ほか

森田食堂の中華そば


 旅行好き、居酒屋・バー好きで、太田和彦さんの「居酒屋味酒覧」掲載店もほぼ制覇したという、愛知県在住のKさんが来呉され、一緒に呉の酒場を巡ります。

 Kさんは昨夜から広島にいらっしゃっていたのですが、私に仕事関係の飲み会が入っていてご一緒することができず、一夜明けて今日、呉で飲むことになったのでした。

 朝9時に呉駅前で待ち合わせて、まず向かったのは、朝6時から開店している、お酒も飲める大衆食堂、「くわだ食堂」です。

 大瓶ビール(550円)をもらって、冷蔵陳列ケースから取ってきたのは、Kさんも私もとろろ汁(150円)。昨夜の酒の影響が尾を引いていて、こういう流動系のつまみがいいんですね。豚汁(290円)もいただきます。

 ビールに続いては燗酒(白牡丹300円)をもらって、朝からすでに全開です。

 1時間ほどで「くわだ食堂」を出て、まっすぐに中通1丁目まで進み、左に折れると、そこが「BAR ANCHOR」。通りを北上に連れて、「どん底」「關白」「第三鳥八」「いせ屋」「迷亭」「シロクマ」が(朝なのでまだ開いていないけど)次々に現れて、れんが通り北出口に到達します。

 今日の2軒目は、お食事処「寿」です。

 朝10時開店の「寿」は、ついさっき開店したばかり。なのにもう先客のおじさんたちが飲んでますねぇ。さすがです。

 我われもテーブルのひとつに座り、煮魚をつまみに燗酒(千福400円)。ちょうどできあがってきた、ふわりと温かい玉子焼き(150円)も、運んでる途中でもらいます。

 客全員が朝から飲んでるというのがすばらしい。いかにも週末らしいのんびり感です。

 さらに酢物(150円)ももらって、私が燗酒をおかわりするタイミングで、Kさんは芋焼酎(黒霧島450円)の湯割に切り換えます。

 これまた1時間ほどの酒場浴を楽しんで、うどん屋ながら、ここも飲んでるお客がほとんどという「よしのや」の横を通って、蔵本通りへ。「夕方になったら、ここに屋台が出るんですよ」と、昼間はなにもない屋台街を南下して呉港へ。ここには大和ミュージアムや、てつのくじら館があります。

 そこからちょっと呉駅方面に戻った、土産物屋の2階にあるのが「呉蔵元屋」。ここは広島の地酒専門店で、ほぼ全品が、1杯50円から試飲できるのです。ここで、それぞれ10種ほどの地酒を試飲してから呉駅方面へ。

 大正2(1913)年創業、来年で創業来100周年を迎える、呉の最老舗大衆食堂、「森田食堂」に入ったのは、午後2時前です。

 名物の湯豆腐(300円)や刺身(500円)をつまみに、「華鳩」の冷酒(300ml瓶600円)をいただきます。

 今日はたまたま、女将・森田鈴子さんの娘さんもお客さんとしていらっしゃっていて、お話を聞かせていただくことができました。

 最後に、Kさんは、これまたこの店の名物、いりこ出汁がよく効いた中華そば(400円)を、私はうどん(300円)をもらって〆。

 Kさんは、呉駅から帰途につかれます。

 朝9時から、午後3時過ぎまで、たっぷりと6時間以上の、昼間の呉酒場めぐり。私自身にとっても初めての呉三大大衆食堂ハシゴ酒となりました。長時間おつきあいいただき、本当にありがとうございました。>Kさん

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「くわだ食堂」とろろと豚汁 / 「寿」さば煮、玉子焼き / 煮魚

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「森田食堂」 / 名物の湯豆腐 / うどん(いりこ出汁に細うどん)

・「くわだ食堂」の店情報前回) / 「寿」の店情報前回) / 「森田食堂」の店情報前回

《平成24(2012)年12月1日(土)の記録》

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連載で書けてないこと … 炭焼「鳥平(とりへい)」(呉)

耐火煉瓦で囲んだオリジナル焼き台


 月刊「くれえばん」の取材で、昭和47(1972)年に呉初の関東風炭火焼き鳥の店、「鳥平」にやってきました。カウンター13席+座敷38席の店内を、濱井正記さん(大将)・幸恵さん(女将)夫妻と、息子の俊行さん(二代目)に、アルバイトの女性1~2名が加わって切り盛りしています。

 ここでは、現在発売中の「くれえばん2013年1月号」で、字数の関係でご紹介することができなかった内容について、ご紹介したいと思います。「くれえばん」の記事と合わせてお読みいただけると完璧な情報になります。

 まずは定番のお通しである漬物とじゃこおろし(二つで315円)。漬物(なす、きゅうり、大根)は大正14年創業の老舗・中元本店のもの、じゃこおろしには音戸ちりめんを使っています。これで千福(上撰1合450円)を飲めば、すべて呉のものということですね。

 鶏は、特に銘柄指定はないそうですが、九州産のフレッシュ(=冷凍ではない)もの。

 そして「鳥平」ならではのものが、大将が独自に考案したという窯(かま)。これは炭火焼きの焼き台を、耐火煉瓦で囲って、専用の吸排気設備を付けたもの。夕方3時ごろに火を入れて、営業開始までに窯の内部全体が火傷しそうなほどカンカンにあったまったら、あとは炭をちょっとずつ継ぎ足し継ぎ足ししていくので大丈夫なんだそうです。

 この焼き台には、ずらりと並べて串が17~18本くらい、手羽先だと8本くらいを並べることができます。きっちりと細部まで目配りしながら焼き上げられる本数です。

 炭は、以前は県北の布野村(現在は三次市布野町)で焼いてもらっていたのですが、焼き手がいなくなって、現在はやむなく市販のものを使っているそうです。昔に比べたら、市販の炭も少しは使えるようになってきたのですが、やっぱり違うそうで、大将は満足がいっていません。焼いてくれるとこがあったらと思って探しているんだけど、まだ見当たらないんだそうです。

 そしてその焼き台で、大将がパタパタとあおいでいるうちわ。このうちわは、火をおこしたり、火力を強くするためにあるわけではありません。焼き台で焼き鳥を焼いていると、油が落ちて煙が上がる。これが焼き鳥にあたると真っ黒になってしまう。そうならないように、うちわであおいで、その煙を逃がしているのです。

 このうちわも、竹の芯に和紙をはった、昔ながらの大きなものじゃないとうまくいかないらしいのですが、これも作るところが減ってきている。なんとか香川県のうちわ製造所を見つけて、そこに特注して作ってもらったのが今使っているうちわです。

 基本的には大将が焼き台を守り、二代目がカウンターの中で店全体に目を光らせ、女将さんが奥の厨房にいて、カウンターの外をアルバイトの女性が担当。

 できたて熱々の焼き鳥は、大将が窯の上の皿に置き、それを二代目がカウンターの客に届けます。座敷席の客には、二代目がカウンター越しに外の女性に渡し、女性陣が席まで届けます。

 お客さんの食べる状況を見ながら、二代目から大将に「ゆっくりめに」などと声が飛びます。「ゆっくりめに」というのは、お客さんの食べるペースに合わせながら、できるだけタイミングよく焼き鳥が出せるようにという配慮なのです。

 一口鍋(1,050円)は、冬場のみ出される一人用の鳥鍋で、ポン酢醤油でいただきます。メニューには載っていませんが、鍋を食べ終えると、プラス450円(=お茶漬けと同じ値段)で雑炊にしてもらうことができます。

 食事が終わったら、最後に、お茶代わりに鶏スープがサービスされるのですが、この鶏スープ、仕込みは朝の8時半ごろから始まり、鶏ガラを熱湯で一気にあくぬきして、ゆすいで改めて水を入れて、いろいろと野菜を加えてまた煮込む。開店前にそれをこして、やっと鶏スープができあがります。スープだけでも5~6時間かかっているのです。

 最後の最後に、女性客だけへのサービスで、レモン・シャーベットを出してくれます。

 この店の焼き鳥は、日本酒とぴったりと合って、今日は改めて「焼き鳥は和食なんだなぁ」ということを再認識することができました。

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お通しの漬物とじゃこおろし / 鳥平コース12本 / この7本を加えると全19種

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季節の飲み比べセット / 冷蔵庫に並ぶ地酒やワイン / カウンターには焼酎

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窯内部の焼き台 / 一口鍋 / きじ丼は〆の一品として大人気

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雑炊は鍋のあとのみ可 / 鶏スープ / 女性にはレモン・シャーベットも

店情報前回

《平成24(2012)年11月29日(木)の記録》

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飴色に旨い煮込み大根 … やきとん「弐ノ十(にのじゅう)」(都立家政)ほか

煮込み大根


 『勤労の日』から始まる三連休で、都内の自宅へ。金曜日に帰宅することは珍しいので、ぜひ「竹よし」に行って、久しぶりにチクちゃんの顔も見てみたいと思っていたのですが、残念ながら今日は臨時休業。

 近所の飲み仲間・にっきーさんと連絡を取り合って、「弐ノ十」に行くことにします。

 東京に帰ってきたら、やっぱりもつ焼きは食べておきたいですもんねぇ。

 そして飲み物も、もちろん三冷(さんれい)白ホッピーからスタートです。

 三冷白ホッピーというメニュー表記はなく、メニューの「ホッピー」というコーナーには、セット380円、ナカ250円、ソト250円という、三つの表記があるのみ。

 普通に「ホッピーください」と注文すると、氷と焼酎を入れたジョッキと、それとは別に瓶入りホッピー(白ホッピーのソト)を出してくれます。このソト1本で、ナカ(焼酎)が2~3杯いけるのです。より安く、ビアテイストの焼酎を飲もうという、呑ん兵衛の知恵から生まれた飲み方なんでしょうね。

 しかしながら、ホッピーの製造元であるホッピービバレッジが提唱している『ホッピーの飲み方』は次の2ステップからなります。

STEP1: ホッピーと甲類焼酎(25度)をよく冷やし、ジョッキは冷凍庫で凍らせる。

STEP2: 焼酎、ホッピーの順に注ぐ。割合は1:5.泡が立つように勢いよく注ぎ、かきまわさないのがコツ。アルコール約5%のホッピーができあがる。

 この飲み方を三冷(さんれい)と言います。ホッピー、焼酎、ジョッキの三つを冷やすので、昭和40年代後半ごろから、そう呼ばれるようになったんだそうです。

 「弐ノ十」もそうですが、「秋元屋」系の店では、ホッピーの標準スタイルは、氷入りで、ソト1に対してナカ2~3いける飲み方。そのかわり、あえて「三冷で!」と注文すると、ホッピービバレッジの提唱するおいしい飲み方のホッピーを出してくれるのです。

 つまみのほうは、まずはレバ、テッポウ、ハラミ(各100円)を、それぞれ味噌焼きで注文し、焼き上がりを待つ間にガツ酢(300円)をもらいます。

 焼き物は、焼き始めればすぐにできるのですが、今日も店は満席模様なので、焼き台にのるまでの順番待ちがたいへんなのです。

 ガツ酢は、その名のとおりガツ(豚の胃袋)の酢物なのですが、白ゴマと刻みネギがトッピングされ、練り辛子が添えられます。

 焼き物が出たところで、今度は三冷黒ホッピー(同じく380円)をいただきます。

 続いてもらった煮込み大根(200円)は、もつ煮込み(350円)の鍋で、もつと一緒にじっくりと煮た大根。同じように、煮込みの鍋で一緒に煮たゆで卵を、煮たまご(100円)として、また豆腐を、煮豆腐(200円)として出してくれ、それぞれ人気の品です。

 常連さんたちとの会話もはずみつつ、さらに山イモしょうゆ漬(200円)をつまみに、バイスサワー(380円)をもらって終了。

 もちろんこのまま終わるはずはなく、二次会は、これまた久しぶりの「満月」へ。行った時間が早かったので、今日はママさんにも会うことができました。

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新幹線では穴子づくし弁当 / やきとん「弐ノ十」 / 三冷白ホッピー

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ガツ酢 / レバみそ / テッポウみそ

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ハラミみそ / 三冷黒ホッピー / バイスサワー

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山イモしょうゆ漬 / 「満月」 / トマト割り(300円)

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カレイ煮魚(500円) / グラタン(450円) /

・「弐ノ十」の店情報前回) / 「満月」の店情報前回

《平成24(2012)年11月23日(金)の記録》

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呉観光のお勧めコース … 田舎洋食「いせ屋(いせや)」(呉)

「いせ屋」のカツ丼


 松山からやって来た母と、東京からやって来た妻(といっても呉出身)と3人で、朝から呉観光に出かけます。

 土日祝日に呉を観光するならば、絶対におすすめなのが『くれたん・市バス限定エリア1日乗車券』(400円)を購入すること。

 この券を買っておけば、呉探訪ループバス『くれたん』(1乗車150円)に乗り放題で乗れるし、市内中心部(市街地から音戸の瀬戸あたりまで)の路線バス(1乗車150円から)も乗り放題。さらに市内の協賛飲食店での各種サービスを受けることもできるのです。

 呉観光の目玉のひとつである「大和ミュージアム」や、隣接する「てつのくじら館(海上自衛隊呉史料館)」には昨日行ったので、今日はもう行きませんが、1日乗車券があれば、大和ミュージアムも100円引き(通常500円)になります。(「てつのくじら館」は、もともと無料なので変わりません。)

 今日はまず路線バスで総監部前まで行き、毎週日曜日に一般公開される、海上自衛隊呉地方総監部(旧呉鎮守府)の赤レンガ庁舎を見学。また路線バスで1バス停分(ただし上り坂なので歩くときつい)移動して、峠のてっぺん(子規句碑前・歴史の見える丘)から、戦艦大和を建造したドックを見たあと、またバスで3バス停ほど移動して、潜水隊前(アレイからすこじま)で、桟橋に停泊している最新鋭潜水艦を見学。日曜日には艦艇(水上艦)も一般公開されているので、ご興味のある方はぜひどうぞ。

 昼どきになったので、ちょうどやってきた「くれたん」バスで中通3丁目(れんがどおり)まで戻って、今日の昼食は田舎洋食「いせ屋」で、名物のカツ丼をいただきます。

 カツ丼といっても、丸い平皿(カレー皿)にご飯を盛り、その上に皿と同じくらいの大きさのビーフカツ(縦横にひと口大にカットしている)をのせ、デミグラスソースをかけたもの。普段は1,200円のところ、1日乗車券があれば100円引きの1,100円です。

 食後は、また中通3丁目のバス停まで戻ってきて、すぐ近くの「海軍さんの珈琲」でおなじみの昴珈琲店の店頭で、紙コップに注いでくれるコーヒーを1杯。喫茶店で飲めば500円くらいはするコーヒーを1杯100円で出してくれるのがうれしいではありませんか。しかも1日乗車券があれば、なんと無料で1杯飲ませてもらえるんだそうです。(後で気がつきました。)

 ここから「くれたん」のボンネットバスに乗り込んで、入船山公園(入船山記念館)に向かいます。入船山公園から中通3丁目は、「くれたん」の1バス停区間なのですが、「くれたん」は1方向にしか回らないため、中通3丁目から入船山公園に向かおうとすると、「くれたん」をほぼ1周しないといけません。

 ところが「くれたん」にはボランティア・ガイドの方が乗っていて、車内アナウンスで、各観光ポイントのガイドをしてくれるので全然飽きないんですよねぇ。

 母が乗る予定の松山行フェリーの時間ぎりぎりまで入船山記念館を見学して、昨日、今日の呉観光を終えたのでした。

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海上自衛隊呉地方総監部 / アレイからすこじま / 呉探訪ループバス

店情報前回

《平成24(2012)年11月18日(日)の記録》

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松山から母が出てきて … 料理屋「灘(なだ)」(呉)ほか

さざえ香りバターやき


 松山から母がやってきて、呉観光をしたあと、夕食は料理屋「灘」に向かいます。

 平成12(2000)年に、店主・灘佳憲(なだ・よしのり)さんが創業したこの店は、平成20(2008)年5月に現在の場所に移転。

 店名に“料理屋”と冠してあるとおり、この店の売りはなんといっても料理。お酒は、その料理を美味しくいただくための脇役的な存在ながら、料理の味をより盛り立てるように、少数精鋭のいいお酒がそろっています。

「若い人たちも気楽に食べに来れるような、敷居の低い和食店にしたいんです。」

 店主・灘さんがそう話してくれるとおり、この店には社用族は少なくて、ひとり客が多い。毎日のようにやってくる常連さんもいて、客層が老若男女幅広いのが名店の証ですね。

 まずは生ビールで乾杯し、料理はお造り(刺身)の盛り合わせからスタート。お造りが出たところで、飲み物も広島は西条の地酒、「賀茂泉」を燗でいただきます。

 2品目は、店主自慢の洋風創作料理の中から、サザエの香りバター焼きをいただきます。

 香りバターというのは、みじん切りにしたパセリとニンニクをバターに混ぜ込んだ、エスカルゴ・バターのこと。サザエの香りバター焼きは、カタツムリで作るエスカルゴの代わりに、サザエを使った料理なのです。

 サザエもまぁ、海にいる大きなカタツムリみたいなものなので、エスカルゴ・バターとの相性も抜群。ギュッとしっかりしたサザエの弾力感は、エスカルゴよりもいい感じ。

 フランスパンのトーストを添えてくれるので、それにエスカルゴ・バターをかけて、美味しいソースを残さずいただけます。

 続いても人気の創作料理、海老サンド揚げです。名前のとおり、海老を薄いパン生地で包んで、からりと揚げたもの。レモンをちょいと搾りかけて、塩でいただきます。

 そうそう。この店では、カキフライも、薄いパン生地で包んで揚げてくれるんですよねぇ。海老サンド揚げも、カキフライも、このパン生地の揚げ物が実にうまいんだ。

 そろそろお腹も満ちてきて、ここからは珍味をつまみに、引き続き燗酒です。

 まずは丹波の黒豆。枝豆と同じようにさっとゆでていただくのですが、ぷっくりとふくらんだ豆の味わいがものすごく濃厚です。

 そして、うるか。鮎の塩辛ですね。かなり苦味があるのですが、その苦味が旨みにつながって、日本酒との相性は抜群です。

 最後は海鮮おこげで〆て、ごちそうさま。

 この後さらに、呉で最初のスタンドバー「どん底」から、新進気鋭の人気オーセンティックバー「アンカー」へとハシゴ酒。広島での同窓会に行っていた妻(呉出身)も帰ってきて、最後は屋台の「八起」で呉酒場めぐりの〆としたのでした。

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「灘」お通しの鮎 / 盛り合わせ造り / 海老サンド揚げ

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丹波黒豆 / うるか / 海鮮おこげ

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「どん底」 / 竹鶴17年ロック / お通しの枝豆

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「アンカー」ジャックローズ / チャーム(お通し) / 炒りたて生アーモンド

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屋台「八起」 / おでん / わんたん

・「灘」の店情報前回) / 「どん底」の店情報前回) / 「アンカー」の店情報前回) / 「八起」の店情報前回

《平成24(2012)年11月17日(土)の記録》

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東京から妻が出てきて … 伊酒屋「ヴェッキオ(Vecchio)」(呉)

旬野菜のバーニャカウダ


 東京から妻がやってきて、夕食は伊酒屋「ヴェッキオ」に向かいます。

 平成19(2007)年にPANビル内に開店したこの店は、呉生まれの店主・古家裕隆(ふるや・ひろたか)さんご自身が酒好きということもあって、『居酒屋のような気楽さで楽しめるイタリアン・レストラン』というのがコンセプト。店名に“伊酒屋”と冠してあるところからも、その心意気がうかがえます。

 お店の大きな特徴のひとつが、店内にでんと据えられた大きな石窯(いしがま)。くべる薪(まき)の量で温度調整しながら、ピザや野菜を焼いてくれます。

 シンプルに焼き上げるだけの料理なので、野菜も魚も肉も、いいものを仕入れています。

 今日は野菜を中心にいってみようということで、まずは静岡産ポットベラ(肉厚マッシュルーム)のバターソテー(800円)と、旬野菜の石窯焼きを、おまかせ5種盛り(1,100円)でお願いすると、大分のシイタケ、北海道のカボチャ、岩国のレンコン、東広島のマイタケ、そして種子島の安納芋(あんのういも)を焼いて出してくれました。

 シンプル・イズ・ベスト。藻塩をつけて食べるだけの、この野菜のおいしいこと!

 とはいうものの、その焼き方にしても、単に石窯の中に野菜を転がしているだけではありません。1品ごとに、場所を変えたり、網にのせて焼いたり、皿で焼いたりと、その様子を見ているだけでも飽きないくらい、石窯と格闘しながら焼き上げてくれるのです。

 続いても、この店の定番の人気メニュー、旬野菜のバーニャカウダ(1,000円)です。今日の野菜はアスパラ、カリフラワー、ブロッコリー、キュウリ、チコリ、ミニトマトなどなど。これをアンチョビのよく効いたソースに絡めていただくと、ワインが進むこと!

 真鯛のカマの石窯焼き(600円)をもらったところで、もう満腹。本当はピザもパスタも食べたかったのにとても残念です。

 そうそう。この店のもうひとつの大きな特徴は、すべてのワインを、グラスワインとしてもらうことができること。少人数の場合でもいろんなワインを楽しめるように、というのが店主・古家さんの方針なのです。

 今日もいろんな種類のワインを、あれこれといただいて、お勘定は二人で8,700円(一人当たり4,350円)でした。ごちそうさま。

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ポットベラのバターソテー / 石窯 / 旬野菜の石窯焼き / 真鯛カマの石窯焼き

店情報前回

《平成24(2012)年11月16日(金)の記録》

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塩でいただく鰻の白焼 … 「うな重一番(うなじゅういちばん)」(安浦)

塩でいただく鰻の白焼


 前回、爆発的においしいうな重をいただきながらも、『予約時に言っておかないと、その場で追加注文することはできない』という、この店のローカルルールを知らず、残念な思いをした「うな重一番」。

 その時に「実は11月ごろのうなぎが美味しいんですよ」と教えていただいて、11月になるのを待ちかねるように電話予約。

「8人で伺います。それぞれ白焼き1人前と、うな重2人前ずつお願いしたいんですけど」

 と勢い込んで申し出たところ、

「それはちょっと多すぎるんじゃないの?」

 と女将さん。調整の結果、白焼用のうなぎは、うな重用のうなぎよりも大きいものを使うので、ふたりに1人前ずつ。うな重は人数分にして、そのかわり、おかわりもできるように、うなぎを2尾、別枠で取っておいていただけることになりました。

 そして迎えた今日この日。まずは自分たちで持ち込んだ缶ビールで乾杯して、うなぎの出を待ちます。(この店には酒類は置いていませんが、持ち込みは可能なのです。)
【2014年12月追記:現在は酒類の持ち込みは不可です。】

 最初に出たのは、前回と同様、うなぎの肝のタレ焼きが、ひとりに1個ずつ。ここで、これまた持参の日本酒に切り換えます。トロリとした肝には、絶対に日本酒ですね!

 さぁ、そして! 今回初めていただく、うなぎの白焼の登場です。こっちのうなぎは、東京のうなぎのように蒸すことはしません。表面はさっくりと香ばしいのに、中はジューシーで、やわらかいのが大きな特長です。

 安浦の町づくり情報誌「TANTO」によると、「うな重一番」の店主・小谷義人さんは、兄の小谷智代登さんとともに、呉市を流れる広大川で稚魚(しらす鰻)を獲ってきて、それを安浦の水(野呂山の伏流水)で育てるという、「呉うなぎ」の養殖に成功。

 兄の智代登さんは「小谷養鰻場」を、弟の義人さんは「小谷うなぎ養殖場」を経営するとともに、平成20(2008)年に、その養殖場の横に「うな重一番」を開店したのでした。

 そんな風に育ったうなぎだからか、臭みがまったくなくて、白焼はそえられた塩だけでいただくのが一番おいしい。むっちりとした皮の部分が実にいいですねぇ!

 ちなみに白焼や蒲焼は時価で、使ったうなぎの大きさ(重量)で値段が決まります。今日は8人で4尾分の白焼きをいただいたのですが、値段も1,400円くらいから1,800円くらいまで、さまざまでした。

 熱々の間にぺろりと白焼きを食べ終えて、続いてはうな重(1,500円)です。白焼きは大急ぎで食べないと冷めてしまいますが、うな重の場合は、うなぎがごはんの上にのっているので冷めにくい。お酒の肴としていただくのに、ちょうどいいのです。
【2014年12月追記:現在は酒類の持ち込みは不可です。】

 うな重をぺろりと食べ終えた後は、取っておいてもらったうなぎで、今度はうな丼(850円)をいただきます。うな重には、うなぎ1尾がのり、うな丼には半尾がのります。

 このうな丼も、ぺろりと終了。う~む。「多すぎるんじゃないの?」と驚かれたけど、「それぞれ白焼き1人前と、うな重2人前ずつ」でも大丈夫だったかもしれないなぁ。そう思えるほど美味しいうなぎです。

 お酒もいただきながら1時間ほどの滞在。お勘定は8人で22,000円(ひとり2,750円)でした。大満足。ごちそうさま!

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まずは肝のタレ焼き / 白焼き登場 / 皮はむっちり、中はジューシー

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うな重には / うなぎ1尾分がのる / お椀はシジミの味噌汁

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うな丼には / 半尾分のうなぎがのる / デザートのフルーツ

店情報前回

《平成24(2012)年11月10日(土)の記録》

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呉のとり屋の名物料理 … 「第三鳥八(だいさんとりはち)」(呉)

活ハゲ刺


 呉ならではの酒場文化、「とり屋」。

 もともとは「本家鳥好」発祥の焼き鳥屋に端を発して、呉の人たちの好みに合わせて、店内に生け簀を置いて、活魚も食べられるようになり、のれん分けを繰り返しながら店舗数も増えてきました。店名に“鳥”の字がついている店が多いので、この系統の店を総称して、とり屋と呼ばれるようになったのです。

 とり屋に入ると、席に着くやいなやというタイミングで、「生と味噌!」と注文するのが、呉の呑ん兵衛のやり方。生は生ビール(中530円)、味噌は鶏皮の味噌煮(160円)のことです。東京のもつ煮と同じように、味噌煮は鍋でグツグツ煮込まれているものをサッと出してくれるので、出が早いんですね。

 今日は仕事仲間と6人でやってきたので、盛り串(5本790円)を人数分いただきます。盛り串の内容は、キモ、つくね、ねぎ間(もも肉と白ねぎ)、もつ(玉ひも)、そしてカツ。カツは、ねぎ間をカツにしたもので、ウスターソースをかけていただきます。

 焼き鳥に続いては、活魚の刺身を注文します。夏ならアジ(1尾1,050円)が、冬ならハゲ(カワハギ、時価だが1尾2千円程度)が大人気。今日は両方とも生け簀に泳いでいるので、両方ともいただくことにしました。

 ハゲ刺は、たっぷりの肝を醤油に溶いて、淡白な白身に、濃厚な肝醤油をからめながらいただくのがいい。燗酒にぴったりです。

 燗酒は、呉の地酒「千福」の上撰吟松で、1合が420円。「華鳩」のにごり酒もあります。

 刺身にした後の、ハゲの頭と中骨は、サッと塩焼きにして出してくれます。

 たくさん食べて、たくさん飲んで、ほぼできあがってきて、食べるペース、飲むペースも遅くなってきたところで、スープ豆腐(420円)を人数分注文すると、アルミの一人鍋が、各人の前に出されます。鶏がらスープで豆腐を煮込み、野菜もたっぷり入っているのが、この店のスープ豆腐。玉子がちょうど半熟状態になっているのもうれしいなぁ。

 お腹が空いていれば、最後に、熱々ごはんで作ってくれるおむすび(1個160円)や、お茶漬け(530円)、ぞうすい(630円)などをもらったりするのですが、今日はもう満腹。スープ豆腐で〆としたのでした。

 こんな食べ方が、呉のとり屋での定番のやり方。でも、常連さんになると、定番から少し外れて、まずトマトスライス(320円)をもらったり、ボリュームたっぷりの若鳥唐揚(630円)や、皮もおいしい手羽先唐揚(530円)。刺身も、生け簀の壁にくっついているサザエを刺身(840円)にしてもらったりしています。なにしろメニューが幅広いので、いろんな楽しみ方ができるんですね。

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 お通し(ミニ海鮮サラダ) / 味噌煮 / 盛り串(3人前)

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活あじ刺(2人前) / ハゲの頭と中骨の塩焼き / スープ豆腐

店情報前回

《平成24(2012)年11月9日(金)の記録》

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親子三代、家族で経営 … お食事処「寿(ことぶき)」(呉)

親子三代、家族で経営


 大手チェーン店やファストフード店の台頭などもあって、後継者難が続き、古くから続く大衆酒場や大衆食堂が閉店するという知らせを耳にすることが多い今日この頃。

 そんな時代の中にあって、ここ、お食事処「寿」では、昨年の7月から、昭和6年生まれの女将(藤田百合子さん《写真右から2番め》)を、息子さん夫婦(孝志さん《左端》・裕美さん《右端》)と、孫娘の愛さん《左から2番め》が手伝うようになりました。

 なんとうれしいニュースでしょう!

 嫁や孫が手伝うようになったことで、昨年末には店内も改装。女将が長年にわたり欲しかったという、中仕切りの付いた対面型カウンター席も設けられました。

 私はこの店の煮魚が大好きで、ここに来るとサバの煮付けや、タイのかぶと煮などで燗酒をいただくことが多いのですが、これらの煮物は女将さんが担当されているそうです。

 そして昨年の夏以来、陳列ケースに並ぶようになった洋風のおかずを、嫁の裕美さんが作ります。今日は手作りコロッケ(300円)に、手作りハンバーグ(350円)などなど。

 で~んとお皿にいっぱいの手作りコロッケ。でっかいし、厚みもすごいっ! これだけで大瓶ビール1本くらいはいけちゃいますね。

 手作りハンバーグには、目玉焼きがのっかっていて、小さなソースポットにたっぷりのデミグラスソースも添えられています。

 ふんわりとやわらかくてジューシーなハンバーグが、いかにも手作りらしい家庭の味でいいですねぇ。大衆食堂には、懐かしい家庭の味を求めてやってくる客も多いので、こういう温かみを感じるおかずがうれしいのです。

 さらには単品のトンカツ(400円)もつまみに飲んで、最後はこれまた、この店の人気の一品というオムライス(800円、みそ汁付き)で〆て満腹です。いつも和風のおかずばかりご紹介してきましたが、実は洋風のおかずも美味しいんだよ! というご紹介でした。

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冷蔵陳列棚の様子 / 手作りハンバーグ(陳列棚) / 手作りコロッケ(陳列棚)

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手作りコロッケ(300円) / ハムカツ(300円) / 手作りハンバーグ(350円)

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トンカツ(400円) / オムライス(800円) / 店の奥から入口側を見る

店情報前回

《平成24(2012)年11月3日(土)の記録》

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魚のモツ煮に舌づつみ … 「北吉さしみ(きたよしさしみ)」(呉・倉橋町)

魚のモツ煮に舌づつみ


 倉橋島は室尾に、「北吉鮮魚店」が営む魚主体の酒場、「北吉さしみ」があります。地元の漁師さんたちも夜な夜なやってくる酒場なので、魚の味と鮮度は折り紙つき。

 今日は職場の飲み仲間たち8人で、2台の車を連ねて倉橋島までやってきました。

 「北吉さしみ」の名物は、店名にもなっている刺身と、穴子の湯引き、そして魚の内臓も入ったあら煮(魚のモツ煮?)です。

「その3品は絶対にいただきますから!」

 数日前に席を予約する段階から、強く念押しをして、今日の日を迎えたのでした。

 呉を出発して約1時間(距離にして30キロ弱)。午後6時半に「北吉さしみ」に到着すると、入口を入ってすぐの、タイル張りのフロアにあるテーブル席(8席ほど)は、すでに地元の呑ん兵衛たち(きっと漁師さんたち)で大いに盛り上がっている状態。

 う~ん。実に酒場らしいいい雰囲気だ。

 まだ素面(しらふ)の我われは、その横をそっと通って、隣接する座敷席へ。お店の人は、テーブル席との間にある襖(ふすま)を閉めてくれようとするのですが、ここはやっぱり開いてた方がいい。この酒場らしい空気を、ぜひ共有しようではありませんか。

 我われも生ビールと、ソフトドリンク(ドライバー2人)でカンパァ~イッ!

 すぐに刺身(イカ、ヒラメ、カンパチ、タイなどの盛り合せ)と、それを追いかけるように穴子の湯引きが出されます。

「今日は穴子が少なかったので、イカを混ぜてます。ごめんなさいね。」

 と言いながら出してくれた穴子の湯引き。プリッとした穴子はもちろんのこと、イカゲソの湯引きもしっかりとした食感(弾力感)で、これまたいいですねぇ。

「熱燗(あつかん)ください!」

 思わずそう注文してしまうくらい、旨みたっぷり。刺身用の醤油が、島特有の、ちょっと甘めの醤油というのもいいんでしょうね。

 熱燗で出された日本酒は、ここ「北吉鮮魚店」のすぐ近くで造られている、倉橋の地酒、「三谷春(みたにはる)」です。

 そして魚のもつの煮込み。内臓や卵、目玉のまわり、魚のあら、そして豆腐をと煮込んだあら煮は、熱燗が進んで仕方がない。

 通常は、このあたりで満腹になるのですが、今日は食いしん坊(そして呑ん兵衛)がずらりとそろっているので、まだまだ序の口。

 だし巻き卵と、サワラのたたきを追加注文すると、だし巻き卵の出汁(だし)の濃厚なこと。そしてこれも甘い味つけ。

 うちの田舎(松山市のはずれ)のほうもそうなんですが、昔から甘いのがごちそうという感覚なんでしょうね。ケチャップとマヨネーズも添えられているのがおもしろいなぁ。

 サワラのたたきは、表面が黒く焦げるほど、しっかりと火が通ったたたきなんですが、これはこれでまた美味しくていいですねぇ。

 ゆっくりと2時間半ほど楽しんで、お勘定は8人で25,000円(ひとり当たり3,125円)でした。大満足。どうもごちそうさま!

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「北吉さしみ」 / 穴子とゲソのゆびき / 刺身盛り合せ

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取り分けた魚のモツ煮 / だし巻き卵 / サワラのたたき

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「北吉鮮魚店」側の看板 / 座敷から見たテーブル席 / 壁の短冊メニュー

店情報前回

《平成24(2012)年11月2日(金)の記録》

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〔くれ便り〕 第5回 呉酒まつり ~都々逸で一献~

呉酒まつり


 今年で5回目(=5年目)となった「呉酒まつり」が、10月26日(金)と27日(土)の両夜、呉市内11軒の酒場で開催されました。

 呉酒まつりでは、参加者は参加11軒の酒場のうち、どこか1軒に腰を据えて呑んでいるだけで大丈夫。蔵元さんのほうが、各酒場を回ってきてくれて、酒まつり用の特別なお酒をふるまってくれたり、お酒にまつわるいろんな話を聞かせてくれたりします。

 呉の街は、もともと海軍さんや職工さんなど、よく酒を飲む男性が多かったので、それに合わせて酒場の数も多いのが大きな特徴。この特徴を活かした酒まつりにすべく、第1回目から、各酒場にも参加してもらって、『呉酒まつりは、酒場で飲む』というスタイルを確立したんだそうです。

 初日の金曜日は、ビヤハウス「オオムラ亜」での呉酒まつりに参加。もともと生ビール屋さんなので、出される飲み物も地酒ではなくて、呉の地ビール「海軍さんの麦酒」です。

 そして今年のスペシャルゲストは、音曲師・柳家紫文(やなぎや・しもん)さん。

 三味線を弾きながらの「火付け盗賊改めかたの長谷川平蔵が、いつものように両国橋のたもとを歩いておりますと…」と始まる漫談や、三味の音にのせた都々逸(どどいつ)などを聞かせてくれます。

 都々逸は七・七・七・五で詠まれた短い歌。「がきの頃から いろはを習い はの字忘れて 色ばかり」とか「恋に焦がれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が 身を焦がす」といった、ちょっと艶っぽい内容のものが多いのも特徴です。

 紫文さんによると、歌謡曲にもこの七七七五で作られた歌は多いんだそうです。

『赤い夕陽が 校舎を染めて 楡(にれ)の木陰に 弾む声』
『粋な黒塀 見越しの松に 仇(あだ)な姿の 洗い髪』
『破れ単衣に 三味線抱けば よされよされと 雪が降る』
『ここで一緒に 死ねたらいいと すがる涙の いじらしさ』

 歌いやすい音数律なんでしょうね。

 明けて土曜日は、「魚菜や」での呉酒まつり。この日のためのコース料理は、珍味四品盛りから始まって、金時草の酢もの、いちじくの天ぷら(さつまクイン茸)、ヒラメの昆布〆、冬瓜ウニ、かぼちゃスープ、ノドクロの一夜干し、一口バッテラ、お吸い物、最後に貴醸酒のアイスクリームという構成です。

柳家紫文さん 昨夜と同じく、今夜も柳家紫文さんが何軒かの酒場をまわって、三味線漫談や都々逸を聞かせてくれます。ほぼ同じネタなんだけど、2度目だと展開もよくわかって、また面白い。

 店には「雨後の月」の相原酒造さん、「白鴻」の盛川酒造さん、そして「華鳩」の榎酒造さんが次々と回って来てくれて、珍しいお酒も、いろいろ飲ませていただきました。

 そしてふと気がつくと、今年もすっかり酔っぱらい。どうもごちそうさま!

《平成24(2012)年10月26日(金)~27日(土)の記録》

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ジャックローズの季節 … 「BAR ANCHOR(アンカー)」(呉)

ジャックローズ


 東京の飲み友・Cさんたちと、3人で向かう2軒目は、呉で人気のオーセンティック・バー、「アンカー(BAR ANCHOR)」です。

 この店を一人で切り盛りされている、オーナーバーテンダーの森貞慶章(もりさだ・よしあき)さんは、1980年生まれの32歳。

 呉の老舗バー「ナポレオン」で修業したあと、西条(東広島市)の老舗バー「TMRB(ティマーブ)」で店長を務め、2008年9月に、ご自身の店「BAR ANCHOR」を開店しました。

 オーセンティック・バーなんて、東京にもたくさんあるのに、なぜあえて、Cさんたちをこのバーにお連れしたのか。

 それは、森貞さんたち、若いオーナーバーテンダーがしのぎを削っている、勢いのある呉のオーセンティックバーの雰囲気をぜひ体験して帰ってもらいたかったからです。

 そんな「BAR ANCHOR」の人気メニューのひとつが『季節のフルーツカクテル』(1,000円)。今はザクロが旬を迎えたそうで、まずはそのザクロのカクテルをお願いすると、作ってくれたのはジャック・ローズです。

 普段はグレナデン・シロップ(ザクロのシロップ)で作るこのカクテル。今日は生のザクロをすりこぎでつぶして作ってくれます。

 作っている様子をながめることも、バーの大きな楽しみのひとつ。シャカシャカシャカ… とシェイクのときには、思わず「美味しくなれ!」と念を送ってしまいます。

 できあがったジャック・ローズを、ツツゥ~ッとゴブレットタイプのカクテルグラスへ。

 おぉ~、自然な赤のなんと美しいことよ!

 さらにもう1杯ずつ、好みのお酒をいただいて、お勘定は3人で7,000円(一人当たり2,300円強)でした。どうもごちそうさま。

 森貞さんをはじめ、バー「両歓」の石本和大さん、バー「岩崎」の岩崎英記さんたちは、みなさん呉の老舗バー「ナポレオン」の出身者。呉のオーセンティックバー史上に果たした、バー「ナポレオン」の貢献は絶大です。

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生のザクロを / すりこぎでつぶして / お酒も入れてシェイク

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グラスに注ぐ / チャーム(お通し) / アードモア(ストレート)

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計量カップで / くるりと入れて / ステアしてツィ~ッと注ぐ

店情報前回

《平成24(2012)年10月25日(木)の記録》

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呉らしく、酒場らしく … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)

〆サバとタコ刺


 東京の飲み友・Cさんが、お友達と二人で来呉され、3人で「魚菜や」に向かいます。

 Cさんは料理好き、日本酒好きなので、ここ「魚菜や」か「灘」あたりがいいだろうなと候補を絞り、最終的にカウンターメインで、他のお客さんたちとも会話ができ、より呉らしい、そしてより酒場らしい雰囲気を味わえそうな「魚菜や」にしたのでした。

 L字カウンターの角を挟むようにして3人で座り、まずは生ビールをもらって乾杯。

 お通しのヌタを肴に生ビールをいただきながら、毎日手書きされる品書きを確認します。

 今日の一品料理は、タコ刺、〆さば、ごまさば、牛すじとジャガ芋煮込、ベーコンとハスのきんぴら、ごぼうのサラダ、冷たいポテトサラダ、カキフライ、小いわし天、タコ天、まいたけ天、ホーレン草のごまあえ、焼きいわし、冬瓜の煮物の14品。この他に関東風・関西風のダシが選べるおでんがあります。

 呉の小料理屋さんの多くがそうであるように、この店もお品書きに値段表記はなく、刺身は時価、おばんざいは1品400円から。揚げ物は600円から。おでんは関西風/関東風があって1個150円からとなっています。

 安くはないものの、びっくりするほど高くもない。出してくれる料理やお酒の割りには、安く感じるかな、といったお店だと思います。

 メニューに並ぶ刺身3種(タコ刺、〆さば、ごまさば)をすべて1人前ずつ盛り合わせてもらうと、〆サバやタコの美しいこと。ゴマサバは本当にいいつまみになりますねぇ!

 日本酒は、地元呉の5銘柄(千福、華鳩、雨後の月、宝剣、白鴻)に、最近は黒瀬(東広島市)の「賀茂金秀」も加わりました。冷酒や燗で、あれこれといただきます。

 刺身に続いては小イワシ天ぷら、タコ天ぷらに、舞茸天ぷら。タコの天ぷらは呉や松山(瀬戸内海沿岸全域なのかな?)では一般的ですが、首都圏から来られた人たちにはとても珍しいようで、今日のお二人も喜んでくれました。

 このくらいいただくと、お腹もけっこう満たされてきて、お酒主体の進行状況。その様子を見て、和服に割烹着の女将さんが出してくれたのが牡蠣(カキ)の塩麹漬け。日本酒にピッタリの、広島県らしいつまみですね!

 さらに、キュウリとナスの漬物も出してくれて、燗酒が進む進む。

 呉の常連さんたちとの会話もねらって、この店にやってきたのですが、今日のお客さんは、どういうわけか首都圏からの人ばかり。

 我われのとなりにいる4人組のサラリーマンは、一番年長の人が、以前、呉で勤務されていて、そのときに、ここ「魚菜や」に通いつめていたんだそうです。今日は、首都圏の職場の後輩たちと共に、少し前に呉に到着したばかり。久しぶりの来店なんだそうです。

 そんなわけで、呉の酒場なのに、呉弁でしゃべっているのは女将さんただひとり、というとっても面白い状況になりました。

 閉店時刻(午後10時)が近づいてきてお勘定。たっぷりと3時間半ほどの滞在は3人で15,300円(一人当たり5,100円)でした。

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ぬた(お通し) / ごまさば / タコ天と小イワシ天

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マイタケ天 / カキの塩麹漬け / ナスとキュウリの漬物

店情報前回

《平成24(2012)年10月25日(木)の記録》

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おでんあり、定食あり … お食事処「寿(ことぶき)」(呉)

おでんでビール


 お食事処「寿」で、冬場にしか出されない『おでん』が始まりました。

 今日は準備段階なんだそうで、いつものおでん鍋はまだ出ていなくて、おかずの1種として陳列ケースに並んでいます。

 3種のおでんが1皿に盛られて300円。おでん鍋から選ぶときも1個100円なので、それと同じ値段ですね。

 ずらりと何皿か並んでいますが、それぞれ3種の内容が違います。その中から、大根、牛すじ、ごぼう天の3種が盛られた1皿を選ぶと、電子レンジで温めて出してくれます。

 呉の三大大衆食堂(他の2軒は「森田食堂」と「くわだ食堂」)の中で、おでん鍋から選ぶおでんがある食堂は、ここだけです。

 そういえば、定食のメニューがあるのも、ここだけです。他の2軒は、料理を取ってきて、めしとみそ汁を注文する、いわゆる『一膳飯屋(いちぜんめしや)』のスタイル。お決まりの定食は置いていません。

 その定食メニューは、うどん定食(650円)、ラーメン定食(750円)、しょうが焼定食(700円)、カツ定食(レギュラー700円・ダブル1,000円)の4種5品。

 しょうが焼きや、トンカツは、陳列棚には並んでいなくて、注文を受けてから作ってくれます。定食にせずに、単体で注文することも可能で、その場合、しょうが焼き、トンカツ共に400円。トンカツのダブルは800円です。

 しょうが焼き定食も、トンカツ定食も食べたことがあるのですが、しょうが焼きはふんわりと軟らかく仕上がっていて、トンカツもジューシーでとてもおいしい。

 聞けば、大女将さんご夫妻は、「寿」を始める前は、養豚業をやっていたんだそうで、豚肉に関してもプロだったんですね。

 定食には、冷奴に酢物、お新香に、日替りの小鉢がついて、ごはんは(同じ値段で)大盛りも可。食後にはコーヒーも出してもらえて、とってもお得な人気の逸品なのでした。

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玉子焼き(150円) / しょうが焼定食(700円) / カツ定食(700円)

店情報前回

《平成24(2012)年10月21日(日)の記録》

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カツ丼を肴に燗酒1合 … そば処「平原(ひらはら)」(呉)ほか

カツ丼を肴に燗酒1合


 大衆食堂「寿」を出て、近くの「巴屋」で名物アイスもなか(100円)を1個買って、それを食べながら、れんが通りを南下します。

 「巴屋」は昭和28年創業の老舗食品店。弁当やパン、菓子類も売っているのですが、なんといっても一番人気はアイスもなかです。

 ミルク、チョコ、抹茶、コーヒーという4種の味があり、注文するとその場で、アイスを、もなかの皮ではさんで手渡してくれます。

 昔ながらの味は、やっぱりミルクですね。

 シャクッと香ばしいもなかの皮の食感と、ちょっとシャーベットっぽい、昔ながらのアイスクリンの冷たさ甘さがいい相性です。

 「巴屋」は、呉市内のあちこちに支店があるので、ついフラリと買ってしまうのでした。

 アイスもなかを食べつつ、いったん社宅に戻り、夕方6時半、改めて出陣です。

 夕方の部の1軒目は「オオムラ亜」。

 のりチーズ(200円)や、くんせい玉子(200円)をつまみに、生ビール(500円)を、グッと1杯、思わず2杯、あなたの勝手で3杯め。これで終わるかと思いきや、常連さんたちとの会話も弾んで、勢い止まらず4杯め。

 2,400円のお勘定を払って「オオムラ亜」を出て、〆の食事をいただこうと、そば処「平原」へ。今日はカツ丼(500円)と燗酒(千福1合380円)を注文します。

 「平原」はセットメニューが安いことでも有名。単品でカツ丼を注文すると、鰹出汁のよく効いたみそ汁が出されて500円ですが、『カツ丼とうどんのセット』を注文すると、そのみそ汁が、うどんに代わって600円と、わずか100円の差しかないのです。

 もともと単品のうどんが250円と、学食か社員食堂なみの値段ですもんねぇ。

 例によって、カツでちびり、玉子でちびり、出汁のよくしみたご飯でちびり、さらにはみそ汁でちびり、小皿の漬物でちびりと、燗酒と一緒に、ゆっくりとカツ丼を食べ終えて、お勘定は880円。どうもごちそうさま。

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「巴屋」のアイスもなか / 「オオムラ亜」 / くんせい玉子(左奥が海苔チーズ)

・「オオムラ亜」の店情報前回) / 「平原」の店情報前回

《平成24(2012)年10月20日(土)の記録》

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古い写真のようですが … お食事処「寿(ことぶき)」(呉)

昭和56年の呉駅周辺


 土曜日の今日は、朝から呉地域オープンカレッジ公開講座を聴きに行ったあと、大和ミュージアム4階のライブラリーで、呉の史料調査。そこで見つけたのが上の写真です。

 モノクロなので、ものすごく古い写真に思えますが、昭和56(1981)年のもの。

 『呉駅ビル・駅前広場の完成』というタイトルの写真で、『新しい呉駅ビルが7月7日に開業し、駅前広場も整備されて、呉市の表玄関は面目を一新した。当日は約5万5,000人が訪れ、大賑わいだった』というキャプションが付けられています。

 「そごう」や「阪急ホテル」などもまだなくて、2~3階建ての建物がほとんど。

 私が新入社員として、初めて呉にやってきたのは、昭和58年のことなので、呉駅前は、きっとこの写真と同じ状況だったんですね。

 当時はまったく気づいていませんでしたが、駅の周辺、なにやらいい酒場が多かったような雰囲気が、この写真からも伝わってきます。

 そのころから酒場めぐりが趣味だったら、いい酒場にたくさん出会えたんだろうなぁ。

 ちょっと残念な気持ちを引きずりつつ、冒頭の写真の10年ほど前に開業した老舗大衆食堂「寿」で、今日の昼食とします。

 昼食と言っても、すなおに食事をいただくわけではなくて、まずはやっぱりビール(アサヒ大瓶600円)をもらって喉をうるおし、つまみは陳列棚からサラダを取ってきます。

 このサラダ、ポテトサラダに千切りキャベツや、キュウリ、ミニトマト、スライスしたゆで卵などがのって150円。マヨネーズをかけてもらうこともできますが、ウスターソースでいただくのが風情があっていいですね。

 大瓶1本のビールで弾みがついたところで、鯛のカブト煮(450円)で燗酒(千福1合400円)。このカブト煮がものすごいボリュームで、すっかり満腹になってしまいました。

 の~んびりと1時間半ほどの昼食タイム。お勘定は1,600円でした。ごちそうさま。

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お食事処「寿」 / まずはサラダでビール / 鯛のかぶと煮で燗酒

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カブトの下にカマ / タイのタイ / 骨だけになって完食

店情報前回

《平成24(2012)年10月20日(土)の記録》

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御飯3合、トークの日 … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)

トークの日


 毎月19日に開催される、「魚菜や」の恒例行事『トークの日』。(19日だからトーク)

 そのトークの日に、必ずやってくるSさんは、お酒は一滴も飲めないんだけど、その食べっぷりが常連さんたちからも大人気。

 たいていの客は、座ってまず生ビールからはじめるのですが、Sさんの場合は、最初から丼めし。しかもその量が半端じゃない。

 以前、『まんが日本昔ばなし』というテレビアニメがありましたが、その中に登場するような、山盛りのごはんなのです。

 トークの日の場合は、あらかじめ2種ほどの小鉢(今日は、わけぎタコのヌタと、いんげんと絹さやのごま和え)に、八寸としての5種盛りがあらかじめ用意されており、席に着いてからお椀と向付(お造り)が出されます。今日はコラーゲンスープと、鯛の刺身。

 我われ呑ん兵衛は、これをつまみにお酒をいただくのですが、Sさんの場合は、これらの料理は、すべてがごはんのおかず。

 ごはんに合うものは、必ずと言っていいくらい、日本酒にも合う。逆もまた真だと思うので、絶対にいいおかずになりそうです。

 ワッシ、ワッシ、ワッシと最初の1膳をあっという間に食べ終えて、「これで落ち着いた」と言いながら、ご飯をおかわり。

 2膳目も、もちろん「昔ばなし盛り」です。

 このあたりから、食べるペースもスローダウンさせて、我われ呑ん兵衛たちとも会話をしながら、それでもときどきワッシとかき込むひと口分が、ものすごい量です。

 最初に出されるお決まりの料理を食べ終えると、自分の好きな料理を注文してもいいのが、トークの日のルール。Sさんは毎回必ずポテトサラダと、おでんのロールキャベツをもらって、3膳目に突入します。

 3膳目もまたてんこ盛り。1膳ごとに、1合ずつのご飯がつがれているので、3杯できっちりと3合の丼めし。それなのにちっとも太っていないのがすごいんだよなぁ。。。

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「魚菜や」 / 八寸(酒肴盛り合せ) / 小鉢2品

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お椀 / 向付(鯛造り) / 今日のお品書き

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小芋とタコの煮物 / ポテトサラダ / 〆のごはん

店情報前回

《平成24(2012)年10月19日(金)の記録》

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めばるの煮つけで燗酒 … お食事処「一つ家(ひとつや)」(呉)

めばるの煮つけで燗酒


 「一つ家」はカウンター10席、小上がりの座敷に1卓4席ほどの小さな小料理屋。女将さんの手作り料理を、しっかりと味わうことができる人気店です。

 他の小料理屋さんもそうであるように、この店も、それぞれの料理の値段表記はありません。カウンターの上段に並ぶ大皿料理が、それぞれ500円から1,000円くらいといったところでしょうか。いずれにせよ、お勘定書きをもらって、驚くようなことはありません。

 今夜は、その大皿料理のひとつに、メバルの煮付けを発見。さっそくそのメバルと、目の前にあったゴボウのきんぴらをもらって、燗酒(千福)を大徳利でお願いします。

 このところ、煮魚と燗酒のすばらしい相性にはまっていて、この組み合わせをたのむことが多くなっています。

 「」や“とり屋”のように、注文を受けてから煮付けてくれるところももちろんですが、ここ「一つ家」や「魚菜や」、そして大衆食堂の「森田食堂」「くわだ食堂」「寿」などのように、あらかじめ煮て置いている煮魚も、味がよくしみていておいしい。

 東京・横浜にいるころは、それほど煮魚を好んで食べた記憶はないのですが、呉だと煮魚に走るのは、出汁のせいでしょうか。

 煮魚の皿には、メバルと一緒に煮込んだ豆腐も付けてくれているのですが、これがまたいい! この豆腐だけでもいい酒の肴です。

 メバルをすっかり食べ終えて、ごはんとみそ汁を注文すると、今日は白飯の他に、鳴門金時(さつまいも)の炊き込みご飯もあるというので、そっちをもらいます。

 鳴門金時ごはん、みそ汁と一緒に出してくれたのは、この店では“手抜き豆腐”と呼ばれている冷奴と、大根のぬか漬けです。

 薄~くスライスしてくれた、この古漬けの大根のおいしいこと。

 ゆっくりと1時間半ほどの滞在。お勘定は2,800円でした。どうもごちそうさま。

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「一つ家」 / めばる煮付 / きんぴらごぼう

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めばる完食 / ごはん、みそ汁、手抜き豆腐 / 大根の古漬け

店情報前回

《平成24(2012)年10月17日(水)の記録》

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黒胡椒で海苔とチーズ … ビヤハウス「オオムラ亜(おおむらあ)」(呉)

黒胡椒で海苔とチーズ


 「オオムラ亜」のつまみは、前身の「オオムラ」時代から、名称的にはそのまま引き継いだものが多いのですが、中身は違います。

 たとえばピーナッツ(200円)も、品書きも値段も、「オオムラ」時代と同じですが、どこのピーナッツを使うかは、店主の亜矢さんが再吟味して、「オオムラ亜」の生ビールに合うものを選び直したんだそうです。

「高級品なんよ!」

 と、亜矢さんが話してくれたとおり、たしかにこのピーナッツはとても美味しい。

 しかし、なによりも大きく(内容が)変わったのが海苔(のり)とチーズです。

 「オオムラ」時代は、海苔は海苔(200円)、チーズはチーズ(200円)で、二つたのんでやっと海苔とチーズになっていたものが、「オオムラ亜」では、なんと「海苔とチーズ(のりチーズ)」という1つのメニューで、両方そろって200円と、なんと半額というコストパフォーマンス。「オオムラ」時代にも増して人気の品となりました。

「このチーズに、黒胡椒をかけて食べるとうまいんですよ」と話してくれるのは、「オオムラ」時代からの大常連である大本さん。

 袋入りの海苔(5枚)とチーズ(6Pチーズ1切れ)を、ひと皿にのせて出してくれるものを、袋から出した海苔を皿のフチにのせて、チーズは皿の外によけておいて、皿の中央部に黒胡椒をガリガリとすり入れる。

 「オオムラ」の時代から、この店には塩や胡椒などの調味料は充実しているのです。

 チーズを包むアルミ箔ごと、5つに切り分けてくれているその1切れを爪楊枝(つまようじ)に突き刺して、コロコロと転がしながら、黒胡椒をたっぷりとまぶしていただいてみると、たしかにこれはうまいっ!

 単体で食べても、海苔で巻いて食べても、どっちもいいですねぇ。

 生ビール(500円)を3杯もらって、今日のお勘定は1,900円でした。

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ピーナッツ / 海苔とチーズ / 黒胡椒をまぶして

店情報前回

《平成24(2012)年10月17日(水)の記録》

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鍋焼きうどんで燗酒を … そば処「平原(ひらはら)」(呉)

鍋焼きうどんと燗酒セット


 そば処「平原」には、『鍋焼きうどんとお酒または中ジョッキのセット(900円)』というセットメニューがあります。

 『そば屋酒』というのはよく聞きますが、『うどんで酒』というのはあまり聞いたことがありません。でもこのセットメニュー、私は好きで、よく注文しています。

 他の人たちはと見てみると、中ジョッキとのセットで注文する人が多いようです。

 注文するとすぐに中ジョッキを出してくれるので、それをグイッとやりながら、鍋焼きうどんのできあがりを待つんですね。

 ビール好きの人ならば、ちょうど中ジョッキが空いた頃合いで、鍋焼きうどんが出てくるというタイミングになるのです。

 でも私はいつも、燗酒とのセットを注文。

 鍋焼きうどんが出るまでは、チビチビと節約気味に飲みながら、気分を高めていきます。

 そして、鍋焼きうどんが出てきたら、これからがいよいよ飲みも本番です。

 まずは半熟の玉子を、その周辺のスープと一緒にレンゲですくって小鉢に移します。これをプツンとつぶして、鍋焼きうどんの具材のひとつひとつを、それぞれこの溶き卵にからめながら、燗酒をやるのです。

 エビ天でちびり、かまぼこでチビリ、しいたけでチビリ、鶏肉でちびり、きぬさやでまたチビリ。ときどきうどんもすすって口直し。

 ここの鍋焼きうどんは単品で注文しても600円という低価格ながら、具の種類が多いので、しっかりと酒の肴になるのです。

 具材がなくなったところで、ちょっとお酒を休憩し、残っているうどんをズズズッとすすりこみます。自家製の手打ち麺なので、多少のびても、あまり問題なくいただけます。

 この段階で、実はまだ燗酒を飲み干していないというのが大きなポイントです。

 うどんを食べ終わった後の汁(つゆ)。最後は、この汁をつまみに燗酒をチビチビといただくのが楽しみなのでした。

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具だくさんの鍋焼きうどん / 玉子を小鉢に移してつぶす / 最後は汁をつまみに燗酒を

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《平成24(2012)年10月16日(火)の記録》

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親子丼をつまみに燗酒 … 「くわだ食堂」(呉)

親子丼をつまみに燗酒


 このところ、本来なら食事用の料理をつまみにお酒を飲むことが多くなっています。

 首都圏によくあるような、純粋なる大衆酒場が呉にはないので、その代わりとなる大衆食堂で飲んだりしているうちに、丼物などもいいつまみになることがわかってきたのです。

 永井荷風が、その晩年、毎日のように近所の食堂で、「並のカツ丼」と「上新香」をつまみに、燗酒1合を飲んでいたということは、どこかで読んでいたのですが、以前は、

『カツ丼なんか食べたら、すぐに満腹になって、お酒がちょっとしか飲めないだろう』

 と思っていたものでした。

 ところが、実際にやってみるとこれがいい。『お酒がちょっとしか飲めない』ということもまた、平日飲んでるときにはちょうどいい。

 今日も「くわだ食堂」で、親子丼(550円)と燗酒(白牡丹300円)を注文しました。

 でてきた親子丼は、とろりと見るからにやわらかそうな半熟状態の溶き卵の上に、細切りにした青ネギがこんもりとのって、黄色と緑の対比が実に美しい。

 そのふんわり卵の中から、鶏肉を1切れつまんで口中へ。おぉ~っ。これまた火の通り具合もちょうどよくて、おいしい肉ですねぇ。

 肉をつまんでチビリ、卵をつまんでチビリと、親子丼の頭の部分でチビチビとお酒を飲みながら、ときどき出汁のよくしみたご飯もつまんでチビリチビリ。

 出汁のうまみが、燗酒に合うんだろうなぁ。

 これでお新香(100円)でも取ってくれば、もうあと1~2合は飲めそうです。

丼の底に… 親子丼を完食すると、丼の底に「くわだ」と書かれていることに気づきました。

 「くわだ食堂」には、今日いただいた親子丼(550円)のほか、他人丼(550円)、牛丼(550円)、玉子丼(500円)という、全4種類の丼物があって、食事としても、飲んだ後の〆の一品としての人気も高い品々です。

 お勘定は850円。どうもごちそうさま!

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《平成24(2012)年10月10日(水)の記録》

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シャコをつまみに燗酒 … 「第三鳥八(だいさんとりはち)」(呉)

シャコ


「今日はシャコがありますよ」という二代目・上瀬正嗣さんの声に従って、さっそくそのシャコ(630円)を注文すると、丸皿にたっぷりと8尾ほどのシャコが、玉ねぎ、にんじん、貝割れなどの生野菜を添えて出されます。

 ゆで冷ましたシャコは、胴体の両脇の部分を真っ直ぐに切り落とし、尻尾もV字型に切りそろえた状態で出してくれています。

 このV字の尻尾をつかんで、上下に分けるように広げると、上下の皮がとれて、中の身が出てきます。これに小皿で出されたポン酢醤油をちょいとつけていただくんですね。

 っかぁ~~っ。うまいっ。シャコならではの濃厚な味わいがたまりませんなぁ。

 これはやっぱり燗酒(千福420円)ですね。

 せっかく頭も付けて出してくれているので、シャコ爪もちまちまと取り出していただいて、頭の身もチュッと吸って、酒の肴に。

 殻が固いので、エビのように殻ごと食べちゃうことはできませんが、チュパチュパすすって、身の部分はほぼすべていただきました。

みそ煮とチューハイ梅 今日、水曜日は、仕事を終えて、午後6時ごろ「第三鳥八」へ。カウンターに座りながら、みそ煮(157円)とチューハイ梅(367円)を注文しました。

 「第三鳥八」も含む、呉の『とり屋』の定番の組み合わせは、「味噌と生」(=みそ煮と生ビール)なのですが、今日はチューハイとみそ煮との相性をみてみたかったのです。

 う~む。やっぱりみそ煮にはビールのほうが合うようですねぇ。東京のもつ煮込みにはチューハイが合うのになぁ。

 この店のチューハイ梅もそうですが、呉の酒場で出されるチューハイは、甘い味が付いていることが多いので、それが原因かな?!

 今日の「本日のオススメ」は、シャコ630円、塩ダレキャベツ367円、サヨリ天ぷら525円、チーズフライ420円、ホッキ貝サラダ420円、牛串焼2本420円といった品々。

 どれにしようかと迷っていたら、二代目から冒頭のような声がかかったのでした。

 シャコを完食して、1時間ほどの滞在。お勘定は1,570円でした。どうもごちそうさま。

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《平成24(2012)年10月10日(水)の記録》

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梨のフルーツカクテル … 「BAR ANCHOR(バー・アンカー)」(呉)

梨のフルーツカクテル


 本物の果物を食べる以上に、その果物らしい味わいや香りを持ったフルーツカクテルを楽しむことができる「BAR ANCHOR」。

 オーナー・バーテンダーの森貞さんに、

「今日のフルーツカクテルは?」

 と質問してみたところ、

「今の季節は梨(なし)ですね」という返事で、もちろんその梨のカクテルを注文。

 注文を受けてから皮をむいて作りはじめるカクテルは、果物をそのままいただくよりも、うんと贅沢な一品。作る過程を見ているのが、これまた楽しい時間なんですよねぇ。

 ここ「BAR ANCHOR」では、ほとんどのフレッシュフルーツ・カクテルが1,000円です。

「おぉ~お、これは確かに梨そのものだ!」

 と喜んでいると、

「でもそのカクテル、アルコール度数は相当高いんですよ。梨のカクテルに限らず、フレッシュフルーツのカクテルは、全般的にウォッカなどがかなり入ってるんです。」

 なるほどなぁ。それをまったくと言っていいほど感じないのが怖いですねぇ。気が付くとガッツリと酔ってしまうタイプのお酒です。

 「BAR ANCHOR」にやってきて、このところいつもそうであるように、今日もまた最初の1杯目はウイスキー部門のToday's Specialとして挙げられている、ハイランド・シングルモルトの「アードモア・トラディショナルカスク」(通常850円のところ、ひとり1杯だけ500円)をストレートでいただきます。

 「BAR ANCHOR」では、いつも1銘柄のウイスキーをToday's Specialとして500円でサービスしてくれています。飲んだことがないウイスキーが選ばれることも多いので、毎回このサービス・ウイスキーを飲んでいるだけで、ウイスキーの勉強にもなるのでした。

 そして今日のお通し(チャージも含めて500円)は、自家製のレーズンバター。レーズンとウイスキーがよく合いますね。

 で、その後、梨のカクテルをもらって、今日のお勘定は2,000円でした。ごちそうさま。

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Today's Special / アードモア / お通しのレーズンバター

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《平成24(2012)年10月7日(日)の記録》

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ちょっと一杯セットで … 「三とり(さんとり)本通店」(呉)

「三とり本通店」


 久しぶりの「三とり本通店」で、お気に入りの『ちょっと一杯セット』をいただきます。

 ちょっと一杯セットは、生ビール2杯・中瓶ビール2本・チューハイ2杯・日本酒(1合)3杯・焼酎(水割り)3杯のうちの、いずれか1種類に、焼き鳥4本と、日替りの小鉢2皿が付いて1,500円という、呑ん兵衛でも大満足の晩酌セットなのです。

 のれんを分けて、開けっ放しの入口から店内へ。カウンター席の一角に腰をおろし、「熱燗のセットでお願いします」と注文すると、すぐにカウンター内の自動燗づけ器から、千福(佳撰)の燗酒1合がチロリに注がれ、グラスと一緒に「はい」と出してくれます。

 チロリに1合の燗酒は、グラスに注ぐと2~3杯になるので、3合だと7~8杯分。かなり飲んだという気持ちになります。

「どうせやるならインパクトがないとねぇ」

 と女将の上瀬きよかさん。きよかさんは「三とり」(現在の「第一三とり」)の先代店主・上瀬正(かみせ・ただし)さんの次女で、「本家鳥好」の上瀬弘和さんや、「第三鳥八」の上瀬正三さんの姪っ子にあたります。

 「三とり」の先代・正さんには、3姉妹がいました。「三とり」を「第一三とり」として長女夫妻にゆずり、自らは三女を引き連れて「第二三とり」を起こします。当時、次女・きよかさんは会社勤めをしていたのです。

 その後、きよかさんも会社を辞め、昭和56年に、「三とり本通店」を開いたのでした。

 セットの料理を食べ終えた後も、カウンター席に座る常連さんたちとも話が弾み、ミョウガの豚肉巻きや、じゃこおろしをつまみながら、燗酒をちびりちびり。

 左に座る、80歳の常連さんが注文したのがギザミの刺身。「あんたも食べんさい」とすすめてくれて、ちょっといただいてみると、コリコリっとした食感と、コクのある味わいが実にいい。ギザミは刺身で食べてもおいしいということを、はじめて知りました。

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チロリで燗酒 / 小鉢1(カレイ唐揚げ) / 小鉢2(モロッコ豆、さつま芋、鶏肉の煮もの)

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セットの焼き鳥 / ミョウガの豚肉巻き / じゃこおろし(半分に分け、ポン酢醤油と醤油で)

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《平成24(2012)年10月7日(日)の記録》

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太刀魚煮つけでビール … お食事処「寿(ことぶき)」(呉)

太刀魚煮つけでビール


 日曜日ながら三連休の中日(なかび)。

 昨日は西条酒まつりで、日本酒をしこたま飲んだので、今日はビールから始めたい。

 そうなると、やっぱり「オオムラ亜」だ。

 そう思い立って、店の前まで行ってみると、なんと、今日と明日は連休とのこと。残念。

 「オオムラ亜」は不定休。店内には『○日はお休みさせていただきます』という張り紙が出ているのですが、足しげく店に通っていないと、その情報がわからないのでした。

 ここまで北上しちゃってるから、ここから近いのはお食事処「寿」かな。「寿」でビールを飲むことにしましょう。

 「寿」は、昨年から女将・藤田百合子さんを、嫁の裕美さんと、孫の愛さんが手伝い始めて、親子三代の女性陣で切り盛りするようになりました。会社勤めをされている息子の孝志さんも、土日は手伝いに入ります。

 店頭には、いかにも女性らしい文字で書かれた、今日のおすすめ黒板も設置されました。

 海老フライといかの天ぷら300円、太刀魚(たちうお)の煮つけ300円、鯵(あじ)の塩焼き250円、いかの照り焼き200円、ごぼうとしらたきの卵とじ100円、がその内容。

 ビールには、海老フライといかの天ぷらか、いかの照り焼きあたりが合いそうなんだけど、太刀魚の煮つけも捨てがたいなぁ。

 そんなことを考えつつ、のれんをかき分けて店内へと入り、入口左手の冷蔵陳列棚の前へ。最後はここでモノを見て決めましょう。

 う~ん。やっぱり太刀魚だなぁ。なにしろ、ここの煮魚はうまいですからねぇ。

 太刀魚を女将に手渡して温めてもらい、その間に瓶ビール(キリンラガー大瓶600円)の栓を抜いて、カウンター席の一角へ。

 温かい煮魚をチマチマとつつきながら、グゥ~ッといただく冷たいビールがいいですね。

 特に背びれの内側の骨の周りの身がうまい。

 大瓶ビールで、太刀魚の煮つけを食べ終えて、お勘定は900円でした。ごちそうさま。

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《平成24(2012)年10月7日(日)の記録》

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〔くれ便り〕 われらの西条酒まつり

大酒林神輿行列


 毎年、体育の日にからんだ三連休の土日に開催される、酒都西条の酒まつり。回を重ねて今年で23回目。来場者も20万人を超え、町をあげての一大イベントとなっています。

 全国約900銘柄の地酒が楽しめる「酒ひろば」に向かうのが一般的なんでしょうが、われらの西条酒まつりはちょっと違います。

 うちの職場の日本酒大好き女子2名が、10年ほど前から、この酒まつりに参加し続け、独自のルートを編み出しているのです。

 今年もその2名を先導に、職場の仲間たち合計11名で、呉駅を午前9時に出発。海田市(かいたいち)で山陽本線に乗り換えて、西条駅到着は10時過ぎ。まずは駅前の売店で「ウコンの力」を飲んで健闘を誓い、お土産用のナシを買う(物は帰りまで預かっておいてくれる)のも毎年の恒例行事です。

 駅前ロータリーを左折して、酒蔵通りに入ると、目の前から大きな酒林の御輿(みこし)がやってきます。偶然ではなくて、それに合わせて到着するようにやってきたのでした。

 御輿行列を見送って、最初に入るのが、駅から最も近い白牡丹酒造。ここで無料試飲のにごり酒を飲んで、酒まつりのスタートです。

 人が大勢いてにぎわっているのは酒ひろばですが、この酒蔵通りを歩きながら、点在する酒蔵で無料試飲、有料試飲(安い!)の日本酒を飲むのが、われらの酒まつりです。

 もちろん飲むだけではなくて、料理も毎年お決まりのものがあります。

 亀齢酒造で出される醸華町うどん(400円)に、賀茂泉酒造の竹べら味噌(300円)。酒蔵通りの通り沿いにも、食べ物や飲み物の屋台がずらりと並んでいます。

 賀茂鶴酒造での菰(こも)巻き実演など、見て楽しめるイベントも盛りだくさん。

 賀茂泉酒造(東端)で折り返して、駅の西側(山陽鶴酒造や賀茂輝酒造)などにも行って、最後に山田牧場(岡山)の豚肉の串焼き(1串700円)で〆るのもお決まりのパターン。

 今年も楽しく、そしてよく飲みかつ食べた「われらの西条酒まつり」となりました。

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人があふれる酒蔵通り / 醸華町うどん / 竹べら味噌

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菰巻き実演 / 因島のみかんジュース / 山田牧場の串焼き

《平成24(2012)年10月6日(土)の記録》

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牛骨付をしゃぶり喰う … ジンギスカン焼「關白(かんぱく)」(呉)

牛骨付き


 仕事仲間たちと5人での軽い飲み会。会社を出る直前に「關白」に電話して、2階の座敷席を予約してから出かけます。

 10人を超える規模ならいざ知らず、5人くらいなら、席だけ予約しておいて、料理はその場で注文しても、ほとんど待つことなく出してくれるのが「關白」のいいところ。

 まずはエビス生ビールの大ジョッキ(997円)を人数分もらって乾杯し、料理はホルモン煮(525円)と鶏唐揚げ(892円)、そしてジンギスカン焼の牛バラ(1,260円)の3種を、それぞれ2人前ずつ注文します。

 この3種は、いずれもこの店の人気の品。

 予想どおりすぐに出てきたホルモン煮は、ゆでた豚モツをポン酢醤油でいただく一品。モツのクセが無くなるまで徹底的に煮込んでいるので、モツが苦手な人でも大丈夫です。

 鶏唐揚げは、骨付きもも肉をぶつ切りにして下味をつけ、唐揚げにしたもの。

 ジンギスカン焼は、カンカンに熱したジンギスカン鍋の上に、生野菜をドカッと載せて、その上にゆでた牛バラ肉を並べ、チューブ容器の油をサッと回しかけると、大きな炎がドォーンと立ちのぼって完成。少し甘めのタレをつけながらいただきます。

 飲み物は焼酎(二階堂)をボトルでもらって、水割りや湯割りにし、料理のほうはジンギスカン焼の「豚耳と足のミックス」(1,050円)を追加。こちらは同じジンギスカン焼でも、ポン酢醤油をつけていただきます。

 今日は、はじめて「關白」に来た人も多かったので、ジンギスカン焼も大人気。

 私自身もはじめての牛骨付き(1,600円)ももらってみると、これは骨付きカルビの部分なんでしょうか。豚のスペアリブと比べると、骨の断面積が大きいこと!

 牛バラと同じタレをつけて、その骨のまわりの肉をしゃぶるようにいただきます。

 3時間ほどの滞在。お勘定は5人で13,000円(ひとりあたり2,600円)でした。安っ!

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《平成24(2012)年10月5日(金)の記録》

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〔くれ便り〕 呉でいただく“なんちゃって天玉そば”

なんちゃって天玉そば


 横浜での単身赴任時代、天玉そばにはまり込んでしまい、それこそ毎日のように、朝食は天玉そばという時期がありました。(ことの詳細はこちらの記事を参照ください。)

 しかしながら、“そばを食べる”という文化があまりない呉地方(というよりも西日本全体的になのかな?!)なので、街なかに立ち食いそば屋などもなく、こちらに来てからは大好物の天玉そばからもすっかり遠ざかっていた(遠ざかざるを得なかった)のでした。

 天玉そばを食べることができる可能性が、呉でもっとも高そうなのが、そば処「平原」。メニューには天玉そばはないものの、月見そば(300円)、かき揚げそば(450円)はあるので、材料はそろっています。

「かき揚げそばに玉子を落としてもらえますか?」という注文をしてみたところ、「はいはい」と注文を受けてくれました。

 ここ「平原」。値段は安いものの、うどんもそばも自家製手打ち麺で、天ぷらは注文を受けてから揚げる“通し揚げ”。呉っ子たちにも人気のうどん・そばの店です。

「平原」のかき揚げそば+玉子 待つことしばし、出てきたかき揚げそば+玉子は、かき揚げの具材もたっぷりで、ものすごく美味しいのですが、私がイメージするジャンキーな天玉そばとはちょっと違う。

 なんとか呉でも天玉そばを楽しめないかと考えて、思いついたのがカップ麺の利用。

 近所のスーパーで買ってきた天ぷらそばのカップ麺(今回は「日清御膳 天ぷらそば」)を普通に作り、できあがったところで生卵を投入。よ~し、見た目は天玉そばだ。(写真の七味唐辛子は、別に足したものです。)

 この生卵を丼(今回はカップ)のフチあたりでプツンとつぶして、ゆるやかに崩れかかった黄身の部分に、そばをからめながら食べるのが、G.Aさんから教わって、すっかり病みつきになった天玉そばの食べ方です。

 ん~。意外とちゃんとした天玉そばだ! さらに刻みネギを足したら完璧かもね。

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鳥八グループ発祥の店 … 「第三鳥八(だいさんとりはち)」(呉)

第三鳥八


 呉発の酒場文化である“とり屋”の歴史に関する興味は尽きなくて、今日も「第三鳥八」のカウンター席で飲みながら、その成り立ちを、つらつらとうかがってみました。

 呉の“とり屋”の元祖と言える「鳥好」(現在の「本家鳥好」)が開店したのが昭和26(1951)年のこと。そこで働いていた人たちが順次独立し、「第二鳥好」(現在の「竜之介」)、「第三鳥好」と、呉の街に「鳥好」系の店が増えていったのでした。

 そんなある日、「鳥好」という店名に対する商標権の問題が持ち上がってきました。この名称を商標登録した人がいたのです。

「使用料を払うか、店名を変更しなさい」

 ということになり、その商標を登録以前から使用していた「鳥好」は、その先使用権(せんしようけん)を主張して、店名は変えず、“本家”を名乗るようになりました。

 「第三鳥好」はこの時点で2軒あったのだそうです。お兄さんが経営する「第三鳥好」と、弟さんが経営する「第三鳥好」です。

 こちらは商標の登録以降の開店だったため、名称を変更することにしました。

 お兄さんの「第三鳥好」は、常連さんたちが使っていた呼称(略称)である「三とり」をそのまま店名にしました。これが現在に続く「三とり」グループの始まりです。

 一方、弟さんの「第三鳥好」は、最後の「好」の字を、末広がりで縁起が良く、語呂もいい「八」に変えて、「第三鳥八」としたのです。これが昭和43(1968)年の出来事。

 ちょうどそのころ、広島に新たな店を出そうとしていた「第三鳥八」店主の義弟も、その「鳥八」という名称を使うことになり、広島・流川の「鳥八」がオープンしました。

 4年後の昭和47年には、女将さんが何人かの店員さんを引き連れて、中通4丁目に現在も続いている「鳥八本店」をオープンします。

 さらにその翌年、昭和48年には、「第二鳥八」も開店。この店が、昭和53年の建て替えと同時に「鳥八茶屋」となります。

 こうして、「第三鳥好」から「第三鳥八」への改名をきっかけに、現在、広島や呉にそれぞれ何店舗かずつある「鳥八」グループに広がっていったんですね。

 「第三鳥八」という、なんだか3番目のような名称ながら、呉の“とり屋”全体で見たときに3番目、「鳥八」グループとしては、ここが創始者だったということを、はじめて知った夜でした。まだまだ奥が深いのぉ。

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みそ煮、白身魚フライ / 盛り串(5本) / 親鳥足焼

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活あじ刺 / ササミ天 / スープ豆腐

店情報前回

《平成24(2012)年10月3日(水)の記録》

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