イナゴ佃煮で立ち飲み … 「愛知屋酒店(あいちやさけてん)」(新杉田)
土曜出勤だった今日は、会社帰りに杉田商店街の「愛知屋酒店」にやってきました。
いつもは、文字どおり『立錐の余地もない』ほど混んでいる「愛知屋酒店」ですが、今日はガラガラといってもいい状態。
右手の直線立ち飲みカウンターには、奥のほうに男性二人連れ。中央の、ホーローのバットをいくつか並べてテーブル代わりにしているスペースにも男性二人連れの、合計4人。
こんなに客が少ない「愛知屋酒店」は見たことがありません。
前回同様、カウンターの一番手前側に立ち、これまた前回同様、燗酒(250円)を注文すると、注文を受けてから小さなヤカンに「沢の鶴」を入れて、直火で燗をつけて、目の前のコップに、表面張力まで注いでくれます。
とそのとき! ドンッとカウンターがゆれて、せっかくの表面張力の部分が、パッとこぼれてなくなってしまいました。
《なんだなんだ。地震でもないのに、いったい何が起こったんだ?!》
と思って、奥に立っている二人の先客のほうを見てみると、そのうちの一人が、立ち飲みカウンターに完全に体を預けるような形で立ち飲んでいます。だから、彼が笑ったり、酎ハイを飲もうとカウンターから体を離したりするたびに、それほど頑強ではない造りのカウンター全体が揺れていたんですね。
これはいけません。
確かに体をすっかり預けて、もたれかかってしまったほうが楽でしょうが、みんなで共有しているカウンターなので、他の客に迷惑をかけないことも重要です。
こういう弱い造りのカウンターの場合は、カウンターから、こぶし1個分くらい離れて立ち、カウンター上はお酒と料理の置き場としてしまうか、せいぜい手をつく程度にとどめておくのがいいんじゃないかと思います。
そんなわけで、口から迎えにいく予定だった表面張力の部分がなくなったので、お酒はそのままカウンターに置いておいて、つまみの選択に移ります。
冷蔵陳列ケースにならぶお惣菜パックが大きな特徴のこの店ながら、前回、常連さんらしき独り客が、レジの後ろ側に並んでいる煮魚の皿を取っていたので、今回はぜひその魚料理を取ってこようと思っているのです。
土曜日なので、作っている料理も少ないのか、レジの後ろに並んでいるのは2皿のみ。ひとつはサバの塩焼きで、もうひとつは軽く衣をつけて唐揚げにした魚。尻尾やヒレもからりと揚がっていて、おいしそうです。
「これはなんの魚?」
レジのところにいる女将さんに尋ねると、
「赤魚(あかうお)ですよ」
とのことで、さっそくそれを手に取ると、
「あっためましょうね」
と電子レンジで仕上げてくれます。
陳列ケースからは大根の漬物(105円)を取ってきて、燗酒を飲みながら待っていると、
「はい、お待たせしました。お好みでポン酢醤油をかけて食べるとおいしいですから」
とアツアツの赤魚唐揚げと、ポン酢醤油の小瓶を一緒に出してくれます。
女将さんの言のとおり、このポン酢醤油がピシャリと合って、とてもおいしい。尻尾もヒレもすっかりいただいて、皿の上は何の残骸もなく、すっかり空っぽです。
1杯目のお酒の残りもクイッと飲み干し、
「燗酒のおかわりをお願いします」
とカウンターの中の店主に注文。この店は、店主も女将さんも、すぐにわかるほど人柄がいいので、ものすごく居心地がいい。
つまみには、陳列ケースに並んでいたイナゴの佃煮(160円)を持ってきます。
7時半を過ぎるころには、みんないなくなって、客は私ひとりだけ。店は午後8時までの営業なんだそうです。
1時間弱の立ち飲みタイム。今日のお勘定は1,265円でした。どうもごちそうさま。
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コメント
居心地の良い酒場は良いですね。これからも末長く通いたいですね。私にも実は『角打ち』ではないものの、昔から地元仙台駅前に根付いていた居酒屋「朝日屋」という店がありましたが、お店の老朽化等で閉店してしまいました。残念でなりません。浜田信郎様、できれば是非仙台にも足をお運びくださいね。お待ち申し上げております。
投稿: 仙台おおぽん | 2013.02.07 00:07
愛知屋の基本の熱燗酒は澤乃井ではなく沢の鶴ですよ。
イナゴ佃煮は私が食べた時は160円でした。
投稿: タカハシ | 2013.02.09 11:49
タカハシ様
さっそく「愛知屋酒店」に行ってまいりまして、コメントいただいたとおり、基本の日本酒は「沢の鶴」で、イナゴ佃煮は160円であることを、私自身も再確認いたしました。
記事も修正させていただきました。
コメントいただき、本当にありがとうございました。今後とも、誤った情報などありましたら、ぜひご指摘をお願いいたします。
投稿: 浜田信郎 | 2013.02.10 00:27
仙台おおぽん様
古くから続く酒場は、長く続く景気低迷の中にあって、後継者がいないところも多くて、心配な状況です。
仙台と言えば、太田和彦さんが紹介されていた「源氏」や「一心」にぜひ行ってみたいと思いつつ、まだ伺うことができていません。
投稿: 浜田信郎 | 2013.02.11 09:57